|
14章 美樹と詩織のテネシー・ワルツ (4) 「いろいろなことがあるものよね、人生には。 特に、男女関係になると・・・。 詩織ちゃんも、岡くんとも、いつまでも、 仲(なか)よくしてあっげてね! ところで・・・、 詩織ちゃんの、好きな、ミュージシャンや歌とかがあれば、 少し、そんなお話を、お聞きしたいなあ」 と美樹は、いって、うまく、話題を変えようとした。 「はーい、美樹さん。なんでも、聞いてくださいね。 わたしは、どうも、アメリカのカントリー系の、 ミュージシャンが好きなようなんです。 AKB48やNMB48なんかも、けっこう、好きなんですけどね。 カーリー・レイ・ジェプセンや、 テイラー・スウィフトのような、 シンガー・ソング・ライターになれてらいいなって思ったりします。 あと好きな、ミュージシャンは、ノラ・ジョーンズかな。 特に、彼女の歌う、テネシー・ワルツには、 何とも、いい表(あらわ)せないような、魅力(みりょく)を感じます」 「あら、そうなんだ。わたしも、ノラ・ジョーンズの、 テネシー・ワルツが大好きなのよ。 彼女の歌って、なんというのかしら、 デジタル音楽では表現できないような、 人間らしい、温(あたた)かみとでもいうのかしら、 そんな良さがあって、 何か、そんな不思議な魅力で、人の心に届(とど)くのよね。 失恋(しつれん)ソングでもあるのに、 テネシー州の州歌のひとつになっているんだから、 いい歌って、生命力があるのかしら、不思議ね!」 「そうなんですよね!あの、ちょっと、スローで、流れるような、 3拍子がいいいですよね」と詩織。 「I remember the night っていう、サビのあたりの、 コード進行っていうのかしら、 何度、聴(き)いても、飽(あ)きないし、感動するのよね。 もし、お時間がみんなにあるんでしたら、 いまからでも、学生会館で、 テネシー・ワルツを、やってみたいわよね?!」と美樹。 「ええ、よろこんで。わたし、きょうは、時間があります」 と詩織。 「じゃあ、学生会館に行って、テネシー・ワルツやりましょう。 楽器はそろっているし。 ぼくは、パーカッションでも、ブルース・ハープでも、 ギターでも、何でもやりますから」 そんなこといって、岡も、元気でノリノリだった。 「じゃあ、岡には、ギターやりながら、 パーカッションやってもらって、間奏に、 しぶい、ブルース・ハープを吹(ふ)いてもらえるかな?」 美樹。 「マジっすか?!」と、本気で、あせる、岡昇だった。 そんな、真(ま)に受ける、岡に、 みんなは、声を出してわらった。 「わたし、ユーチューブで公開されている、 ノラ・ジョーンズと、ボニー・レイットのような、 テネシー・ワルツを、 わたし、やってみたかったんです」 わらいがおさまると、大沢詩織がいった。 その動画は、ノラ・ジョーンズと、ロック・ギタリスト、 シンガーの、ボニー・レイットとで、 テネシー・ワルツを歌った、コラボ(共演)であった。 「あの動画ね。わたしも、お気に入りに入れている」 と、菊山香織(きくやまかおり)。 「ノラ・ジョーンズって、テネシー・ワルツを聴きながら、 育ったって、NHKのSONGS(ソングス)で、語ってた」 と、平沢奈美。 「それじゃあ、大沢詩織さんの、バンド加入の、 お祝いということで、みんなで、テネシー・ワルツを、 演奏(えんそう)したりして、楽しむことにしましょう!」 と、美樹がいうと、みんなは、 「賛成(さんせい)!」とかいって、笑顔になった。 --- テネシー・ワルツ ( Tennessee Waltz ) テネシー・ワルツを、きいて、恋人と踊(おど)っていたら、 むかしの、女友達に、偶然(ぐうぜん)に、会った。 その友だちを、わたしの恋人に紹介したら、 その二人は、踊(おど)りはじめたの。 そのうち、友だちは、恋人を、私から、奪(うば)っていった・・・。 そんな、あの夜と、そんなテネシー・ワルツが、忘れられない。 本当に、大切なひとを、失(うしな)ってしまった・・・。 大好きな、恋人を失った夜、聴こえていたのは、 美しい、テネシー・ワルツだった・・・。 ≪つづく≫ ☆発行者:乙黒一平(おとぐろいっぺい) |