メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 645  2024/12/08


少女の性 第六百四十五部

翌日、週が始まって宏一はいつものように忙しく仕事をこなしていた。会社で見るさとみは今までと全く変わらない。ただ、その塩対応もさとみの内心を知ってからは気にならなくなったし、更に言えば冷静な対応をされる度にさとみと過ごした時間が思い出されて嬉しくなった。

特にこの週は会議が多く、さとみは月次の棚卸しがあって、やはり忙しかった。だから午前中は全くさとみと話す機会が無かった。ただ、さとみからは金曜日の夜に一緒に過ごしたいと言うメールが入っていた。宏一は基本的には了承するが明日確定する旨を返信した。

午後からは外回りもあったので、宏一が会社に戻ってきたときには既にさとみは退社しており、宏一は足早に葵の待つ自宅へと向かった。
宏一が部屋に入ると、まだ7時には30分ほどあったが葵は既に来ていた。

「葵ちゃん、来てたんだ。こんにちは」
「こんにちは・・・・・あの・・・」
「どうしたんだい?」
「いっぱい汗を掻いたので、シャワーを借りても良いですか?」
「うん、良いよ。頭だけでも、全部流してきても、お好きにどうぞ」
「はい」

葵はそう言うと洗面所に向かったが、すれ違うときに確かに汗っぽい感じがした。すると、どうやら最初は頭だけ流したようだが、少ししてシャワーの音が聞こえたところを見ると、全身を洗ったみたいだった。だから葵が戻ってくるまでは30分以上掛かった。

「今日は暑かったよね。俺も外回りだったから汗を掻いたよ。俺もシャワーを浴びてくるかな?良い?直ぐだから」
「はい」

宏一は手早くシャワーを浴びて出てきたが、葵は静かにちゃぶ台で自習していた。

「これからも、来た時にシャワーを浴びたければいつでも浴びてね。シャンプーなんかは持ってきてもいいから」
「ありがとうございます」

宏一は葵の向かいに座ると、話しかけた。

「それじゃ、今日は何の話からしようか?前回は、アメリカに短期留学に行くのならって言う話をしていたんだよね?」
「その話をもう少し聞きたいんですけど・・・・・」

葵はそう言ってから、まだ何か言いたい雰囲気だった。今日も葵はきちんとした制服姿で、ちゃぶ台にも少し女の子座りだがきちんと座っている。葵はショートカットだが、どちらかと言うと広がった女の子っぽい髪型だ。ただ、きちんと背筋を伸ばして座っているので、とても大人っぽく見える。少し肩幅が広いかな?と思ったが、そうでもないようだ。行為地は肩幅が広い印象なのによく見るとそうでは無い理由が分からずに不思議に思った。

「どうしたの?まだなにか?」
「あの、お願いなんですけど・・・・・・・・・」
「うん、良いよ。言ってごらん?」
「・・・・・・・・・・・やっぱり良いです」
「なんだ。言いたくないのか」
「そうじゃなくて・・・・・・・」
「ま、良いよ。言いたくなったらいつでも言ってね」
「はい」

「それで、アメリカの話だっけ?」
「そう、短期留学に行くのならって言う話なんですけど」
「うん、葵ちゃんは、楽しく過ごしたいの?苦労して勉強したいの?」
「それは・・・・・・どっちも・・・・・」
「それはそうだよね。楽しく過ごしたいし、勉強もいっぱい為たいしって事か」
「はい」
「今の英語の成績は?」
「15番くらい」
「それは凄い。それなら、苦労して生の英語を一気に覚えた方が良いと思うな」

「どうして?」
「たぶん、今の葵ちゃんなら三週間もあれば簡単なやりとりはできるようになると思うんだ。これは教科書の会話じゃ無くて、ネイティブな会話って言う意味でね」
「そうなんですか?」
「うん、でも、最初は何を言ってるのか分からなくて大変だよ」
「でも、三週間で分かるようになるんですか?」
「うん、葵ちゃんがギブアップしなければ、分からない辛さに耐えられれば、だけどね」
「そうしたら、どうなるんですか?」
「現地の友達と、噂話やガールズトークで盛り上がれる」
「そう・・・・・」
「あれ、余り嬉しそうじゃないね」
「いいえ、ちょっとびっくりしちゃって。本当にそんなことできるかなぁって」
「うん、イングリッシュシャワーにどっぷり漬かってれば、できるようになるよ。日本語に逃げなければね」

