2012年5月11日 第17号(通巻第311号)

インテリジェントな電子名刺

ビジネスの社会では、初めて会った人と名刺を交換することは、握手と同じぐらい当たり前のことになっている。「名刺がない」「名刺を忘れた」などということでは、どんな場合でも相手にいい印象を与えられない。だが、名刺の管理はエネルギーを使う面倒な仕事だ。会議に出たり、パーティに参加したりして、数十枚の名刺を受け取るのはよくあることだが、これらの名刺は分類するのが面倒なだけでなく、ぶ厚い名刺フォルダーがだんだん増えていくのを見ていると頭痛までしてきてしまう。自分の名刺についてもやっかいなことがある。電話番号が変わったり、転職したり、副業を持ったり……どんな小さな変化であっても、印刷した何ケースもの名刺が使えない事態になる可能性があるのだ。無駄なコストがかさみ、資源の浪費もはなはだしい。使い勝手のよさから見ても、省エネや環境保護の点から見ても、名刺は実にわずらわしいものである。

そこで、「電子名刺」が登場したというわけだ。電子名刺の形式は様々のものがある。名刺をカード型記憶装置に書き込むサービスを行っている会社もある。記憶装置にはデータ管理ソフトがついていて、分類作業をパソコンに任せることができる。紙の名刺の中にチップを入れたものや、読み取り用の二次元コードを印刷したものもあり、これらは特別のカード読み取り器を使ってデータを保管することができる。だが落ち着いて考えてみると、どの方式にしても、まるで玩具のようで、記憶装置もカード読み取り器も、ビジネスの現場で気軽に取り出しにくい。しかも、これらはやはり環境には優しくない。

最近、「Yanko Design」というデザインスタジオが、新型の電子名刺を開発した。この「Halo」と呼ばれる新製品はまったく新しいタイプで、見たところは超小型の薄型携帯電話のようである。この新型電子名刺には、SDカードスロットと電源スイッチとブルートゥースセンサーだけが付いており、他の操作はすべてタッチスクリーンで行う。外観は普通の名刺と同じで、両手で差し出しても違和感がない。だが、二台の「Halo」が近づくと、ブルートゥースを通じてお互いの情報が交換され、設定しておいた分類モードによって自動的に名刺が分類される。指でスクリーンに触れるだけで、名刺に伴うわずらわしさを優雅に便利に、そして環境に優しく解決できるのだ。インテリジェントなデジタル製品が溢れる時代にあって、まさに「今まで思いつかなかったが、できないことは何もない」のである。(凱特執筆)

Yanko Design http://www.yankodesign.com/ (英)


スワロフスキーのベンツ

ここ数十年、アジア各国の経済は急速に成長し、人々の収入や生活水準も大きく変化した。だがベンツを乗り回すことは、今でも成功した人々の社会的地位を示すシンボルであり、多くの人が努力するための目標の一つでもある。だからベンツが大きな話題として取り上げられるのは、別に驚くほどのことでもない。しかしこの目を奪うほどに光り輝くベンツSL600を実際に見たら、ほとんどの人があまりの驚きに呆然としてしまうことだろう。

自動車のインテリア・エクステリアパーツなどを製造するギャルソン社は、もともとブラックマフィアやD.A.Dなどのブランドを扱っていたが、今では国産車だけでなくベンツのパーツも主力商品の一つとなっている。ベンツSL600は現行モデルの中でも最高レベルのものの一つだが、ギャルソン社では今回ベンツのために光り輝く衣装をあつらえた。一台の自動車に使われたクリスタルは30万個であり、これらはすべて手作業で貼り付けられている。一台の車を装飾するのに20名の作業員が3ヶ月もかけ、ドアの装飾は社長が自ら担当したという。ギャルソン社の開発した耐久性と強度の高い接着法は、特許を取得している。光り輝くベンツが一般道路を彗星のように疾駆するのを目撃することができたら、それはとても幸運なことに違いない。クリスタルで装飾された自動車の価格はどのぐらいなのだろうか?ギャルソン社ではかかった費用を公開していないが、ネット検索したところ、クリスタルのシートを買って、ハンドル中央のエンブレムに自分で貼った場合、それだけでも約18000円かかるそうだ。大きな面積に必要な材料と人件費を考えると、天文学的数字になるに違いない。

