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タイトル:マイファースト&ポピュリズムで“流動化”する世界、日本で目立つ主要TV・新聞・国民の・・・(2/n)  2019/09/14


■マイファースト&ポピュリズムで“流動化”する世界、特に日本で目立つ<主
要TV・新聞・国民>らの「共依存(相互忖度“もたれ&もつれ”合い)」に因る
<想像力>消滅(2/n)

<注>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。https://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2019/09/01/165255
 
 2 コンシリエンス的“想像力”に因るリアリズムの復権と自覚が必須!/ バシ
ュラール「形式的想像力・物質環境的想像力」と深く共鳴するマクダウエル「リ
アリズム倫理学」の核心(第二の自然)
 
・・・その「リアリズム倫理学」の核心は、マクダウエルが“露骨な自然主義と
居丈高なプラトニズムの共犯関係”といみじくも名付けて摘出してみせた、一般
的な「リアリズムに係わる理解の混乱」の問題である!・・・

無論、マクダウエルがここで言う“露骨な自然主義”(マクダウエルが言うとこ
ろの第一の本性、第一の自然)とは、限定的な意味合いで言う、ごく普通の意味
での地球上の自然(環境)だけを指すものではなく、いわゆる唯物論・物的還元
論(ヒトの客観的・科学観察的・経験論的な態度を支持する条件で成立する次元
での対象である「物質世界」(凡ゆる意味での宇宙・世界に内包されるPhysical World)と理解すべきであるだろう。

画像<注>ジョン・マクダウエル/John McDowell(1942‐ )・・・ピッツバ
ーグ大学教授. オックスフォード大学講師を経て 1986年より現職/研究分野は
多岐にわたりプラトン・アリストテレスに代表される古代ギリシア哲学, 倫理学
, 言語哲学, 認識論, 心の哲学,ヴィトゲンシュタイン研究などで大きな影響力
のある論考を発表している。.カント, ヘーゲル研究でも知られるが、日米およ
び欧州などで跋扈するマイファースト・自己責任論・多様性否定主義あるいは表
層的なAI万能論が囃される昨今(関連参照↓ブログ記事★)であるからこそ、そ
のユニークな「リアリズム倫理」(道徳的実在論/自然と対比的に、それを第二
の本性(自然)と位置付ける)が注目されている。つまり、ジョン・マクダウエ
ルは、かつてヒト(人類)が理解していた筈の【根源的かつコンシリエンス的な
“想像力”(人文・科学知の融和・和解的統合)に因るリアリズム】の自覚(復
権)こそが、愈々、必須になると警鐘を鳴らしていることになる(委細、後述)。(マクダウエルのイメージはウイキより)。

★AIの正体を知れば哲学が分かる!上っ面のAI崇拝は豚に真珠/AI批判「知」の “活用”で「ヒトがやるべき仕事」の発見と「壁《AI Vs ヒト》」の切り崩しが
できるhttps://toxandoria.hatenadiary.jp/entry/2019/05/19/040514
・・・
・・・当画像は、http://archive.boston.com/bostonglobe/ideas/brainiac/2011/06/plato_
applied_m.htmlより。

他方、いささか否定的な印象を受ける「居丈高なプラトニズム」(マクダウエル
の用語)も普通に言うところの観念論に止まらず、それはR.ペンローズが言うと
ころの「数学」概念(いわゆる只の非常に優れた計算能力に非ず!)が代表する
「プラトン的イデア世界」Platonic World/第二の本性/但し、一般的には“そ
もそも絶対的・究極的な観念・概念の極致”とされてきたプラトンのイデア)は
、このマクダウエルの実在論(第二の本性)によって、実に見事に自然物質と同
等の実在として逆転・倒置されていることになる。

 そして、一見、これは常識的な意味では奇異に映るかも知れないが、よくよく
考えてみれば、「それは量子力学とニュートン力学(伝統物理学)の統一理論の
存在を探るR.ペンローズの視座(同じく、量子重力理論に至る可能な道としての
ペンローズのツイスター理論)に接近していることが分かる(仮説上の素粒子で
あるgraviton(重力子)は未発見!)」と、理解すべきであるだろう(Cf.R.ペ
ンローズ『心は量子で語れるか‐21世紀物理の進むべき道をさぐる‐(講談社)』)。

