メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 598  2024/01/14


少女の性 第五百九十八部

二人が支度を終えて朝食のビュッフェに着いたときはまだラストオーダーの9時には少し時間があったので、二人はたっぷりと朝食を楽しむことができた。さとみはシェフにオムレツを作って貰って洋食をいろいろ取って大喜びだったし、宏一は海鮮とろろと孫茶漬けを中心に和食で纏め、更に伊勢エビスープヌードルや肉豆腐まで取ってきた。

「オムレツ、ふわふわなの。ほら、こんなに。きれい。こんなの久しぶり」

さとみはそう言って、少しずつ取ってきたサラダやクリーム煮やチーズとクロワッサンを楽しんで大満足だった。

「昨日、ここに着くまではすごい天気で大騒ぎだったからね。嵐の後って言うか、こんなに天気良くて美味しい朝食なんて信じられないね」
「そう、昨日、自分で悲鳴を上げたから言うわけじゃ無いけど、まるで別世界にきたみたい。来る途中はどんどん暗いところに連れてかれるって思って怖かったけど、こんな明るい部屋でキラキラ光る海を見ながら朝食なんて」

さとみは笑顔いっぱいで美味しい美味しいと朝食を平らげていった。

「俺もこんなにいろいろ食べながら言うのもなんだけど、さとみさん、お腹減ってたんだね」
「そうね。昨日はあんなに食べたのに、朝になったら普通にお腹減ってたわ」
「そうなんだ。俺も。運動量が多かったからかな?」

そう言うとさとみは直ぐに反応した。

「私だって。あんなにいろんな事させらるなんて思ってなかったし」
「ふうん、どんな事したか、しっかり覚えてるんだ」

宏一がニヤッと笑うと、さとみはツンとしたまま答えた。

「ええ、全部覚えてるわ。私、こう言うことは忘れない質なの」
「でもさ、太陽が昇った後、よく覚えてないって言ってなかった?」
「あれは」

さとみはあの瞬間だけは特別だとでも言いたげに付け加えた。

「そうね。あそこだけは覚えてない・・・・・でも」
「でも?」
「あの瞬間はしっかり覚えてる。太陽が水平線で光って、あっという間に身体中が光に包まれて・・・・綺麗だったわ」

さとみは一瞬だけほのぼのとした表情になって、さっぱりとした表情で微笑んだ。宏一もさとみの肌が薄いオレンジの光に包まれた瞬間を思い出した。

「よかった」
「それでね・・・・・・」

さとみは言い掛けて言葉止めた。

「どうしたの?」
「ううん、なんでも無い。後で言うから」
「そんなこと言わないで、今言ってよ」
「でも・・・・・」
「聞きたい」

宏一がそう言うのでさとみは思いきって言うことにした。どうせ午後には分かることなのだ。

「あのね、今日、荷物を取りに行くんだけど、宏一さんにも付いてきて欲しいの」
「それは昨日、聞いたよ。もちろん」
「前の同居人がいると思うけど、いい?」
「それもOKって言ったじゃ無い。それくらい覚えてるよ」
「それじゃ、荷物の受け取りの間は宏一さんは私の彼って事で良い?」

さとみはそれを言いたかったのだ。元カレに何と紹介するか、迷っていたのだが、どうせなら決定的な紹介の方が良いと思ったからだ。

「うん、ありがと。もちろんだよ。って言うか、さとみさん、そう思ってくれてなかったの?部屋であんな事したのに」
「ううん、そんなことない。宏一さんは今の私に大切な人だもの。やだ、こんな事言わせないでよ、恥ずかしい・・・」

さとみは顔を真っ赤にしながらも微笑みながら話していた。

「でも、分かってるの。宏一さんが彼なのは今のうちだけ。私が元気になったら自分で何とかしなきゃ。宏一さんが応援してくれてるんだもの」

その言葉に、宏一は返答できなかった。それがさとみの返事が正しいことを表していた。

「でも、これから俺とさとみさんがどうなるかなんて分からないよ」
「そうね。そう言うことにしておきましょう。それより、何時頃出るの?」
「うん、さとみさんの準備ができ次第、だけど、最初はシーワールドに行くんだよ」
「そう、何時から開いてるの?」
「えっと、たしか9時からだったよ」
「それじゃ、もう出られるのね?」
「うん、そうだね」
「それじゃ、支度して出ましょう。行きたいところはいっぱいあるんだから」

