一滴の水が大河となって
去年の「3.11」から間もなく一年になろうとしている。被災地の人々は毎日の生活を一日一日積み重ねる中で、故郷の再建のために努力している。懸命にがんばる姿を見ていると、我々も彼らを励ましたくなり、自分のできることを何かしてあげたいという気持ちになる。遠く離れた場所にいても、それぞれの心が地域と空間を超え、見えない「絆」で互いがしっかりと結ばれていく。恵比寿駅近くで整体院を経営する加倉井さんは、「10年後に振り返った時、何もしなかったと後悔したくない。」という気持ちを持っていたが、ますます強くなるその願いをついに行動に移したのだった。
すでに50代の加倉井さんだが、震災の後、何度もボランティアとして被災地に入り、被災者たちにマッサージをしてあげていた。だが長期滞在をすることができないので、気持ちは溢れるほどなのに力を出し尽くせないもどかしさを感じていた。そこで去年の6月、恵比寿駅付近の同業者たちと「チーム恵比寿」を結成し、彼らの活動報告をFacebookに載せたところ、多くの人々から熱い注目を集めることになった。そして「チーム恵比寿」のメンバーも、次第に整体師からネイリスト、ミュージシャン、落語家など様々な職業に広がっていった。
現在「チーム恵比寿」のメンバーは約100人である。9月からは、それぞれが費用を分担して自前の車を出し、毎月一回深夜に出発して、翌日の9時から午後7時まで岩手県で被災者を相手に活動を行っている。被災者たちは歌や落語を楽しんだり、マッサージやネイルのサービスを受けたりすることができる。被災地での長い生活で自律神経のバランスが乱れたために、肩や背中に痛みが出ている人たちにとって、これは願ってもない助けと言えるだろう。先日、本メールマガジンの記者はメンバーと共に陸前高田や大船渡などのまだまだ深刻な傷跡の残る被災地を訪れたが、ボランティアたちの熱い行動に対して被災者たちが深い感謝の気持ちを抱いている様子を直接目にすることができた。
みなさんに、彼らのグループに参加したいという気持ちがあったなら、すぐに「チーム恵比寿」で検索して参加してみてほしい。マッサージやネイルなどの技術がなくても、自分のできる範囲のことをすればいいのである。我々はごく平凡な普通の人間で、一人一人の力はとても小さいけれど、小さな力を集めれば、きっとそれは大河の流れとなって、被災地の人々の心を潤すことができるに違いない。(小雅執筆、Yao Yuan撮影)
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