「逃げるって、どういう事?」
「翻訳アプリを使ったり、辞書を使ったり、って事だね」
「辞書を使うのもダメなんですか?」
「せっかく現地に行くんだもの。辞書なんか要らないよ。全部一つずつ目の前のモノを覚えていくんだよ。だから辞書は非常用に一つあれば良いだけ」
「すごい・・・・・・・」
「全然凄くなんて無いよ。アメリカ人の小さい子供だって英語を覚えてるんだよ」
「それはそうだけど・・・」
「教科書なんて使わずに、お母さんの言葉だけで覚えていくんだから」
「・・・・・・・・」
「だから、英語を早く覚えたければ英語しか使わないこと」
「そんなのできるはずない」
「できるよ。やる気になれば」
「・・・・・・・・・・・・・」

葵は、宏一の言うことがたぶん、あっているだろうと思ったが、それでも三週間で英語が覚えられるとは思っていなかった。

「まだ信じられない?」
「信じられないって言うか、納得できないって言うか」
「大人っぽいこと言うんだね」
「やってみたことが無いから・・・・・・」
「三谷さんはどうなの?」
「どうって?」
「英語、直ぐに話せたの?」
「俺は、学校で覚えただけでアメリカに仕事に行ったから、最初は凄く大変だったよ。慣れるまでだいぶかかった」
「どれくらいでできるようになったの?」
「アメリカ出張は一度だけじゃないから、何回か行ってるうちにだけど、全部で半年くらいは掛かったんじゃないかな?でも、現地の人に聞いたら学生はもっと早いって。大学生で一月ちょっとらしいよ。だから中学・高校生はもっと早いよ」

「大変だった?」
「現地で覚えるのが?そりゃ大変だったよ。生まれて初めて頭の芯まで疲れたって経験をしたな。でも、それからは早かったよ。だから、葵ちゃんも挑戦してみればって思ったんだ」
「ホームステイだったの?」
「まさか、仕事だからね。いきなりアメリカ人の中に入って、全然分からないのを一生懸命教えてもらって、って感じ。まぁ、技術系の言葉は世界中同じだから。コンピューターとかCPUとかってね。最初はホテルのチェックインだってドキドキだったんだから」
「日本語が通じないの?」
「もちろん。一言だって通じないよ。だから、全く一言も日本語を話さなかった、って言うか、話せなかったよ。だから疲れたんだ」
「それで覚えたの?」
「うん、そうみたいだね。いつの間にか、目の前の人と話せるようになったし、飛行機のアナウンスも分かるようになったし、最後は電話も分かるようになったよ」
「ふぅーーん」

葵は宏一の話を聞いて、なぜか安心した。宏一の話を聞いていると、気持ちが楽になってくるのだ。英語がどうこうではなく、宏一のいっていることが気持ちの中に景色のように広がり、苦労した様子とか、話せるようになった様子がありありと浮かんできた。葵は今までこんな経験をしたことが無かったので、宏一と一緒に居ることが楽しくなってきた。つい先日まで気持ちを張りつめて警戒していたのが嘘のようだ。葵はそれから積極的に宏一に質問して会話を楽しんだ。
その日の夜、葵が帰ってしばらくした頃、由美から電話があった。

「どうしたの?」
『宏一さん、母が、お母さんが悪くなって・・・・』
「え?容態が悪くなったの?」
『そう、お医者さんから電話があって、病院に行ってきたんです。そしたら・・・・・・』
「だいぶ悪いって?」
『そうじゃ無くて、病院を移った方が良いんじゃないかって。大きな病院の方が良いと思うって・・・・』

そこまで話して由美はすすり泣き始めた。

「由美ちゃん、大丈夫。落ち着いてゆっくり話して」
『ここの病院だと、検査はできるけど、設備の整った病院の方が検査も直ぐに出るし、もし手術になっても連携が整ってるからって』
「それで、どこの病院に行くの?」
『それだとだいぶ遠くなるんです。1時間くらい・・・・・』
「それじゃ、今日みたいに学校の帰りに寄るって言っても・・・・・」
『できるけど、学校を早めに出ないといけなくなって・・・・・』

