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タイトル:jSj Vol. 189 『2019年スイス連邦議会選挙から連邦評議員選挙まで』  2019/12/22


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★ jp-Swiss-journal - Vol. 189 - December 21, 2019 (Swiss Time)

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  【 目次 / INDEX / INHALTSVERZEICHNIS 】


 【J】 2019年連邦議会選挙から連邦評議員選挙まで

                    明子 ヒューリマン

 【E】 From the General Parliamentary Election to
    the Federal Government Election in 2019

                    Akiko Huerlimann


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        2019年連邦議会選挙から連邦評議員選挙まで

                    明子 ヒューリマン


投票日当日の10月20日(日)正午には、公共放送SRFが早々と出口調査の速報
から選挙結果を報じ始めた。国民議会(下院)の200議席は即日決着した。
だが、全州議会議員の46議席中14のカントンの22議席で、候補者が必要な過
半数以上の得票を獲得出来なかった。その為各カントンで順次決選投票が行
われ、全ての議席が判明したのは11月25日になってからだった。両院の全議
席が確定後、12月11日の両院議員総会で連邦評議員選挙(連邦政府閣僚)が
行われた。この間政界では熾烈な駆け引きが行われた。この経緯を順に追い
乍ら、今回の選挙を振り返ってみよう。

■「国民議会議員」(Nationalrat):*1)
政党別議席獲得数の結果は増加順に以下の様に決着した。投票率は46%と前
回より低くかった。

左派の緑の党(GPS)が28議席(+17議席)
保守系グリーン・リベラル(GLP)が16議席(+9議席)
保守系福音派政党(EVP)が3議席(+1議席)
左派の社会民主党(SP)が39議席(-4議席)
財界が支持基盤の自由民主党(FDP)が29議席(-4議席)
保守系中道政党(BDP)が3議席(-4議席)
キリスト教中道保守のキリスト教民主党(CVP)が25議席(-2議席)
最大保守政党スイス国民党(SVP)が53議席(-12議席)
諸派が4議席(+1)

SVPだけが「難民問題」と「EU問題」を争点にし、他党は「気候問題」を最
大の争点にして選挙戦を戦った。結果17議席を失ったSVPだが、党首のアル
ベルト・ロスティは最高得票数を得て、党首続投が支持された。

従来から環境問題を中心に取り組んで来た緑の党と緑の党から右寄りにスピ
ンオフしたグリーン・リベラルが、時の追い風を受けて大躍進した。緑の党
を大勝利に導いたレグラ・リッツ党首を、「一夜にして世界に知られた」と
メディアは評した。

この緑の風は、SPの当選議員の数を減らしたと見られている。ベルンでは労
働組合員のコッラード・パルディーニとアドリアン・ヴュートリッヒが議席
を失い、連邦議会での労働組合の代弁者が1人になってしまったことは労組
にとって大きな痛手になると、衝撃を持って受け止められた。

FDPはペトラ・ゴッシ党首が、選挙間近に突然環境問題を選挙のテーマにし
た為か支持を減らした。大手企業が主要な支持基盤の政党なので、支持者は
矛盾を感じた可能性がある。

中道保守のキリスト教民主党CVPも議席を減らした。クリストフ・ダルベレ
前党首が議会でしばしばSPと結託した事から、伝統的な支持者から信頼を失
い、ゲアハルト・プフィスター現党首が路線を模索している途中だった。家
族の党を標榜してきた同党だが、昨今教会離れが進む時世と相まって、党の
立ち位置を左右どちらに軸足を置くか、悩ましい選択を迫られる事態が続き
そうだ。

候補者数が4,600人と史上最多となり、女性候補も過去最多の40.3%の選挙
戦となった。 *2) 当初、盛り上がりが低調と言われていた今回の選挙だっ
たが、「全国女性ストライキ」と「気候デモ」で若者が政治参加に目覚めた
結果、様々な変化をもたらした。

従来、政党の候補者リストに選ばれる為には知名度が重要で、女性と若者は
党の推薦を受けにくく不利と言われていた。気候テーマで若者の投票が期待
されているにも拘らず、と評されたものだ。しかし、結果は気候運動で若者
達が突然政治に参加し始めて票を左右し、30代が4人も当選した。女性も過
去最多当選を果たし、男性はエスタブリッシュメントでさえ落選した。選挙
前には、女性候補で無ければ当選出来ないと言われる事さえあった。