 画像<注>ロジャー・ペンローズ(Sir Roger Penrose/1931‐  )・・・イ
ギリス・エセックス州コルチェスター生まれの天才的な数学者、宇宙物理学者、
理論物理学者(画像はウィキより)。

・・・

つまり、「数学・物理学・ヒトの心」の共通原理の解明に挑むR.ペンローズに
因れば、これは一般的な常識には反することのように思われるが、最も厳密な科
学である「抽象数学」(それは生きたヒトの脳内で創生される!)は、如何に高
度AI化・大容量化したコンピュータ上でもプログラムが不可能であり、このこと
はゲーデル不完全性定理の変形で証明される(出典:R.ペンローズ『心は量子で
語れるか』(講談社))。

因みに、巨大量子メモリを持つスケーラブル量子コンピュータ(scalable 
quantum computer)を夢見る研究者の多くにとって、目下のところ、波動関数
(現在では量子論における状態(より正確には純粋状態)を表す複素数値関数の
ことを指す)は言わば量子情報(様々な物理量の確率分布の束)そのものとなっ
ているようだ(出典 ⇒ http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/05/094917)。
 
しかし、R.ペンローズ『心は量子で語れるか』(講談社)によれば、量子論・数
学論の立場からヒトの思考や意識の特色を探り、それらを前提に「物質から精神
が生じるさま」の説明を試みるペンローズは意識の生ずる場所として生体中の微
小管(microtubule)をその候補に挙げている。しかし、それに止まらず量子力
学を用いて説明できる現象が我われの周囲に偏在していると主張している。

以下にその事例サンプルを纏めておく。要は、量子力学の重要な意義と役割は、
我われが生きる日常生活の至る処に偏在しており、決して一般に広く信じられて
いるような意味に留まるものではなく、ましてやそれがスケーラブル量子コンピ
ュータ計算の専従ツールなどに特化すべきものではない!ということだ。
 当microtubuleの画像は、https://dev.biologists.org/content/144/17/3012?rss=1 より。

<注>生体中の微小管(microtubule)・・ 微小管は真核生物における主要な
細胞骨格の一つ。チューブリン(分子量約5万のα-チューブリンとβ-チューブ
リンがあり、これらが1個ずつ結合したチューブリンダイマー(d−ダイマー/血
管損傷からの止血作用として形成されるフィブリン血栓から派生する作用/なお、
ダイマーは化学分子構造的にサブユニットがカップリングしたものであり、3‐
ダイマー、4−ダイマーも存在する)が直線上に重合し微小管のプロトフィラメ
ントを構成する)のヘテロダイマーを基本構成単位とする中空の円筒状線維で、
外径は約25 nm。重合と脱重合を繰り返す非常に動的な構造物で、細胞の形態維
持や変化、細胞分裂、細胞内物質輸送、鞭毛や繊毛の運動等の多様な細胞機能に
重要な役割を果たしている。さまざまなタンパク質と結合したり、翻訳後修飾を
受けたりすることにより、その構造や動態が調節され、多様な機能を発揮する
(出典 ⇒ https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E7%AE%A1)。

(我われの周囲に偏在する量子力学を用いて説明できる現象・事象のサンプル)

原子の安定性・・・古典的な説明では、電子が原子核に落下するはずであり、安
定した原子は存在するはずがない。

スペクトル線・・・原子の中には量子化されたエネルギーが存在し、その準位間
で電子が遷移すると、正確に定義された波長を持つ輝線が観測される。
化学的な力・・・分子を統合させる力は、量子力学的な性質を持っている。

黒体放射・・・黒体放射(https://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/68303163.html)のスペクトルは、
その放射自体が量子化されるときにのみ理解される。

遺伝の信頼性・・・これは、DNAの分子レベルにおける量子力学に依存して
いる。

レーザー・・・レーザーの働きは、分子の量子力学的な状態間における励起した
量子遷移の存在と、光の量子的性質に依存している。
超伝導と超流動・・・これらは非常な低温で起こる現象だが、様々な物質中に存
在する電子と電子の間(および他の素粒子との間)の、遠距離量子間相関に関係
している。