そこでまた由美の声が涙声になった。

「容態は悪化してるの?」
『先生も予測できなかったって。こればっかりは本人の体力次第だから、元気があるうちに移った方が良いと思うって。でも、直ぐに手術しなくちゃいけないわけじゃなくて、移ってからしばらく様子を見てからどうするか決めることになるだろうって』
「どうしても移らなきゃいけないの?」
『そんなことはないけど、今の病院にいても完全に治療はできないのじゃないかって・・・・・・。宏一さん、私、どうすれば良いの?』

また涙声になった。

「由美ちゃん、落ち着いて聞いてね。由美ちゃんはお母さんに早く治ってほしいんでしょ?」
『はい』
『それなら、少し遠くなって会うのが大変になるけど、移った方が良いんじゃないの?』
『でも、それだと毎日って言うわけには・・・・・・・学校を早く出ないといけないから』
「うん、それでも、お母さんの治療のためには。だって、お母さんがずっと病院にいるのは寂しいでしょ?」
『でも・・・・・・』
「お母さん自身はどう言ってるの?」
『遠くなると私が毎日会えなくなるから寂しいって。だから、私がここに居た方が良いって言うならそうするって』
「由美ちゃんのこと、しっかり考えてくれてるんだね」
『はい』

「だったら、由美ちゃんもお母さんのこと、しっかり考えてあげないと」
『それって・・・・・・』
「家に早く戻ってきてほしいんだよね?」
『はい』
「元気なお母さんに戻ってほしいよね?」
『はい』
「だったら答は決まってるんじゃないの?」
『はい・・・・・・・・そうです・・・・・・』
『それに、移ったら意外に早く治るかもしれないじゃないの。設備が整ってるんでしょ?』
『はい、そうみたいです。そうですね・・・・・・・私が甘えたらお母さんはきっと辛くなる・・・・・』
「うん、そうだよ」
『はい、分かりました。ありがとうございます。明日、ちゃんと返事します。でも・・・・・・・』
「どうしたの?」
『それだと宏一さんに会う時間が・・・・・』

由美はまた少し泣いた。

「大丈夫。俺は遅くなっても構わないし、由美ちゃんに会えるなら、一緒に居られるなら何でもするから」
『はい、嬉しいです。とっても・・・・・宏一さん、会いたい』
「俺もだよ。由美ちゃん、大好きだよ」
『私も、宏一さん、大好きです』

由美の声を聞きながら、宏一の脳裏には目の前のベッドで激しく感じている由美の身体が蘇った。直ぐにでも由美を抱き寄せて裸にして思い切り愛したいと思った。

この時まで宏一は、翌日に由美に会って話をゆっくり聞いて上げたいと思っていた。しかし、それは翌日の昼前の由美からのラインで崩れ去った。由美は朝、学校から病院に電話したのだ。すると、先生から話があると言うことでお昼で学校を早退し、病院に行って先生の話を聞き、そのまま渡された資料を持って転院先の病院に行くことになったのだ。それだけなら夕方には自由になれるのだが、由美はその結果をもって母親の病院に戻るという。だから会えないと言ってきたのだ。由美に会えると思っていた宏一は残念だったが、由美の方がもっと会いたいだろうと思うと何も言えなかった。

そこで昼休みに宏一はさとみにメールを送って今日は時間があると伝えたが、さとみからの返事はなかった。当日の昼なら当然だろうと思い、その日の宏一は久しぶりに近くの居酒屋でのんびりと夕食を楽しむことにした。
暖簾をくぐると、女性店長が元気に出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ」
「こんにちは、今日ものんびりと楽しみたいので、いろいろお願いします」
「はい、ありがとうございます。お久しぶりです」
「お久しぶりって、そんなに間が空いたかな?でも覚えてくださっていてありがとうございます」
「いえいえ、前回はこのわたと生ナマコをご注文いただいたので。今日も実は・・・」
「実は?それでは、今日のオススメとかありますか?」

「それが、凄いのがあるんです」
「ほう?凄いの?それってどんなものですか?」
「ほんの少しだけ仕入れてみたんですけど、店のみんなが呆れ返ってだいぶ怒られちゃったんですよ。それくらい凄いんです」
「そんなに焦らさないで、そろそろ教えてくださいな」


つづく

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