では、女性議員が大量当選した経緯を見てみよう。
2014年、フラヴィア・クライナーとラウラ・ツィンマーマンの2人の女性が、
「Operation Libero」の政治運動を創設した。SVPを標的にする政治運動と
報じられていたが、確かに2人共FDPの政治家の家の出だとウィキペディア
に書かれている。*3) 彼女達は「反大量移民のイニシアティブ」他のSVPの
政策への反対を主導し、寄付金の目標をCHF 2mioに掲げた。多くは個人献
金で、1人CHF400,000の献金があったと言うが、運動で透明性を主張してい
るにも拘らず、出所は明らかにしていない。

2019年6月14日金曜日にスイス全土で「女性のストライキ」が決行された。
*4) これを主導したのが件の「Oprtation Libero」だった。報道では、「一
体どこからこれ程の群衆が涌いてきたのか?」と報じられたのを記憶してい
る。主催者側によると、50万人以上の参加者がストの呼びかけに応じて、「
もっと給料を、もっと時間を、もっと尊重せよ」と声を上げた。*5)

その後、「Helvetia ruft!(ヘルヴェティアが叫ぶ)」と言う名称で、「テ
ィーム・ヘルヴェティア」が結成された。*6) 超党派の女性連邦議会議員も
名を連ね、各界で活躍する女性達が2019年の総選挙で女性候補を増やすよう
求める運動を開始した。*7)

2019年8月29日付ターゲス・アンツァイガー紙が、「Operation Libero」の
選挙戦の手法を批判する記事を書いた。 *8) 「リベロ運動は、超党派の特
定の役職に就いている候補者の支持を約束している。彼らの運動の政治的立
場は、強力な企業団体の立場と一致している」、と報じたのだ。つまり、大
企業が後ろ盾のFDPが、中小企業が支持基盤のSVPを狙い撃ちする選挙戦と言
えるものだった。そして多くの女性が「Ruf der Helvetia」に参画した。*9)
NZZ紙は、各政党が増やした女性候補の数を報じた。*10)

2019年10月21日付ターゲス・アンツァイガー紙は見出しに、「ヘルヴェティ
アが呼びかけ、勝った」と報じた。*11) GLPのカトリン・ヴェルチ国民議会
議員もヘルヴェティア運動を主導した1人だ。 *12) 国民議会は緑化し女性
化して左派が強力になった、と報じられた。しかし、ヘルヴェティア運動は
「気候問題」と「女性の待遇改善」を上手く結びつけた戦略で、女性と若者
の支持を勝ち取ったが、実態は本当にそうなのかリーダー達のバックグラウ
ンドを見る限り疑問の余地があると見た。

■ 全州議会議員(Staenderat):*13) 
全州議会の候補者はカントンを代表するので、政党ではなく個人が重視され
る。そうは言っても、連邦政府閣僚選の際には政党の一員として投票し、党
勢の趨勢を担う。 全州議会の女性議員の割合は倍増する可能性があるとタ
ーゲス・アンツァイガー紙は報じ、結果は7議席から12議席になった。*14)

国民議会議員に選出された緑の党のRegula Rytzレグラ・リッツ党首は、全
州議会議員選挙にもベルンから立候補したものの落選した。

SPのクリスティアン・レブラ党首が1回目まさかの過半数を得られず、決選
投票で危うく選ばれた。2008年3月以来党首の座に在ったが今回の選挙の敗
北で、党内では次期党首の話題が取り沙汰され始め、党首辞任に追い込まれ
た。

CVP会派会長で20年間ティチーノの全州議会議員を務めたフィリッポ・ロン
バルディが、僅差で落選の憂き目に遭った。スイスでは余りに長過ぎる在任
期間は歓迎されない風潮がある。これをドイツ語では「Sesselkleber(椅子
の接着剤)」と揶揄する。

国民投票「反高額報酬」を発議して勝利し名を挙げた全州議会議員トーマス
・ミンダー (SVP会派)は無所属乍ら、依然高い支持率を維持した。

全州議会は、議会の論争や個別の議員へのインタビューも殆ど報じられない
事が注目され、沈黙の議会と称された。*15) 今後は情報開示を進めるべき
との議論が浮上している。

