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タイトル:jSj Vol. 215 「2023年06月18日国民投票 OECD/G20 最低税率他2件」  2023/06/14


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    Multi Lingual Internet Mail Magazine

★  jp-Swiss-journal - Vol. 215 - June 13, 2023 (Swiss Time)

☆  https://www.swissjapanwatcher.ch/
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  【 目次 / INDEX / INHALTSVERZEICHNIS 】

【J】 2023年06月18日国民投票
    1) OECD/G20 最低税率
    2) 気候・イノベーション法
      3) コビド-19法
                       明子 ヒューリマン

【E】 The Popular Vote on June 18, 2023
      1) OECD/G20 Project
      2) Climate and Innovation Act
      3) COVID-19 Act
                       Akiko Huerlimann


━━━━━━━━━━━━━【 日本語 】━━━━━━━━━━━━━━


                 2023年06月18日国民投票
  
                       明子 ヒューリマン


前回の国民投票は2022年9月21日だったので、ほぼ9ヶ月振りの国民投票に
なった。
今回は、3件の国民投票が問われ、政令が1件、法案1件、修正案が1件。
この内2件は、政府・議会の裁定に異議を唱えるレフェレンダム委員会から
提出された。もう1件は「OECD/G20-最低税率」で、OECDの主導に基づくス
イス政府の政令。各議案を見てみよう。

https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/abstimmungen/20230618.html

1) 政令:通称「OECD/G20 最低税率」
大企業グループへの課税に関する「OECD/G20」プロジェクトの実施。

概要:スイスは、他の約140カ国と共に、国際的に活動する大企業グループ
は少なくとも15%の税金を支払うべき、という考えを表明している。

「OECD:国際社会がデジタル時代の画期的な租税条約を締結」
https://www.oecd.org/tokyo/newsroom/international-community-strikes-a-ground-breaking-tax-deal-for-the-digital-age-japanese-version.htm

連邦政府と議会は、最低課税の導入を考えており、補完税を実施する予定だ。
スイスでの納税額が少なければ、外国は15%の差額を徴収することが認めら
れる。

連邦政府は、初年度の補完税収入を、10億〜25億スイスフランと見積もって
いる。この税収の75%はカントンに、25%は連邦政府に分配される。

財政の均等化制度 (Nationaler Finanzausgleich) に依って、全てのカントン
が利益を得ることができる。
https://www.efd.admin.ch/efd/de/home/finanzpolitik/nationaler-finanzausgleich.html

税金が高くなると、スイスの立地条件を低下させるので、補完税収入は、雇用
と税収の確保、そして立地の促進に活用される。

実施には、連邦憲法の改正が必要なので、その為の国民投票
(Volksabstimmung)が実施されることになった。

投票の質問は、「大企業グループの特別課税(大企業グループの課税に関する
OECD/G20プロジェクトの実施)に関する2022年12月16日の連邦令を受け入れる
か?」

連邦評議会(政府)と議会は「賛成」を推奨。
「この法改正に依って、安定した枠組みを確保し、スイスの税収と雇用を守る
ことができ、誰もがこの恩恵を受けられる。」というのが論拠。

議会の評決:
国民議会で賛成127票、反対59票、棄権10票。
全州議会では、賛成38票、反対2票、棄権4票。

法案に賛成:は、SVP、Die Mitte、FDP、州政府会議。
SP(社会民主党)が反対し、緑の党とEDUは自由投票。

着眼点:
議会の少数派が「反対」を推奨、「大企業が多く立地する魅力的なカントンの
数は少なく、歳入の大半を受け取ることになる」と言い、「カントン間の税制
競争を抑制する機会が生かされていない」と主張。
SP(社会民主党)が反対で、緑の党とEDUは党議拘束無し。

ケラー=スッター財務(FED)大臣他に依る、2023年4月24日記者会見の動画:
https://www.youtube.com/watch?v=Z-HEDSAlpEk&list=PLEnHzNShzOwZGnB6WyjmjpAYTrZUJeqV8

FED解説:
https://www.efd.admin.ch/efd/de/home/steuern/steuern-international/umsetzung-oecd-mindeststeuer.html

