メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 649 新年スペシャル  2025/01/01


「少女の性」をご愛読くださる皆様、

明けましておめでとうございます。
また、
いつもご愛読くださり、誠にありがとうございます。

配信に使っているMailuxは大量の配信ができませんので、いつもと同じ量を
元旦に配信させていただきます。

今後とも、『少女の性』をご愛読くださいますよう、お願い申しあげます。

三谷宏一

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少女の性 第六百四十九部

二人の予定がこれで決まった。宏一は映画を見るつもりだったが、実はまだどれにするか決めていなかったのだ。そこにさとみが念を押して確認してきた。

「宏一さんて、一人で映画を見るの?」
「うん、特別なことがなければ一人だよ。だって、映画の最中に話なんてできないから、二人や三人で見に行くのって俺としては信じられないよ。だって、話ができないなら隣に居るだけだろ?」

さとみは宏一の様子から、宏一が言っているのは本当のことだと思った。ライバルが登場しないのなら気を遣う必要はない。もっとも、着替えを持ってきてない時点でだいたいの予想は付いていたが。正式に付き合っているわけでは無い以上、直接予定を聞きにくいのは仕方がない。さとみは、元カレに毎週細かく予定を聞かれて閉口していた自分を重ねていた。

「ねぇ、宏一さんのことを聞かせて?今の仕事って、学生の頃から考えていたの?」
「そうだね。本当はシステム工学が専攻だったんだけど、だんだんネットワークシステムの仕事がしたくなってこの仕事にしたんだ。さとみさんは?」
「私は仕事に専門性なんて無いし、入れそうな会社を選んだらこの仕事になったってこと。それだって、商社とかじゃなくてこの会社だもの。選んだって言ったって知れてるけど」
さとみが前菜を平らげた頃、メインのステーキが運ばれてきた。
「うわぁ、やっぱりアメリカねぇ。凄い大きさ。これで二人分なの?」
さとみは声を上げて喜んだ。
「アメリカンなレストランだからね。さぁ、食べよう。最初はやっぱりステーキ肉の定番のロースからだね」

そういって宏一はさとみの分を取り分けた。

「最初から半分切れてるのね」
「うん、ニューヨークとかで流行ってる切り方らしいんだ。切らないとただの茶色の塊だからね。焼き加減が分かるようにって事みたい」
「これがミディアムレアなのね」
「そう。さとみさんにはなるべくレアっぽいところを、と。俺は端っこのほうのミディアムっぽいところをいただくよ」

宏一が取り分けると、さとみは早速切り分けて口に運んだ。

「うわぁ、美味しい。やっぱりステーキはアメリカ。アメリカバンザイって感じ」
「脂はあるけど油ギトギトじゃないからこのワインも合うと思うよ」
「美味しい。少しだけ渋いけど、合うわ」
「よかった」
「宏一さんに連れてきてもらう食事はいつも絶対正解ね」
「良かった。お腹いっぱい食べてね」
「もちろん」

さとみはその言葉通り、小柄な身体に似合わずに次々に宏一が取り分けた肉を食べていく。

「次はヒレ肉も食べてみようか」

宏一はT字の骨の反対側のヒレ肉を切り分けた。

「やっぱりヒレ肉って柔らかいのね。脂もないし」
「どっちが好き?」
「やっぱりロース肉のほうかな?サーロインて言うのよね」
「うん、ロース肉の一部に対するステーキ屋さん独特の呼び方だね。ロースでも更に細かくいろいろ呼び方はあるみたいだから」
そう言っている間に肉はどんどん無くなっていき、ボトルも空いてしまった。
「どうする?もう一本頼む?」
「もう一本は・・・良いかな・・・もうだいぶ気持ち良くなっちゃった」
「それじゃ、後はハウスワインで良いよね」

そう言うと宏一はハウスワインの白を二つ頼んだ。

「今度は白も飲んでみて。こういう店のハウスワインはちゃんとしてるから」
「そうね。それも楽しみ」
「今日はステーキの店にしたけど、さとみさんは行ってみたい店とか無いの?」
「それはいろいろ、ネットで見ると『良いなぁ』って思うもの」
「たとえば?」
「この前見たのはフレンチのお店だったし・・・・・それから蕎麦屋さんもいいなぁって」
「そう言えば、きちんと好き嫌いを聞いた事って無かったよね」
「そうかも。でも、余り無いのよ。たいていのものは食べられるの」