■ 上下両院議長選出:
12月2日、改選後初の両院の「冬季会期」が始まった。*16) 70名以上の新人
議員が誕生したのは史上初と報じられた。国民議会議長には、ヴォー選出の
イザベル・モレ (FDP) が史上最高となる198票中193票の有効票を得て選
出された。*17) 彼女は国民議会議員として13年の経験がありながら、2017
年の連邦評議員選挙では、イグナツィオ・カシスに敗れた。*18) 2008年以
降納税納税案内を受け取っていないことが、ターゲス・アンツァイガー紙で
スキャンダラスに報じられ、この事が影響したと言われている。しかし、彼
女は今回その時以上の支持票を得て、1年任期ではあるが議会最高位に就い
た。 全州議会議長にはベルン選出のハンス・シュトックリ(SP)が選ばれ
た。 

■ 連邦評議員選挙(スイス政府閣僚):*19)
2019年12月11日、朝7時から「両院議員総会」がが始まり11時に終了した。
いつもの事ではあるがこれ程時間が掛かったのは、7名の連邦評議員(連邦政
府閣僚)の信任投票が1人1人順に行われるからだ。結果は、これまでの連
邦評議員全員が再選された。SRFラジオは「安定を求めた結果」だと連呼し
た。

7人の各得票数は次の通り。*20)
ヴィオラ・アムヘルド (CVP): 218票
アラン・ベルゼ (SP): 214票
ウエリ・マウレル (SVP): 213票
シモネッタ・ソンマルーガ (SP): 192票
ギー・パルメラン (SVP): 191票
カリン・ケラー=スッター (FDP): 169票
イグナツィオ・カシス (FDP): 145票
注) レグラ・リッツ (GPS) はイグナツィオ・カシスに挑んだが、82票の獲
得に止まった。

議員数の割合でSPとFDPが各2人の連邦評議員を擁しているのは多過ぎると、
多数派工作が活発化した。メディアは「権力のカルテル」と称した。今の勢
いを逃すまいと緑の党のレグラ・リッツ党首は、イグナツィオ・カシス外相
に対抗して立候補したが、期待したGLPの支持は得られなかった。GLPのユル
ク・グローセン党首は、党は環境問題だけを掲げているわけではないので自
由投票にした、とラジオのインタヴューで述べた。一方、SPのレブラ党首は
CVPのピフィスター党首に、リッツ党首を支持すればCVPのアムヘルドを支援
すると、脅し作戦で持ちかけた。CVPはSPの要請を拒否し、連邦評議員の任
期を最長2期8年にする提案を示唆した。

緑の党のレグラ・リッツを閣僚に入れることで、スイス政府が大きく左傾化
するのを避けたいという大勢の思惑が通ったと評された。2019年12月19日号
の「Die Weltwoche誌」は、新しい気候政策を求めて2019年9月28日、ベルン
の連邦議会前に10万人が集まったが、”Keine Macht der Strasse”と書い
た。直近のラジオインタヴューでも、緑の党には未だ明確な環境政策もロー
ドマップも無い事が露呈した。スイス政府の椅子取りゲームはこれで終わり
とはならず、所管するポストを変える動きが出た。イグナツィオ・カシスを
外相から他の担当に代えようと画策する動きが水面下で起きていると伝えら
れたが、実現はしなかった。

■ 総論:

スイスの連邦議会議員は名誉職(Milizparlament)という位置づけで、本業
の傍ら国に奉仕するのが建前だ。*21) 議員職は原則パートタイムながら仕事
が増大する今日、他の仕事との併用は難しいと政治家は訴える。歳費は十分
税金から支払われている。*22) 課題にすべきは、議員と連邦議会に出入り
するロビイストの接触が不透明なままだという現状だ。選挙の大キャンペー
ンの資金も何処から出ているのか依然不明だ。有権者のデータ収集について
も、データの購入が取り沙汰され、各党の取り組みが話題に上った。ポスト
がデータを売っている可能性が指摘され、これは政党の個人情報保護違反と
称された。