OECDの世界的な税制改革の第一段階実施に準じて、連邦政府は国全体の法人所得
税を少なくとも15%に引き上げる選択肢を付与する。
該当する法人は、国内企業約200社と、外国企業の子会社2000社。

議会で決定された、75%と25%をカントンと連邦政府に分配することは、正しい選
択。法人税は、如何なる場合でもカントンの問題で、財源の乏しいカントンは
「財政均等化制度」に依って、相応の財政的恩恵を受けられる。従って、反対派
の主張の根拠は崩れている。関係する企業グループはいずれにせよ納税しなけれ
ばならず、補完税によって税収がスイス国内に留まることになる。

主要政党の中で、近年、様々な税制提案に対抗してきたSPだけが、この改革に反
対している。カントンが追加収入の大部分を受け取るのは不公平と考え、このよ
うな税制は間接的に企業に利益をもたらし、結果的に立地競争を促進することに
なると考えている。
スイス社会で影響力のあるSPには、もっと国際的な視野に立った政策を望みたい
ものだ。法案に賛成の保守陣営と経済界は、「反対」は自らの膝を撃つようなも
のだとキャンペーンを展開している。

2) 法案:通称「気候・イノベーション法」
「気候保護目標、イノベーション、エネルギー安全保障の強化に関する連邦法」
(「氷河イニシアチブ」の間接的対案)

概要:スイスは、エネルギーの約4分の3を輸入している。
スイスで消費される石油と天然ガスは、すべて海外から輸入されている。
これらの化石燃料は無限に利用できるわけではなく、気候に大きな負荷をかけて
いる。
外国への依存と環境汚染を減らすため、連邦評議会(政府)と議会は、石油とガス
の消費量を削減し、同時に、スイス国内で生産するエネルギーも増やす計画。

この新法に依って、スイスは石油と天然ガスの消費量を徐々に減らしていく。
目標は、2050年までにスイスが気候変動に左右されない国になること。

法案は、エネルギー消費を削減するための措置を定め、石油、ガス、電気による
暖房を交換する場合、金銭的に救済される。又、気候変動に配慮した技術に投資
する企業も支援を受けられる。

この法案は、「氷河イニシアティブ」に対する間接的対案で、イニシアチブとは
異なり、ガソリン、ディーゼル、暖房用オイル、ガス等の化石燃料の使用禁止は
含まれていない。

投票の質問は、「気候保護目標、イノベーション、エネルギー安全保障の強化に
関する2022年9月30日の連邦法(KlG)を受け入れるか?」

連邦政府:連邦評議会(政府)と議会は「賛成」を推奨。
「この法案は、国民と経済を石油とガスの輸入に依存しないようにするもので、
禁止措置や新たな課税をすることなく、気候保護を強化する。気候に優しい暖房
システムや革新的な技術に投資する場合、財政支援を受けることができる」と説
明する。

議会の評決:
国民議会は賛成139票、反対51票、棄権2票。
全州議会は、賛成38票、反対4票、棄権3票。

法案に賛成の政党は、Die Mitte、FDP、SP、緑の党、グリーンリヴェラ(GLP)、
EVP、州政府会議。

法案に反対して国民投票に漕ぎ着けた保守のスイス国民党(SVP)のレフェレンダ
ム委員会は、「反対」を推奨。「電力需要の大幅な増大と電気料金の爆発的な
上昇」を警告する。「暖房用オイル、ガス、ディーゼル、ガソリンから電気への
エネルギー供給の転換は非現実的。そのアプローチは行き当たりばったりで、電
力不足を悪化させ、環境を歪め、供給の安定性を危うくする。」と説明する。
EDU(保守キリスト教)と住宅所有者協会(HEV)も反対。

アルベルト・ロシュティ環境・交通・エネルギー・通信(UVEK)大臣他に依る、
2023年4月21日記者会見の動画
https://www.youtube.com/watch?v=0Govr7Wplj0

UVEKの解説:
https://www.uvek.admin.ch/uvek/de/home/uvek/abstimmungen/klimaschutzgesetz.html

