メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 648  2024/12/29


少女の性 第六百四十八部

すると、店長の美咲がコロッケを持って出てきた。

「富山の白エビが少しあったので、コロッケにしてみました。お酒を召し上がる前にこちらを召し上がってみてください」
「ありがとうございます。東京で富山の白エビなんて珍しいですね。なかなか見ないですよ」
「たまたま昨日、豊洲の仲卸に少しだけあったのをもらった残りです。入荷が安定しないし、今年は漁自体が不漁なので、少しだけなんです。でも、美味しいですよ。一つだけですけど」
「いただきます。ついでに、日本酒のメニューで一昨日の地酒ってありますか?」
「あぁ、あれは・・・・・・・・はい、少しならあると思います。どれも半端なので、それでもよろしいですか?」
「はい、いいですよ。もちろん」
「次の日本酒が入ってくるのは明日ですから、今日はあるだけってことでお願いします」
「はい、お願いします」
「冷酒でよろしいですか?」
「もちろん」
「かしこまりました」

美咲が下がると、宏一はコロッケを食べてみた。確かに白エビの風味が香るし、白エビの歯ごたえもあって美味しい。宏一はカウンターの中に居る若い板前に言った。

「店長さんに、コロッケが美味しいとお伝えください」

そう言うと、板前はニッコリ笑って言った。

「はい、ありがとうございます。伝えておきます。実は、昨日、私達はまかないで食べたんです。本当に美味しいですよね」

そう言うと板前は奥に戻った。すると、直ぐに刺し盛りを持って戻って来た。

「店長から、今日の盛り合わせだそうです」
「ありがとう。これは美味しそうだ。おっと、これも、だった」

この頃から店が混んできた。それでも宏一はその後も店長が次々に出してくれる料理を楽しみ、美咲が見繕ってくれた日本酒を楽しんだ。そして会計を終えると、勘定をしてくれた店員が言った。

「店長は離れられませんが、ありがとうございましたとのことです」
「おぉ、そうですか。ごちそうさまでした」
「またのお越しをお待ちしております」

宏一は気分良く楽しめたことに満足して帰った。
翌日は週末だ。宏一が週末の工事状況確認から戻るとさとみからメールが入っていた。さとみ自身は離席していたが、夜の待ち合わせ場所を教えてほしいとのことだった。宏一はまだ店を予約していなかったことに気が付き、慌ててスマホを持ってトイレに駆け込んだ。

考えてみれば、さとみとは洋食や中華と海鮮バイキングは食べたが、その他はまだだ。そこで宏一はアメリカンなステーキの店を予約した。さとみが大きなステーキを食べられるか試してみようと思ったのだ。さとみには店の近くの駅の改札を指定した。

その日のさとみは、かなりハイペースで仕事を捌いていった。昼食はいつものように総務の女子と一緒だったから話す機会がなかったが、お昼休み明けにはちゃんとメールの返事が来て了承とのことだった。
そしてさとみは定時で退社していった。一瞬、宏一を見たが何も言わなかったしサインすら送らなかった。そして宏一は少し残った仕事を片付けてから待ち合わせの改札に向かった。

宏一が改札に着いたとき、まださとみは来ていなかった。宏一は安心してスマホで時間を潰していると、少し過ぎたくらいにさとみが現れた。見ると退社時よりも荷物が多い。

「お待たせ」
「ううん、全然待ってなかった。俺もほんの今、来たところだから」
二人は歩き始めた。会社の時とは違い、今のさとみは明らかに個人的関係といった感じを前面に出している。
「ステーキで良かったの?」
「大好き。だから今日は気合い入れてお昼も減らしたの」
「アメリカ系の店だから、おっきいよ」
「大丈夫。おっきいの食べたい」
「良かった。それじゃ楽しめそうだね」
「宏一さんは来たこと、あるの?」
「ううん、初めてだよ。ニューヨークの店には行ったことあるけど」
「それでその店にしたの?」
「うん、有名だったから・・・・・・・ちょっと失敗したかなって思った」
「どうして?」
「だって、さとみさんはどう見てもそんなにたくさん食べられるようには見えないし、実際、博多でも房総でも、そんなにたくさん食べなかったなぁって思い出してさ」
「がんばる。思いっきり食べても良い?」
「もちろん」