個人的には、ターゲスアンツァイガー紙のフィリップ・ローザー編集委員の
論評に一目置いている。「一時的風潮で勝利した緑の党と左派政党は、生活
水準の高いスイスで、これから不人気な政策をどう進めるのか?」と問うて
いる。12月2日に始まった連邦議会の「冬季会期」は12月20日に終了。
*23) 緑の党が勝利の陶酔感に浸ったのも束の間、緑の嵐の沈静化を見届け
て今年は終えそうだ。緑の党の真価も他党の趨勢も4年後の選挙で明らかに
なる。


【 参照 】

*1) 国民議会議員選挙結果:
https://www.ch.ch/en/elections2019/aggro-results/all-the-members-elected-to-the-national-council/
*2) 国民議会議員に4,600人の候補者:
https://www.srf.ch/news/schweiz/wahlen-2019/wahlen-2019-diese-4600-kandidierenden-wollen-in-den-nationalrat
*3) リベロ運動: https://de.wikipedia.org/wiki/Operation_Libero
*4) 女性のストライキ: https://www.14juni.ch/
*5) これが2019年スイスの女性ストライキ:
https://www.srf.ch/news/schweiz/protokoll-zum-nachlesen-das-war-der-schweizer-frauenstreik-2019
*6) ヘルヴェティアが叫ぶ!: https://www.helvetia-ruft.ch/
*7) Helvetia ruft by SRF:
https://www.srf.ch/play/tv/news-clip/video/helvetia-ruft?id=bb016fb0-87ed-4de5-9517-f6f2a22b85a2
*8) Operation Liberoの選挙手法に批判:
https://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/standard/kritik-an-wahlkampfmethoden-von-operation-libero/story/17790831
*9) 「ヘルヴェティアの呼びかけ」に多数の女性が呼応:
https://www.srf.ch/news/schweiz/wahlen-2019/wahlen-im-herbst-mehr-frauen-folgen-dem-ruf-der-helvetia
*10) 2019年選挙: 政党がかつてない程女性の公認候補者を擁立:
https://www.nzz.ch/schweiz/frauenrutsch-zeichnet-sich-bei-wahlen-2019-ab-ld.1503009
*11) ヘルヴェティアが呼びかけ、そして勝った:
https://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/wahlen/helvetia-hat-gerufen-und-gewonnen/story/13696627
*12) カトゥリン・ベルチ:
https://de.wikipedia.org/wiki/Kathrin_Bertschy
*13) 2019年全州議会議員選挙結果:
https://www.ch.ch/en/elections2019/aggro-results/all-the-members-elected-to-the-council-of-states/
*14) 全州議会の女性議員倍増か:
https://interaktiv.tagesanzeiger.ch/2019/prognose-staenderatswahlen/?nosome
*15) 静かな院不明瞭な院:
https://www.dasmagazin.ch/2019/10/04/stille-kammer-obskure-kammer/
*16) 冬季会期:
https://www.srf.ch/news/schweiz/auftakt-zur-51-legislatur-mit-ueber-70-neuen-koepfen-in-die-wintersession
*17) 国民議会議長にイザベル・モレ:
https://www.srf.ch/news/schweiz/isabelle-moret-gewaehlt-statt-bundesraetin-jetzt-hoechste-schweizerin
*18) イグナツィオ・カシス: https://en.wikipedia.org/wiki/Ignazio_Cassis
*19) 連邦評議員選挙(スイス政府閣僚):
https://www.admin.ch/gov/en/start/federal-council/election-federal-council.html
*20) 2019年12月11日連邦評議員選挙得票結果:
https://www.parlament.ch/de/%C3%BCber-das-parlament/archiv/wahlen-im-rueckblick/bundesratswahlen/2019-12-11
*21) パートタイム連邦議会(Milizparlament):
https://www.parlament.ch/de/%C3%BCber-das-parlament/parlamentsw%C3%B6rterbuch/parlamentsw%C3%B6rterbuch-detail?WordId=141
*22) 連邦議員の報酬:
https://www.ch.ch/en/demokratie/swiss-parliament/salary-of-the-members-of
*23) 2019年連邦議会冬季会期:
https://www.parlament.ch/agenda/Pages/wintersession-2019.aspx

注) 連邦議会会派の省略名/Abkürzungen der Fraktionen:
https://www.parlament.ch/de/%C3%BCber-das-parlament/parlamentsw%C3%B6rterbuch/abkuerzungen


