メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 647  2024/12/22


少女の性 第六百四十七部

その日の夕方、宏一は少し早めに部屋に来たが、葵は既に来ていた。
「葵ちゃん、早いね」
「シャワー使わせてもらいました」

葵はそう言って遠慮がちに笑った。宏一は、葵のニッコリ笑う姿を始めて見たような気がした。そして、『そう言えば洋恵ちゃんはシャワーを使いたいなんて言ったこと無かったな。汗かきとか、そう言うことなんだろけど』と思った。

「今日は何の勉強をしようか?」
「勉強は良いの。この前の話の続きをして欲しいの」

葵は先日より  雰囲気が砕けた感じだ。

「それじゃ、葵ちゃん自身は短期留学について調べてみた?」
宏一が聞くと、葵はコックリと頷いた。

「それじゃ、葵ちゃんの描く短期留学って、どんな風に進むのか教えてくれる?」
宏一が聞くと、葵はちょっとがっかりしたように頷くと、ノートを広げて調べたことを話し始めた。
「先ず、最初にどれだけの日数にするのか決めるの。2週間くらいから何ヶ月までいろいろあって、その中で自分の希望を決めるのね。それから、どこの国にするのか決めるみたい」
「うん、それで、葵ちゃんはどれくらいが良いと思うの?」
「三谷さんの話だと、一月くらいでしゃべれるって言ってたから、それくらいかなぁって。今からだと高校に入ってからになるから、来年の夏って感じ」
「うんうん、良いね。夏休みを使えば学校は休まなくていいしね」
「そう、学校にも許可取らないといけないだろうし」

「そうだね。申し込むときに在学証明とかの書類を出してもらう必要があるからね」
「それと、短期留学にもいろいろなコースがあって、観光が付いてるのもあるし、単に勉強だけのもあるし、ホテルに泊まるのもあるみたい」
「色々あるなら、どれにするか考えないとね」
「それを纏めてみたけど、本当に色々あって・・・・・・・」

そう言うと葵はノートを指して宏一に言った。

「こっちに来て。これで説明するから」

宏一は、ちゃぶ台の反対側に座っていたが、葵の隣に座った。

「先ず、観光付きとそうで無いのに分けたのね。それと、観光の無いものは期間別に分けたの。それと、国別の作ったけど、アメリカとオーストラリア、ニュージーランドが多いの」

葵は静かに話し始めた。話していて葵自身、不思議に普通に話している感覚に驚いてた。友達並みでは無いが、余り大人に話しているという感覚が無い。宏一が覗き込むと、確かにノートには綺麗に整理されていろいろな短期留学プログラムがリストアップされていた。

「滞在方法については纏めてないの?」
「ううん、分かってたんだけど、纏め方が分からなくて」
「葵ちゃんはどんなのが良いと思ってるの?」
「えっと、それはこっちの方に・・・・・」

葵は別のページに纏めかけの滞在方法を見せた。

「シェアハウスって言うのに興味があるけど、ホームステイや学生寮との違いが分からなくて・・・・・」
「そうか。そうだよね。葵ちゃん、日本にある学生寮やシェアハウスって、だいたいどんなものか分かってるよね?」
「はい、だいたい・・・・・・だけど」
「どれが一番簡単に滞在できると思う?」
「学生寮????」
「正解。それじゃ、ホームステイと学生寮を比較してみようか。シェアハウスはまた別だから。一人で全部できる人じゃないと、シェアハウスは厳しいんだ。もし体調を崩してもシェアハウスだと基本、誰も面倒見てくれないからね」
「はい」

それから二人は滞在方法について話し合ったり調べてみたりを繰り返した。葵は宏一が隣に居ても全然嫌では無かったし、それどころか、何となく頼りになる大人と一緒に居ることで、気持ちがとても楽なのが嬉しかった。

クラス委員をしているとクラスメイトに対して余計な気苦労が多いし、だらしなくできないのでいつも気が張っているから、リラックスできて頼れる宏一の雰囲気がとても心地よい。いつの間にか葵の気持ちの中に『少しだけ甘えてみたい』という気持ちが芽生えてきた。そして、恐る恐る試してみた。

「もう一回説明して?」

葵は宏一が怒らないか少しだけ不安だった。

「良いよ。あのね、学生寮だと最初に入寮の時に全部滞在に必要な手続きをする必要があるけど、その手続き自体はネットだろうと紙だろうと自分で書き込まないといけないんだ。日本にいる間にできると思うけど、手続きは自分でする、だよ。事前にネットで全部書き込んで申し込んでいたとしても、入寮では全部書き直すと思ったほうが良いね。でも、ホームステイだとその手続き自体は最初にしちゃうからほとんど必要ないし、滞在中もいつもホストと一緒だし、生活はホストが全部やってくれるから気にする必要が無い。それが大きな違いだね。つまり、楽だってこと。ここまでわかった?」
「はい」