クリスタル装飾の価格は様々なので、一概に言うことはできないが、世界でも屈指のクリスタル製造会社スワロフスキーがベンツと共同設計した非接触型キーの価格は約6万円である。完全手作業で、最初は限定800個発売と聞くとたいへん魅力を感じるが、一般の人がこのようなキーを使うのには勇気が必要だ。クリスタルで装飾した車が発展する将来性はどのぐらいあるだろう?世界でたった一つの、15万個のクリスタルを使ったトヨタ「ハリアー」が、先月26日に日本ホビーショーで公開された。経済的事情が許すならば、ちょっと乗ってみたいというカーマニアの潜在的需要は、決して少なくないと思われる。(緋梨執筆)

スワロフスキーデコレーション専門店 http://www.swaro-style.com/



新送迎会の強い味方

帰宅ラッシュの山手線の車内で、こんな会話が聞こえてきた。「ノンアルコールビールって、私たちも飲んでいいの?アルコールが入ってないなら未成年も飲んでいいのかな?」そんな会話が高校生くらいの女の子たちの間でなされていた。しかし、ノンアルコールといえどアルコールと名がついている以上、ちょっとよろしくないのではないかと口出ししたくなるのを抑えた。

ウィキペディアによると、「ノンアルコール飲料とは、アルコール分が含まれない、もしくは1%未満のアルコール分を含むアルコールテイストの飲料。日本の法律では清涼飲料水に分類されている」とのことだ。

2003年に道路交通法改正が行われ、飲酒運転へ課される罰則がずいぶん厳しくなったことを受け、大手ビールメーカーはこぞってノンアルコールビールを発売した。そしていまやビールにとどまらず、ワイン、カクテル、梅酒、そして日本酒や焼酎までそろっている。先述した飲み物がすべてノンアルコールだというのだから、驚きだ。そればかりではなく、味もとてもよく出来ており、本当にビールを飲んでいるような喉越しや味わいがあり、「ガマン」をしている感覚など無縁なのだ。そのため、ほとんどの居酒屋のドリンクメニューには必ずと言っていいほどノンアルコールが用意されている。

リサーチ会社が行ったアンケートによると、ノンアルコールビールは男性のほうがやや飲用経験が高く、ノンアルコールカクテルはやや女性のほうが引用経験が高いという結果が出ている。日本では、3〜4月の時期は12〜1月頃並みに飲み会の機会が増える。3〜4月は年度末、年度初めとなっており、去り行く人を見送り、新しく来た人を歓迎する意味で、日本のあらゆるネオン街がにぎやかになり飲み会が増える。このシーズンはとくにそうだが、ノンアルコール飲料はいつだって我々の強い味方なのである。(北村優希執筆)

資料提供 株式会社ドゥ・ハウス

小正焼酎株式会社 http://www.komasa.co.jp/topix/zero.html



美しいシルクの展覧会

シルク博物館のリニューアルオープンを記念して、春の特別展「美しい日本の絹 ユミカツラ ブライダルコレクション」が4月25日に開幕した。シルク博物館は風景の美しい横浜の日本大通りにあり、華やかなブライダルファッションの展覧会にはぴったりの会場である。

桂由美は東京生まれ。共立女子大学被服学科卒業後、パリに留学した。日本のブライダルデザイン界の代表的人物として、日本のブライダルファッション全体をリードしてきた。1964年には最初のブライダル専門店をオープンし、翌年には初のブライダルコレクションショーを開催した。1976年には日本フォーマルウエア協会を設立して会長に就任した。1996年には北京でファッションショーを行い、中国のファッション界初の「新時代婚礼服飾文化賞」を受賞した。2010年には、全米ブライダルコンサルタント協会から、世界で4名しかいない名誉会員に選ばれ、日本では「ブライダルの伝道師」と呼ばれている。

