メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 643  2024/11/24


少女の性 第六百四十三部

やがて運ばれてきた料理は香ばしいごま油の香りを纏った青菜炒めをはじめとしてどれも美味しそうな中華だ。

「うわ、絶対美味しい奴だ」
「ふふ、食べましょう」

二人は食べ始めると、どんどん加速していき、宏一は更に追加で揚げ茄子を追加した。

「絶対美味しいよ。値段も安いし、人気があるはずだね」
「そうでしょう?」
「でも、ほんの一週間ほどで良く見つけたね」
「だって、最初は全部外食になるし、女の子だから並んでる店に入る方が安心でしょ?」
「そういう考えもあるんだ」

確かに、女の子一人だと人の多い店の方が安心なのかもしれない。二人はあっという間に平らげると店を出た。

「あぁ、美味しかった。今度は夕食に来たいな」
「そうね。それも良いわね。ガチ中華にどっぷり漬かって」
「うん、いいね」

あっという間にお腹いっぱいになった二人は少し別れが寂しかったが静かに店を出た。二人はそのまま渋谷まで一緒に行って別れた。さとみは日用品を買い足さないといけないらしかった。

宏一は渋谷駅で簡単に昼食を取ると、香奈との待ち合わせ場所に向かった。すると、そこには香奈だけで無く洋恵もいた。洋恵も宏一がいくとは知らなかったらしく、宏一を見た途端に香奈の手を掴んで何か言っている。

「宏一さん、ここ」

香奈が手を上げたので、宏一は雰囲気に不安を感じながらも一緒の席に座った。

「ごめんなさいね。急に呼び出したりして」
「香菜ちゃんが言うことだから、きっと何か大切なことかと思ってさ」
「そうなの。大切なことだから呼んだの」

香奈はそう言ったが、隣の洋恵はずっと横を向いて知らん顔をしている。

「洋恵ちゃん、こんにちは」

宏一が挨拶したが、洋恵はブスッとしたまま小さな声で返事をした。

「こんにちは」
「それでね、宏一さん、今日読んだのは洋恵のことなの」
「うん、そうみたいだね」
「もう知ってると思うけど、洋恵は私が紹介した彼と付き合うことにしたのね」

香奈が話し始めると、洋恵は香奈にすがるようにして腕を掴んだ。宏一には言って欲しくないらしい。

「良いの。私の言うとおりにして」

香奈が言うと洋恵はシュンとして大人しくなった。

「どう言うことかって言うとね。順に話すわね」
「うん。それじゃ、俺の分を買ってくるからちょっと待ってて」

そう言うと宏一はカウンターでアップルパイとコーヒーを買ってきた。

「お待たせ」
「ううん、それじゃ、話すわね。洋恵は私の紹介した彼と付き合うことにしたんだけど、それは宏一さんが嫌いなわけじゃ無いの。それは分かってるでしょ?」
「うん」
「でね、私は洋恵に一つ条件を付けたの。付き合い始めたら宏一さんには会わないこと、って」
「うん」
「その時の私は、宏一さんほどの大人に優しくされることになれてる洋恵には、高校生を紹介したって物足りなくなると思ったから。だから、必死に好きになる努力をしろって」言ったわけ」
「さすが香菜ちゃんだね」

「でね、洋恵はがんばったみたい。ううん、本当にがんばった。それは私が感心するくらい。でもね、上手くいかなかったみたい。だから洋恵は今、こんな状態」
「元気ないね」
「必死に本当に好きになろうとしたみたい。でも、良いようにされたって言うか、振り回されたって言うか・・・・。とにかく、以前の洋恵じゃ無いことだけは確か」
「可愛そうに・・・・・」

宏一がそう言うと、洋恵はちょっとだけ顔を上げて宏一を一瞥すると、直ぐにまた顔を伏せた。

「それでね、元の洋恵に戻すために、宏一さんに洋恵を預かってほしいの」
そう言った途端、洋恵は驚いて香奈を見た。そして、イヤイヤをした。
「洋恵、だってアンタ、このままじゃ壊れちゃうわよ。まだあいつにくっついていたいの?辛いだけでしょ?」
「でも・・・・・・・」
「私もこんな事になると思ってなかったって言っても言い訳だから、ちゃんと言うわね。先ず別れなさい。それが一番よ。そして宏一さんに元気にしてもらって、それからまた考えれば良い。紹介してほしいなら喜んで紹介する。今回は本当に申し訳なかった。ごめんなさい。謝ります。償いは必ずきっちりするから」
そう言うと香奈はテーブルにおでこが付くほど深々と頭を下げた。
「今回のことは本当に私の責任。本当だよ。でも、今は先ず元気になりなよ。宏一さんなら一緒に居ても良いだろ?」

