お腹がすいたら、アツアツの鯛焼きを!
今川焼、人形焼、鯛焼き……同じように小麦粉で作られた日本の伝統的なお菓子の中で、形が可愛い鯛焼きが私はいちばん好きです。鯛の日本語発音は「たい」で、「おめでたい」の最後の部分と発音が同じなので、鯛の形にした鯛焼きは非常に縁起がよく、明治時代に登場してから今日までたいへん喜ばれ、百年もの間、人気が衰えないお菓子です。
鯛焼きの餡は小豆が中心でしたが、二十世紀末になって他の食材も使うようになり、多様化し始めました。最も伝統的で人気のある小豆餡以外では、カスタードや、最近登場したゴマ、抹茶、サツマイモ、ピーナツ、栗、チョコレートなどがあり、餡にチーズ、白玉、生クリームなどを加えたり、ハムやトウモロコシなどの塩辛いものを入れたりする新しい味のものもあります。地域が異なれば、登場する味にも違いが出てきます。例えば、サツマイモの生産が盛んな埼玉県の川越一番街で、サツマイモの味の鯛焼きを食べたことがあります。
鯛焼きの食感では、皮がパリッと焼けて、中が柔らかいのがいいと言う人もいますし、皮を柔らかめに焼き、かじった時にもっちりした感覚のあるものが好きだと言う人もいます。一般に、焼き立てのアツアツの鯛焼きが最もおいしいと言われます。しかし熱い時には柔らかく、冷めると咬みごたえがあると言われる新しいタイプの鯛焼きもあります。また、鯛焼きの形や色や大きさも最近は種類が増えており、目移りがするほどです。白いもの、黒いもの、四角形のもの、円形のもの、大きいの、小さいの、皮が薄いもの、厚いものなどいろいろな鯛焼きを食べたことがありますが、食べるたびにとても興味深く感じます。
ところで、鯛焼きの焼き型には、1匹ずつ焼く「天然物」「一本焼き」と、一回で複数を焼くことができる「養殖物」があります。たくさんの鯛焼きを素早く焼くために、多くの人は「養殖物」を使います。二つの焼き型は焼き方も異なっており、「天然物」で1匹ずつ焼いた鯛焼きは皮がぱりっとしていて、形は立体的です。わざわざ焼き型の周囲の鉄板にこぼれた生地を残して一緒に焼き、焼けたら全体を一緒に取ってお客さんに渡す店もあります。こうした、鯛焼き本体の周りにできた皮の部分を「羽」と呼びます。
東京で有名な鯛焼き屋はどこにあるのでしょうか?1909年(明治42年)創業の麻布十番の「浪花屋総本店」、1916年(大正5年)創業の人形町の「柳屋」、1953年(昭和23年)創業の四谷の「わかば」の三つは、東京の「鯛焼き御三家」と呼ばれています。高級な食感のある鯛焼きを食べたい人は、これら三つの店に行けば間違いがないでしょう。(哈日杏子執筆、撮影)
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