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少女の性 第四百十七部 さとみは初めて宏一と仕事をしたような気になった。宏一は外回りも多いので、ポツンと一人で部屋にいることが多い。だから、それまでは孤独感が強かったのだ。総務に居た時は、上司に次々に仕事を回されて一人になりたいと思ったものだが、次々に伝票処理が続くのに何もフィードバックが帰ってこないと却って不安になるし、その結果が手配間違いのトラブルになるのだから、トラブルになったときは恐ろしくて仕事ができないと思った。しかし、今日、やっと宏一がきちんと指導してくれたことで少し安心した。それに、宏一と二人きりだ。それも丁寧に教えてくれるから理解しやすい。これならなにがしかの好意を持たない方がおかしいくらいだし、友絵の時のように噂を立てられるのだって仕方ないと思った。 友絵が居た時、宏一と友絵との噂は最後まで噂のレベルで終わってしまったし、友絵が退職してしまったことで噂も消えたが、さとみは何となく友絵が宏一にある種の好意を持っていたと感じていた。さとみと友絵はあまり親しくは無かったが、総務にいたので仕事上で話したことが何度かあるし、宏一がいないときに友絵と一緒にお昼を食べに行ったこともある。その時の友絵の様子から、何となく宏一への想いを感じていた。 そして今、自分が友絵の立場になったとき、こうやって宏一に仕事を教えて貰ってみると、確かに宏一に教えて貰うと気持ちが素直に受け入れていく。しかし、逆に言えば宏一に好意を持つように周囲の状況が自分を追い込んでいくようなある種の圧力のようなものを感じた。それは宏一からの圧力ては無く、二人きりでの仕事という職場環境の問題と言えた。もともとこの仕事は新しいビルに移るまでのシステム開発という一時的な仕事なので移転が終わればこの職場そのものが無くなってしまう。だから人数が増えるとは考えにくい。しかし、昨今の景気から移転は延期になる可能性が高かった。 さとみには今、付き合っている彼氏がいた。ただ、最近は余り上手くいっておらず、さとみ自身が考え込んでしまうことも多かった。しかし、だからと言って宏一に好意を持ってしまうと余計に面倒なことになりそうな気がする。総務で契約関係を担当していたので宏一の会社に支払っている金額も知っていたが、派遣にしては破格の金額とは言え、所詮宏一は派遣なので不安定な仕事であることに変わりは無い。結婚相手として考えることは難しそうだ。そして、将来を考える相手でなければ恋愛を楽しめるとは思えなかった。 「それじゃ、ちょっと出てくるね。工数の確認表を準備しておいてね」 「はい」 さとみの返事を背中に聞きながら、宏一はちょっと外出して昼食を買ってきた。 「ちょっと迷惑かと思ったけど、最初が肝心だからお昼を買ってきたよ」 「えっ?買ってきて下さったんですか?」 「うん、チキンピタと健康野菜定食とあるけど、どっちが良い?」 「いくらですか?」 「どっちも俺のおごり。好きな方をどうぞ」 さとみはここで思い切って言ってみた。宏一なら分かってくれそうな気がしたし、二人っきりならいずれ分かることだ。 「ありがとうございます。いただきます。それで・・・あの・・・・・・両方とかだめですか?」 「え?二つも食べられるの?確かにそんなにボリュームは無さそうだけど」 「はい・・・・」 「そんなに小柄なのに?」 「小さい時からなんです。いつもたくさん食べるの。だから、本当は他の女子と食べに行くのが苦手で・・・」 「そうなんだ。もちろん良いよ。それじゃ、俺は外で食べてくるよ。良い?準備できたら、ここに来た人に順番に聞くんだよ?」 「はい。必ずやります」 さとみは安心した様子で答えた。宏一は外食に出ながら、あんなに小柄なのにと思った。さとみは由美や洋恵よりも更に背が低い。一言で言えば、洋恵を少しスリムに小柄に下感じで、身長は150センチくらいだ。それなのに小さめとは言え、弁当を二つも食べられるとは本当に人は見た目では分からないと思った。 宏一が食事を終えて戻ってくると、事務所は静かながらも和気藹々とした雰囲気に満ちていた。さとみがフォルダーに挟んだ工数表を持って業者の人に次々に聞きながらチェックを入れている。 「三谷さん、新しい女の子が入ったのは気付いてたけど、今まで仕舞っておくなんてひどいじゃ無いの」 「ごめんごめん、新人だから色々勉強があってさ。今日が実質的なデビューだから、色々教えてあげてよ。なるべく現場にも行って貰うからさ」 「お、それはもちろん良いけど、あんな所に来るの?