【 編集後記 】

今回は折々のメモを頼りにしたが、選挙から一連の政界の動きが途切れなく
続き、連邦評議会選まで通しで綴ることにした。安定した治世を誇るスイス
だが、国民の監視が効いていたからこそ維持してこれた。しかし、改善すべ
き課題は絶え間なく出てくる。政治を監視するという事は、相当な時間と労
力が必要である事を改めて実感した。

 今年もお付き合い頂き有難うございました。
 良い年をお迎えください。


□━━━━━━━━━━━━【 English 】━━━━━━━━━━━━━□


    From the General Parliamentary Election to
    the Federal Government Election in 2019.

                    Akiko Huerlimann


At noon on October 20, 2019 (Sunday) on the day of the vote, the
public broadcaster SRF began to report the election results based
on exit polls. 200 seats of the Federal Assembly (Nationalrat) were
elected on the same day. However, out of the 46 seats in the Council
of State (Staenderat), there were 22 candidates in 14 Cantons, who
could not get the necessary absolute majority of the votes in the
first ballot. Thereafter, final votes were taken place by each
Canton one after another, then all seats were occupied on November
25. After all seats in both Parliament Houses were finalized, on
December 11, 2019, the United Federal Assembly elected the Federal
Government (Bundesrat). During that period, fierce bargains were
taken place in the political world. Let's look back at this
election, following this process in order.

■ National Council (Nationalrat): *1)

Results: the number of seats obtained by each political party listed
up as follows in winning order. The turnout of voters was at 46%,
lower than last time. 

GPS-Green Party of Switzerland: 28 seats (+17 seats)
GLP-Green Liberal Party: 16 seats (+9 seats)
EVP- Evangelical People's Party of Switzerland: 3 seats (+1 seat)
SP-Social Democrats: 39 seats (-4 seats)
FDP- The Liberals: 29 seats (-4 seats)
BDP- Conservative Democratic Party of Switzerland: 3 seats (-4 seats)
CVP-Christian Democrats: 25 seats (-2 seats)
SVP-Swiss People's Party: 53 seats (-12 seats)
Others: 4 seats (+1 seat)

Only the SVP-party tackled the election campaign with the "Refugee
issue" and the "EU issue"; other parties campaigned with the
"Climate issue" as the biggest matter. As a result, the SVP lost 12
seats, but Albert Roesti, the Leader of the SVP-party, won the
highest number of votes Switzerland-wide as Parliamentarian and was
accepted to stay in his post. 

The Green Party, which has traditionally worked on environments
issues, and the Green Liberal Party, which has spun off from the
Green Party to the right, have achieved a great victory thanks to
tailwind of the times. Media described Regula Rytz who led the Green
Party to a big victory, "She has become known to the World
overnight".

This Green wind is believed to have reduced the number of SP-
representatives. A shock in Berne, Corrado Pardini and Adrian
Wuethrich, two trade union members lost their seats, and as a
result, the labor union advocates in the Federal Parliament became
only one person that is the biggest pains for the labor unions.

The FDP-party has declined in support, because Petra Goessi, the
Party Leader, has suddenly made the environmental issue an election
topic. The FDP-party is mainly supported by major enterprises,
their supporters may have felt inconsistencies.

CVP-Christian Democrats of center conservative party also reduced
the number of representatives. Christophe Darbellay, ex-Party
Leader, occasionally collaborated with the SP to run the parliament,
then lost the trust from traditional supporters; Gerhard Pfister,
the present Party Leader, is exploring the route. CVP-party
advocated itself as family party, but coupled with the temporary
phenomenon, when people leaving the church, it seems that the party
will continuously face a difficult choice as to whether to place the
party more right or left.

The number of candidates for Parliament reached 4,600, the highest
in the history, and the number of female candidates was 40.3% also
the highest ever. Initially, the election of this time was said to
be sluggish. but it brought various changes as a result of the
"National Women Strike" in June 2019 and young people were waken up
to politics by "Climate Demonstrations".

It's said that traditionally women and young people may be
disadvantaged and they are less likely to be recommended by a
political party, because name recognition is important for being
selected on a party list as candidate. It was mentioned like that
despite the expectation that young people should go for voting due
to climate issues. However, then young people suddenly started to
participate in politics through the climate movement and the
national vote was affected, resulting in the election of four new
parliamentarians in the 30's. The number of women elected was also
the highest ever, and even some political establishment men lost.
Before the national election, it was even said that candidates must
be female otherwise they cannot win.

