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20章 店長・佐野幸夫の誕生会 (3) 佐野幸夫と、真野美果(まのみか)が 通(かよ)った、 2004年3月に 閉校(へいこう)の、 定時制 ・ 代々木高校は、 このへんから、国道413号、井の頭通り沿(ぞ)いに、 新宿方向の東へ、3分も歩いた場所にある。 いまから、佐野幸夫(さのゆきお)と、 真野美果(まのみか)の誕生日のお祝いとして、 ホームパーティーをする、 森隼人(もりはやと)の家(いえ)は、 上原中学校の南側、上原3丁目にある。 「森ちゃんの家(うち)は、フロア、 2つ分(ふたつぶん)の大きなホールがあって、 パーティや、 親父(おやじ)さんがやっている会社 フォレスト(Forest)の、 幹部会議を開(ひら)いたり、 仕事関係の撮影会などに使っているんだってさ」 「森ちゃんの親父(おやじ)さんも、すごいよね。 家業(かぎょう)のレコード店が、経営不振になっていて、 閉店を考えていたけど、 森ちゃんの親父(おやじ)さんが、23歳のとき、 業態(ぎょうたい)を、レンタル店に変えて、再出発。 それが、大当(おおあ)たり、大盛況(だいせいきょう)。 いまでは、全国に300店舗だっていうからね」 「森隼人(もりはやと)さんも、お金持ちだからか、 プレイボーイとか、悪くいう人がいるけど、 わたしたちの誕生パーティーやってくれるなんて、 全然(ぜんぜん)、悪い人じゃないし、 性格のいい人だわよね」 「森昭夫さんは、真っ正直(まっちょうじき)な人らしいからね。 森ちゃんも、 親父(おやじ)さんの性格を継(つ)いでるのかもね。 森ちゃんン自身は、 どこか、反抗的な、 不良を気どっているようなところもあるけど」 「そうよね。そういえば、森ちゃんって、 俳優は、ジェームズ・ディーンが、好きだっていっていたわ」 「はっはは。実は、おれも、ジェームズ・ディーンは、 憧(あこが)れてたことあるよ。 でも、俳優になろうって思ったのは、やっぱり、 演技(えんぎ)で笑いのとれる、 コメディのできる俳優の影響かな? チャールズ・チャップリンや、ジャック・レモンのような」 「幸夫ちゃんなら、いつかきっと、そんな役者になれるよ」 そういって、ほほえむ、真野美果(まのみか)の 細(ほそ)い肩(かた)を、 佐野幸夫(さのゆきお)は、 「そうかな!?」といって、引き寄(よ)せた。 「わたし、森ちゃんのお姉さんの留美(るみ)さんに会うのが、 すごく楽しみなの! お料理が上手で、きょうのパーティーのお料理も、 留美さんが、作ってくれてるっていうし。 それに、留美さん、 美容師になったばかりなんでしょう。 お会いするのが楽しみだわ。 留美さん、21歳だから、 わたしより、4つくらい年下なんだけど」 「留美さんって、若いのに、しっかりした人らしいよ。 留美さんが、美容師になったからなのか、 フォレスト(Forest)では、美容院の事業を、 全国展開するってらしいから」 「そうなんだぁ、それもすごいね!」 午後の1時10分ころ。 佐野幸夫と真野美果は、森隼人の家の玄関前に着(つ)く。 家は、西欧風(せいおうふう)のデザインで、 オレンジ系のシックな色合(いろあ)いの 瓦屋根(かわらやね)に、 明るいベージュの、天然石(てんねんせき)の 風合(ふうあ)いの外壁、 落ち着いた雰囲気(ふんいき)の玄関(げんかん)であった。 玄関は、車イスの人でも、開閉(かいへい)しやすい、 引戸(ひきど)で、 スロープ(勾配)を設(もう)けて、バリアフリー設計になっている。 建築面積は、660平方メートル、200坪で、 敷地面積は、1320平方メートル、400坪であった。 敷地には、森家の住居の北側には、 株式会社 フォレスト(Forest)の本社ビルがあって、 クルマ12台分の駐車場もあった。 「いいなあ、いつか、美果(みか)ちゃんと、 こんな家で、のんびり暮らしたいね!」 「そうね」 佐野幸夫は、玄関のテレビ・ドアホンの チャイムのボタンを(お)押した。 ≪つづく≫ |