メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:啓蒙主義ルネサンスを説く・・・!(3/n) ← 改題しました  2016/11/10


■啓蒙主義ルネサンスを説く『民主主義の内なる敵』著者、T.トドロフ『日常
礼賛』の多元的な眼差し/一方、<新国家観>欠落の偏狭『AI万能GDP600兆円
の未来=アベノミクス教』は日本瓦解のプロセス!(3/n)

<注記>お手数ですが、添付画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20161107


2 “AIと新自由主義”癒着で資本主義が新たな暴走フェーズへ突入


・・・「AIが保証する絶対“客観性”」の大義名分(名ばかり科学主義)が大
暴走する懸念!・・・


2−1 ツヴェタン・トドロフ『民主主義の内なる敵』が示唆する、“AIと新
自由主義”の癒着で更に資本主義が過激暴走する懸念


(米国民の8割が世界の民主主義の深化に無関心なので、今やアメリカの掲げ
る民主主義の理念が世界の人々の憧れや模倣の対象となっていないという惨状)


「米国民の8割が世界の民主主義の深化に関心がなくなっているため、今やア
メリカの掲げる理念が世界の人々の憧れや模倣の対象となっていない」という
悲惨な現実を、20160823毎日「時論フォーラム/資本主義の行方、空洞化する
民主主義」で水野和夫・法政大教授が紹介している
(http://urx.blue/zp2m)。また、この記事の中で水野氏は「この道しかな
い!そのアベノミクスを批判するなら対案を出せ!と野党を罵倒・恫喝し、野
党も、国民も、メディアもそれに対抗し得る声を失っている(orこれも米国の
マネで国民が無関心?)」という日本の大いに悲しむべき現実を懸念している。


それは、この米国の悲惨な動向が見せつける「空洞化する資本主義と民主主義
の行方」に対し、安倍内閣は「気合が足りないだけだ!」と如何にも偽装極右
(決して正統保守ならぬ!w)らしい体育会系の檄を飛ばし、「今こそ、戦前
〜戦中期型“神懸り”(“伝統神道の精神”ならぬ!w)の日本精神(アナク
ロ・イデオローグ、日本会議=偽装極右)の出番だ!」と絶叫しているに過ぎ
ないからだ。


しかも、「日銀「物価2%目標」先送り検討 黒田総裁下で成長目標のブース
ター押し上げ(リフレ&ネオリベ式ファイナンス・マネーばら撒きの効果)が
絶望的であること(アベノミクス失敗宣言!)20161022毎日
http://ur0.work/zq0g」を物ともせず、「IOT活用で名目GDP600兆円の未来像
/焼き直しアベノミクス❓」下における新「三本の矢」の大黒柱として、臆面
もなく未だ“海千山千”のAI“シンギュラリティ”を『新国家観ことアナクロ
政策』の額縁として掲げる大迷走ぶリには驚かされる。しかし、多数派の国民
は殆どこのアベノミクスの惨状には無批判・無関心に見える(それでも支持率
は上昇するばかり?苦w)!


そこには、例えばツヴェタン・トドロフ、ポール・メイソン(Paul Mason/英
ジャーナリスト、『ポスト資本主義(Postcapitalism 、A Guide to Our 
Future/未邦訳↓◆4)』の著者)、エマニュエル・トッド(中央公論・9月
号/世界は『新自由主義』をもう我慢できない、http://urx.blue/zp2J)らの
如き、日本と世界の未来に対する危機感が、言い換えれば、単なる「体育系の
気合い入れ」を超えたネオ“コペルニクス転換”級の理念創造へ挑戦しようと
する気概が全く存在せず、そこから滲み出すのは反知性主義的な「追憶のカル
ト」(“権利の章典”部分を破壊する壊憲なる蛮行)式で「国民主権の削除、
象徴天皇制の廃止、戦前型軍事大国への回帰」を謀る奇怪なアナクロ・ゾンビ
の情念だけだ。

◆4 Goods and services that no longer respond to the dictates of neoliberalism are appearing, ・・・In this groundbreaking book Mason
 shows how, from the ashes of the recent financial crisis, we have the chance to create a more socially just and sustainable global economy. Moving beyond capitalism, he shows, is no longer a utopian dream. 
This is the first time in human history ・・・http://urx.blue/zp2U

ところで、ツヴェタン・トドロフは新著『民主主義の内なる敵』(大谷尚文訳
/みすず書房)で、フランス革命急進派(特にジャコバン派?)、旧ソ連共産
主義政権と米国新保守主義に共通するのが「人間は人為の設計で抑圧から100
%解放されるという強靭なメシア信仰」という、本質的に<啓蒙主義>と全く
相容れない<情念型の固着設計主義>であることを指摘する。因みに、日本で
はこれが、日本会議が代表する戦前型「偽装極右」(追憶のカルト)とネオリ
ベラリズム(新自由主義)の野合・癒着という特異な形で現れている。


