メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 655  2025/02/09


少女の性 第六百五十五部

宏一はさとみの部屋を出ると、一度渋谷でコーヒーを飲み直してから帰宅した。そしてシャワーを浴びながら一眠りするかと考えていた。そしてネットを見ながらウトウトしていると洋恵と由美から連絡が来ていることに気が付いた。洋恵はいつものように夕方前に、由美は遅くなるけど夕食を一緒に食べたいという。

宏一はどちらにも了承したことを伝えたが、洋恵については『まさか、抱いて欲しいわけじゃないよな?どうして来るんだろう?直ぐに帰るかも知れないな。洋恵ちゃんが帰ったら、由美ちゃんを迎えに出るか。それじゃ、ちょっと早いかな』と思った。

洋恵が抱いて欲しいと思わないと考えたのは、もし洋恵が宏一に抱かれたいと思うのなら、この前の時にそうなっていたはずだからだ。しかし、あの時洋恵は抱いて欲しいとは言わなかったし、そうも望んでいなかった。だから、今日洋恵が来たとしても、洋恵を抱くことにはならないだろうな、と思った。しかし、洋恵が来てくれるということ自体は嬉しかった。どんな形であれ、洋恵が宏一を必要としているということだからだ。

宏一は軽く一眠りしてから、洋恵の好きなケーキを買いに出かけていった。
宏一がケーキ屋で買い物を終えて帰ってくると、近くのコンビニに洋恵がいるのを見つけた。今日は制服ではなく、プリントのTシャツにミニスカート姿だ。宏一が入って行くと洋恵も直ぐに出てきた。

「ちょうどだったね」

宏一が話しかけると、洋恵はちょっと微笑んだ。

「洋恵ちゃんの好きなケーキを買ってきたよ」
「モンブランとか、ある?」
「もちろん」
「ショートケーキは?」
「あるよ」

宏一は洋恵の笑顔にドキッとした。その時洋恵が見せた笑顔は特別なものだった。心から安らいだというか、ほのぼのとした笑顔だった。それを見ながら宏一は、もっともっと大声で笑うようになってほしいと思った。2人が部屋に着くと、宏一がお湯を沸かして紅茶の用意をしている間、洋恵は静かにちゃぶ台に座ってスマホを弄っていた。
そして宏一がケーキを紅茶をちゃぶ台に並べると、洋恵がニッコリとした。

「センセ、ありがとう。食べても良い?」
「もちろん。全部食べてね」
ケーキはモンブランとショートケーキの他、チョコレートケーキとフルーツタルトが並んでいる。

「全部は無理かな・・・・・」
「ダイエットなの?」

宏一が悪戯っぽく聞くと洋恵が少しはにかんだ感じで笑った。

「うん・・・・それもあるけど・・・・・・」

これ以上掘り下げないほうが良いと思った宏一は話題を少し振った。

「洋恵ちゃんは何が一番好きなんだっけ?」
「・・・・モンブランとチョコレートケーキかな・・・・でもショートケーキも好き」
「そうか、いつも買ってきたものは全部食べてくれるから、今度から気をつけるよ」

その言葉に洋恵は少し緊張したが、なんとか笑顔を保った。『今度から』が意味するものを考えてしまったのだ。

「うん・・・・・・・ありがと」

ここから宏一は洋恵と話す話題を選ばなくてはいけない。そこで宏一はズバリ聞いてみることにした。遠回しに時間を掛けるよりも良いと思ったのだ。

「洋恵ちゃん、彼とは別れたの?」
「うん・・・・・香奈が全部してくれた。だから、もう会わない」
「大変な目に遭ったね」
「そう、ちょっとね・・・・・・でも・・・・」
「でも?なあに?」
「ううん、センセの所に来れたから」

宏一はその言葉の意味を図りかねていたが、取り敢えず流していく。洋恵はモンブランから手を付けた。

「こんなこと聞いたら洋恵ちゃんがいやな気になるかもしれないけど、思い切って聞くね。今でも彼のことが好き?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ごめん、いやなこと聞いちゃったね。話したくなければ良いよ」
「そうじゃ無いの・・・・・・なんて言おうかって思って・・・・・」

洋恵は静かに考え始めた。そこで宏一はゆっくりと言った。

「だって、今回のことは、洋恵ちゃんが彼のことを好きな気持ちとは別のことでしょ?男の子だったら彼女を自慢したい気持ちは誰でもあるだろうし」
「・・・・・そうなの?・・・・・・、センセなら同じ事する?」
「この年なら絶対無いけど、もし高校生の時に彼女がいたら、今回と同じかどうかは分からないけど、友達を呼んだ前でいちゃつくことくらいはしたかもしれないね。と言うか、したと思うよ」
「友達に触らせるの?」