Let's take a look at the approach why so many women were elected.
In 2014, two women, Flavia Kleiner and Laura Zimmermann, founded the
political movement called "Operation Libero". It was reported that
its political activities have so far targeted against the SVP-party;
actually, according to Wikipedia, both of them come from political
families with an FDP-party background. *3) They led the campaign
against political initiatives of the SVP-party, such as "Against
Mass-Immigration", aiming to collect CHF 2 Mio. in donations. Many
were individual donations, but there was a single CHF 400,000
donation by one person, however, the origin was not disclosed by
"Libero" despite the movement's claim of transparency.

On Friday, June 14, 2019, a "Women's Strike" was conducted
throughout Switzerland. *4) It was led mainly by the "Operation
Libero". I remember reports by media "Where did that crowd comes
from?" According to organizers, more than 500,000 participants
demonstrated and calling slogans "More Pay, More Time, more
Respect". *5)

Later, "Team Helvetia" was established with the name of "Helvetia
ruft!" (Helvetia is Calling). *6) Women who are active in various
fields, including bipartisan female parliamentarians, started a
campaign to increase the number of women candidates in the 2019
general election. *7)

On August 29, 2019, Tages-Anzeiger wrote an article criticizing the
method of election campaign by "Operation Libero". *8) "The Libero
Movement" promised to support candidates in certain positions and
non-partisan groups. The political position of their movement is
consistent with a strong business association." In other words, the
election campaign of the FDP-party is supported by major companies
targeting against the SVP-party, whereas the SVP-party is backed by
small and middle-sized firms. Then, many women participated and
followed the group "Helvetia is Calling". *9) The NZZ reported that
the number of female candidates had increased at each political
party. *10)

Tages-Anzeiger, dated October 21, 2019, reported with the headline
"Helvetia called and won". *11) National Council parliamentarian
Kathrin Bertschy of GLP-party initiated the Helvetia movement too.
*12) Media reported that the National Parliament will become Green,
feminized, and the left group will become strong. However, the
Helvetia movement won the support of women and young people with a
strategy that successfully combined "Climate Issues" and
"Improvement of Women Treatment", but as far as the background of
the leaders is concerned, I saw that there is room for doubt.

■ Staenderat (Council of State):*13)

The candidates for the Council of State represent the Cantons,
therefore, the individual counts rather than the political party.
However, for the election of the members of the Federal Government,
they vote as members of their own political party, and are
responsible to the party's trend. Tages-Anzeiger reported that the
proportion of females in the Council of State could double; the
results showed an increase from 7 to newly 12 seats. *14)

The Leader of the Green Party, Regula Rytz, who was elected as
National Councilor parliamentarian already, still candidated in the
Canton of Berne for the Council of States, but was not elected.

SP's party leader, Christian Levrat was unexpectedly unable to get
an absolute majority of votes in the first round of election, he was
then eventually elected in the second round of election. He has been
the party leader of the SP since March 2008, the loss of seats at
the present election has led to discussions about a new leader of
the party, and Levrat was quasi forced to resign from his post as
party leader.

Filippo Lombardi, up to now CVP's faction President who served as
Ticino's member of the Council of State for 20 years, was defeated
by a very narrow number of votes. There is an unwelcome trend in
Switzerland against politicians staying too long on their posts;
people call them "Sesselkleber" in German.

Thomas Minder, non-party, associated to the SVP-faction, who rose to
prominence by initiating and winning the popular vote "Against
corporate Rip-offs", although independent, but still maintained a
high level of support.

The Council of State was referred to as the "Parliament of Silence",
there were almost no reports of parliament disputes or interviews
with individual members. *15) Discussions have emerged that
information disclosure should be promoted in the future.