しかし乍ら、今回保守陣営の内部で対立が起きている。SVPのアルベルト・ロ
シュティ環境担当相は、連邦評議会の立場を代表しなければならず、党と政府
の板挟みになっている。

保守の地盤と称される農民組合でも、有力農家は議案に反対し、スイス農民組合
は、気候保護法への賛成を決定して、農民の意見はほぼ半々に分かれている。
昨年の夏のように暑くて乾燥した気候が続けば、やがて育てるものがなくなって
しまうという危機感から賛成する農家がいる。
争いを防ぐため、今回は国民投票のキャンペーン活動を自粛している。

この法律に反対した人の中には、チューリッヒ農家の会長マルティン・ハーブ
(SVP)もいた。彼は、農業が気候変動の影響を受けることを否定しているわけ
ではない。しかし、「この法律に賛成したからといって、氷河が再び成長し、夏
が涼しくなることはない。」と、最早この事態を回避することはできないとの見
解を示した。

確かに、スイスの夏は年々耐え難いほど暑くなっている。6月13日付ターゲス・
アンツアィガー紙は、「北極海は今世紀半ばには氷がなくなる」と詳報した。
個人で出来る暑さ対策としては、室内外に植物を沢山置き、畳、障子、すだれを
設えるなどして、可なり改善出来るのを実感している。

3) 通称「コヴィド-19改正法」は、「2022年12月16日のCovid-19法」の改正案。

概要:コロナウイルスは依然として予測不可能で、危険なウイルスの亜種が再び
出現する可能性は否定できない。その為、議会は「Covid-19 Act」の一部措置の
法的根拠を2024年半ば迄に延長した。これに依って、当局は緊急時迅速に行動
し、特に弱い立場の人々や医療システムを保護することができる。

主な対策は、重度の「Covid病」に対する医薬品は、スイスで未承認であっても
引き続き輸入して使用することができる。特に、海外渡航に必要なCovid証明書
の発行を継続することができる。雇用主に対しては、特にリスクの高い人を保護
し、例えば在宅勤務を許可するよう義務付けることもできる。現在停止している
SwissCovidアプリは、必要に応じて再び利用を可能に出来る。

このCovid-19改正法の延長に反対するレフェレンダム委員会が、国民投票を実現
させた。延長が否決された場合、現在の規定は2023年12月中旬に適用停止にな
る。

投票の質問は、「Covid-19の流行に対処するための連邦議会条例の法的根拠に関
する2022年12月16日の連邦法改正を受け入れるか?」

連邦政府:政府と議会は、「賛成」を推奨。
「Covid-19法は、連邦政府とカントンにとって重要な法律で、Covid-19の大流行
を食い止め、その影響を緩和することを可能にした。緊急事態の際、連邦政府と
議会は、危険に晒されている人々や医療システムを保護するために、実証済みの
手段に頼れるようにしたいと」説明。

議会の評決:
国民議会は、賛成140票、反対50票、棄権6票。
全州議会は、賛成39票、反対1票、棄権4票。

賛成の政党は、Die Mitte、FDP、SP、緑の党、グリーンリヴェラル(GLP)、EVP、
そして州政府会議。

レフェレンダム委員会を構成する「Mass-voll」と「憲法の友」が、「反対」を
推奨、「Covid-19法の延長は無駄で有害。この法律は、いつでも差別的な措置を
再び導入できるようにするもので、反対票を投じれば、社会の分裂を克服して、
正常な状態を取り戻すことができるだろう。」と主張。SVPとEDUも反対を表明。

アラン・ベルゼ内務(EDI)大臣他に依る、2023年5月2日記者会見の動画:
https://www.youtube.com/watch?v=gaHna6P1A0g

EDIの解説:
https://www.bag.admin.ch/bag/de/home/krankheiten/ausbrueche-epidemien-pandemien/aktuelle-ausbrueche-epidemien/novel-cov/massnahmen-des-bundes/abstimmung-verlaengerung-covid-19-gesetz.html