「それなら、魚とかは?」
「好きよ」
「生でも食べられる?」
「刺身ってこと?大好き。房総でも食べたでしょ?」
「そうだった。それなら、これからもたくさんいろんなお店に行けるね」
「宏一さんはグルメだから、どこまで追いつけるか分からないけど」
「貧乏舌だからね、何でも食べちゃうんだ」
「何でも?」
「うん、一昨日も会社の近くの居酒屋でのれそれを食べたよ」
「のれそれ?」
「うん、アナゴの稚魚なんだけど、高知の名物らしい」
「ちょっと調べて良い?」

そういうとさとみは『宏一さんと話すのは食べ物のことばかりだなぁ』と思いながらのれそれを調べた。

「まるでこんにゃくみたいね」
「うん、味はほとんど無いからね。食感の食べ物さ。ステーキを食べながら話すことじゃなかったね。ごめん」
「ううん、また今度教えて」
「ところで、白ワインも美味しいね」
「そう、おいしい。これなら、今度から全部白にしても良いくらいね」
「そうだね。白ワインなら赤ワインより値段も安いしね」

さとみは宏一との話題が食べ物に偏る理由を頭の中で探していたが、『そうか、会社以外は共通の話題が無いんだ』と気が付いた。

「ねぇ、宏一さんは音楽とか聞かないの?」
「俺は流行の音楽は・・・・・・ごめん」
「流行でなければ?」
「昔のフォークソングとは聞くよ」
「それって、今、流行じゃない?」
「そうなんだ」

それから二人は音楽の話題で少し盛り上がった。さとみは以前はKポップに嵌まっていたらしいが、今は日本のJポップが好きらしい。『気楽に聞けるし身体が自然に動いて楽しくなるから』だそうだ。

メインを食べ終わったさとみは、さすがにお腹がだいぶいっぱいになったらしく、デザートはスキップした。そこで二人はコーヒーを飲みながら次の店を探した。

「どんな店が良いんだっけ?」
「気楽に入れる店ならどこでも」
「静かな店が良い?」
「ううん、少しうるさくても良いわよ」
「バーが良い?」
「そうね、ちゃんとしたカクテルとか、飲みたいかも」
「分かった。探してみるよ」
「私も探す」

二人はネットで近くのカクテルの店を探した。

「渋谷の駅の近くだよね。たくさんあるけど、駅の近くは混んでるだろうから、少しだけ離れた場所にするね。ちょっと歩くけど、ごめんね」
「良いわ、渋谷駅からなら後は楽だもの」

宏一は一件を選んで電話してみた。すると混んでいるから来てみないと席は分からないという。

「どうする?」
「週末だもの。行ってみましょう。ダメなら周りにいくらでもあるだろうから」
「分かった。行ってみよう」

二人は青山一丁目で乗り換えて渋谷駅で降りて目的の店に向かうことにした。

「ねぇ、それで、どうしてその店を選んだの?」
「うん、ワインクーラーがあったから」
「ワインクーラーってなあに?」
「ワインベースのカクテルなんだ。別にワインクーラーを飲みたいわけじゃなくて、ワインベースのカクテルを置いてる店って意外に少ないから、ワインクーラーを置いてる店ならいろんなカクテルを楽しめるだろうし、バーテンの人だってしっかりした人だと思うからさ」
「分かったわ」

さすがに週末のこの時間の地下鉄は混んでいるが、二人はぴったりくっついて混雑を乗り切った。さとみは、『今までこんな風に週末を楽しむ事って無かったなぁ』と思った。二人は渋谷駅から十分ほど恵比寿方向に電車沿いに歩き、線路の反対側のバーにたどり着いた。

店に着くと、ちょうど小さな団体が出た後で無事にカウンターに座ることができた。

「ステキ、やっぱりバーはカウンターよね」
「うん、良い感じだね。期待できそうだ。最初は何にする?」
「飲んでみたいのがあるの。テキーラサンライズ」
「いきなりハードリカーベースとは飛ばすね。それじゃ、俺はマティーニだ」