さとみは食後のことを心配して聞いたのだが、宏一は気にしていないようだ。さとみは『大きいって言っても、常識的な範囲内だろうから、まぁ、なんとかなるでしょ。夜に響かないようにしなきゃ』と思っていた。そして『夜のことまで今から気を回すのは男の人には無理よね』とも思った。
店は六本木の駅からそれほど遠くなかったが、少し大通りを住宅街に入って少し行ったところの通り沿いにあった。入ると店の雰囲気はニューヨークの店に近い感じだ。ただ、猥雑な感じのニューヨークとは違って、場所が六本木なので店内は静かだった。

「うわぁ、ステキなお店。雰囲気あるぅ」

席に着くなりさとみは学生みたいな声を上げた。

「いかにもアメリカンレトロな感じだよね」
「こういう店って、店がお客を決めるって感じだから、今まで来たことないの。こんな店なら昨日教えてもらえば良かったのに」
「ごめん、でもさとみさんの服なら全然問題ないと思うけど。って、もしかして着替えてきたの?」
「そう。お外ご飯だから、仕事用じゃちょっと・・・・」
さとみは半袖のクリーム色のサマーブラウスにオレンジ系のミニスカートだ。
「凄く似合ってるよ。アクセサリーもシンプルで似合ってる」
「良かった。ちょっと昨日、迷ってたの。どんな店か分からなかったから、シンプルにした方が良いって思って」
さとみはパールのイヤリングと胸に小さなカメオを付けている。
「今まであんまり使う機会がなかったから、思い切って付けてみたの」
「凄く趣味が良いね。このお店の雰囲気にも合ってるし。ちょっとさとみさんの新しい魅力を発見、て感じだよ」
「褒めるのが上手ね」
「ううん、本気で感心してる」
「良かった、気に入ってくれて」
「それじゃ、メニューを見てみようか」

そういって宏一はさとみにメニューを渡した。

「前菜はどうする?いろいろ楽しめた方が良ければシーフードプラッターだけど」
「うん、それが良いと思う」
「お腹の空き具合だけど、サラダやスープはどうする?」
「宏一さんは?」
「俺は両方食べたいな。特にスープのロブスタービスクはアメリカのレストランならではだし」
「それじゃ私はそのスープだけにしてもいい?」
「うん、分かった。サラダは少し分けるね」
「ありがと」
「それじゃぁ、メインのステーキだけど、オススメの二人分が一緒に来るプライムステーキにする?それともヒレとかロースとかの部位を一人ずつにする?」
「二人分が一緒ってことは、一人分を二つより量があるの?」
「ううん、Tボーンて言ってT字型の骨の左右にヒレとロースがくっついてる部分なんだ。両方楽しめるよってこと」
「それならそれがいい」
「うん、分かった。焼き加減はどうする?」
「レア。あ、でも、大きいのが一つなら宏一さんが決めて」
「それじゃ、ミディアムレアでいい?」
「うん」
「それと、ステーキの付け合わせは何にする?」

「オススメは?」
「俺はベイクドポテトとマッシュルームだけど、他にはマッシュポテトやジャーマンポテト、クリームスピナッチやアスパラなんかも良いかな?」
「そう・・・・・・それじゃ私はジャーマンポテトとクリームスピナッチにする」
「うん、いいんじゃない?」
「それで、スピナッチって何だっけ?」
「ほうれん草だよ。脂っこいステーキによく合うと思う」
「うん、それがいい」
「それじゃ、最後にデザートだけど、今決めてもいいんだけど、ステーキを食べ終わってからデザートをどうするか決めれば良いって思うんだ」
「分かった。お楽しみにするのね」
「うん、お腹の余裕次第で決められるからね」
「そうする」

宏一はサーバーを呼ぶと料理を注文してソムリエを呼ぶように言った。

「ワインはどうする?好みとかあるの?」
「肉には赤、でしょ?それ以外は分からないわ」
「今日は脂っこい肉が出るけど、脂が多いときには渋めのワイン、あっさりした肉にはスッキリしたワインて言うのが定番なんだ」
「あんまり渋いのは・・・・・・苦手かも」
「俺なんかはステーキに白ワインて言うのが好きだよ。さとみさんの好みで赤でも白でも」
「でも、せっかくなら赤の方が・・・・・」
「それじゃ、聞いてみよう」
そう言うと宏一は、ソムリエに2万円以下で渋みの少ないカリフォルニアの赤ワインで香りが強めのものを薦めて欲しいと言った。
「それならケンダルジャクソンのグランドリザーブかスタッグスリープのアルテミスはいかがでしょうか?どちらもバランスの良いワインでございます」
「それならケンダルジャクソンで」
「かしこまりました」