この法律で規定されている基本的な対策として、連邦政府は、ホームオフィスを
命じる等して、企業内でリスクに晒される従業員を保護することができる。パン
デミックで国境が閉鎖された場合でも、特に医療関係の外国人労働者は入国でき
る。

スイスはパンデミック初期に、厳しい入国制限を導入していた。万が一、再び
そうした制限が必要になった場合でも、この法律で、約40万人の越境通勤者
(内3万4千人は病院や家庭で勤務)がスイスで働けるようになる。

レファレンダム委員会のローランド・ビュールマンは、「この対策はあまり有効
ではない。Covid-19が本当に危険なのは、65歳以上の高齢者だけで、彼らは定年
退職年齢に達している」と言う。

SVPは、パンデミックの現状では、ワクチン接種によって重症化することはあっ
ても、それ以上の感染拡大は防げないので、強制的な証明書発行に戻ることは意
味がないと主張する。

BAG(連邦政府保健局)は、予防接種は病気の蔓延を遅らせるだけでなく、重症
化も抑える効果があると反論している。従って、この証明書を使用することは、
今後も意味があると考えている。

しかし、海外旅行に証明書は必要なのだろうか?という疑問は残る。
旅行会社クオーニの広報担当者によると、入国する旅行者にワクチン接種が義務
付けられているのは、今はアメリカだけだという。

レファレンダム委員会のローランド・ビュールマンは、「使用される可能性が低
く、旅行にのみ使用することを想定しているのであれば、なぜそのように決めな
かったのか?」とも言う。

6月18日の投票で否決された場合でも、この法律は2023年12月中旬まで有効なの
で、否決されたとしても、法律の有効期間が半年短くなるだけ。
有権者が「賛成」と答えた場合は、2024年6月30日に失効する。
SVPの他、FDPもこれ以上の延長に同意しないと表明している。

Covid-19流行当初の緊急事態に際して、連邦政府は急遽国民に超法規的措置を
発動した。コロナ危機は、実質的に民主主義の一旦停止を意味した。
スイス政府の緊急事態宣言で、開会中の連邦議会が一旦中断された。
程なく臨時議会が招集され、数々のコロナ対策が議会で決定された。
しかし、この時点まで、連邦政府が国のすべての機能を支配し、議会制民主主義
は麻痺したと言われた。スイス国民の中には、この事態を警戒する人々が居る。
但し、コロナ対策では、休業補償が盛り込まれ、救済された人々が少なくない事
は、考慮すべき重要な問題ではある。

【参考】 弊誌Vol. 192 - July 01, 2020 「スイスのコロナ危機で考えたこと」
https://www.swissjapanwatcher.ch/jp-Swiss-journal/jsj-vol192.htm

【情勢】

スイス公共放送SRGの世論調査は、「ほぼ4分の3がOECDの最低税率」に賛成と答
え、「気候保護法の施行は、反対の増加傾向にも関わらず、賛成が大きくリード
」、「Covid-19法については、投票性向は賛成のまま変わらず」と報じた。
3議案共賛成多数で、賛否を覆すには、厳しい情勢と解説した。

https://www.srf.ch/news/abstimmungen-18-juni-2023/2-srg-umfrage-auf-einen-blick-drei-mal-ja-fuer-ein-nein-muesste-viel-geschehen

★ スイス連邦議会の政党名 / Political parties represented in Parliament:
https://www.parlament.ch/en/organe/groups/parties-in-parliament


【 編集後記 】

3件いずれの議案も有権者は重い判断を迫られる内容だ。
各議案について、担当大臣が記者会見で説明する様子は、国民が政治家を判断
する上で注目に値する点ではないかと思う。
緊迫した雰囲気の臨場感溢れる記者会見の動画は、なかなか興味深い。
折しも、6月12日、スイス連邦政府のウェブサイトが「no name」と称するハッ
カーに攻撃され、閲覧中のリンクが一部見られなくなった。(A.H.)


