メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 585  2023/10/15


少女の性 第五百八十五部

「ねぇ、宏一さんが代わりにやってぇ?それなら今日私、宏一さんの部屋で寝る」
「もう、わがまま言わないの」
「ダメなの?誰か待ってるの?」
「そんなことないよ。俺は一人暮らし」
「それなら良いでしょ?ねぇ、泊めて?」
「それじゃ、本棚と衣装棚は誰が整理するの?」
「それを言っちゃだめぇ。ああぁん、いじわるぅ」
「意地悪じゃないよ。だあめ、その代わり金曜日は俺と居ても良いんでしょ?」
「そう、最初から空けてある」

「最初から?一昨日、聞いた時には予定があるようなことを言ってたくせに」
「彼女でも無い女の子に週末の予定を聞いて、まともに返事が来るはず無いでしょ?それより、金曜日まで待つからちゃんとどっかへ連れてって」
「どっかって?」
「どっかなの。それくらい宏一さんが決めて」
「福岡が良いかな?」
「それはだめ、私にとって特別なところだから。今はダメ。それ以外にして。でもお泊まりがいい」

またさとみは難しいことを平気で言った。もともと会社が終わってからなのだから、福岡のように交通の便が良いところでないと移動すら難しい。福岡は距離的には遠いが、時間的には意外に近いのだ。それに、食事をどこにするかも大切だ。先に移動すれば夕食が遅くなるからまともに食べられ無くなる危険があるし、夕食を先にすれば移動が難しくなる。その点何時でも店が開いている福岡は合理的な選択肢だ。それがだめとなると・・・・・宏一は、どこか違い所でさとみが気分転換できそうな場所を思い浮かべた。

一方、宏一に我が儘を言っていたさとみは、我が儘をそのまま受け止めてくれる宏一の気持ちが嬉しかった。会話の中味より、宏一の気持ちが気持ち良かった。今も結構無理言ってるのに真剣に考えてくれている。本当に、もしこのまま近くにベッドがあれば『冗談よ。先ず優しくして』とさとみの方から誘いたい気分だった。もちろん下着だってそのようにしてある。

話が盛り上がったからか、二人共ハーフの赤と白のボトルを空けてから、更にバイザグラスで2杯ずつ白を楽しんでしまった。

「そろそろ良い時間だよ」

宏一が腕時計を見せてさとみに言うと、さとみは楽しい時間が終わったことを知った。しかし、このまま何も言わずに帰るのは寂しい。そこでもう一度だけ我が儘を言ってみた。

「ああぁ、もう酔っちゃった。これじゃ片付けなんて無理。やっぱり宏一さんの部屋に泊まる」
「でも、泊まったら明日の朝大変だよ?始発6時過ぎで俺の部屋を出て間に合う?経堂からだよ。いつもは何時に出るの?明日の朝は何時までに部屋に帰らないといけないの?」
「ギリギリ7時かな・・・・・。やっぱり間に合わない」
「それじゃ、やっぱり今日は帰ったほうが良いよ。泊まると明日の朝、周りの視線にビクビクしなきゃいけないんだろ?」
「それなら、宏一さんがウチに来て泊まれば・・・・」
「おんなじ事だよ。少しは違うかも知れないけど」
「そうか・・・・・残念」

「今度、さとみさんの部屋に泊まりに行かせてもらうよ。だからその準備だと思って本棚の整理、頑張ってね」
「わかった。きっときてね。それを楽しみに、今日は頑張る」

さとみは我が儘を宏一が受け止めてくれたので満足して席を立った。さとみは南部線沿いの川崎寄りなので小田急沿いの宏一とは方向が違う。

「今日はごちそうさま、ここじゃこれ以上は無理だけど、明後日、楽しみにしてるわね」
「それじゃ、部屋に着く頃には酒もだいぶ抜けるだろうから片付け、頑張ってね。今日できなかったこと以上のことができるように準備しておくから」
「ま、自信満々なんだから」
「そんなこと無いよ。これから調べるんだから」
「楽しみにしてる。それじゃ、明日また」

さとみは宏一にバイバイすると、JRの改札に入って行った。そして電車に乗りながら『明日はどう言う顔をしてれば良いんだろう?』と思った。月曜と火曜はポーカーフェイスで通したが、明日もそれができるだろうか?そして、このままどんどん宏一に引き寄せられて沼にはまるのだろうか?本当にそれで良いのだろうか?さとみは車窓を流れていく景色を眺めながら、ここ数年考えたことの無い疑問を自分に問い続け、同時に自由を感じていた。