・・・

・・・当画像は、https://news.mynavi.jp/photo/article/20100208-a061/images/011l.jpg より転載。
なお、著書『心は量子で語れるか』(講談社)のなかでR. ペンローズは量子力
学がいかに古典物理学と異なるかの典型的な事例(量子力学のミステリー)とし
て以下の二つ、A【量子論的非破壊検査(量子的爆弾検査問題)の限界?】とB
【量子的非局所性(量子もつれ)を利用した量子テレポーテーションの限界?】
を挙げている(ペンローズはAについて、それは古典物理で言えば零位測定(零
位法/天秤や電位差計と同じ考え方による測定方法)に相当する、とも述べる)。

それは、これら両者が共に現実的な意味で(実用の面で)は信頼性が未だ十分に
確保されたとは言い難いからである(個々の説明にあるとおり、夫々は研究手法
の側面で様々な改良・工夫が行われているが・・・)。
 ・・・当イメージ画像はwikiより。

 A【量子論的非破壊検査(量子的爆弾検査問題)の限界】現実には理想的な実
験は困難であり、爆弾のときにも弱い干渉が起きる(あるいは、不発弾のときに
も干渉が完全でない)可能性があるため、1個の光子で確実な判定はできない。
しかし、爆発させずに爆弾を選び出す確率を高めるため、偏光面の回転を利用す
ることが提案されている。これによって100%まではいかないがそれに近い確率
が実現されているが、たまには爆発が起こる(だから実用には耐えられない!苦w)。現実の実験では、ミラーに取り付けられた爆弾の代わりに特定のエネルギ
ー準位にある原子などが用いられる(出典:Q&A科学と技術の諸相、http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a97.htm)。
 
・・・当画像はhttps://nazology.net/archives/44167より
 B【量子的非局所性(量子もつれ)を利用した量子テレポーテーションの限界】
(1)先行する論文はチャールズ・ベネットらのものがあるが、2004年に古澤明(現、東大大学院工学系研究科教授)らが3者間での量子テレポーテーション実
験に成功しており、更に2009年には9者間での量子テレポーテーション実験を成
功させたため、これらの実験の成功で量子もつれを用いた情報通信ネットワーク
を構成できることが実証された、とされているが実験の成功率は?

(2)続いて、2013年8月に古澤明(当時、東大工学部教授)を中心とするグル
ープが、完全な量子テレポーテーションに成功したと発表されたが、それは波の
性質の転送技術を改良し、従来の100倍となる61%の成功率であったとされる。
(3)更に、2017年7月には中華人民共和国の研究チームが地上・宇宙間の量子
テレポーテーションに成功したらしいがその実験の成功率は不明?(結局、通信
セキュリティを高めることが目的となるか?/以上、(1)~(3)の出典はウ
イキほか)。

 ・・・

 ・・・当画像は、https://www.gizmodo.jp/2019/04/there-may-not-be-
objective-reality.htmlより。

この点について、R.ペンローズは従来の量子力学の描像には何か物理学上の基本
的な要素が二、三、欠けていると確信しているようだが、ペンローズが期待する
新しい理論には不可欠の要素として「波動関数の収縮」(又は、波動関数の崩
壊)と呼ばれるものが含まれる筈だ。そして、この新しい理論は従来の量子力学
や場の原子論に還元されるべきだが、同時に新しい物理現象の発見をもたらしそ
うでもある。 

<注>量子力学における「波動関数の崩壊 (収縮)」 とは?
・・・初めはいくつかの固有状態の重ね合わせであった波動関数が、(観測によ
って)ある1つの固有状態に収縮(へ崩壊)すること。量子測定の本質をなし、
波動関数と古典的なオブザーバブル(位置や運動量など)との間を繋げるもので
ある。波動関数の崩壊は、量子系が時間発展する2通りの方法の1つであり、もう
1つの方法はシュレーディンガー方程式に従う連続的な時間発展である。
・・・
そして、この理論(ペンローズが期待する、古典物理学と量子力学を統一する新
しい物理現象の発見)の中には重力の量子化(未知の重力子の発見の問題)や初
期宇宙の物理学の問題に関係する解答が眠っているかも知れないし、或いは後述
する<人文・科学知の融和・和解的統合(コンシリエンス/consilience)=堀
田昌寛氏(2019年度: 東北大学, 理学研究科, 助教)が言うところの“波動関数
(量子状態)についての” 実在論的解釈(ontological intepretation)ならぬ
認識論的解釈(epistemological interpretation)の問題>が必然的に深く関わ
ることになるのではなかろうか?

