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タイトル:訂正版☆雲は遠くて 147章 映画『クラッシュビート・心の宝石』、大ヒットする  2018/10/14


147章 映画『クラッシュビート・心の宝石』、大ヒットする

 10月7日、日曜日、午後2時を過ぎたころ。
朝から青空、気温も30度と季節外(はず)れ。

 下北沢駅西口から歩いて2分の、高田充希(みつき)の店≪カフェ・ゆず≫
に、
川口信也(しんや)と彼女の大沢詩織(しおり)、
超大作映画の『クラッシュビート』で、子どもたちの合唱団の先生役の沢口貴
奈(きな)、
この映画の原作者でマンガ家の青木心菜(ここな)とマンガ制作アシスタントの
水沢由紀、
そして、雑誌・週刊芸能ファンの記者の杉田美有(みゆ)、の6人がテーブルを
囲(かこ)んでいる。

「この度(たび)は、『クラッシュビート』の大ヒット、おめでとうございます!
きょうは、この映画の主役のお二人(ふたり)で、いまやスター的存在の、
主人公の信也さんの子ども時代の役の、福田希望(ふくだりく)君と、
白沢友愛(とあ)ちゃんを、労働基準法の関係で、お呼びできなかったんです
よ。
それがとても残念なんですけど、本日は、よろしくお願いします。」

 満面の笑みで、 敏腕(びんわん)記者の杉田美有が、みんなを見て一礼す
る。

「この映画の大ヒットも、美有(みゆ)さんが、映画の取材をしてくれてたからで
すよ」

 青木心菜(ここな)がそう言って、微笑む。

「そんなことないですって。青木先生の原作の素晴らしさとか、沢口貴奈さんや
子どもたち、
出演者のみなさんも素晴らしくって、話題が盛りだくさんの超大作映画だからで
すよ」

 原作者の青木心菜と、心菜の親友でアシスタントの水沢由紀は、
この超大作映画のすべてを気に入っている。

 2018年9月2日、日曜日、催(もよお)された『クラッシュビート・心の宝石』
の、
プレミア上映会の大成功に始まって、大ヒットとなって、
いまや日本中に、ファンの興奮と熱気が渦(うず)巻いている。

「あのう、この映画のタイトルの『心の宝石』なんですけど、
この点について、もうちょっと、お話をお聞きできたらなあって思います。
わたし個人としては、とても素敵な言葉だなあって、思ってるんです!」

「『心の宝石』っていうのは、実は、おれが作ろうって思っている歌のタイトルな
んですよ。
なかなかできなくて、未完成な歌なんですけどね。あっははは。
それが、いつのまにか、映画の1作目のタイトルになっちゃったんです。あっは
はは。
簡単に言えば、『心の宝石』って、子どもたちの心のことですよ。
純真で無垢な、感動することに敏感で繊細な、そんな子どもたちの心のことで
す。
まあ、映画の公開前も、子どもたちを、あんなふうに擁護するような、
大人たちの生き方を批判しているよう映画は、
現代のおとな社会を否定する考え方を子どもたちに植え付ける、
極めて危険な映画だとか言って、みんなして批判する映画批評家たちや、
一部の大人たちもいましたからね。あっははは。
そんな危険な考え方なんて、まったくないんだし。あっははは。
おれは、この社会で生きていて、ストレスや欲望で、
心も体(からだ)も、疲労や消耗で、ボロボロにすり減(へ)って、
楽しいことばかりを追いかけていた子どものころの、
純真で無垢な、澄(す)んで輝(かがや)く宝石のような心を失ってはいけない
よっていう、
主体性っていうか、アイデンティティー(identity)っていうか、
時間がたって、おとなになっても、何歳になっても、
いつまでも、同じであり続けようよ!って言いたいんですよ。あっははは 」

「そうですよね。信也さんの考え方は、すばらしい!
やっぱり、この映画の主人公よね!感動しちゃうわ!」

 そう言って、雑誌・週刊芸能ファンの記者の杉田美有(みゆ)は笑う。みんな
も笑った。

≪つづく≫ --- 147章 おわり ---

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