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23章 G ‐ ガールズ、ヒット・チャート、上位へ (2) 「わたし、仕事の関係(かんけい)で、 有名になっていく人を、数多く見てますけど、 無名の人が、ラジオやテレビに出るようになって、 有名になるのって、 ほんとうに、あっという間(ま)、なんですよ」 と、MC(司会者)、本条知美(ほんじょうともみ)。 「ここで、ちょっと、メンバーを、ご紹介させていただきます。 リーダーで、キーボードとヴォーカルの清原美樹さん。 サイド・ギターとヴォーカルの大沢詩織(おおさわしおり )さん、 ドラムスとヴォーカルの菊山香織(きくやまかおり)さん、 ベースギターとヴォーカルの平沢奈美(ひらさわなみ)さん、 リード・ギターとヴォーカルの水島麻衣(みずしままい)さん。 そして、パーカッションの岡昇さん。 みなさん、現役の、早瀬田(わせだ)の学生さんなんですよね!」 「はーい、そのとおりです。よろしくお願いします!」 みんなは、前もって、いい合わせたように、元気な声で、そういった。 「ぼく、アルバム、聴かせていただいて、驚いたんですけど、 作品の、すばらしいクオリティ(品質)、 完成度の高さといいますか、 アルバムの全体から、グルーブ感は、 圧倒的(あっとうてき)で、 これこそ、本物のロックンロールというのが、 正直な、ぼくの感想なんです。 みなさん、まだ、20歳(はたち)くらいなんですよね。 ぼくは、ロック 史上 最強 といわれる ロック・バンドの ビートルズを、つい連想(れんそう)してしまいした!」 やや、興奮気味(こうふんぎみ)に、22歳の、MC、 渋谷 陽治(しぶやようじ)は、語(かた)る。 「ありがとうございます!」 と、清原 美樹は、ほほえむ。 ほかのメンバーの全員、岡昇も、一礼(いちれい)しながら、 「ありがとうございます!」といって、ほほえむ。 「わたしたちが、ここまでやって来(こ)れたのは、たぶん、 メンバー、みんな、とても、仲がよくて、気が合うこと。 好きな音楽の傾向も、すごっく、近いものがあるんです。 J−ポップでは、宇多田ヒカルさんとか、 洋楽では、ボブ・ディランやビートルズとか、 みんな、すごっく、尊敬しているんです。 憧(あこが)れる、すばらしい、ミュージシャンは、 ほかにも、たくさん、いますけど。 そんな音楽が大好きで、特に、ロックは大好きで、 どんなときも、わたしたちは、バンド活動を、 楽しんでいるんです。 あと・・・、みんなが、お互いの、個性を、 尊敬(そんけい)いることもあります! ですから、 わたし、まとめ役のリーダーですけど、 とても、楽(らく)なんですよ・・・」 清原美樹は 晴(はれ)やかな 表情で、ゆっくり、 メンバーを、見わたしながらそういって、わらった。 「あっはっは。普通(ふつう)、リーダーって、 まとめるのが大変ですものね。 それにしても、いつも楽しみながら、 バンド活動することって、簡単なことのようで、 なかなか、できることではありませよね。 そうですか、宇多田ヒカルさん、 ボブ・ディランですか、 どちらも、ビートルズのように、 音楽シーン(状況)を大きく変えた、 天才的なミュージシャンですものね。 これは、天才は天才を知るっていうことですかね? ねえ、知美(ともみ)さん!」 という、MCの、渋谷陽治(しぶやようじ)は、 わらいながらも、 感動していて、少(すこ)し、声が 震(ふる)える。 ≪つづく≫ |