宏一は途中で地下鉄を乗り換えて新宿に出て小田急に乗るまでの間、ずっとさとみが望むプランを考えていたが、なかなか良い案が見つからない。この前はお台場から羽田に行って博多に飛んだが、これだと移動に時間が掛かっているように見えて、実は博多に着いた後、改めて飲みに出る時間が十分に取れる。

しかし、他のプランを考えても、7時過ぎに東京を出たとしても横浜以外では飲む時間を十分に取れない。箱根、伊豆などの温泉は到着して直ぐに寝るだけなら可能だろうが、飲む場所がないのでは移動する意味が無い。

次に新幹線で移動することを考えてみた。新幹線で移動する価値があるほど遠くで、夜遅くまで飲み歩けるとすれば名古屋・大阪か仙台・長野だ。名古屋と仙台、長野は同じくらいの距離なので8時に出れば9時半に付く。大阪なら十時半だ。さすがに大阪はちょっときついと思った。大阪を選ぶなら7時半発に乗ることを考える必要があるが、それだと東京では実質1時間しか飲めない。それに長野は土地勘も薄くてよく分からない。それらを考慮して宏一は仙台・名古屋にするか大阪にするか、改めて考えることにした。

翌日、宏一が着くとさとみはまだ来ていなかった。実は今日は宏一は日帰りで出張しなければならず、さとみに会えるかどうか微妙だった。手早く出張の準備を終えて先方に確認のメールを入れ、会議室を出ようとしたときにちょうどさとみが来た。

「三谷さん、おはようございます」
「あ、水野さん、これから出ます。午後には帰ってきますから、後はよろしくお願いしますね」
「はい、お気を付けて」
「行ってきます」

それだけの会話だったが、さとみは普段と同じで、どちらかと言うとニコニコしていた感じだった。宏一は安心して出かけていった。

そのさとみの方は、実はだいぶドキドキしていたが、ボロを出さずに送り出せて安心していた。どこで誰が聞いているか分からないのだ。会社の中では徹底的にポーカーフェイスでいなくてはいけない。そして、『昨日はちょっと心を許しすぎたかも』と後悔していた。まだ宏一を付き合う相手に決めたわけでは無いのに、素の自分を出し過ぎてしまった。

更に最悪なのは、寝る前の時間を狙って前の彼から電話が来たことだ。最初は無視していたが、着信拒否すると住所変更や荷物の受け取りで問題を起こすと思ってそのままにしていたのだ。それが仇になったらしい。どうやら向こうは、自分が少しすれば戻ってくると決めつけているようだった。

『帰ってきたら、これからは言動にも気をつけて貰うからな』と言われてしまった。向こうは戻って来た後は言うとおりにしろという念を押したつもりらしい。昨日の宏一との楽しい時間が無ければ今日だってイライラしているところだ。唯一、良かったことと言えば、腹が立って寝るどころではなくなり、その勢いで本棚の整理が終わったことだった。考えてみれば余りに悲しいことだが、今のさとみにはそれさえも救いになっていた。

お昼休み、洋恵を葵が呼び出した。

「どう?決心は付いた?」

洋恵が聞くと、葵は一気に話し出した。

「どう言うこと?自分がダメになったときのために私にキープさせておくって?それって馬鹿にしてない?そんな話に乗るわけ無いでしょう?」
「あのね、それだったらあんな話しないわよ。ちょっと落ち着いてよ。それで香菜は何て言ってたの?香菜に聞いたんでしょ?」
「もちろん聞いたわよ。でも、私に家庭教師の先生をキープさせたいんでしょ?」
「あのね、それなら葵を選んだりしないわよ。だって彼氏いるもん」
「そうよ。私に別れろって言うこと?」
「そんな話、葵がうんて言うわけ無いでしょ?」

「それならどうして私なの?」
「彼氏がいるからよ。昨日も言ったでしょ」
「彼がいる子なんて他にもいるでしょ?」
「うん、それで下駄箱の話なんだけど、葵は彼とのことで悩んでると思ったから。それならセンセに相談するのが一番。だから葵に損は無いって思ったの。葵に私の代わりをしてなんて思ってないよ」

葵は少し落ち着いてきた。洋恵の話に矛盾はない。

「それなら、そのセンセが私に何かしてきたらどうするのよ」
「それも言った。その心配は無い。センセは絶対にそんなことしない。葵が望まない限り」
「どうしてそう言えるの?」
「今まで一度もセンセはそんなことしたこと無いし、自分から望まない限りは絶対にしないから。第一、毎週合うのにそんなことしたら翌週からどうするのよ。だからセンセはそんなことしないよ。嘘だと思うのなら、葵が知ってる私のこと、全部バラせば良い。みんな聞きたがると思うよ」