━━━━━━━━━━━━━━【 English 】━━━━━━━━━━━━━━━


         The Popular Vote on June 18, 2023

                      Akiko Huerlimann


The last Popular Vote was on September 21, 2022, so this will be the
first Popular Vote in almost nine Months.
This Time, there are three Projects, one Decree, one Bill and one
Amendment. Two of the Projects were submitted by Referendum Committees,
which are responsible for challenging the Government and Parliament
Rulings.
One, the "OECD/G20-Minimum Tax" is a Decree by the Swiss Government
however based on an Initiative by the OECD-Organization.
Let's look at each Project.

https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20230618/oecd-g20-project.html 

1) Decree: Commonly known as the "OECD/G20 Minimum Tax"
Implementation of the "OECD/G20" Project on Taxation of large Corporate
Groups.

Summary: Switzerland, along with some 140 other Countries, has committed
itself to ensuring that large international Corporate Groups pay at
least 15% in Taxes.

[ Statement on a Two-Pillar Solution to Address the Tax Challenges
Arising from the Digitalisation of the Economy - 8 October 2021 ]
https://www.oecd.org/tax/beps/statement-on-a-two-pillar-solution-to-address-the-tax-challenges-arising-from-the-digitalisation-of-the-economy-october-2021.htm

The Swiss Federal Government and Parliament are considering the
Introduction of a Minimum Tax, which will be implemented by Means of
a Supplementary Tax. If less Tax is paid in Switzerland, Foreign
Countries will be allowed to collect the Difference to the 15%.

The Swiss Federal Government estimates that the Revenue from
the Supplementary Taxation in the first Year will be of 1 to 2.5 Billion
Swiss Francs (CHF). 75% of the Tax Revenue will go to the Cantons and
25% to the Swiss Federal Government.

All Swiss Cantons can benefit from the System of National Fiscal
Equalization (Nationaler Finanzausgleich).
https://www.efd.admin.ch/efd/de/home/finanzpolitik/nationaler-finanzausgleich.html 

Since higher Taxes reduce the Location-Attractiveness of Switzerland,
the Revenues from the Supplementary Tax shall be used to secure Jobs and
Tax Revenues, as well as to promote the Location-Attractiveness.
The Implementation requires an Amendment to the Swiss Federal
Constitution, so a Referendum / People’s Vote (Volksabstimmung) is
required for it.

Voting Question is: "Do you accept the Federal Decree of December 16,
2022 on special Taxation of large Corporate Groups. (Implementation of
the OECD/G20 Project on Taxation of large Corporate Groups)?"

Federal Government:
The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "YES".
Saying that "this legal Reform will ensure a stable Framework,
protecting Swiss Tax Revenues and Jobs, and Everyone will benefit from
this." This is the Argument.

Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 127 YES, 59 NO, and 10
Abstentions.
The Council of States (Staenderat) voted 38 YES, 2 NO, and
4 Abstentions.

In favor of the Bill are Parties SVP, Die Mitte, FDP, GLP, EVP, and
Conference of the Cantonal Governments.

Against: The SP (Social Democrats) opposed it, while the Greens and EDU
were not bound by Party Rules.

Position:
The Parliamentary Minority recommends "NO," stating that "few attractive
Cantons, where lots of large Corporate Gourps are located, would receive
the Bulk of the Revenues. The Opportunity to curb the Tax Competition
among the Cantons was not used", argued the Minority. The SP (Social
Democrats) opposed, while the Greens and EDU were not bound by Party
Rules.

Video of the Press Conference on April 24, 2023 by Minister of Finance
(EFD) Keller-Sutter and other:
https://www.youtube.com/watch?v=Z-HEDSAlpEk&list=PLEnHzNShzOwZGnB6WyjmjpAYTrZUJeqV8 

EFD Commentary:
https://www.efd.admin.ch/efd/de/home/steuern/steuern-international/umsetzung-oecd-mindeststeuer.html 

In-line with the Implementation of the first Phase of the OECD's global
Tax Reform, the Swiss Federal Government wants to increase the Corporate
Income Tax Rate for the entire Country to at least 15%.

The relevant legal Entities are 200 domestic Companies and 2,000
Subsidiaries of foreign Companies.