そう言うとさとみは朝食を食べ終えて席を立った。宏一は部屋まで歩きながら聞いた。

「そんなに行きたい所っていっぱいあったっけ?」
「あるの。今日はいっぱいあちこち行くの」
「うん、分かった。それじゃ、部屋に戻ったら直ぐに出なきゃね」

さとみはその意味に敏感に反応した。

「そうそう、部屋でゆっくりしたら出られなくなるもの」
「はいはい」

二人は部屋に戻ると、荷物を纏めてチェックアウトした。そして車に乗って動き始めたと思ったら、あっという間にシーワールドに着いた。

「ほんと、近すぎ」
「さぁ、順に見ていこう」

宏一は入場券を買うとパフォーマンスのスケジュールを確認した。

「えっと、今日はイルカのショーはなくてシャチのショーみたいだね。9時半がベルーガで、10時がシャチ、10時半がアシカだ。え?もうすぐだ。わ、急がなきゃ」

二人がマリンシアターに着いたときは、既に挨拶が始まっていた。さとみはベルーガの幻想的なショーに興味津々だった。その次に見たシャチのショーは前の方で見れたので水が掛かるギリギリの席で楽しむことができた。そして、アシカのショーもニコニコしながら見ていた。
ひとしきりショーを見終わると、さとみが言った。

「ねぇ、帰りにお土産、買ってもいい?」
「うん、奢るよ。なんと言ってもお姫様だから」
「お姫様は財布なんか持たないって?ハハハ、ありがとう。嬉しいわ」
「それと、お土産を買ったら外に出て、車で30分くらいで海中公園に着くよ。それまで何かスナックとか買ってく?海中公園の近くにはレストランはあんまり無いんだ。無いわけじゃないけど、海中展望塔とは離れてるし」
「それなら、見た後で探しましょう。先ず、お土産を買って、それから海中展望塔ね。すごい一日になりそう」

さとみはニコニコ顔であちこち覗きながらメインゲートまで戻る途中でいくつか小さなお土産を買って貰った。そしてメインゲートの隣のギフトショップではぬいぐるみまで手に入れた。

「うわー、可愛いぃーーっ、こんなの部屋にあったら癒やされるぅっ。宏一さん、ありがとう。大切にする、絶対」
「うん、良かった良かった」
「でも、半日でここから出ちゃうなんて贅沢。本当だったらもっといられるのに」
「まぁ、そう言わずに。今日はいっぱい回るんだから」
「そうね。思い切っていきましょう」

そのまま二人は勝浦の海中展望塔に向かった。ここはレジャー施設という感じではなく、本当に海中展望塔があるだけで、岸の方には後から作った施設があるが、どう見ても後付けという感じだ。だから二人は海中展望塔に直行し、塔の中の階段を降りて海底まで降りると、のんびりと外を眺めた。

「本当に海中展望塔だけなのね」
「そう、だから空いてるだろ?」
「本当、私達とあと・・・・3人??」

さとみは周りを見渡して言った。

「うん、いつ来ても空いてるのがここの良いところだからね。のんびりと眺めてると気持ちが楽になるよ」
「ほんと。こういうのを癒やされるって言うのね」

さとみはそう言うと、しばらく窓の外の海底の景色に見入っていた。水族館と違い、ガラスの直ぐ横に必ず魚が居るわけでは無い。近くに来たり、離れていったり、魚は全然いなかったり、そんなのをしばらくぼうっと眺めている。

「ここに居ると時間の事なんて忘れそう。何時間でも見ていられる」

さとみはそう言って眺めていたが、少しすると突然言った。

「行きましょう」
「え?もう出るの?」
「何時間いてもいいけど、それだと時間があるでしょ?だから行きましょう」

そう言って降りてきた階段を上がり始めた。

「うん、分かった。お昼もどっかで食べなきゃね」

宏一も後に続いて階段を上がり、外に出た。すると、里見は周りに人がいないのを確認してから宏一の首に手を回してキスをねだってきた。しばらく二人はキスを楽しむ。

「どうしたの?」

宏一が聞くと、さとみはちょっと恥ずかしそうに言った。

「ううん、なんか、宏一さんに甘えたくなっちゃった」
「それじゃ、どこかで部屋に入る?」
「時間は?」
「うーんと、それだと部屋を出たら直行で帰ってギリギリくらいかなぁ」
「残念。それは嫌。せっかく来たんだからいろんなの見たい。夜までお預けね、今日は泊まっていくんでしょう?」
「うん。分かった。それじゃ行こうか」