■ Chairman elections of both Chambers of Parliament:

On December 2, parliament activities started in both chambers, for
the first time after the election, and the winter session began.
*16) It was reported that for the first time ever, more than 70 new
members were at parliament. For the post of National Council
Chairman, Isabelle Moret (FDP) from Vaud was elected with 193 out of
198 valid votes, the highest ever. *17) Although she has 13 years of
experience as National Councilor, Moret lost to Ignazio Cassis in
the election to the Federal Government in 2017. *18) Tages-Anzeiger
reported that it is scandalous that Moret has not received a
definitive tax disposal (tax invoice) since 2008; this matter is said
to have affected her candidature in 2017. However, she got more votes
this time, taking over the highest position in Parliament for one
year. As Chairman of the Council of State, Hans Stoeckli (SP) from
the Canton of Berne was elected.

■ Federal Councilor Elections (Swiss Government Members): *19)

On December 11, 2019, the United Federal Assembly of both Chambers
of Parliament began at 7 a.m. and ended at 11 a.m. It took so long
as usual, because the election (Vote of Confidence) of seven Federal
Councilors (Federal Government Ministers) was held one by one. The
results were that all present Federal Councilors were re-elected.
SRF-Radio repeatedly reported "a result for stability".

The number of votes for each of the seven Government Members were as
follows: *20)

Viola Amherd (CVP): 218 Votes
Alain Berset (SP): 214 Votes
Ueli Maurer (SVP): 213 Votes
Simonetta Sommaruga (SP): 192 Votes
Guy Parmelin (SVP): 191 Votes
Karin Keller-Sutter (FDP): 169 Votes
Ignazio Cassis (FDP): 145 Votes
Note: Regula Rytz (GPS) challenged Ignazio Cassis, and received only
82 Votes.

Considering the number of parliamentarians, the parties SP and FDP
have two Federal Councilors (Government Members) each, that is
excessive, the "Numbers Game" was activated. The media refer to it as
a "Cartel of Power". Regula Rytz, the Green Party Leader, tried to
catch the momentum of the present and ran as candidate against
Ignazio Cassis (FDP), however, Rytz couldn't get even enough support
from the GLP-party as she hoped. The GLP-party Leader, Juerg Grossen
explained in a radio interview that his party does not just
concentrate on "Environmental Issues", therefore, the GLP-party
declared a free vote. On the other hand, the SP-Leader Levrat urged
Pfister, the CVP-Leader that if the CVP-party supports Ritz, then SP
will also support Amherd of the CVP-party, a kind of scare tactics.
The CVP rejected the request of SP, suggesting a new proposal for a
term-of-office limit for Federal Councilors (Government Members)
such as, not longer than 8 years, that is two terms of office.

It was reported of speculations that the majority wanted to avoid a
too clear leftward shift in the Swiss Government, which had
happened by including the Green Party Regula Rytz in the Swiss
Cabinet. "Die Weltwoche" published on December 19, 2019 wrote that
"Keine Macht der Strasse (No Power of Street)", even though 100,000
people gathered in front of Berne's Parliament Building, demanding a
new climate policy on September 28, 2019. A recent SRF-Radio
interview revealed that the Green Party still has no clear
environment policy or roadmap. This isn't the end of the "Swiss
Government Chair taking Game", reportedly there is a movement under
the surface, which plans to move Foreign Minister Ignazio Cassis to
another department (Cabinet Reshuffle), however, it was not realized.

■ General Remarks: 

Swiss Parliamentarian is considered a honorary position (Miliz-
Parlament), serving its own country in addition to one's main
business or job. *21) Parliamentary positions are part-time jobs in
principle, but politicians argue that it is difficult to combine it
with other jobs nowadays, as the political work load has increased.
Their annual remuneration is adequate and paid by Taxes. *22) It is
reported that the relationship between lawmakers and lobbyists,
which haunt the Federal Parliament, is vague. It is still unclear
where the funding for big election campaigns comes from. Regarding
to the data collection of voters, the purchase of data by each
political party was talked about. The possibility that Swiss Post is
selling data is pointed out, which is said to be a violation of the
protection of personal information by the political parties.

Personally, I respect the commentary of Mr. Philipp Loser, Editor of
Tages-Anzeiger. He questioned "How will the Green and left-wing
parties, which have won the election based on a temporary trend be
able to promote an unpopular policy in Switzerland, where Citizens
enjoy a high standard of living?" The Parliamentary "Winter
Session" began on December 2, and ended on December 20. *23) The
Green Party basked in passing moments in the euphora of victory,
however, the green storm is likely to subside by this year. The true
value of the Green Party and the trends of the other parties will be
proved in the next election, four years later.