The Decision made by the Parliament to split the 75% and 25% between
the Cantons and the Federal Government is the right Choice.
Corporate Taxation is in any case a Matter for the Cantons, and
the Cantons with less financial Resources can receive a reasonable
Financial Benefit depending on the "National Fiscal Equalization
System". Thus, the Basis for the Opposition's Argument has collapsed.
The business groups involved will have to pay taxes anyway, and
the additional tax will keep the tax revenue within Switzerland.

Among the major political Parties, only the SP, which has opposed
various Tax Proposals in recent Years, is against this Reform.
It believes that it is unfair that the Cantons retain the Bulk of
the supplementary Revenues, and that such a Tax System would indirectly
benefit Companies and thus promote Competition for Locations.

I hope more internationally-minded Policy from the SP, which is
influential in Swiss Society. The Conservative Camp and the Business
Community, in favor of the Bill are campaigning that "NO," would be like
shooting themselves in the Knee.

2) Bill: Commonly known as the "Climate and Innovation Act"
Federal Act on Climate Protection Targets, Innovation and Strengthening
Energy Security (indirect Counter-Proposal to the "Glacier Initiative").

Summary: Switzerland Imports about three-quarters of its Energy.
All of the Oil and Natural Gas consumed in Switzerland is Imported from
abroad. These fossil Fuels are not infinitely available and place
a heavy Burden on the Climate.
In order to reduce its Dependence on foreign Countries and environmental
Pollution, the Federal Government (Bundesrat) and the Swiss Parliament
plan to reduce the Consumption of Oil and Gas, while at the same Time
increasing the Amount of Energy produced in Switzerland.

Under the new Law, Switzerland will gradually reduce its Consumption of
Oil and Natural Gas. The Goal is to make Switzerland climate-neutral
by 2050.

The Bill sets out Measures to reduce Energy Consumption and provides
financial Relief for replacing Oil, Gas, and Electric Heating Systems.
Companies that invest in climate-friendly Technologies will also be
supported.

The Bill is an indirect Counter-Proposal to the "Glacier Initiative"
and, unlike the Initiative, does not include a Ban on the Use of fossil
Fuels such as Gasoline, Diesel, Heating Oil, and Gas.

Voting Question is: "Do you accept the Federal Law of September 30, 2022
on Climate Protection Goals, the Innovation, and the Strengthening of
Energy Security (KIG)?"

Federal Government:
The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "YES".
Explaining "this Bill will make our People and Economy independent of
Oil and Gas Imports and will strengthen Climate Protection without Bans
or without new Taxes. Financial Support will be available for
Investments in climate-friendly Heating Systems and innovative
Technologies."

Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 139 YES, 51 NO, and
2 Abstentions.
The Council of States (Staenderat) voted 38 YES, 4 NO, and
3 Abstentions.

In favor of the Bill are Parties Die Mitte, FDP, SP, Green Party,
Green Liberal (GLP), and EVP, and Conference of the Cantonal
Governments.

The Referendum's Committee of the Conservative Swiss People's Party
(SVP), which opposes the Bill and put it to a Referendum, recommends
"NO".
Warning of "a significant Increase in the Demand for Electricity and
an Explosion in Electricity Prices." It explains "The Conversion of
Energy Supply away from Heating Oil, Gas, Diesel, and Gasoline to
Electricity is unrealistic. The Approach is haphazard, will exacerbate
Electricity Shortages, disfigure the Environment, and jeopardize
Security of Supply."
Against: Are also Party EDU (Conservative Christian Party) and
Homeowners Association (HEV) also opposes the Bill.

Video of the April 21, 2023 Press Conference by Minister of Environment,
Transport, Energy and Communications (UVEK) Albert Roesti and Others:
https://www.youtube.com/watch?v=0Govr7Wplj0

UVEK-Commentary:
https://www.uvek.admin.ch/uvek/de/home/uvek/abstimmungen/klimaschutzgesetz.html
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20230618/climate-and-innovation-act.html

However, this Time there is a Conflict within the Conservative Camp.
The SVP's Minister of Environment (UVEK), Albert Roesti, has to
represent the Position of the Federal Government (Bundesrat) and is
caught between the SVP-Party and the Government.

