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テーブルに紅茶やコーヒーを運びながら、オーナーの充希(みつき)は、 そう言って、みんなに微笑(ほほえ)んだ。 「そうなんですよ。運命的なくらい、不思議な感じもします。ねえ、みんな。あっはは」 大沢詩織がそう言って笑う。 「まあ、よく考えてみると、わたしたちがみんなモリカワに就職しているのは、 社長さんのご次男でもある森川純さんのリクルート力(りょく)、 その熱意があったからかしら?」 清原美樹はそう言って微笑み、温かい紅茶を飲む。 「純さんは、わたしたちのミュージック・ファン・クラブの良き先輩だしね。 お人柄もすばらしいし、男らしいし。 そんな純さんとお付き合いしている香織ちゃんが羨(うらや)ましいくらいだわ」 水島麻衣はそう言って、菊山香織に微笑(ほほえ)む。 「あら、まあ、純さんは、きっと今ごろ、くしゃみしているわね。あっはは。 でも彼って、わたしから見ても、なんていうのかなあ、フェアというか、公平というか、 バランスがいいというのか、信頼できる人なのよね。 お付き合いし始めてから、5年くらい経つんだけれど。 そんな誠実さは、変わらない人だわあ。うふふ」 菊山香織は少し照れて頬を紅(あか)らめながら、そう話した。 「それはそれは、ごちっそうさま!あっはは」 平沢奈美は、そう言って無邪気に笑う。 「純さんもだけど、信也さんとか、あとクラッシュビートのみなさんも全員だけど、 フェアだし、公平だし、バランス感覚もいいし、さすが、音楽やっている男性たちって感じで、 好感持てる人たちばかりよね。だから、自然とモリカワに集まっちゃうのよ、きっと」 清原美樹はテーブルのみんなを見ながらそう言って微笑(ほほえ)む。 「モリカワの経営理念は、『会社経営はシンフォニー≪交響楽≫! みんなで力を合わせて、愛にあふれる、美しいハーモニー≪調和≫を奏(かな)でよう!』ですけど、 わたし、この経営理念が大好きなんです」 みんなの話を聞いていた、オーナーの高田充希が子供のような笑顔でそう言った。 「わたしも大好きです!とても芸術的な経営理念だわ!」とみんなも口々にそんなことを言った。 店内は女性たちの明るい笑いに包まれた。 ≪つづく≫ --- 136章 おわり --- |