制服が汚れちゃうよ」 「ハハハ、でも水野さんは小柄だから、少しくらい狭いところなら入るのは無理でも近づくことはできそうだよ。ね?水野さん?」 「はい・・・よく分からないですけど、頑張ります。インターコンピュさんは5階と6階の非常階段の裏のパイプスペースですよね?」 「そうだよ。そこにハブを設置中なんだ」 「はい、後で行ってみます」 「おいおい、それならこっちも来てみてよ」 「あ、はい、高橋電気工事さんにも行きます」 どうやらさとみは工務管理の仕事に少し慣れてきたようで宏一は安心した。いずれ食事にでも誘ってみたい気持ちはあるが、今の世の中、そう簡単では無い。うっかり誘ったりすると、立場を利用したプライベートへの干渉と強制と思われる可能性がある。さとみだって仕事だから笑顔を必死に見せているのだろう。まだまだ安心できる様子では無い。 その日、宏一は会社の中を早めに飛び回り、4時過ぎには外回りに出て直帰することにしてさとみに施錠を頼んで出かけた。さとみは快く送り出してくれた。 実は、舞との待ち合わせの鮮魚系の居酒屋が訪問先に近いのだ。これなら時間の心配をせずに済む。宏一は6時前まで安心して仕事を片付け、予約した店に向かった。 すると、待ち合わせの時間にはまだ30分近くあったのに、舞は既に来ていた。宏一を見つけて舞の顔に嬉しさがいっぱいに広がった。 「舞さん、元気にしてた?」 「久しぶり。ああ、やっと東京に戻ってきた。三谷さんの顔を見たら一気に安心したわ」 笑顔満面の舞は本当に嬉しそうだ。 「荷物が無いところを見ると、もう荷物は置いてきたの?」 「そう、身軽になったから移動が楽。ねぇ、早く頼みましょう」 舞が急かすので早々に二人はビールで乾杯し、お勧めの鮮魚の盛り合わせや活イカの踊りなどを堪能した。 「舞さん、九州だって活イカや鮮魚の盛り合わせは美味しいのがあるだろう?地元だから東京よりずっと新鮮だろうし。どうしてこれにしたの?」 「確かにあるけど、仕事で食事に行ったってほとんど食べられないし、食べろって言われるから食べるけど味なんて感じてる暇無いし」 「仕事がそんなに食事に影響するんだ」 「そう、特に九州は影響が強いのかも知れないし、あの業界だからかも知れないけど、結局やるやら無いの返事は食事でって感じ。だから本当に気を遣うし、疲れるの」 「ねぇ、それでなのかも知れないけど、なかなか戻ってこなかったよね。仕事、そんなに忙しかったの?」 「そう、試作から使用の決定、流通への手配まで休み無し。それから試験販売と見直しと修正、そして一気に本格販売が怒濤のごとくだったから。本当に休む間もなかったの」 「毎日飲み会?」 「あったけど、全部出てたら身体が持たないから辛いときは適当に抜けさせて貰ってた。みんなそれは分かってくれてたから、そんな時は声も余り掛からなかったし」 「それでさ、結局どんなのになったの?」 「それはね、写真を見せてあげる」 そう言うと舞は携帯の写真を探し出すと宏一に見せた。 「これがメインになる奴。窓を大きめにして彩りを強調してるの」 「うわ、本当に窓の中に具が入ってる。この中の赤いのは生麩?」 「そう、生麩が一番色が綺麗だし、好き嫌いも無いから。上手くいけば味や香りで特徴の有るものを入れていく予定」 「それで、評判はどうなの?」 「それはね・・・・・・・・」 舞は宏一の目をじっと見つめた。端正な細身の顔立ちに少し切れ長の目が綺麗だ。 「大評判!今は生産が追いつかないくらい、とまでは行かないけど、フル生産に近いの。それで、次の増産の段取りを始める前に東京に戻って来れたって訳」 「それは良かったね」 「三谷さんのおかげよ。だから今日はお礼がしたくて。これは私のおごり。交際費じゃ無い、私個人のお礼」 「ありがとう。それじゃ、遠慮無くいただくよ」 「それと、二次会は無しで良いでしょ?」 それは、早く帰るというのでは無く、舞が早く宏一と二人でホテルに入りたいと言っているのだ。 「うん、ホテルは?」 「ちょっと奮発しちゃった。お楽しみに」 「でも、明日は早いんだろ?」 「それは・・・・・そうだけど・・・・・。だから・・・・ね?」 「うん、分かった。でも、取り敢えずは美味しく食べて飲もうよ」 「はい、カンパーイ」 舞は上機嫌で次々に料理を平らげていく。 「宏一さんと食べるのが、こんなに美味しいなんて」 「知らなかったの?」 「ううん、知ってた。でも、再発見て感じ」 「俺も久しぶりに活イカを食べたけど、この歯ごたえと甘みは最高だね」 「そう、あっちでもあったけど、食べるどころじゃなかったから、こんなに美味しいなんて知らなかった。