香奈が諭すように言うと、洋恵は少し考えてから、ゆっくりと頷いた。

「宏一さん、洋恵は今、こんな状態だから、きっと以前の洋恵じゃ無いと思う。でも、洋恵を引き取って話を聞いてやってくれる?」

宏一は直ぐに答えた。

「分かったよ。洋恵ちゃんが元気になれるようにできることが無いか話し合ってみるよ」
「洋恵、良かったね。宏一さんが一緒にいてくれるって」

洋恵は複雑な表情で俯いたままだったが、少ししてやっと頷いた。

「宏一さん、今回は、私のリサーチ不足で洋恵に紹介しちゃったからこうなったんだ。私もあとできちんとお礼をするよ。でも、先ず洋恵を元気にして。宏一さんならきっとできると思う。お願い。よろしくお願いします」

そう言うと香奈は再び深々と宏一に向かって頭を下げた。

「うん、分かった。洋恵ちゃん、それじゃ、洋恵ちゃんの好きなケーキでも買いに行こうか?それから俺の部屋に行こうよ」

その言葉に洋恵はビクッとした。しかし、力なく頷くとゆっくり立ち上がった。その様子から宏一は、洋恵を抱くことは無いだろうと思ったが、それでも洋恵を元気にしたかった。とにかく、あんなに明るくて快活な洋恵がこんなにも消耗している姿を見るのが可哀想で悲しかった。

「それじゃ香菜ちゃん、後で連絡するね」
「宏一さん、ありがとう。いろいろ言いたいことはあると思うけど、それはまた今度聞くから。今は洋恵を大切にしてあげて」
「うん、わかった」

宏一は頭を下げたままの香奈を残して洋恵と店を出た。途中、ケーキ屋で洋恵の好きなケーキをいろいろ買ったが、洋恵は余り反応せず、どんなケーキでも関係ないみたいだった。

やがて二人は宏一の部屋に着いた。洋恵は自分でいつものちゃぶ台の前に座ったが、気の抜けた人形みたいだった。

宏一は紅茶を入れて洋恵に差し出し、更にケーキも洋恵の前に並べた。

「さぁ、先ず好きなものを食べて。どれでも、全部でもいいよ」

宏一が言うと、洋恵は一番目の前になるモンブランを引き寄せると、フォークで突き始めた。しかし、全然楽しそうでは無い。以前の洋恵なら声を上げて喜ぶのに。

「ねぇ、洋恵ちゃん、俺は洋恵ちゃんに少しでも元気になってほしいし、たぶん洋恵ちゃんだって元気になりたいよね?」

宏一が聞くと、洋恵は微かに頷いた。

「俺はここに一緒に居ても良い?もし、洋恵ちゃんが嫌だったらケーキを食べて帰っていいよ。無理に一緒に居ても良いことないから」

洋恵は無言でケーキを少しずつ食べている。

「もちろん、もう少し居ても良いな、って思うんならずっと居てね」

すると、洋恵は微かに頷いたような気がした。宏一は、言うべき事は言ったし、あとは洋恵の気持ち次第だと思った。香奈は宏一が洋恵と一緒に居れば洋恵が元気になると思っているらしかったが、宏一としてはこんな状態の洋恵では何を話して良いのかさえ分からない。だから宏一はしばらく黙って洋恵を眺めていた。
洋恵はケーキを二つ食べた。それから、ポツリと言った。

「なんにもしないの?」
「え?」
「なんにもしないの?」
「洋恵ちゃん、何かしてほしい?」

洋恵は首を振った。

「それなら何もしないよ。それがきっと一番良いから」
「でも・・・・・・・」
「なんだい?」
「センセはしたいでしょ?」
「洋恵ちゃんがそう言う気持ちになってればするけど、嫌だって思ってるなら、何にもしてほしくないって思ってるならしないよ」
「うそ」
「うそじゃ無いよ。でも、もし洋恵ちゃんが嫌がってるのにしたことがあるんなら、謝るよ。ごめんなさい。でも、今日は何もしない」
「うそつき」
「そうか・・・・やっぱり俺は洋恵ちゃんが嫌がるのに無理やりしちゃったことがあるんだね。ごめん。本当にごめんなさい。謝って済むかどうかは分からないけど、とにかく謝るよ。ごめんなさい」

「どうして謝るの?」
「え?だって、俺は洋恵ちゃんが嫌がってるのにしたことがあるんだろう?だから・・」
「そんなことなんて無い。だから謝るなんて変」
「だって・・・・・・」