つまり、それは彼らが<内外エトノス環境と無限因果の連鎖で繋がり、多面的
に交流し、そして多様に変幻自在に変遷し続けるリアルな現実世界を、自らの
情念に因る人為の観念的設計(狂信の設計図)で如何様にも変えること(凡ゆ
る現実因果の改造)が可能だ、とする<傲慢の極み>で凝り固まった超閉鎖的
な“ゾンビ(似非)人間中心主義”>の虜(囚人)であることを意味する。


(現代にまで深い影を落とす、アウグスティヌスVsペラギウスの人間の自由意
思に関わる論争)


心の奥深くで、それは殆ど無意識の中でのことであるが、今も我々に大きな影
響を与えるのが、この「アウグスティヌスVsペラギウスの人間の自由意思に関
わる論争」の問題である。それは、我々が今まで馴染んできた立憲民主主義が、
キリスト教を共有する欧米諸国の啓蒙思想の発展史(市民革命の歴史)から学
び得たものであるからに他ならない。


因みに、アウグスティヌスはローマ帝国末期の4世紀後半〜5世紀初頭頃に北
アフリカでカルタゴを中心に活動したキリスト教の教父で、中世ヨーロッパの
最も根幹となるキリスト教思想を作った人物である。ペラギウスはそれとほぼ
同時代人であるが、ペラギウス主義(派)と呼ばれる教義を広く展開したが418
年のカルタゴ会議で異端宣告されている。


ツヴェタン・トドロフによれば、アウグスティヌスが「人々は神の意思(それ
を代理するカトリック教会のヒエラルキー)に服従し、全て(特に、人間が無
知ゆえに犯す罪を意味する原罪)を見透す神の恩寵に従順に従うべき」とする
のに対し、ペラギウスは「人間は自律的にその責任の範囲において、先ず自ら
の自由意思に従って行動することに宗教的な意味がある」と考えた。


端的に言えば、ペラギウスの「先ず自らの自由意思に従って行動すべき」の部
分が、「異端」宣告を受けた後も人間の自由原理主義的な思潮のルーツとなり
続け、やがてそれが西欧思想史の中で密かに独り歩きして(又は誤解されて?)
きたと言える訳だ。そして、ツヴェタン・トドロフは、その意味でのペラギウ
ス主義が米国の新保守主義(宗教右派)にも流れ込み、結果的にそれが全世界の
経済フィールドで新自由主義が暴走する推進力になったと見ている。


因みに、このツヴェタン・トドロフの議論から些か離れてしまうが、人間の自
由意思の問題で忘れてならない人物に13世紀スコットランドの神学者ヨハネス
・ドウンス・スコトウス(その思想の徹底的な緻密さから精妙博士(Doctor Subtilis)と呼ばれた)がおり、彼はフランチェスコ派スコラ神学者で、後に
パリ大学教授となった人物である。


スコトウスは、先ず「絶対的に正しい自由意思」を持つのは神のみであるから
神は先ず純粋にその自由意思で世界を創造したと理解し、アウグスティヌスの
「自由と理性の両者に対する神の絶対的先行性」を留保して、神だけが持つ
「正しい自由意思」が神自身の「理性(知)性」の判断とは無関係に先ず世界
を創った、と考えた。


更に、スコトウスは、神に劣後する人間の「自由意思」が常に善悪について
「絶対的な善」を選ぶことはあり得ないながらも、偉大なる神の見守りの下に
ある人間には一定の判断力が、つまり善か悪かの道が選べる最小限の「理
(知)性」は与えられており、同時にその人間が正しい判断を下すことができ
るよう一定の自律的な「自由意思」も与えられていると考えた(中庸の宗教
観)。


また、15〜16世紀頃までの中世ヨーロッパ社会の伝統では「古代ギリシアの奴
隷制時代に比定され、特に自治都市の自由市民の立場(その余韻はプロローグ
で触れた16〜17世紀オランダ自治都市の市民に見られる)については、その古
代ギリシアのポリス市民と同等と見るべき」とするのが一般的な常識であった
ので、「自由」であるためには先ず正しい「理性」判断が必要であるが下部構
造に属する奴隷などの人々は正しい理性を持っていないと考えられていた。