今度からは少しは食べるようにするわ」 舞はニコニコしながら宏一と一緒に同じ皿を食べている。ただ、四人席に二人なので舞は宏一の向かいにいるのが我慢できなくなったらしい。 「ねぇ、隣に行っても良い?」 「もちろん」 舞は宏一の隣に写ると、料理の皿を並べ替えた。そしてぴったりとくっついてくる。 「もう少し離れないとだめ?」 「ううん、嬉しいよ」 「良かった。ねぇ、今のうちに聞いておくけど、次のアイデアとか、ある?」 「次の?窓付きさつま揚げの改良案てこと?舞さんは無いの?」 「ごめんなさい。こんな事言うなんておかしいわよね。自分で何とかする」 「良いよ。窓に自分で好きなものを入れられるようにしたら?」 「うわ、すごい。それ、絶対当たる。どうしてぇ?どうして三谷さんは次々にアイデアが出てくるのぉ?ねぇ、どうしてぇ?私なんて、いっつも考えてるのに全然良いのが出てこないのにぃ。これじゃぁ、落ち込んじゃうじゃ無いのぉ」 舞は甘えながら宏一にくっついてきた。 「それはたぶん、何の責任も無いからだと思うよ。制約が無いから勝手に自由なことが言えるだろ?いつも締め上げられてる担当者にはなかなか無理だよ」 「うん、わかった。ありがとう。でも、私もアイデア出せるようにしなくちゃ」 「いつも考えるのは大切だよね」 「そう、それは絶対」 二人は新鮮な魚貝を楽しみ、適度に日本酒も飲んだ。しかし、舞は楽しみにしていたという割には食べない。 「どうしたの?お腹減ってないの?」 「ううん、そうじゃなくて、あんまりお腹いっぱいになりたくなくて・・・」 舞はこれからのことを気にしていることを匂わせた。 「それなら、コンビニでおにぎりでも買っていく?」 宏一が聞くと、舞はバレてしまったと顔を赤くして頷いた。 「それじゃ、もう少し呑む?」 「もう少しだけ。九州じゃ焼酎ばっかりだから」 「そうだよね。料理も全部焼酎に合うようにできてるから焼酎の方が美味しいけど、日本酒は少ないから飲みたいときにはあんまり無いしね」 「熊本なら球磨焼酎が有名だけど、まだ日本酒もあるの。でも鹿児島の方は全然だもの」 舞がそう言うので宏一は日本酒の純米吟醸の冷酒を頼んで更に軽く呑んだ。舞は宏一に付き合う以上に飲んだので、飲み終わったときには少し酔っていた。 「それじゃ、行こうか?」 宏一は舞を連れて店を出て、コンビニで軽く買い出しをしてからタクシーでホテルに向かった。舞は既にチェックインしてあるので二人はそのまま部屋へと入った。舞の荷物が置いてある部屋はダブルベッドの他には小さな応接セットが置いてあり、ビジネスホテルにしては広めで明るい雰囲気の良い部屋だった。 「へぇ、確かにちょっと高級な部屋だね」 「ゆっくりしましょう」 「うん、綺麗な部屋だからたっぷり順に楽しんでいこう」 「・・・・一緒に・・・・」 「もちろん」 舞は部屋に入ると直ぐにサマースーツを脱いでハンガーに掛けると、振り返って宏一の首に手を回してきた。そのまま二人は静かにキスを楽しむ。 「やっと帰って来れた」 唇を離した舞はそう呟くと、更にもう一度キスをねだって来た。舞の身体は本当に細い。結衣も細いが、子供っぽいながらもバランスの取れた細さの結衣とは違って舞は全てが細い。 「シャワーを浴びさせて」 「一緒に浴びようか」 「だめよ」 舞はそう言うと一人でシャワーを浴びに行った。宏一は舞が宏一のために喫煙室にしてくれたのを感謝しながら一服し、バスタオル姿で出てきた舞と入れ替わりに軽くシャワーを浴びた。そして宏一が出てくると、部屋の灯りは落としてあり、結衣は部屋着姿で宏一を待っていた。 腰にバスタオルを巻いた宏一が舞を軽々と抱き上げると、舞は宏一の胸に頭をくっつけて甘えてきた。 「ちょっと待って、あれを・・・・荷物の中にあるの・・・・」 舞はそう言うと、荷物の中から宏一から貰ったロケットバイブを取り出した。 「感じないと・・・・嫌だから・・・・・」 そう言い訳をする。 「もう要らないんじゃ無いの?」 前回のことがあるので宏一が聞くと、舞は小さな声で言った。 「確かめて」 舞はそう行って宏一をベッドに誘った。それから二人はたっぷりと時間を掛けてディープなキスを楽しんだ。舞は首筋を舐められながら軽く喘いでいた。 つづく バックナンバーサイト http://shojyonovels.is-mine.net/ バックナンバーはMailuxにアクセスして http://www.mailux.com/ 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