桂由美のウェディングドレスは個性を強く主張し、うなじや腰のラインなどにも大胆な独特のデザインをほどこして、立体的な造形のドレスを創り出している。またタフタ素材の特徴である軽さを利用して、ふっくらしていながら重さを感じさせないドレスなどを開発し、これらによって国際的なブライダルファッション界で揺るぎない地位を確立している。

今回シルク博物館で行われる「美しい日本の絹」という展覧会では、ウェディングドレス、イブニングドレス、新しいタイプの和服など67点が展示されている。会場全体がロマンチックな雰囲気にあふれており、すべての服が日本の高級シルクで作られている。日本の伝統工芸である友禅、金箔、染色の特性を自在に活用して、夢のように豪華なブライダルドレスが製作されているのだ。シルクの魅力について桂由美は、人の最も美しい面を表現でき、滑らかな感触や吸湿性、軽さなどもシルク独特のものだと語っている。

今回の展覧会では、2009年から2012年にパリコレクションで発表されて作品や、1988年の、グラデーションになったスパンコールの刺繍がほどこされたバラの旗袍(チャイナ)風のドレス、1998年にローマのファッションショーに出展された、ナポレオンの最初の妻ジョゼフィーヌをテーマとして製作されたブルーの刺繍のドレスなどを見ることができ、国を超えた一つの時代の作品がそろったと言えるだろう。(Michelle執筆)

期間:4月25日〜6月10日(9:00〜16:30)月曜休み 場所:シルク博物館 横浜市中区山下町1番地シルクセンター2階 入場料:700円(65歳以上300円)

シルク博物館 http://www.silkmuseum.or.jp/ (日、韓、中、英)



桜も泣いている?

ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいましたね。日本のみなさんは、どんな休暇を過ごされましたか?休みの後半は大雨だったので、スケジュールをキャンセルした方も多かったと思いますが、桜の鑑賞に行かれた方もいらっしゃるでしょうね。日本の桜の開花期は3月から5月の間で、大半の桜は4月に開花します。日本の最北端にある北海道は気候が寒冷であるため、花見に最適の時期は5月中旬です。私はちょうど5月初めに札幌に行ったので、幸運なことに美しい桜が青空の下に咲いているのを見ることができました。

日本語では花を観賞するのを「花見」と言い、月を鑑賞するのを「月見」と言うのを、以前からとても面白いと感じていました。「花見」は日本独特の季節の風習です。桜の花が満開の時に、日本人は友だちや仲間を集めて桜の木の下で飲んだり食べたりして、屋外の宴会を楽しみます。花見に行くメンバーは、普通は家族や会社の同僚、学校の友だち、あるいはカップルなどが多いです。一般に昼間に行く人が多いのですが、花見の名所はその季節になると雰囲気を盛り上げるためにライトアップをするので、仕事の後で夜の桜を見に行く人もいます。これは「夜桜見物」と呼ばれています。

 花見の時期には、デパートやスーパーに花見用品や行楽用品の専門コーナーが設置されます。バーベキューセットやその食材、色がとてもきれいな花見弁当、花見酒、花見団子、屋外で食事をするための道具、食器など、様々な商品が登場します。花見の起源は、奈良時代の貴族の行事に発しています。もともと中国から入った習俗として梅の花の観賞がありましたが、平安時代になってそれが桜の鑑賞に変わったのだそうです。

花見はとても風流なことだと思っていましたが、「花見のマナー」を守らない人が多いために、多くの「花見問題」が生じています。例えば、広い場所を占領してカラオケで歌いまくり、騒音で附近の住民に迷惑をかける人たち、お酒を飲んで暴れる人たち、許可されていない場所で勝手にバーベキューをして煙を出す人たちなどです。最も深刻なのは、花見の後に後片付けをしないでほったらかしで帰ってしまい、大量のゴミを残していく人たちです。毎年これらのゴミを片付けるために、自治体の清掃担当部門は何百万円もの費用を費やしているそうです。