洋恵は悲しそうな、怒ったような声で言った。宏一と香奈の3人で話したときにはあんなことを言ったが、宏一の部屋から家に帰って一人になると、だんだん怒りがわき上がってきて、やっぱり香奈に言って謝ってもらおうと思ったくらいだった。しかし、同時にそんな彼を好きになろうとして、好きになっていた自分にも腹が立っていた。

「さすがに触らせることはしないと思うけど、何となく気持ちは分かった気がする」
「そうなの?センセ、アイツの味方するの?」
「そうじゃ無いよ。でも、あの年頃の男の子って大人の具合にバラツキが大きいから、彼女のことを超高級なおもちゃみたいにしか思えない子だって居ると思うんだ。だから自慢したいんだよ。新しいギターを買って友達に『いい音だから弾いてみろ』って言うみたいに」
「私、モノじゃないもん」

そう言うとケーキを大きく切ってパクッと食べた。

「分かってるよ。でも、洋恵ちゃんが思ってるより、高校生の男の子って大人じゃないんだ。たぶん、心は中学生の女の子より子供だと思うよ」
「それにしたって、あんなに嫌がったのに」
「そうだよね。ねぇ、その時、友達たちはどんな風に見てたの?もしかして興味津々じゃなかった?」
「すっごい目で見てた。羨ましそうで、ギラギラした目で、まるで飛びかかりそうな感じで」
「そうだろ?友達だって『羨ましくて使ってみたかった』んだよ、きっと。そして、それを見て彼は嬉しかったんだと思う。『凄いだろう』って」
「モノじゃないのに」
「うん、その通り。洋恵ちゃんは可愛い女の子だものね」
「可愛いかどうかは知らないけど、女の子」
「そう、絶対可愛いよ」

宏一が念を押すと、怒っていた洋恵の表情が緩んだ。宏一の言葉が嬉しかった。

「でも、ありがとう」
「ん?どうしたの?」
「センセが言ってくれたおかげで、少し分かった。あんなことした理由」
「うん、分かって上げてとは言わないけど、その程度のレベルの男の子だっているんだよ。でも悪気はなかったんだろ?」
「うん」
「優しかっただろ?二人きりの時は」

宏一がそう言った途端、洋恵の表情が一気に曇り、直ぐに下を向いてすすり泣き始めた。

「やっぱり好きだったんだね。残念だったね」

宏一がそう言うと、更に泣き声が大きくなった。宏一はフォークを持った手に手を重ねた。

「ばかぁ、センセが泣かした。また泣かせるなんてサイテーよ、ううっ、えっ、えっ」
「ごめんね」
「うっ、うっ、うっ、責任取って」
「どうすればいい?」
「私の後ろに来て。ちゃんと泣き止むまで、いつもみたいにして。ううっ」
「うん」

宏一は洋恵の後ろに座ると、両手を前に回して洋恵の手の外側から洋恵を包んだ。すると、洋恵は泣きながら脇を上げて宏一の手を脇で挟んだ。

「ちゃんとして」
「ごめんよ」

宏一はそっと両手全体で洋恵を包んだ。なるべく乳房に当たらないようにしたのだが、洋恵は脇を締めてわざと宏一の手が膨らみに少し当たるようにした。洋恵は別に今日は宏一に許すつもりはなかったのだが、こうしないと包まれている感じがしないからだ。抱かれるつもりがなかったからこそ、今日はわざと宏一の好きな制服ではなくTシャツで来たのだ。洋恵は宏一に軽く寄りかかると、宏一の腕を前に持ってきた。宏一の二の腕が乳房に当たったことで安心した。それは快感を得るためではなく、安心できるホームポジションだった。

「悲しいときは、ちゃんと泣いたほうが良いんだよ。少しこうしてようね。洋恵ちゃん、がんばったのにね」

宏一がそっと耳元で囁くと、ピクッと洋恵が反応した。

「そんなこと言わないでぇ、ううううっ、んぁうぅ、ううっ、うっ、うぇぇぇ、うう」
「ごめんよ、何も言わないから」

そう言って洋恵を抱きしめた。

「何か言ってぇ」
「ごめん、上手く言えなくて」
「いいからぁ」
「そうだね。洋恵ちゃんが素敵な彼を見つけられたら良いのになぁっておもってたから、香奈ちゃんから連絡が来たときはちょっと驚いたよ」

