メルマガ:仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
タイトル:仇花の記憶 23/04/25 464号  2023/04/25


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第弐拾巻四回  小説「空間の責任」
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2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震
(東北大震災)にて罹災した皆様方、2016年4月14日に
発生しました平成28年熊本地震にて罹災した皆様方に
心からお見舞い申し上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出来
ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の潤いに
繋がりますならば幸いです。

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、ごゆるりとお楽しみください。

〇●〇

     空間の責任  
                      XQO
                                  
 何を好き好んで…と言われつつこの止まり木と言え
る場所の経営に携わる様になって久しくなった。二人
して利用者として訪れた瞬間が今ではセピア色の彼方
だ。
  そう言う場所柄なので利用者の内面に土足で踏み込
む様な真似はしないが、それでも思い詰めた表情で訪
れた二人が帰る時には肩の荷を下した様な表情になっ
ているのを垣間見るとこちらも嬉しくなる。身に覚え
のある瞬間だけに余計に感慨深い。
  そう言う場所ならもっと効率的な、とか言う声も聞
こえては来るが、でもそれは何処かで責任を放棄して
はいないかと言う心持ちになってしまうので曖昧に躱
している。
  要望のある空間だからこそ、望んだ内の一人として
それなりに責任は背負っておきたい。ただ彼是と要求
を無責任に言いたてるのではなく。無責任を繰り返し
ていたらその空間がある日忽然と消えていても嘆く資
格を失ってしまいそうだから。
  
  「303号、利用再開しても大丈夫だよ」
  「有難う」
  「詳細は日報に。特に問題点は無し」
  割に素っ気ない内線連絡を終えてから何時もの様に
心の中で手を合わせる。巻き込むつもりは更々無かっ
たのに寄り添って伴走してくれる保史の存在はとても
大きな支えだ。
  そもそも彼だって僕同様利用者に過ぎなかった。僕
が縁あってここを引き継ぐと決めた時にあっさりと付
いて来ようとした瞬間は一旦僕から引き留めた。彼は
既に思い求めていた天職の場に身を置いていたから。
それを捨てさせてまで伴走させるのは僕の身勝手でし
かないし、そう言う筋合いを僕は持ち合わせていなか
ったから。
  『俺もこう言う場所があって安心したの。それが理
由と言っても引き止める?』
  意気込むでも無くさらっとした空気でこう言う風に
言われてしまうと、むしろ突っ撥ねるこちらが意地悪
をしているだけな気分になってしまい、最終的には申
し出を受けた。
  正直ここに巡り合うまではそう言う空間を確保する
のに腐心した。誰かの為の場所を無断拝借するのはと
ても簡単だけど、でもそれは同時に誰かの安堵を奪う
一歩でもある。そう言う事を平気でやってしまう関係
にはしたくないと言う共通認識が二人にはあったので。
  …虚構の真似をして云々と言う言われ方をしたくな
いと言う気持ちも正直あったしね。そう言う空想にも
存続して欲しいから、何処かで踏み込んだ一歩があっ
た方が良い。それを実行するのがたまたま自分だった
と言う感じ。
  空想を実現化するのは楽しいけど、実在の人間であ
る以上この世間で背負う責任からは逃れられないし逃
れて誰かのせいにしてもいけない。その空想で救われ
るであろう人の為にも。責任放棄の末の歪みを散々視
てきたので尚更にそう思ってしまう。
  
  縁と運が本当に良かった、としみじみ思う。導かれ
た様にここまで伴走してきたけど、何だろう。ふんぞ
り返った利用者様と自称する側から聞こえて来る様な
諸々とは随分違った光景を目にするので安心出来てい
るのかも知れない。あちら側に陥らずに済んだ縁にも
感謝したいし。
  まあ、ね。一度や二度ならまだ暴走だろうと解釈出
来るけど、それが常習化して尚且つ筋違いな要望を出
して当たり前だと思われる様になったらそれは乗っ取
られた楽園の終わりの始まりなんだろうなと。そこで
共犯になれるんならそれなりに気持ちは楽になるんだ
ろうけど、その時は背負わなくていい筋違いな責任ま
で舞い込んでくるし。
  背負うなら誰かの背中を後押し出来る様な前向きな
責任を負いたい。自分が自分で在って欲しいそう言う
場所であるから尚更に。
  誰かに責任を押し付け続けていたら行き着く所は本
来必要が無い筈の権利闘争。そこで心を擦り減らした
ら元々望んでいた未来も本来の姿では色褪せて見えて
しまうんだろう。それが本当に幸せとは正直思えない。
瞬間の積み重ねだと考えても、ね。
  
