ブエノスアイレスの下降線
柊蓮
柊蓮
「やっと目が醒めた? 新入りさん」
暗く深い真っ暗闇の深海に落ちていたような感覚から目醒めた自分は、そんな女の声に急激なスピードで意識が浅瀬へと引き戻された。
青年キビトは、自分が寝台列車の中で目を醒ましたことに戸惑いを隠せないでいた。そして、自身の記憶が無くなっていることにも驚きを隠せないでいた。列車内の狭い部屋で同居することになった女性、胡乃葉の言葉によって目を醒まし、列車内で暮らしながら次第に記憶を取り戻す中で発見していく“本当の自分”の姿、そして能力。
ーー俺は、アズサという聖母にいくつ命を捧げても足りない未熟な存在だ。
一人称の長編小説。
【始まりーー善悪把握不能な狂言回し】
【第一章ーー夜明けの明星】
【第二章ーー暴力的なチェリーボーイ】
【第三章ーー暗室】
【第四章ーーGarden】
【第五章ーー無菌室】
【第六章ーー悲しみの湖畔】
【第七章ーーwelcome to underground】
【第八章ーー愛とシトラス】
【第九章ーー陽光】
【第十章ーー背後の憂いを完全に切って】
【第十一章ーーライ麦畑のその先で】