宏一は訳が分からなかった。洋恵になんと言って良いのか、分からない。

「私・・・・・・変でしょ」

宏一が黙っていると、洋恵がポツリと言った。

「洋恵ちゃん・・・・・変て言うか、何て言えば良いか分からないって言うか」

それから少し洋恵は黙り込んでいた。そして少しすると再びポツリと言った。

「ねぇ、センセは怒ってないの?」
「何が?何に怒るの?」
「私が彼を探してたってこと」
「だって、前もそうだったじゃない。洋恵ちゃんが彼を探すのなんて、全然怒るようなことじゃないよ?どうして?」

洋恵は、自分でもどうしてこんな話をしているのか分からなかった。別に宏一に引き留めてほしいわけでも、宏一に焼きもちを焼いてほしいわけでも無いからだ。強いて言うなら、宏一に今の自分を何も言わず受け止めてほしかった。でも、今までの会話でほんの少し気が楽になった。そこで洋恵は、もう一つケーキを食べた。宏一はそれを静かに見ていた。

洋恵がケーキを食べ終わって少しすると、洋恵が言った。

「こっちに来て」

宏一は洋恵の後ろに回ったが、暗い顔で言われても困ってしまう。だから、洋恵の後ろに座っても手は出さなかった。洋恵は宏一が後ろに来たので背中から寄りかかると、宏一の手を取り、自分の前に持ってきた。但し、いつもの脇から手を入れるのでは無く、自分の両手の外側に回した。要するに、乳房を撫でられたくないと言うことだ。

宏一は、洋恵がそのつもりならと洋恵の腕の外から回した手を洋恵の前で組んだ。

「こうしていればいいの?」

宏一が聞くと、洋恵は静かにコクンと頷いた。これだと宏一は何もすることが無いのだが、洋恵は気にしないようだ。そして自分は無言のまま、ケーキの残りを突いているようだ。宏一はじっと洋恵の後ろに居るだけだったが、少しすると洋恵のケーキをつつく手が止まった。そして少しすると微かにすすり泣く息づかいが聞こえてきた。
宏一は思いきって洋恵の前に回した手で軽く洋恵を抱きしめたが、洋恵は少し嫌がった。

「だいじょうぶ。ぜったい何もしないよ。単にこうするだけ。洋恵ちゃんに肌のぬくもりを感じてほしいだけ。それなら良いだろ?」

宏一が言うと、洋恵は大人しくなった。そして更に静かに泣き続けた。宏一は泣いている理由を聞かなかった。きっと今聞くと洋恵を更に追い込むと思ったからだ。その代わり、あとで香奈に連絡してみようと思った。

一方洋恵は、どうして自分が宏一の腕の中で泣いているのか、最初は分からなかった。急に悲しくなったのだ。それは洋恵にとって予想外のことで、まさかここで泣くことになるとは思わなかった。しかし、涙は次から次へと湧き出てくる。それは洋恵自身にもどうすることもできなかった。

洋恵はそのまま30分近くもそうしていただろうか。泣き止んだと思っても、また直ぐに涙が出て動くことができなかった。しかし、洋恵はだんだん分かってきた。宏一に寄りかかっている背中が温かく、前で手を組んだことで自分を包んでいる宏一の腕が力強く、その中にいる自分は安心しているのだ。だから、泣いていても気持ちは楽だった。

『私、泣きたかったんだ。泣くのを我慢していたんだ』洋恵はやっと気が付いた。『きっと香奈が言ったのはこういうことなんだ。私に泣いて来いって言う意味だったんだ』と思った。

実は今日の午前中、洋恵は香奈に呼び出された。そして公園のベンチに二人で座った。ここなら話し声を聞かれる心配が無いからだ。

『ちょっと洋恵、聞いたんだけど、アンタ、無理してない?』

洋恵はギクッとした。

『どうして?』
『分かってるだろ?それくらい。アタシはアンタを心配してるんだ。それでもアンタが知らない、関係ない、って言うならそれでも良いよ。あたしは帰るだけだ。でも、アンタは私に言いたいことがあるはずだよ』
『それは・・・・・・・』
『言ってごらん。アタシはあんたの味方だ。厳しいことも言ったけど、それだけは絶対に間違いない。それは分かってくれるだろ?』

洋恵はコックリ頷いた。

『それなら言いたいことがあるはずだ。上手くいってないんだろ?』
『それは・・・・・・・私が上手にできないから・・・・・』
『そう言うなら私から言おうか。上手にって言うけど、どうやったら彼の友達の前で、興味津々の目の中で、見ている前で、上手におっぱいを揉まれるって言うんだい?』
『・・・・・・・・・でも・・・・・』
『彼のこと、好きなのかい?』
洋恵は曖昧に頷いた。


つづく

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