  「お疲れさん」
  「あ、有難う」
  「各部屋の不足の補充やってあるから」
  「悪いね、気を回させて」
  「有る無いじゃ安心感も違うしな」
  「あの時みたいに?」
  「そ。あの時みたいに」
  不意に記憶に色がつく。初心忘るべからずだよな、
と気持ちを新たにする。ここからの一歩が長い旅路の
餞になる事を心から祈って。
                  【了】

〇●〇

本年度もお世話になりました。

5月度及び6月度前半(10日)の配信は配信者都合
により休止させて戴きます。
次号・5月の小説配信回(25日)まで、御機嫌宜しゅう。

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BoysLoveみそひともじ朗詠 
http://com.nicovideo.jp/community/co1421231
定例配信:毎月第一月曜日・21:00(午後9時)頃〜

雑談枠:「合切袋のプチ整理」
毎月第三月曜日・21:00(午後9時)頃〜

お時間がありましたらよろしくお付き合いください。
暫し休止中ですが、再開の折にはご愛顧戴ければ
幸いです。

2023年度「BL夜伽ラヂオ」配信も暫し休止と
させて戴きます。

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以下、商業媒体告知です。

ネクストF編集部/JIVE『このBLがやばい! 2022年度版』
(2021年12月15日刊) 
https://www.amazon.co.jp/dp/486715122X
にて、当方はBL通の末席で「あなたのBL BEST5」(コミック)
選者で参加しました。
他の箇所にもひっそり参加しております。御高覧ください。
各所電子書籍配信もあります。

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商業媒体告知、2件目です。

2017年11月10日ぶんか社より刊行された
たかはし志貴先生
「アラサー腐女子が初めて付き合ったのは、高校生の腐男子でした。」
巻末企画にて、たかはし先生のパートナーさんを
含んだ面々で腐男子座談会を展開させて戴いて
おります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4821144719/
https://books.rakuten.co.jp/rb/15204144/
ご高覧戴けましたら幸いです。
電子書籍展開もあります。

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商業媒体告知、3件目です。

2015年11月25日より集英社より電子書籍配信されている
ブリンクコミックスデジタル・ことり野デス子先生
「フダンシ革命」第2巻巻末企画にて、ことり野先生と
腐男子として対談させて戴いております。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0177H72ZO/
http://books.rakuten.co.jp/rk/42718e40b81938e788ce1e4a32558366/
ご高覧戴けましたら幸いです。

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商業媒体告知、4件目です。

2015年8月20日に玄光社から刊行されました
『はじめての人のためのBLガイド』【表紙:宝井理人】
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=8721 
http://www.amazon.co.jp/dp/4768306462/ 
の企画・「私が選ぶ○○BLベスト5」の選者の一人と
して参加させて戴きました。
ご高覧戴けましたら幸いです。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第弐拾巻四回 2023.4.25発行

文責:葡萄瓜XQO(ぶどううり・くすこ)
http://xqo.ooh.jp/mag/
mail:xqo_gm@yahoo.co.jp
  :xqosy@aol.com(メールマガジン専用)
連動BLOG「ショタやおい雑記」
http://xqosy.seesaa.net/

このメールマガジンは
Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533

まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000270330.html

のシステムを利用して発行させて戴いています。

ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内
設置メールフォームよりよろしくお願い致します。
http://xqo.ooh.jp/mag/form/

バックナンバーはサイト内及び各配信スタンド、
「ショタやおい雑記」にて公開しております。

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