「だけど、学生寮だと食事は食堂を使うにしても基本的に自己責任。週末は寮の食堂もやってないしね。でもホームステイなら基本的に食事はぜんぶホストと一緒に食べなきゃいけない。何もしなくても食事は出てくるけど、ホストの食事が自分に合わない場合には苦労するだろうし、一人で食べるってのはしたくてもできないと思うよ」
宏一が気にせずに丁寧に教えてくれることで、葵は心の緊張が緩んでいくのを感じた。そして葵はだんだん、宏一に少しだけでいいから甘えてみたいという気持ちが抑えられなくなってきた。
「それじゃ、どっちにしても好きなものは食べられないじゃない」
葵はそう言うと同時に、隣に座っている宏一に背中を向けて寄りかかった。宏一は全く気にしていないのか何も言わない。葵は宏一が嫌がらないので取り敢えず安心した。

「うん、家に居る時みたいには行かないね。お母さんが居るわけじゃ無いからね」
「ウチはお母さんは夜は仕事で居ないけど」
「そうか、商売をしてらっしゃるんだったっけ」
「飲食店」
「何を出してるの?定食?」
「うん、めん類や定食」
「それじゃ、葵ちゃんは夜は寂しいね」
「別に」

葵はそう言ったが、本当は親の帰りが遅いから、ここに来られるのだと言うことも言いたかった。葵の親は家に自分が一人で居るより、家庭教師と一緒に居る方が良いと思っているからだ。

「どっちにしても、食事は文化そのものだから、英語を覚えるのと一緒に食文化も覚えるつもりで行かないと、身体を壊したり変に太ったりするから注意が必要だね」
「そう言うのもあるんだ・・・・・」
「結構、食事が合わなくて身体を壊す子は多いみたいだよ」
「そうなの?」
「俺の知り合いでホームステイしてた男の子は、ホストマザーに『夕食はテーブルの上にあるから自由に食べて』と言われてテーブルに行ったらお徳用袋のすごく大きなポテチだけがドンと置いてあってびっくりしたそうだよ」
「それが夕食ってこと?」
「そう、『ポテチしか無かったよ』って言ったら、『そう、あったでしょ?』って言われたんだって。で、その日はポテチが夕食だったんだって。他には何も無し。ただポテチだけ。もちろん、その子だけじゃ無くて、その日は一家全員ポテチだけ。信じられる?」
「信じられない」

「それが、本当なんだ。それはアメリカの話だったけど、別に珍しいことじゃないんだよ」
「本当なの?」
「うん、絶対本当。アメリカ人て、日本人みたいに食事に拘らないんだよ。日本人みたいに毎回栄養バランスを考えて、なんて考えないからね。必要ならサプリを食べればいいって思ってるから。もちろん、美味しい食事があれば喜ぶし、レストランでコース料理だって食べるけど、普段はお腹いっぱいになればそれで良いって思う人の方が多いんだ」

「私は・・・・・・」
「葵ちゃんはどうなの?ちゃんと栄養バランスは考えてる?」
「栄養バランスは少しは・・・・・カロリーはちゃんと考えてる」
「そうだろ?アメリカ人て、葵ちゃんの年頃の子ってガリガリに痩せてる子が多いんだけど、それは全然栄養バランを考えてないから身体が育たないんだ。でも、そのまま大人になると、今度は同じように食事してても体がカロリーを消費しないから脂っこいものが多い分、猛烈に太るんだよ。だからアメリカ人には太った人が多いんだ。貧困性肥満て言って、それは年収が低い人ほど顕著なんだよ。高収入の人達はきちんと栄養を考えてる人が多いから太ってる人は少ないよ」
「ふうん、それじゃ、ホームステイなら相手のこともよく考えないといけないのね」
「うん、基本的には年収に余裕がある人しかホストをしないから、そんなに酷い家に当たることは無いと思うけど、確実なのを狙うなら学生寮が無難だね。本当はホームステイの方が生の文化を感じられるけどね。ポテチの話なんて文化そのものだろ?」
「私はそう言うのは・・・・・・」

葵は宏一に寄りかかって話を聞いていると、何となく外国の生活が少し身近に感じられて、『短期留学も良いな』と思えるようになってきた。それと、こうやって宏一との時間を楽しみたいと思うようになってきた。
正直に言えば、最初、葵はかなり宏一を警戒していた。なんと言っても洋恵と深い関係になっていたのだから当然だ。しかし、今日になっても宏一は全く葵に手を出そうとしないし、明らかにそういう雰囲気を作ろうとしていない。どちらかと言うと、宏一から距離を置いている感じだ。葵に魅力を感じていないのかもしれないが、それは別としても、今は警戒する必要はなさそうだった。

葵は一つ下の彼には家庭教師の家に週に2回行くことは話していた。彼はちょっと心配しただけだったから、葵の方が『もっと心配しなさいよ』と思った位なのだが、それが杞憂に終わりそうで少し拍子抜けなのも確かだった。特に洋恵が同席したときに『絶対に脱がさないこと』と宏一に約束させたときには緊張はマックスだったが、今は『あの約束って、結局何なんだろう?』と不思議に思った。