 [Reference] 

*1) National Council election results: Who are the 200 candidates
elected to the National Council on 20 October 2019?
https://www.ch.ch/en/elections2019/aggro-results/all-the-members-elected-to-the-national-council/
*2) These 4,600 Candidates want to be National Councilor:
https://www.srf.ch/news/schweiz/wahlen-2019/wahlen-2019-diese-4600-kandidierenden-wollen-in-den-nationalrat
*3) Operation Libero: https://de.wikipedia.org/wiki/Operation_Libero
*4) Swiss Women Strike: https://www.14juni.ch/
*5) That was Swiss women's strike in 2019:
https://www.srf.ch/news/schweiz/protokoll-zum-nachlesen-das-war-der-schweizer-frauenstreik-2019
*6) Helvetia calls!: https://www.helvetia-ruft.ch/
*7) Helvetia calls by SRF:
https://www.srf.ch/play/tv/news-clip/video/helvetia-ruft?id=bb016fb0-87ed-4de5-9517-f6f2a22b85a2
*8) Criticism of Operation Libero's campaign methods:
https://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/standard/kritik-an-wahlkampfmethoden-von-operation-libero/story/17790831
*9) More women follow 「Helvetia's call」:
https://www.srf.ch/news/schweiz/wahlen-2019/wahlen-im-herbst-mehr-frauen-folgen-dem-ruf-der-helvetia
*10) Election 2019: how the parties push their women to the candidate list:
https://www.nzz.ch/schweiz/frauenrutsch-zeichnet-sich-bei-wahlen-2019-ab-ld.1503009
*11) Helvetia has called and won:
https://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/wahlen/helvetia-hat-gerufen-und-gewonnen/story/13696627
*12) Kathrin Bertschy:
https://de.wikipedia.org/wiki/Kathrin_Bertschy
*13) Council of States: election results: Who are the 46 candidates elected to the Council of States in 2019?
https://www.ch.ch/en/elections2019/aggro-results/all-the-members-elected-to-the-council-of-states/
*14) The proportion of women in the Council of States could double:
https://interaktiv.tagesanzeiger.ch/2019/prognose-staenderatswahlen/?nosome
*15) silent-chamber-obscure-chamber:
https://www.dasmagazin.ch/2019/10/04/stille-kammer-obskure-kammer/
*16) Winter Session:
https://www.srf.ch/news/schweiz/auftakt-zur-51-legislatur-mit-ueber-70-neuen-koepfen-in-die-wintersession
*17) Isabelle Moret was elected:
https://www.srf.ch/news/schweiz/isabelle-moret-gewaehlt-statt-bundesraetin-jetzt-hoechste-schweizerin
*18) Ignazio Cassis: https://en.wikipedia.org/wiki/Ignazio_Cassis
*19) Federal Council election:
https://www.admin.ch/gov/en/start/federal-council/election-federal-council.html
*20) Overall renewal election from December 11, 2019:
https://www.parlament.ch/de/%C3%BCber-das-parlament/archiv/wahlen-im-rueckblick/bundesratswahlen/2019-12-11
*21) militia Parliament:
https://www.parlament.ch/de/%C3%BCber-das-parlament/parlamentsw%C3%B6rterbuch/parlamentsw%C3%B6rterbuch-detail?WordId=141
*22) Salary of the members of parliament:
https://www.ch.ch/en/demokratie/swiss-parliament/salary-of-the-members-of
*23) Federal Parliaments Winter Session in 2019:
https://www.parlament.ch/agenda/Pages/wintersession-2019.aspx

注) Abbreviations of the fractions /Abkürzungen der Fraktionen:
https://www.parlament.ch/de/%C3%BCber-das-parlament/parlamentsw%C3%B6rterbuch/abkuerzungen


 [Editor's Comment]

This time, I relied on occasional memos, but a series of political
movements continued from the election without interruption,
therefore, I decided to write this article up to the election of the
Federal Council (Federal Government). Switzerland boasts with a
stable reign, but has maintained it only because of public
surveillance. But there are constant challenges to improve. I
realized once again that monitoring politics requires to consider
time and effort.

 Dear readers,
 Thank you for your attention this year.
 Have a good New Year.

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