例えば、in vivo(イン・ヴィボ/リアル生命環境内/in vitro(イン\ヴィトロ)は、試験・実験環境内)における「電気化学的勾配によるカルシウム・イオン、
ホルモン・酵素等の“内分泌系”情報伝達物質の脳などにおける移動・伝播、細
胞蛋白質や細胞小器官との間で情報伝達的かつ物理的な橋渡し役を担う細胞骨格
(マイクロフィラメント等(直径で約約5~9nm以下の超マイクロ・スケール!)
の超微細組織)の働き、という驚くべき事実(リアル生命環境内における生命の
姿)はこの新しい理論に深く関わる可能性がある。しかも、それは宇宙規模のブ
ラックホールとも通底する!(ワイル曲率仮説↓☆)

ペンローズ『皇帝の新しい心』(みすず書房)は ホーキングが「ビッグバンとビ
ッグクランチ(無次元の特異点)の相違は前者がワイル曲率の極小で後者は極大
であり、その差こそが重力場のエントロピーの大小を決める決定的要因で宇宙論
的な時間の矢は宇宙の両端の境界条件で定まる」と説いたことを紹介している。 
<参考1>ワイル曲率
・・・R.ペンローズによれば、ワイル曲率はリーマン曲率テンソル(tensor)の
一部で、それは「閉じたフリードマン宇宙」(現時点における宇宙の時空の実態
を記述する有力な仮説モデルの1つ)のイメージとして、ペンローズの著書『心
は量子で語れるか』(ブルーバックス)の中で解説が加えられている。なお、量
子力学とニュートン力学(伝統物理学)の統一理論の存在を探るR.ペンローズの
視座は、このフリードマン宇宙仮説の妥当性の保証に接近しつつある。

・・・言い換えれば、ワイル曲率は一般相対性理論における数学的な宇宙の時空
世界であるが、テンソルとは線形的な幾何概念を一般化したイメージ概念であり、
これで多次元の配列が表現できる.。また、ライプニッツに由来するとされる、
ベクトル束(線形代数で言う、一定の方向性を持つ独立な線列の束)の原点であ
る基底を決めれば、そのテンソルのイメージは作図できる。なお、数学的な意味
でのテンソル自身は、特定の座標系によらないで定まる対象である(右下、数学
的なテンソルのイメージはwikiより)。

・・・当「閉じたフリードマン宇宙」のイメージ画像は『ブログ:科学と技術の
諸相/第3章.膨張する宇宙〜動的世界観の復活〜』http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/L1_03.htmより転載した。

・・・ラグビーボール状のイメージの上端をビッグバン(エントロピー極大)と
すれば下端がビッグクランチ(エントロピー極小)となる。また、ラグビーボー
ル状イメージの中間の下端に近い領域にホワイトホール(white hole)が存在し、
真逆に上端に近い領域にブラックホールが存在することになる。

・・・これは、ブラックホール解を時間反転させたアインシュタイン方程式の解
として、一般相対性理論で理論上で議論される天体である。ブラックホールが事
象の地平を越えて飛び込む物質を再び外部へ逃さずにすべてを呑み込む領域であ
るのに対し、ホワイトホールは事象の地平線から物質を放出すると考えられる。

・・・興味深いのは、このラグビーボールの全体から、更に「輪廻」(・・・
→誕生→生成→消滅(死?)〜再生・・・)という象徴的な意味での円環のイメ
ージが想像的に理解できることである。
 
 
<参考2>ビッグ‐クランチ(Big Crunch)は、現在において想定される宇宙終
焉の三つ(Big Crunch(噛み砕き圧し潰される) 、Big Chill(冷え切る)、Big Rip(引き裂かれ粉々になる))のシナリオの一つ/ナショナル・ジオグラフィック、https://natgeotv.jp/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/102

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