そう言って二人は来るまで元来た道を引き返し、シーワールドの横を通り抜けてさらに南下していった。既に時間は12時半を回っており、お腹も空いてきた。

「先ずお昼だね」
「そう、どこか無いかな・・・・・」

そう言いながら走っていると、道の駅があったのでそこに入ることにした。

「これ、道の駅なの?何か変な形・・・」
「そうだよね、円盤みたいって言うか・・・・」
「潰れたお饅頭みたい・・・・」

そんなことを言いながら中に入ってレストランに着いた。そしてさとみは漁師御前、宏一は地魚漬け定食を頼み、海を見ながら食べ始めた。

「うん、海も綺麗。ご飯も美味しい」

さとみはニコニコだ。

「俺のも美味しいよ。食べてみる?」
「うん、私のも」

そう言ってお互いに交換しながら楽しんでいるとさとみに電話が入った。なにやら話し込んでいる。やがてさとみが電話を切った。

「ねぇ、引っ越し屋さんから。前の仕事の積み込みに時間が掛かって、道路も混んでいるから2時間くらい遅れるって」
「うん、それは良かった」
「良かった?」
「そう、3時だったらこのままどこも寄らずに走らなきゃ行けないなって思ってた所なんだ。だからちょうど良かったよ」
「そう、それなら良かったわ」

二人はそのまま食事に戻り、どんどん食べていく。

「ねぇ宏一さん、私って食べるなぁって思ってない?」
「うん、思った」
「やっぱり。でも、いつもはそんなに食べないのよ。今日は特別」
「そうだろうね。でなきゃさとみさんがそんなに小柄なはず無いもの」
「分かってくれれば良いわ。ねぇ、この次はどこに行くの?」
「やっぱり房総半島の先端かな?本当の先端は野島崎灯台ってのがあるけど、アレは本当に灯台だけしかないからあの辺りを通っていくだけで十分だと思うんだ」
「分かった。それじゃ、行きましょう」
さとみは漁師御前を平らげると外で何枚か写真を撮ってから車に乗った。
「どれくらいかかるの?」
「1時間くらいかな?ここからは南国っぽい景色になっていくよ」
「へぇ、すてき」
「着くまでにしばらく時間があるから、ちょっと行きたいところを調べてみたら?」
「いやぁ、宏一さんに連れてってほしいぃ」
「俺もそんなに詳しくないよ」
「ううん、それでも良いの。その方が楽しいからぁ」
「分かった。それじゃ、お楽しみに」

宏一はそう言って車をどんどん南へと走らせた。そして車が410号線へと入ると景色が一変する。道の横には花が咲き、更に行くとフェニックスまで道路沿いに並び始めた。

「うわぁ、どんどん変わってきた。南国って感じぃ」

さとみは景色に夢中だ。

「ここまで来ると、南国もそうだけど観光地って感じね。お店も何でもあるって感じ」
「うん、もうすぐ野島崎灯台だけど、南国の景色を堪能とかしてみる?」
「え?そんなのできるの?するする、絶対する」
「うん、野島崎灯台の先にあったと思うんだ。温室がすごいらしいよ」
「レッツゴー」

二人が着いたところは南国感満載の温室をメインにハワイを模した大きな温室パークだった。早速中に入るとちょうど富良野ショーが始まっていたので、先ずそれを見て、他にもいろんな温室に熱帯のような植物がたくさんあり、非日常感満載だ。さとみは興味津々という感じで見て回っている。宏一は時間を見ながら、ちょうど良い感じで5時頃に着くように調整していた。と言っても具体的なさとみの家の住所を知っているわけではないので余裕を更に取っておく。

「これがブーゲンビレアって言うのね。さっきのフラを見てからだから本当にハワイって感じ」

さとみは熱帯の花に夢中だ。温室を一通り見るだけで結構時間が掛かったので、そのまま二人はハワイの雑貨店を回ってからギフトショップへと行った。


つづく

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