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28章 モリカワに、M&A(合併、買収)の危機!(3) 会社は、休むことに対して、全面支援してゆきます。 社員のみなさんには、いっぱい休んでいただいて、 そして、仕事も、がんばっていただいて、 仕事の効率や質を高めるための、改善案なども、 どんどん、出していただくという形で、 好循環を、サイクルとしていく! そこに、わが社の発展とみなさんの幸福もあると、 確信しています。 それに、労働時間の短縮と、休みの増加は、 少子化対策、過労死やうつ病の対策、 女性の進出やわが社の全社員の正社員化、 業績の躍進に、高価があると確信しています。 休みは、社員にとっては、自己研さんだし、会社には、 イノベーション(革新)の源泉(げんせん)なんですよ。 休む力で、社員も会社もハッピーで、チーム力もアップ! みなさんのご協力とご理解をお願いします!」 社長の森川誠がそういうと、副社長の森川学を はじめとして、みんなからの、 笑顔と拍手に、会議室はつつまれた。 「それと、このお話もしておかなければならないのですが。 みなさんも、すでにご存じかと思いますが、 わが社と、全面的な合併をしたいという話が、 昨年の12月に、東証1部上場の会社の エターナル(eternal)からあったのですが、 このお話は完全にお断(ことわりしました。 エターナルっていう英語は、永遠の、とか、 不滅の、てっいう、形容詞ですから、 これで、合併すれば、モリカワも、不滅で、 永遠に存続できるのかなと、わたしも、 ちょっと、心が揺れましたけどね」 そういう社長に、みんながわらった。 「合併といいましても、モリカワノの株式を、 全部買い付けるという、好意的な形の買収なのですが、 はじめは、総額600億で、話は進んでいたのですが、 次に、700億になったんですよ。でも、お断りしました。 エターナルさんと、モリカワでは、経営の仕方というか、 経営方針でも、おたがいに、かなり違いますから、あとあと、 問題多発で、うまくいかないだろうなと判断したんです。 わたしも、大金に、目がくらんで、夜は寝つけない日々が つづきましたけどね。一生、遊んで暮らせるお金が、 転(ころ)がりこんでくいる、めったにないお話ですからね」 そういうと、社長は、いつもの大笑いを、はじめてする。 ロックバンド・クラッシュ・ビートの、課長の、 川口信也、岡村明、高田翔太たちは、愉快そうに 大笑いをする。ほかのみんなもわらった。 「エターナルさんの社長の御曹司(おんぞうし)の、 新井幸平(あらいこうへい)くんは、エターナルの M&A事業部の担当で、去年、大学を卒業したばかりで、 新井幸平(あらいこうへい)くんと、M&A事業部のベテランの 男性とのお二人と、3回の、合併の交渉(こうしょう)を したわけですが、新井幸平(あらいこうへい)くんは、 なかなかの好男子で、人の心をつかむのが上手(じょうず)で、 ついつい、彼のペースで、合併話が成立する一歩手前まで いったんですよ。しかし、初心の起業家精神とかをですね、 忘れてはいけないとか、思い直(なお)して、お断りしたんです」 「危(あぶ)ないところだったんだな・・・」と、社長の話を聞きながら、 川口信也は、ちょっと、冷や汗のようなものを感じた。 社長の髭(ひげ)に、ぼんやり目をやりながら、信也は、 頭の中に、次のような、思いがめぐっては 消えていく。 ・・・うちの社長が、現代稀(まれ)に見る正義の味方なら、 エターナルって会社は、マスコミやインターネットでも、 長時間労働をさせるブラック企業という汚名を つけられているのに、巨大な企業ということもあって、 そんなことは、痛(いた)くも、かゆくもないんだからな・・・。 ・・・そういえば、エターナルのたぶん二代目になる、 御曹司(おんぞうし)の新井幸平(あらいこうへい)は、 1991年生まれで、去年、慶応を卒業して、 おれより1つ年下だけど、社交性はあるヤツで、 悪くいえば、口八丁 手八丁(くちはっちょうてはっちょう)で、 12月にあった、TOP 5入り・祝賀パーティーや、 この1月の、モリカワの 新春 パーティーにも来ていて、 それも合併の仕事のためだったのだろうけど、 おれたちの クラッシュ・ビートやグレイス・ガールズの 大ファンとかいって、おれにも話しかけてきたりして、 にくめないヤツだけど、調子もいいよいな。 まあ、今回の合併の話は、失敗して良かった! アイツがおれの上司になったりしったら、最悪だぁ・・・ ≪つづく≫ --- 28章は、おわりです ーーー |