それから葵は宏一に寄りかかったまま会話を楽しんだ。背中から感じる宏一の温かみが心地よく、とてもリラックスできている自分が嬉しかった。帰宅前にこれほどリラックスできることなど今までになかっただけに、『ここは大切な場所になるな』と思った。

翌日、宏一の元に営業に配る予定の端末のサンプルが届いた。もともとはB5のノートを配る予定だったが、営業からのフィードバックでA4のノートかタブレットを選べるようにすることになっていた。タブレットにキーボードを付けて全員に配る案も出たのだが、ノートに比べて使い勝手が悪いので、その案はボツになっていた。だから宏一はタブレットのように画面だけでも使えるノートを評価してみようと思い、評価用のサンプルを購入していたのだった。

このサンプルはハードウェアといくつかの社内用のアプリを評価するためのものなのでOSは弄っていない。宏一は初期セットアップを済ませると、いくつかの社内用のアプリを入れて動作状況を探ることにした。アプリが正常に動作するかどうかを調べかるには評価専用のアプリも必要だし、いろいろな場面で動かしてみないと評価ができないので、本来はとても時間が掛かるのだが、宏一は既にポイントを掴んでいたので比較的順調に仕事が進んだ。アプリの評価をしているので、今日は一日席に貼り付きっぱなしだ。宏一は3台同時に評価を進めていたので机の上はぎゅうぎゅうだった。

この日も由美からは新しい病院に移る前にやることがあるそうで、宏一には会えないとの連絡が来ていた。入院患者の引っ越しは簡単だとは言え、由美としてはいろいろとしてあげたいことがあるのだろう。宏一は、次に由美に会えるのはいつになるのかと思うと、少し寂しくなった。

考えてみれば、由美を抱かなかった週というのはここしばらくなかった。そして、由美はいつも最大限の笑顔で、最大限甘えて、最大限素晴らしい身体で感じてくれた。結衣に時間を取られていた間も、由美だけはいつもがんばって会いに来てくれた。宏一は由美の笑顔や感じているときの顔、いったときの顔を思い出しながら由美に会いたいと思った。

しかし、由美からの連絡では、今日も帰った後は学校を抜けた分の勉強をしないといけないので会いには行けないという。由美自身、宏一に合いたがっているのは宏一もよく分かっているので、それ以上は言えなかった。

そこで宏一は、一昨日行ったばかりだったが美咲の店に行ってみることにした。ラインを送ると夕方前に返事が来て来店を歓迎するという。そこで夕方、宏一は少し残業してから岬の店に行くと、美咲が笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。今日もオススメがありますよ」
「うん、楽しみだな。オススメでお任せにしても良いですか?」
「いつもありがとうございます。喜んで務めさせていただきます。先ずは生ですね」
「うん、お願いします」
「はい、それでは突き出しと、直ぐに出せるものをお持ちいたします」

もともと居酒屋にとって、一人客というのは上客の部類だ。テーブルの場合は一つ潰れたりするが、一人客は滞在時間が短くて食べて飲めば直ぐに帰る。そしてカウンターならテーブルも塞がないし、何より客同士の会話で滞在が長引くことがないのが最高だ。

つまり欲しいものを食べたらさっさと帰っていくので回転率がとても良いのだ。それに客単価も高めだ。さらに宏一は高いものでも平気で注文するので、どうかすると3人分か4人分の売り上げになる。店にとっては上客なのだ。店長の美咲が喜ぶのも当然と言えた。

すると、若い男性が生ビールと突き出し、それにもう2品持って出てきた。

「店長に言われてお持ちしました」
「ありがとうございます。これは何ですか?」
「突き出しは鰹の煮付けで、それとワカメの鮎のうるか和えに梅キュウリです」
「ありがとう。それじゃ、日本酒のメニューは・・・・・」
「あ、そこのテーブルの上に」
「これか、ありがとう」

宏一は生ビールで喉を潤してから、鮎のうるか和えを一口食べてみた。鮎の内臓の塩漬けなので鮎独特の苦みとコクのある味が美味しい。これを出すと言うことは、美咲は宏一日本酒を飲んで欲しいと言うことだ。それが分かっているので宏一は日本酒も頼むことにしてテーブルメニューの日本酒を眺め始めた。

しかし、一通り揃ってはいるが、超定番の日本中どこでも飲める銘柄ばかりだ。当然値段も安いので、会話主体でサラリーマンが仲間とワイワイ飲むには良いだろうが、一人で飲む酒ではない。一昨日に飲んだとき、宏一はお勘定として1万5千円ほど払ったが、その中で日本酒は半分近くを占めていた。その時の日本酒の単価に比べると、このテーブルメニューの日本酒は半額近い。安いことは悪いことでは無いのだが、宏一はどうしようか迷いながら鮎のうるかをつついていた。


づく

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