ソムリエが去るとさとみは興味津々で聞いてきた。

「ねぇ、どうしてケンダルなんとかにしたの?」
「どちらもアメリカではポピュラーなワインだから、安い方にしただけ。大丈夫。ちゃんと美味しいワインだから」
「知ってるの?」
「うん、アメリカに行ってたとき、何度も飲んだよ。スーパーにも売ってるし」
「そうなの?高いワインじゃないの?」
「本当はそんなに高くないよ。でも、こういう店で飲むと高いんだ。特に2万円以下のワインはよく出るから値段は高めだね。だったら、見栄を張って高いワインを頼むのも良いけど、素直に安いのを飲んでおくのがベストだよ。安いって言っても、別に変な安物のワインじゃないんだから」
「そうなんだ。そういうものなんだ」
「好みだけどね。でも・・・・」
「でも?なあに?」
「ううん、見栄を張って高いのを頼むのも、それはそれで一つの楽しみ方かもねって思っただけ」
「宏一さんが今まで飲んだ中で一番高いのってどれくらいなの?」
「日本から役員が来たときに席の端っこに座らされて飲んだのがオーパスワンて言うワインなんだけど、あの時でも6万円くらいしたと思うよ」
「どうだった?」
「もちろん、凄く美味しかったよ。でも、グラス一杯一万円だからね。当然だよ」
「私も飲んでみたいなぁ」
「そういう機会が来れば良いね」

宏一は軽くいなしたが、さとみは『そういう機会って、もしかしてプロポーズなのかな?でも、そう言う時ならワインに6万円も出すなんて非現実的』と思った。
そんな話をしていると、二人には前菜が並び、ワインもサーブされて二人は会話を楽しみながらワインを飲み始めた。

「赤ワインだけど、そんなに飲みにくくないだろう?」
「そうね、これくらいならまだ・・・・」
「値段の高いワインだと、前菜とかには渋すぎて合わないときが多いんだ。香りも強いし。だけど、こういうワインならだいじょうぶだよね」
「ふうん、あんまり考えたことなかった」

さとみは、そろそろワインの話は終わりにしたかったのでそれとなく匂わせた。それを敏感に察知した宏一は話題を変えた。

「ところで、この夕食の後はどうする?もう一軒行く?」
「そうね。時間はあるから、できれば」
「希望とかあれば。まだ予約してないから」
「予約が要るところは・・・・・気軽に入れるところが良いわ」
「そう、それなら時間も気にしなくて良いしね」
「でも、遠いところは嫌。たくさん飲んだ後だと帰るのが大変だから」
「分かったよ。それじゃ、渋谷辺りかな?」
「そうね、だいたいそんな感じ」
「それじゃ、食べ終わってから考えようか」
「そうね」
「で、今日は泊まっていって良いの?」
「もちろん、そのつもりだけど?」
「よかった」
「あら、そう言えば着替えとかは?」
「下着だけはコンビニで買うよ」

「それで、明日はどうするの?」
「特に予定はないんだ。さとみさんは?」
「買い物くらい。と言ってもまだいろいろ必要なものが多くて」
「やっぱりまだまだ何かと物入りだよね」
「必要なものだけ持って出たから。ひと月くらいは仕方ないわ。元カレから取りに来いって連絡来たけど『捨てといて』って断ったし」
「それはそうだよね。俺は夕方に帰れば良いから。と言っても映画を見るだけだけど。一緒に見ても良いし」
「良いわね。でも私は買い物したら部屋でアレンジしないと」
「それじゃ、夕方まで一緒に居られる?」
「ううん、お昼まで。男の人には関係の無いことだってあるんだから」
「そう、わかった」
「それじゃ、お昼はまたあそこに行こうよ」
「中華?気に入ったの?」
「うん、美味しかったから。でも他にあるならそっちにするけど」
「まだ見つけてない。じゃ、あの中華ね」



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