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タイトル:改訂版 雲は遠くて 103章 信也たち、ゲス乙女のことや、男女のことを語り合う   2016/01/24


103章 信也たち、ゲス乙女のことや、男女のことを語り合う

 1月23日の土曜日、午後4時過(す)ぎ。空は一日曇り空で、気温も7度ほどと寒い。

 川口信也と信也の彼女の大沢詩織、新井竜太郎と竜太郎の彼女の野中奈緒美、
その四人が、やきとりと書かれてえる大きな暖簾の、もつ焼きの店に入る。
炭火でモツを焼く煙が、大きな換気扇から、外にモウモウと放たれている。
カウンターと座敷、30席があって、店内は禁煙で、モツを焼く煙もなく、清潔感があった。

 店は下北沢駅(しもきたざわえき)から3分の南口商店街にあった。
信也が課長をしている外食産業の会社モリカワが全国展開している、
『モリモツ』1号店、本店である。

「ストレス解消には、竜さんやしんちゃんや詩織ちゃんたちと、お酒飲んで、
楽しく騒(さわ)ぐのが、一番だわ!」

 予約してあった座敷のテーブルにつくと、奈緒美は、可憐な笑顔で無邪気にそう言った。

 奈緒美は、人気も上昇中のモデル、タレント、女優で、
竜太郎が副社長をつとめるエタナールの、芸能プロダクション、クリエーションの所属だ。
 奈緒美は、1993年3月3日生まれの22歳、身長は165センチ。

「あっはは。奈緒美ちゃんも、いまは、お仕事が忙(いそ)しいから、
人間関係とかでも、大変なんだろうね。
人間関係って、一番のストレスのもとだからね。
まあ、今宵(こよい)は、気を使うことのない仲間だけだから、楽しくやりましょう!」

「竜さんも、しん(信)ちゃんも、優しくって、紳士だから、大好きですよ。
ねえ、詩織ちゃん!」

 奈緒美が、テーブルの向かいの詩織にそう言って微笑(ほほえ)む。

「うん、竜さんも、しんちゃんも、心があったかいよね。思いやりがあるから、好きだわ」

 信也の隣に座る詩織はそう言って微笑む。
ビール風低アルコールのホッピーのジョッキに口をつける。
詩織は、1994年6月3日生まれ、21歳、身長163センチ、
早瀬田大学・文化構想学部3年生、
ロックバンド、グレイス・ガールズの、
ギターリスト、ヴォーカリストである。

 突き出しの漬(つ)け物の茄子(なす)もおいしく、大皿(おおざら)の、
タレ味のシロやアブラ、塩味のカシラやハツなど、
どれも最高に美味(おいし)く、追加の注文もした。

「おれは、男として、詩織ちゃんや奈緒美ちゃんには、
絶対に、いつまでも、幸せでいてもらいたいんだ!ねえ、竜さん!」

 信也が、ホッピーで、上機嫌になって、そんなことを言った。四人とも、ホッピーを飲んでいる。
信也は、1990年2月23日生まれ、25歳、外食産業モリカワの課長、
ロックバンド、クラッシュ・ビートの、ギターリスト、ヴォーカリストである。

「そうだよね。愛する女性を幸せにしたいっていうのは、男としての夢の1つであるわけですよ。あっはは」

 竜太郎も、そう言って、陽気に笑った。竜太郎は、1982年11月5日生まれ、
33歳ながら、外食産業最大手エタナールの副社長で、最高情報責任者、CIOだ。

「わたしも、詩織ちゃんも、竜さんやしんちゃんに、好きな相手だからって、すぐに、
結婚を迫(せま)ったりするような野暮(やぼ)な女の子じゃないですよ。ね、詩織ちゃん」

「うん、そうね、奈緒美ちゃん。結婚することって、愛があればいいとか、
そんな、簡単なことではないと、わたしも姉とよく話しているのよ。
女性は、結婚に、平和な家庭の夢を見るけど。
男性は、仕事や遊びに、夢を見たりするしね。
男女では、考え方や夢が、どこか相反しているのかもしれないわよね。ねえ、しんちゃん」

「詩織ちゃんも、奈緒美ちゃんも、男心を理解してくれるから、
素晴らしい女性なんですよ。それにはいつも感謝しています、あっははは。
おれは、男性も女性も、夢を追いかけたり、毎日を楽しむことが、
まずは1番に大切だと思いますよ。その延長線上に、この人となら一緒に暮らしたいとかの、
結婚とかもあるんだと思いますけどね。ねえ、竜さん」

「うん、男女の関係って、そんな感じかな。
相反する考えや夢があるから、その相互理解から、良質な男女関係も成立するんだろうね。
そして、お互いに楽しくやっていって、その先に、結婚があるのかな。
でも、結婚って、決して、人生のゴールじゃないし、
人生の新たなスタートのようにおれは感じるけどね。
だから、かなりな決心がいるんだろうな!
まあ、結婚したら、それなりの社会的な責任も出てくるよね。
いま、ゲスの極(きわ)み乙女(おとめ)の川谷絵音(かわたにえのん)さんや、
ベッキーちゃんたちなんか、
不倫交際しているとか、マスコミや世間からいろいろ言われて、
すごい騒動で、ゲス乙女のイメージダウンにもなっているけど、
これが独身なら、何も問題ないんだからね。」

「まあ、詩織ちゃん、奈緒美ちゃん、おれも、竜さんも、わがままを言って、
困(こま)らせることもあるだろうけれど、
いつだって、男として、詩織ちゃん、奈緒美ちゃんの幸せを真剣に願っています!
これからも、よろしくお願いしますよ。あっはは」

 信也が、そういって、笑った。

「うん、詩織ちゃん、奈緒美ちゃん、楽しくやっていきましょう!」と竜太郎も言った。

 信也と竜太郎が、あらたまったような顔で背筋をを正して、そう言うものだから、
詩織も奈緒美も、「こちらこそ、よろしくお願いします!」と言って、明るく笑った。

≪つづく≫ ーーー 103章 おわり ーーー

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