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22章 メジャー・デヴュー・パーティ ー(4) 友紀(ともき)も、陽斗(はると)も、同じような、 いまふうのカットの、髪(かみ)は、眉毛(まゆげ)の あたりまであって、長(なが)めである。 また、ふたりとも同じように、 いつも、どこか、わけもなく、はにかんでいるような、 顔を 紅(あか)らめているような、 その 笑顔(えがお)には、 まだ、純真(じゅんしん)な少年のような、 若々(わかわか)しい、輝(かがや)きがある。 1983年生まれで、12月5日で、30歳になる、 森川良(もりかわりょう)は、 そんな、ふたりに、 若さか・・・、いいもんだよな、と、ふと思う。 「友紀さんは、去年の、全日本・音楽・コンクールの トランペット部門で、みごと、1位に入賞されたんですよね。 友紀さんの 演奏は、 ユーチューブで、見てます。楽しませてもらってますよ。 すばらしい、音色(ねいろ)で、感動していますよ。 こちらこそ、よろしくお願いします。 ぜひ、メジャー・デヴューを 企画してゆきましょう!」 森川良(もりかわりょう)は、そういうと、 山内友紀(やまうちともき)に、ほほえんだ。 「どうも、ありがとうございます」 と、山内友紀(やまうちともき)は、予想外に、早い、 話の展開に、松下陽斗と、目を合わせて、よろこんだ。 「きょうも、友紀さんのトランペット、楽しみにしてますよ。 演奏も大事ですが、 まあ、きょうは、楽しく飲みましょう!」 と いって、森川良(もりかわりょう)は、わらった。 「陽斗(はると)の ピアノと、コラボ(共演)で、 ちょっと、ライブを やらせていただく 予定です! おれも、陽斗も、 酒は強いですから、今日は飲みますよ。はっはっは」 と 山内友紀(やまうちともき)も わらった。 ステージでは、店長、佐野幸夫(さのゆきお)の MC(進行)で、 G ‐ ガールズ(グレイス・ガールズ)の、演奏が始まる。 パーティーのオープニングを、飾(かざ)る 曲は、 デヴュー・アルバム、 Runaway girl (逃亡する少女)の中の、 ゆったりしたテンポのバラードで、 If I can live with you (あなたと 生きてゆければ) である。 歌の出だしのイントロは、水島麻衣(みずしままい)の うつくしい、ギター・ソロで、 すぐに、 大沢詩織(おおさわしおり )のリズム・ギター、 平沢奈美(ひらさわなみ)のベース・ギター、 菊山香織(きくやまかおり)の、16ビートを刻(きざ)む、 ドラムス、 岡昇(おかのぼる)の、パーカッションがつづいて、かさなる。 そして、シンセサイザーを演奏する、 清原美樹(きよはらみき)が、 口もに 設置したマイクにむかって、歌い始める。 女性らしい、透明感(とうめいかん)があふれる、 バンド全員の、歌声や、コーラスのハーモニー、 そして 演奏(えんそう)に、 会場のみんなは、気持ちのよい、時間を過ごした。 ーーー If I can live with you (あなたと 生きてゆければ) 作詞作曲 清原 美樹 (きよはら みき) いつもの 街(まち)の 交差点で あなたと すれ違(ちが)った 時は 流(なが)れて いまは ちがう 道を 歩(ある)く 二人(ふたり) あの頃(ころ)は こんな 切(せつ)ない 思いだったのよ! あなたと 生きてゆければ・・・ If I can live with you... いつも 見ている 毎朝 見ている わたしの 鏡(かがみ) たまに ピカピカに 磨(みが)いたの! ブラッシングして ピンクのリップ 鏡(かがみ)の中に もう ひとりの わたし あなたと 生きてゆければ・・・ If I can live with you... 「ねえ 時間を 止(と)める 方法って、 ないのかしら?」 「ほんと ほんと 歳(とし)とるのって 早すぎるよね!」 そんな 友だちとの 会話だけど あなたとなら 楽しいの! あなたと 生きてゆければ・・・ If I can live with you... 無一物(むいちぶつ) 無尽蔵(むじんぞう)という 言葉が 大好き! 本来(ほんらい)は 何も 持たないで 生まれてくるのだから 無心(むしん) でいれば 自由自在(じゆう じざい)の 境地(きょうち)! でも あなたと 生きてゆければ・・・ But if I can live with you... でも あなたと 生きてゆければ・・・ But if I can live with you... でも あなたと 生きてゆければ・・・ But if I can live with you... ≪つづく≫ ーーー 22章 おわり ーーー |