「そうなの?本当?そんなこと、有る?だいじょうぶなの?」
「嫌なら放り出せば良い。センセはみっともなく追いかけたりしない。繰り返して言うけど、葵に彼がいるから、センセとくっついたりする心配ないから、だから葵に話をしたの」
「じゃぁ、どうして私を紹介するの?戻るにしても、それまで放っておけば良いじゃないの。なんで私が出てくるの?」
「それは・・・・・葵が可愛いし頭も良いからセンセの好みだから。だからきっとセンセは葵に夢中になる。でも葵は落ちない。そうでしょ?」
「どうしてセンセを私に夢中にさせるの?」
「それはね・・・・・・・・正直に言うわ。センセを引き離したい子がいるの」

「水元結衣ね」
「やっぱり香菜から聞いたのね」
「そう、迷ったみたいだけど、ちゃんと話してくれたわね。結衣のこと、黙っている気だったら絶対この場で断ったのに」
「それなら分かるでしょ?私が葵をセンセに紹介したい訳を」
「わかる・・・・・・・・けど・・・」
「だめ?」
「別れる彼に気持ちが残ってるんだから、他の子に夢中になんてなって欲しくないって言うのはわかる。でも、そこまでする?」
「うん、色々考えたけど、このままセンセが結衣とくっつくってなったら、どうしても気になって新しい恋に集中できないと思うんだ。自分勝手で我が儘なのは分かってる。でも、そうしたいの。キープしたいんじゃなくて、どうしても二人を離しておきたいの」

「そうか・・・・このままだと二人はくっつく?」
「くっつくって言うか、たぶん、もう・・・・・・」
「それで、これ以上くっつくのを防ぐのね」
「そう」
「分かった。結衣にとってはどうなのか分からないけど、私にとっては大人に相談できるチャンスだものね」
「それで返事は?」
「それはちょっと待って・・・・・・・・まだ決めてない。でも、洋恵が正直に話してくれたから、さっきまでほど嫌じゃ無くなった。今はまだそれだけ」

「葵は結衣と仲いいの?」
「ううん、だってあの子、ほとんど誰とも話さないじゃないの。アイスドールっていう感じでさ」
「そうね」

洋恵は、葵も結衣のことをアイスドールだと思ってるんだと気付いた。

「顔と名前が一致するってより少しだけ知ってるかな?一年の時は一緒だったから。そんなにセンセのこと心配?」
「心配って言うより、なんか先生が変わっていく気がして・・・・悲しいって感じかな・・・・・」
「そんなにセンセは結衣に夢中なの?」
「そういう感じとも違うんだけど、一緒に居ても今までとなんか違うから。それに結衣はすっごく変わったってみんな言うから、きっと何かあったんだろうって・・・・・」
「そう言うことか・・・・・・・。分かった。結衣のこと、ちょっと友達に聞いてからどうするか決める」
「うん、分かった。待ってる」

葵が去った後、洋恵は予想通りになったことに安心しながらも落胆していた。葵を香菜に紹介したときに、もしかしたら香菜が結衣のことを話すかも知れないとは思っていた。しかし同時に、香菜は結衣のことを黙っていてくれるかも知れないと期待していたのだ。

しかし、人との付き合いを何よりも重視する香菜のことだから、葵のことも心配したのだろう。それは香菜にとって当然のことだ。洋恵は香奈に期待しすぎた自分の甘さに気が付いた。自分で探すと言った時点でこうなることを予想しておくべきだったのだ。

そして放課後、葵が洋恵のところに来た。そして一言言った。

「先生に会わせてくれる?時間を決めよう」

そう言ってラインを教えてくれたのだ。
洋恵は、『やっぱり葵は彼とのことで悩んでいたんだ』と思った。そして宏一に連絡することにした。

宏一は午後3時過ぎに戻って来た。千葉の業者に行ってきたのだ。新型のネットワーク機器の説明を聞いてきたのだが、『お互いに自腹で』少し遅い昼食を共にしてきたのでこの時間になったのだった。

この時宏一は、明日、さとみと出かけるのはレンタカーで房総にしてはどうか?と思い始めていた。夕食は遅くなるが、気分転換が必要なさとみには海と海岸の景色が気分転換に良いのでは無いかと思ったのだ。

ただ、目の前にさとみは居るが、さすがに会社で相談するわけにはいかない。そうかと言って、夕方以降、会社が終わってから相談すると手配が夜以降になってしまい、下手をすると明日、つまり当日手配になってしまう。そこで宏一は休憩室に移ると思いきって旅行代理店の知り合いに電話をかけた。


つづく

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