Even in the Farmers' Union, which is known as a Conservative Stronghold,
leading Farmers are opposed to the Bill, while the Swiss Farmers' Union
has decided in favor of the Climate Protection Law, dividing Farmers'
Opinions almost 50-50.
Some Farmers are in favor of the Law because they feel threatened that
if the Climate continues to be as hot and dry as it was last Summer,
they will eventually run out of Products to grow.
To prevent Conflict, they are Refraining from Campaigning for
the Referendum this Time.

Among those who oppose the Law is Zurich's Farmers President Martin
Herb, SVP. He does not deny that Agriculture is affected by Climate
Change. But "Voting for this Law does not mean that Glaciers will grow
back and Summers will be cooler." He expressed the View that this
Situation cannot be avoided anymore.

Indeed, Swiss Summers have become unbearably hot Year after Year, and
the June 13 Tagesanziger Newspaper reported in detail that "the Arctic
Ocean will be ice-free in the middle of the Century."
However, I have found that we can improve the Heat by placing many
Plants Indoors and Outdoors, and by Installing Tatami Mats, Shoji
Screens, and Sudare (Bamboo Blinds).

3) Amendment: Commonly known as the "Covid-19 Amendment Act" is a Draft
Amendment to the "Covid-19 Act of December 16, 2022".

Summary: Corona-Virus remains unpredictable, and the Possibility of a
Reemergence of dangerous Virus Variants cannot be ruled out. Therefore,
the Swiss Parliament has extended the legal Basis for certain Measures
of the "Covid-19 Act" until mid-2024. This will allow Authorities to act
quickly in an Emergency and protect particularly vulnerable Persons and
the Health Care System.

The main Measure is that Medicines for severe Covid-Diseases can
continue to be imported and used in Switzerland, even if they are not
yet approved in Switzerland. In particular, Covid-Certificates required
for Travel abroad may continue to be issued. Employers could be obliged
to protect Those who are particularly at risk and allow them to work
from Home, for example. Currently suspended SwissCovid-App could be
reactivated if necessary.

The Referendum was made possible by a Referendum’s Committee, which
opposed the Extension of the Covid-19 Act. If the Extension is rejected,
the current Provisions will cease to apply in mid-December 2023.

Voting Question is: "Do you accept the Amendment of December 16, 2022 to
the Federal Law on the Legal Basis for Federal Council Ordinances to
Address the Covid-19 Epidemic?"

Federal Government:
The Federal Government (Bundesrat) and Parliament recommend "YES".
Stating that "the Covid-19 Law is an important Law for the Federal
Government and the Cantons, enabling them to contain the Covid-19
Pandemic and mitigate its Effects. In the event of an Emergency,
the Federal Government and Parliament want to be able to rely on proven
Measures to protect at-risk Persons and the Health Care System".

Parliament's Verdict:
The National Assembly (Nationalrat) voted 140 YES, 50 NO, and
6 Abstentions.
The Council of States (Staenderat) voted 39 YES, 1 NO, and
4 Abstentions.

In favor of the Amendment are Parties Die Mitte, FDP, SP, Green Party,
Green Liberal (GLP), EVP, and Conference of the Cantonal Governments.

Circles critical of the Measures such as "Mass-voll" and "Friends of
the Constitution", which make up the Referendum’s Committee, recommend
"NO", saying, "The Extension of the Covid-19 Law is useless and harmful.
This Law would allow the Reintroduction of discriminatory Measures at
any time, and a Vote against it would overcome the Division in our
Society and restore Normality."
Against: Are also the Parties SVP and EDU, which expressed Opposition.

Video of the May 2, 2023 Press Conference by Minister of the Interior
(EDI) Alain Berset and Others.
https://www.youtube.com/watch?v=gaHna6P1A0g

EDI-Explanation:
https://www.bag.admin.ch/bag/de/home/krankheiten/ausbrueche-epidemien-pandemien/aktuelle-ausbrueche-epidemien/novel-cov/massnahmen-des-bundes/abstimmung-verlaengerung-covid-19-gesetz.html 
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20230618/covid-19-act.html 

As a basic Measure provided for in the Law, the Federal Government can
protect Employees at risk in their Companies by, for example, ordering
a Home Office. Even if Borders are closed due to the Pandemic, foreign
Workers, especially those in the Medical Field can still enter the
Country.