誰よりもルールを守る人々という印象があった日本人がゴミを捨てて帰るという事実は、私にとって本当にショックでした。本来花見は楽しい気持ちになるための春の行事なのに、こうした公徳心のない人たちが悪い手本やマイナスイメージをもたらすのでは、桜の花に心があったなら、きっと泣いているのではないかと私は思います。(哈日杏子執筆、撮影)

お花見特集2012  http://www.mapple.net/sp_sakura/  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)



第17回 丸の内

【丸の内の概要】丸の内は皇居外苑と東京駅の間の区域の総称で、日本の経済と金融の中心の一つであり、三菱グループの大本営でもある。ここ数年、大規模な再開発が行われ、東京駅を中心として隣接する大手町と共にオフィス街として発展し、商業施設や飲食店もさらに広がり、歴史と文化と高級レストランが一体化した、大人が観光とレジャーを楽しめる場所になっている。

【丸の内の建築】丸の内には重要文化財に指定された帝国劇場、明治生命館などの建築物がある。明治時代に最初のオフィスビルである三菱一号館が建てられたのを皮切りに、ロンドンのロンバード街を模倣した赤レンガ街が建てられ、一丁倫敦と呼ばれるようになった。その後、東京駅、東京国際フォーラムなどの建築物が建てられた。2002年に丸ビルが元の位置に再建され、二年後には丸の内オアゾがオープンした。丸の内には高いビルが林立し、それぞれが個性を発揮している。

【丸の内こぼれ話】丸の内の意味は、「円の内側」という意味で、昔の城壁の内側を意味している。三菱の2代目が150万円で購入したが、現在の国土交通省の公示地価では1平方メートルあたり2700万円で、日本でトップクラスである。平日の昼間はサラリーマンが集まり、夜と休日は東京駅で交通機関を乗り換える人々でにぎわっている。テレビで経済ニュースを報道する時、この附近をサラリーマンたちが歩く場面がよく映し出される。だが丸の内に住民登録している人は、わずか2人である。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「通り過ぎる」
場所:丸ビル附近
撮影のポイント:巨大なファッションビルのショーウインドウの中の写真と道を行くカップルが鮮明な対照を示している。写真の中の人々が世の中を見つめる一方、現実の人々は永遠に忙しい旅人であるかのようである。
使用フィルタ:Sutro(中央がやや明るく、ショーウインドウの枠の質感を際立たせている。フレームの装飾効果。)
タイトル:「おしゃべり」
場所:富士ビル附近
撮影のポイント:同様に、芸術作品と現実の人生のコントラストを強調する。画面の四分の三は楽しそうに笑う現代的な彫像群で、四分の一にはベビーカーと女性のマスクがぼんやりと写っている。
使用フィルタ:Lo-fi(背景の色を強調して彫像を浮かび上がらせる。フレームの装飾効果。)

タイトル:「堂々と」
場所:TOKIA附近
撮影のポイント:オープンエアのバーで、最も目を引くカウンターを切り取って中心に置いた。画面全体が縦、横の線で均等な方形に切り分けられているようで、構造美が感じられる。
使用フィルタ:Kelvin−フレーム(灯りの暖色を強調し、フレームを取り去って、ゆったりした映画スクリーンのようなイメージを作り出す。)
タイトル:「温もり」
場所:国際ビル附近
撮影のポイント:丸の内一帯の特色ある街灯が登場している。斜めに横切る太い枝や細かく分かれた小枝が、切り紙のようなフレーム感を構成し、遠くのグレーのビルが街灯の温もりを感じさせる。
使用フィルタ:Sutro(暗いグレーの色調が秋冬の気配を作り出す。フレームの装飾効果。)

Marunouchi.com  http://www.marunouchi.com/  丸の内シャトル http://www.hinomaru.co.jp/metrolink/marunouchi/


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