二人は気分良く一杯目に突入した。

「おつまみは何にする?」
「定番で良い。お任せする」
「わかった。お腹はいっぱいだろうから、お酒に合いそうな軽いものにするね」

宏一はドライフルーツの付いたイチジクと枝付きレーズンと生ハムを頼んだ。

「ねぇ、宏一さんは普段は運転するの?」
さとみは当たり障りのない話題から入った。まだ聞いてないことがたくさんあるのだ。
「うん、するよ。でも車は持ってないから、車で出かけるときはレンタカーだね」
「出かけるって、旅行ってこと?」
「そうだね。車で旅行に出るのは好きだよ。房総の時みたいなの」
「あの時は、最初はどうなるかと思ったけど、ステキだったわね」
「うん、知り合いに個人でやってる旅行代理店の友達が居て、凄くアレンジが上手だし、レンタカーだって希望通りのものを探してくれるし、アイツが居るからいつも最高の旅行ができるってのも車で旅行が好きな理由の一つかな」
「さとみさんは?」
「好き。でも、あんまり行ったこと無くて。女の子同士って車の旅行は少ないから」
さとみは言外に、元カレとは行ったことが無いと伝えた。

「行きたいところはあるの?」
「もちろん。行ってみたいところだらけ」
「特に行きたいところは?」
「連れてってくれるの?」
「うん、がんばってみようかな?って思ってさ」
「それじゃ、近いところがいいかな?」
「別に遠くても構わないよ。泊まりでも。休みを取って3泊とか」
「まさか、二人で休みを取ったら会社で宣伝してるようなものだもの。それは無しよ」
「それじゃ、金曜の夜を入れて2泊までか」
「そうね。それだとあんまり遠くに行けない?」
「いや、ドライブにどれくらいの時間を使うかだけど、日本海だって行けるし、飛行機や新幹線と組み合わせればたいていの所には行けると思うよ」
「それじゃぁ、熊本」
「ほう」
「ほう?」

さとみは宏一の言い方が面白かったのか、いきなり笑い出した。ちょうどカクテルが届き、さとみは大喜びで写真を撮った。

「きれいね」

さとみは何枚も写真を撮っている。

「ビジュアルが気に入ってて頼んだの?」
「そうよ、雑誌の隅っこに出てたの」
「飲んだことはないの?」
「はじめて」
「うわ、それは危険な・・・・・」
「でも、長いグラスで出てくるワインのアルコールって高くないんでしょ?」
「それはそうだけど・・・・・」

さとみは一口飲んでみた。

「おいしい」
「ね?だから危ないんだ」
「そうね。これじゃ、どんどん飲めちゃう」
「ベースはテキーラだからね」
「分かったわ。それは一杯だけにしとく」
「同じのを頼むのも良いけど、せっかくだから違うのも頼んでみようよ」
「飲み始めたばかりなのに、もう次の話?まだ、ドライブの計画はできてないのよ」
「そうだった。それで、熊本のどこに行きたいの?」
「いろんなところがあるから、行くなら車が必要になると思ってるけど・・」
「確かに、海だと天草を通って長崎にだって行けるし、山は阿蘇山を通り抜ければ別府温泉に行けるからね。こういう旅は車がないと無理だね」
「そうでしょう?」

「よく熊本なんて探し出したね」
「雑誌の旅行プランよ」
「それって、羽田から熊本に飛行機で行って、レンタカーに乗り換えて、どこに行くプラン?」
「宏一さんの言うとおり。長崎」
「それで、どこに泊まるの?」
「確か、阿蘇を見てから熊本に泊まって、翌日長崎に行って泊まるんだったかな」
「二泊は無理だって、さっき・・・・・・・ちょっとアレンジが必要だね」
「どっちかにするってこと?」
「それぞれ十分見るところがいっぱいあるから、どっちかに絞るのが普通なんだろうけど、がんばれば二つとも行けるよ、たぶん。だから、まずは熊本と長崎の二つを見たいのか、それぞれをじっくり見るのか、だね」
「宏一さんはどうなの?」
「俺はドライブ好きだから、がんばって二つが良いかな?さとみさんは?」
「そうね、それぞれ魅力があるけど、もし、どっちかって言うのなら・・・・・・ううん、やっぱり両方。ちょっと忙しくなってもそれが良い」
「二つにすると、行きたいところに行けなくなるかも知れないよ。熊本と長崎と、絶対にいきたいところをピックアップしてみたら?」
「それもそうね。わかった。後でやってみる」


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