Switzerland introduced strict Entry Restrictions in the early Stages of
the Pandemic. In the unlikely Event that such Restrictions become
necessary again, the Law will allow some 400,000 Cross-Border Commuters
(34,000 of whom work in Hospitals or at Homes) to work in Switzerland.

Roland Buehlmann of the Referendum’s Committee says, "This Measure is
not very effective: the only People really at risk from Covid-19 are
those over 65, and they have reached Retirement Age."

The SVP-Party argues that in the current State of the Pandemic, it does
not make Sense to return to mandatory Certification, since Vaccination
can cause severe Illness, but does not prevent further Spread of the
Disease.

The BAG (Federal Office of Public Health) counters that Vaccination not
only slows the Spread of the Disease, but also reduces the Severity of
the Disease. Therefore, we believe that the Use of this Certificate will
continue to make Sense.

But is the Certificate necessary for International Travel? The Question
remains.
According to a Spokesperson for Travel Agency Kuoni, the USA is now the
only Country in which Vaccination is mandatory for Travelers entering
the Country.

Roland Buehlmann of the Referendum's Committee says about the
Certificate, "If it is so unlikely to be used and only supposed to be
used for Travel, why was it decided that way?"

Even if the June 18 Vote rejects the Law, it would only shorten the
Law's Validity by six Months, since the Law is in effect until mid-
December 2023, even if it is rejected.
If the Voters say "YES", the Law will expire on June 30, 2024.
In addition to the SVP-Party, the FDP has stated that it will not agree
to any further Extension.

At the Time of the Emergency, at the Beginning of the Covid-19 Epidemic,
the Federal Government suddenly invoked extrajudicial Measures against
the Population.
The Corona-Virus Crisis effectively meant a Suspension of Democracy.
The Swiss Government declared a State of Emergency and suspended the
Federal Parliament, which was in Session.
Soon after, a special Session of Parliament was convened with Corona-
Virus Specifications, and a Number of Corona-Virus Measures were decided
upon by Parliament.
Up to this Point, however, the Federal Government controlled all
Functions of the Country, and Parliamentary Democracy was said to be
paralyzed.
A Number of Swiss Citizens were alarmed by this Situation.
However, it is an important Issue to consider that the Corona-Measures
include Compensation for lost Working-Time, and not a few People have
been rescued by such Compensation.

[Reference]
Our magazine Vol. 192 - July 01, 2020 "Thoughts on Switzerland's Corona
Crisis"
https://www.swissjapanwatcher.ch/jp-Swiss-journal/jsj-vol192.htm

【Status】

A Poll by SRG, the Swiss Public Broadcaster, reported that "almost
three-quarters of the Swiss People are in favor of the OECD Minimum
Tax", and that "the Implementation of the Climate Protection Law has
a large Lead in favor despite a growing Trend of Opposition," and that
"Voting Intentions for the Covid-19 Law remain unchanged in favor.
With a Majority in favor of all three Bills, the Report explained that
it would be a tough Situation to overturn the Approval or Disapproval
of the Bills.

https://www.srf.ch/news/abstimmungen-18-juni-2023/2-srg-umfrage-auf-einen-blick-drei-mal-ja-fuer-ein-nein-muesste-viel-geschehen 

★ スイス連邦議会の政党名 / Political parties represented in Parliament:
https://www.parlament.ch/en/organe/groups/parties-in-parliament


[Editor's Postscript]

Anyway, about all of these Voting-Topics, Voters will have to make
heavy Decisions.
The Way the Minister in charge explains each Topic at the Press
Conference may be a Point worthy of Attention as the Public judges
the Politicians.
The Video of the Press Conference, with its tense and realistic
Atmosphere, is quite interesting.
By the way, on June 12, some Swiss Federal Government's Websites were
attacked by Hackers calling themselves "No Name," and some of the
Links that were being viewed were no longer visible. (A.H.)

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