洋恵は久しぶりに宏一の腕に包まれて、腕が軽く当たっているだけであの独特の感じがあることをそっと楽しんでいた。

「それで?」
「その時は、とにかく来いって言う話だったから何が何だか分からなかったけど、とにかくいかなきゃって思ってさ。そしたら香奈ちゃんがあんなこと言ったから本当に驚いたよ」
「怒ってなかったの?」
「怒って?この前も聞いたね。本当に、全然怒ってなかったよ。本当だよ。そりゃぁ、洋恵ちゃんに会えなくなるのは寂しいけど、洋恵ちゃんが好きな人と居るのが一番だからね。俺が寂しいのくらい、我慢しなきゃ」

宏一は見栄を張ってそう言ったのだが、洋恵はそうでは無かった。

「私・・・・・寂しかった」

宏一は『失敗した』と思った。ちゃんと『寂しかったよ』と言うべきだったのだ。

「彼があんなことしたから?」
「違うっ、センセに会えなかったから」
「え?だって」
「香奈に紹介された人に会うまで、じっと我慢してたんだよ」
「俺に会いたかったの?」

洋恵はコックリと頷いた。

「それなら会いに来れば良かったのに・・・・・って、そう言うわけにはいかないか」

洋恵はまた頷いた。会ってしまえば香奈に紹介してもらう意味が無い。第一、洋恵は香奈と、宏一とは会わないと約束していたからだ。

「素敵な人だったの?」
「ううん、普通の人。でも、優しかったし、話すのが楽しくて・・・・」
そう呟いてまた少し泣いた。しかし、今度泣いたのは宏一の腕の中で安心していたからだ。安心しているからこそ泣けたのだ。だから泣いてはいたが、そんなに悲しくなかった。そして、もっと安心したくて脇をしっかりと締めて宏一の腕が乳房にしっかり当たるようにした。だから、直ぐに泣き止むことができた。そして、少しスッキリした気持ちになった。
「洋恵ちゃんは彼氏ができて、楽しいこといっぱいできた?」
「一緒にお買い物に行ったり、一緒にマックのセットを食べたり・・・・」
「良いね。ねぇ、どっちが先に好きになったの?洋恵ちゃん?」
「・・・・・・たぶん・・・・でも、同じくらい」
「良かったね・・・・・・でも、それだけ楽しいことあったのに、残念だったね」
「・・・・・・・・・・」

洋恵は少し黙っていたが、ポツリと言った。

「しかたないもん・・・・・・・」

洋恵は宏一に言われた、男の子のほうが子供なんだという話を納得して受け入れていた。洋恵から見れば高校生はかなり大人なのだが、男の子自体が女の子より子供なら、二人の間に起こったことが納得できた。

「仕方ないって・・・・・悲しいけど、どうしようもないよね」
「うん」

この頃になると、宏一の腕が当たっている部分が少し気持ち良くなってきた。洋恵は宏一が何もしようとしないのでもっと安心したくなった。だからわざと甘えてみた。

「ちゃんとして」

そう言って、更に自分の前に回っている宏一の手を取ると、宏一が腕を組むようにして乳房を下側からも腕に当たるようにした。

「いいの?」

宏一が耳元でそっと囁いたが、その熱い息が項に掛かるとゾクッとした。洋恵は何も言わなかった。

宏一は洋恵が落ち着いたようなので、これ以上話を掘り下げる必要は無いと思った。洋恵が結構好きになっていたことだけが分かれば、それで良いのだ。悲しい時は、きちんと原因までたどり着いてきっちりと悲しさを味わうべきなのだ。そうすれば再び前に進める。

「洋恵ちゃん、俺とはマックのセットなんて食べに行ったこと無いけど、ラーメンとかよりはマックが良いの?」

洋恵は『デートでラーメンなんて』と思ったが、その無神経さが宏一なのだと思い直し、ちゃんと考えてみた。

「たぶんね・・・・・・・時間かな?」
「時間?」
「ラーメンだと、食べてる間は離せないでしょ?食べ終わったら出なきゃいけないし。だから時間だと思う」
「そうか、味の問題じゃなくて、話ができるかってことか」

洋恵は小さく頷いた。

「それじゃ、ケーキセットのお店とかは?洋恵ちゃん、ケーキ好きでしょ?」
「行っても良いけど、二つ頼むと高いし」
「そうか、今度はお金か。難しいもんだね」
「だからマックが良いの」
「そう言うことか」

洋恵は乳房が少し焦れったくなってきたことに気が付いた。しかし、それは織り込み済みのことなのでさして気にしなかった。

「学校の話もできたの」
「そうか、高校生だものね。洋恵ちゃんの中学の先輩なの?」
「そう」
「それならいろんな話ができるね。先生とか部活とか、学校行事とか」
「うん、いっぱい話した」

宏一は、やっと洋恵が離れたがっていた理由が分かってきた気がした。洋恵はデートでマックを食べて、学校の話をして、と普通のデートができる相手が欲しかったのだ。

「どんな話が楽しかった?」


つづく

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