しかし、驚くべきことにそれを遥かに遡る13世紀スコットランドにおいて、こ
のヨハネス・ドウンス・スコトウスはこれら自由市民の立場でない下部構造の
人間の「自由意思」をも認める考えを採った。即ち、この時に初めて近・現代
の「啓蒙思想」に繋がる「人間の普遍的な自由意思」の種となる理念が誕生し
ていたと考えられる。


ともかくも、この啓蒙思想の種と見るべき<スコトウスの中庸(適度)な自由
意思>の対極にある<ペラギウス派の自由原理主義的な考え方>(尤も、おそ
らくそれは“ペラギウスの自由”を人々が過剰に誤解したためであるだろうが)
の影響は、トドロフによれば今でもなおキリスト教思想の深部において、自由
原理主義の形で「資本主義」暴走の肩を押し続けていることになる。


(“AIと新自由主義の癒着”が主に世襲“1%既得利権派”らの新たなプラットフォーム(権力基盤)となりポピュリズムを煽る恐れ)


・・・そのため、社会「中間〜下部構造」の人々の盲目化・ミクロ化・分断化
のリスクが一層拡大する懸念がある!・・・


f:id:toxandoria:20161107044206p:image:w450

かくして、トドロフ『民主主義の内なる敵』が指摘する如く社会「下部構造」
の盲目化が加速して「進歩の精神が十字軍のメシア思想(排外主義)へ、自由
が暴政の培養地へ、中間〜下部構造の市民が操作可能な群衆へ」という具合で、
民主主義の各部位が激烈な化学変化に見舞われており、その「個々の人々がミ
クロ&分断化」へ雪崩れ込む危機拡大のリスクが日本をはじめ全世界を覆って
いる。


特に、ツヴェタン・トドロフの懸念は、1%派の権力構造を利する“AIと新自
由主義”の癒着型プラットフォーム(権力基盤)が、つまり<ポピュリズムを
更に煽り立てる暴走回路が新たに定着して社会の下部構造が一層盲目化すると
いうリスク>が拡大している点にある。


例えば、世界人口の半分近い30億人以上が1日150円以下で生活しており(http://ur2.link/zlXc)、トップ62人の総資産が下位層36億(世界人口、約
80億中の)人のそれと同じという巨大格差が世界で拡大するなか、特に米国で
はヤングホームレス(16〜25歳)の急増(8万人を突破/2015)が大きな社会
問題と化している(後者2件のデータ出典:20161016NHKスペシャル/マネー
・ワールド 資本主義の未来 「第1集」 世界の成長は続くのか、http://ur0.work/zpXu)。


そして、これはヒューバート・ドレイファス/チャールズテイラー『実在論を
立て直す』が懸念すること、すなわち<「新自由主義のツール化で1%派と癒
着しがちなIOT、AI技術が広く深く社会を潜在的に支配する時代=技術革新や
グローバル競争で負の影響を受ける人々の更なる加速度的増加に歯止めがかか
らなくなる時代」に入りつつある、という指摘にも重なる。


つまり、それは啓蒙主義の萌芽期以前の奴隷身分に相当する、主権から除外さ
れ社会の下部構造に組み込まれる人々が急増する苛烈な時代へ突入するという
ことだ。AIシンギュラリティ信仰の深まりと共に、そのような意味での悪しき
パラドクス(マイナス・スパイラルの蟻地獄)に我々は益々深く嵌りつつある
のではないか?>という懸念をツヴェタン・トドロフも強調する。特に、そも
そものボタンの掛け違いを無視して、つまり立憲民主主義の放棄を謀りつつ
<「新国家ヴィジョン」が欠落する「AI万能GDP600兆円の未来=アベノミクス
教」>を新たに掲げた安倍政権下の日本は、その超リスクが一足飛びに顕在化
する危うい時期に直面しているのではないか、と思われる。


それは、後で取り上げる日経記事<↓◆7 安倍政権にバカの壁(←コレは日
経記事(参考/添付画像)の表現!w(http://ur0.link/ztna) つまり、
「安倍政権=日本会議」の脳ミソにバカの壁?がある!w /20161025日経の
「政府批判」記事(大機小機)は正鵠!>が指摘するとおり、我々が、「自民
党改憲草案で権利の章典(国民主権)と“象徴”天皇制を日本国憲法から削除
する」という、安倍政権(世襲1%派)が仕込んだ<情念的・超観念的でアナ
クロな固着設計主義の罠/その1%派の利権のためだけに仕込まれたAI活型の文
脈“構造”の中>にスッポリ嵌る一方で、肝心の「日本の立憲民主主義と資本
主義を安定的に持続させるためのリアル政策が放置されたままだ!」であるか
らだ。

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