|
18章 サザンオールスターズ・祭り (2) 「そうなんだ。モリカワ・ミュージックの、アーティストの 支援制度は、良心的というか、画期的だからなあ。 良(りょう)ちゃんが、熱心に、中心になって、 アーティスト支援(しえん)のシステムを、 立ち上げたんだからね。彼も立派(りっぱ)なものだ。 とかく、世間じゃ、 夢を追う、若者たちを、支援するように見せておいて、 食い物にしている、詐欺(さぎ)みたいな会社があるからね。 おれも、 クラッシュ・ビートには、期待しているよ。 まあ、そうなんだよな。 ポリシー(自己哲学)を、考えたりと、 自分の生き方とかを問(と)うのも、本来の、ロックの姿(すがた) ともいえるんだよね。 そんな意味では、ロックは、ポップスとは、 本来は、相反(あいはん)するような、音楽だったね。 1950年ころのロックは、 働(はたら)いても、働いても、生活が楽(らく)にならない、 そんな、若い労働者たちの、 怒(いか)りを、託(たく)した、音楽ようだからね。 そして、 ポップスというのは、エンターテイメント(娯楽性)の高い、 音楽で、流行歌のことですものね。 しかし、 音楽とは、楽しむべきものであるから、自然な流れとして、 結局、 大衆受(たいしゅうう)けする、ポップ・ロックというのも、 いいんじゃないのかな。 たぶん、ビートルズも、サザンオールスターズも、 ロックとポップスのバランス(調和)の絶妙(ぜつみょう) にいい、 ポップ・ロックの代表的なロック・バンドだろうしね。 あっはっは」 「そういえば、復活(ふっかつ)した、サザンも、 新曲では『ピースとハイライト』では、 ポップミュージックの原点やあり方として、 現実の社会の、憂(うれ)いや、 平和的な方向に向かってほしい願いを、 テーマ(話題)やメッセージにしたらしいんですよ。 NHKの特集で、桑田さんが語ってましたけど」 「サザンは、デビューして、30年以上だけど、 ポリシー(自己哲学)も、ぶれないバンドだよね。 明日の、サザン祭りは、成功させましょう!純ちゃん」 「はい、。まっちゃん。みんなで、盛り上げて、成功させます」 8月24日の土曜日。 特別ライブ、サザンオールスターズ・祭(まつ)りが、 下北沢駅、南口から、歩いて5分くらいの、 ライブ・レストラン・ビートで、6時30分の開演で行われた。 1階フロア、2階フロア、あわせて、280席は、満席(まんせき)。 チケット(入場券)は、 すべて、ソールド・アウト(完売)であった。 「サザンオールスターズ祭り、これより、開催いたします! 今夜は、ライブ・レストラン・ビートへ、お越(こ)しいただいて、 ありがとうございます。いやーあ、超満席です。 ほんとうに、ありがとうございます! これも、サザンの人気の証明ですよね。 きょう、ご出演の、豪華な、ミュージシャンの、 みなさんの人気も、もちろん、ありますよね? わたくし、佐野幸夫(さのゆきお)を、一目(ひとめ)見ようと、 お越(こ)しくださっている、お客さまも、 いらっしゃる気がしますが。 あ、そこの、手を振(ふ)ってくださっている、お客さま! そうですか、ありがとうございます。 佐野幸夫、生まれてれてきてよかったと、 今夜は、つくづくと、身に染(し)みて、感じております!」 長身(ちょうしん)で、軽快で、おもしろい、MC(進行)の、 司会の店長、佐野幸夫(さのゆきお)の、トーク(おしゃべり)も、 全開(ぜんかい)、絶好調(ぜっこうちょう)であった。 サザン祭りには、早瀬田(わせだ)大学の音楽サークル、 ミュージック・ファン・クラブ(通称・MFC)の部員、 男子30人、女子38人、あわせて68人の全員が、参加した。 大人数の大学生の参加による、舞台の、ポップダンスや、 コーラス(大合唱)などは、 華(はな)やかさや楽しさに、溢(あふ)れた。 艶(あで)やかな、若い女の子ばかりの、 グレイス・ガールズの 『わたしはピアノ』と『夏をあきらめて』の 歌と演奏に、会場は、酔(よ)いしれた。 クラッシュ・ビートは、『BOHBO No.5』と 『チャコの海岸物語』、 スリーピース・バンドのオプチミズムは、 『ミズ・ブランニュー・デイ』などを、演奏し、歌(うた)った。 モリカワ・ミュージックに所属の、 ポップス・シンガー、白石愛美(しらいしまなみ)と、 ピアニストの松下陽斗(まつしたはると)は、 『そんなヒロシに騙(だま)されて』と、 『真夏の果実』を、 ピアノの弾き語りで、歌って、観衆を魅了(みりょう)した。 アンコール曲は、『いとしのエリー』だった。 会場は、総立(そうだ)ちで、みんなで、大合唱となった。 観衆も、気がつかない程度の、演奏などのミスもあった。 しかし、 サザンオールスターズ祭りの、ライブ演奏、全26曲は、 圧倒的(あっとうてき)な パフォーマンス(芸術表現)で、 会場は、最後まで、熱い、2時間30分を過ごした。 ≪つづく≫ ☆発行者:いっぺい |