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■客観「知」を心底で憎む追憶のカルト、その靖国『顕幽論』是非の意識が日 本の命運を分ける/希望は量子論・AI・脳科学らの最先端で必然の流れ「自然・ 人文科学」融合(コンシリエンス)が生まれつつあること!(4/6 ) <注記>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。 http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20170104 3 多数派日本国民が共有する「神道」に関わる誤解/トマス・カスリス著 『神道』の警告 3−1 神道的スピリチュアリティーと実存神道 米国における日本思想・宗教・神道研究の第一人者であるトマス・カスリスは、 一般的な意味での経典を説く「宗教/唱導宗教」(religion)とスピリチュア リティー(特に、特別の経典を持たない神道のSpiritualityには自然界に潜む 超越的なものを感じ取るというリアリズム感覚が存在する)を厳密に区別する ことから著書『神道』(ちくま学芸文庫、2014/原著『Shinto:The Way Home、2014』)を書き始めている(第1章)。 また、神道はこの古(古代)神道由来の(1)「本質的な神道的スピリチュア リティー」とは別に、これとは全く異質な二つの特徴的な側面があり、それは (2)「実存的スピリチュアリティー」と(3)「1801年(本居宣長の死)以 降に政治的に工作され、日本を太平洋戦争の悲劇(惨禍)へ連れ込み、今や再 び小泉首相・靖国参拝(2002)で蘇生し、現下の安倍政権がその完全取り戻し を謀る人工的スピリチュアリティー(追憶のカルト/教条的な異常イデオロー グ)」のことである(←注記、人工的スピリチュアリティー(追憶のカルト) はtoxandoriaの説明的な補足)。 ここで言う「実存」は、哲学一般で言う実存(サルトルらを連想させる、本質 に対し現実の重視を説く説)とは些か異なる使い方になるが、いわば歴史的に 神道に纏わってきた“日常に関わる土俗信仰的な生活の知恵”ないしは“密教 呪術的な政治技術”と言うような意味での実存性ということだ。 前者は、通過儀礼等での日常生活における国民一般の御利益感覚を考えれば分 かり易く(今の我々も殆どこの感覚で神社を訪ねているはずだ)、後者につい ては神仏習合時代の神道(密教曼荼羅を取り入れた両部神道、http://u0u0.net/ABAI)が、密教の呪術を政敵への呪詛や戦争の勝利祈願など で活用したことを想起すればよいだろう。 また、そもそも(1)「先史時代〜794年(奈良遷都までの古神道)の神道スピ リチュアリティー」と(3)「終戦期までに及ぶ1801年(本居宣長の死)以降 の神道スピリチュアリティー(政治的作為で創られた)」は全く別物と見なす べきだとカスリスは主張するが、この点についてtoxandoriaは大いに共鳴する((2)は実存的な神道スピリチュアリティー)。 それは、後者のスピリチュアリティー(3)が、結局は、現下の<安倍政権と 日本会議・神社本庁らによる「国家神道」復活工作(全国神社の本宗に相応し く伊勢神宮へ戦前並みの「国家財政支援」を実現すること、および靖国神社の 本格的な国策軍神&英霊神社化、そしてそのための改憲を)謀ること)の動因 となっている、狂信カルト(篤胤・顕幽論)一色に染まる異常イデオローグ> にまで繋がるからだ。 従って、前者のスピリチュアリティー(1)、つまり<日本の恵まれた自然環 境(および、その地質学的特徴から古来たびたび列島を襲った大地震・津波・ 台風襲来などへの怖れの観念)と呼応しつつ先史時代からの長大な自然史と、 そのエトノス環境(内外およびマクロ・ミクロの複合的な観点から自然・人文 ・社会環境を包括的に直観する観念)の中で生きてきた日本人がそのエトノス (自己の体内環境も含む大自然)の中にカミを感じ、その同じカミへの怖れの 心を最も大切にする>というプロセスで育まれた感性が後者(3)と全く異な るのは明らかである。 ともかくも、カスリスの著書『神道』は、これら二つのスピリチュアリティー 神道(1、3)と実存神道(御利益&政治技術的神道、2の実存的スピリチュ アリティー神道)の二面性(厳密に言えば、三面性!)が複雑に絡み合い、重 なり合いつつ神道の歴史、ひいては日本の歴史そのもの、あるいは日本文化と 政治権力の変遷史を形成してきたという、きわめて日本的な特徴を明らかにし たことになる。 f:id:toxandoria:20170104044101p:image:w400:leftそして、特に注意して観 察すべきなのが(3)「終戦期までに及ぶ1801年(本居宣長の死)以降の神道 スピリチュアリティー」が幕末期以降の日本近・現代史と重なる部分だ。それ は、この(3)の人為的・政治的な神道スピリチュアリティーこそが戦前日本 のナショナリズム、神聖「国体」論(天皇現人神論)、積極戦争植民地主義、 強靭「軍国主義」、そしてカミカゼ特攻隊(自爆戦強制)の悲劇、ひいては数 千万にも上る外国人・戦争被害者、200万余の日本人・戦没者、広島・長崎の 原爆惨禍など、日本国民を大きな悲劇の道へ追い立てる精神的エンジンを提供 することになったからだ。 (関連情報) ◆(1−1/★2の再掲)オリバー・ストーン監督、米日韓加中英豪沖台の専 門家など53名 真珠湾訪問に際し安倍首相の歴史認識(の正体とホンネ) を問うSunday, December 25, 2016 http://qq1q.biz/AHHR ◆安倍“敗戦否定&積極戦争主義”の欺瞞(狂信!国策 『国家神道』復活の ホンネ共有)を暴く好記事二つ/安倍真珠湾訪問、神津会長の連合(リアリズ ム“原発&石油エネルギー(復活)”主義)は誰の味方なのか、 http://ur0.pw/ACam ・・・ しかも. 今でも日本国民は特に(3)の後半部が形成した「深刻な精神的アキ レス腱」を抱えたままである。それどころか、日本会議、神社本庁、靖国神 社、安倍政権らの戦後期から現在にまで及ぶ執拗な暗躍が功を奏す形で、<日 本国憲法(象徴天皇制)と日本自身の科学&科学技術観の根幹>が、反知性主 義的な政治権力(安倍政権)によって根底から破壊される危機に襲われている。 つまり、“神道スピリチュアリティー(3)”と“神道スピリチュアリティ ー(2)(=日常感覚化した神道の実存性”)の悪しき再癒着によって、戦前 日本型の反知性主義イデオローグ『顕幽論(平田篤胤)』(委細、後述)が、 今度は偽装科学主義である「AIシンギュラリティ」の衣を纏って復活しつつあ るということだ。 そして、これら(1)〜(3)の違いを未だに自覚できないという、日本国民 自身の精神的脆弱さに対し、安倍政権、日本会議、神社本庁ら「追憶のカルト /靖国・顕幽論」派が執拗に攻撃を仕掛け続けているが、それに対し殆どの主 要メディアは同調するばかりとなっている。この危機的状況に気が付き大きな 危機感を持ちつつ批判し、対抗しているのは今や天皇皇后両陛下とごく少数派 の良識派の国民だけ!というのが、残念ながら、日本の惨憺たる現状である。 |