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タイトル:Daily Drama Express 2012/01/15 運命の人 (1)  2012/02/14


===================================================== 発行部数   43 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2012/01/15(Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 運命の人
局  名 TBS系
放映日時 月曜21時
キャスト 弓成亮太(本木雅弘)
 弓成由里子(松たか子)
 三木昭子(真木よう子)
 山部一雄(大森南朋)
[ 毎朝新聞 ]
 司 修一(松重 豊)
 清原 了(北村有起哉)
 金田 満(遠藤雄弥)
 萩野孝和(梶原 善)
 恵比寿史朗(でんでん)
 荒木 繁(杉本哲太)
[ 外務省 ]
 安西 傑(石橋 凌)
 吉田孫六(升 毅)
 山本 勇(小松和重)
 林外務次官(石丸謙二郎)
[ 弓成家・八雲家関連 ]
 弓成正助(橋爪 功)
 弓成しづ(吉村実子)
 弓成洋一(今井悠貴)
 弓成純二(山崎竜太郎)
 八雲泰造(山本 圭)
 八雲加世(高林由紀子)
 青山芙佐子(柴本 幸)
 鯉沼 玲(長谷川博己)
[ 三木家 ]
 三木琢也(原田泰造)
[ 週刊誌記者 ]
 鳥井裕三(斎藤 歩)
 松中雄也(眞島秀和)
[ 警察・検察 ]
 十時正春(伊武雅刀)
 井口捜査二課班長(小市慢太郎)
 森 靖之(浅野和之)
[ 弁護士 ]
 大野木正(柳葉敏郎)
 坂元 勲(吹越 満)
[ 政治家 ]
 横溝 宏(市川亀治郎)
 愛川輝一(大和田伸也)
 曽根川靖弘(本田博太郎)
 田淵角造(不破万作)
 福出赳雄(笹野高史)
 小平正良(柄本 明)
 佐橋慶作(北大路欣也)
原 作 山崎豊子『運命の人』
脚 本 橋本裕志

あらすじ 第1話

         1978年春 沖縄。

         ----その日も沖縄の空を米軍機が飛んでいた。

         弓成亮太(本木雅弘)は、崖の突端に立つと、旅行鞄から手を離し、
        そのまま海へと身を投じた。

         ----その日も沖縄の海は、蒼く澄んでいた。


         1945年 第二次大戦末期。沖縄は鉄の嵐にさらされていた。米
        軍の容赦ない侵攻。住民たちの集団自決。
         沖縄戦では、20万人もの生命が失われた。
         そして終戦後、アメリカの施政下に置かれた。アジアの軍事拠点と
        して、多くの軍事施設が作られ、米兵による婦女暴行や殺傷も行われ
        たが、住民たちは、泣き寝入りするしかなかった。
         祖国日本への復帰は、沖縄の悲願であった。


         1971年春 東京。
         終戦から四半世紀。その悲願は、佐橋慶作(北大路欣也)総理の下、
        実現されようとしていた。

         街頭に置かれたカラーテレビを見つめる街ゆく人たち。
         佐橋が演説をしている。来年、沖縄が、沖縄県として日本国に復帰
        する。それは、核抜き復帰だという。

         その演説に対して、質問する記者。毎朝新聞政治部・弓成だった。
         日本本土並ということは、沖縄の住民は基地縮小を期待するだろう。
         ベトナム戦争まっただ中のアメリカが基地返還に応じるのか。現に
        アメリカは基地の存続を明言している、と言う。

         佐橋は、憶測を記事にしないようにと、恫喝する。


         外務省では、毎朝新聞政治部の記者・清原了(北村有起哉)と金田
        満(遠藤雄弥)が、外務省の官僚と話をしている。官僚は、核が存続
        するのは、当たり前なんじゃないかなと、立ち話で言う。


         外務省次官定例記者懇談会。沖縄の返還条件について、記者たちが、
        鋭く切り込む。いい加減、今日は本当のことを言ってください、と。
         だが、外務次官の林(石丸謙二郎)は、相変わらずのらりくらりと
        して、一年も先のことなど、誰にもわかりはしないだろう、と煙に巻
        く。

         林に対して、冷静に、今日もベトナムに向けて戦闘機が飛び立って
        いる。本当に基地を返還するのか、と問いただす記者。読日新聞政治
        部記者の山部一雄(大森南朋)だ。
         林は、部数トップの読日がそんなことを言っていては困る、と言う。

         弓成が林に質問すると、秘書は、もう次の約束がと言い、懇談会は
        終わってしまう。


         廊下で話をする、弓成と山部。
         山部は林に対して、美人芸者を侍らせ、口を割らせようとしたが、
        用心した林は、一口も避けに手をつけなかった。後は、実弾しかない
        か、と言う。
         弓成は、自分には、山部のようなことはできない、と言う。


         弓成は、外務省・経済担当審議官の安西傑(石橋凌)と、安西の執
        務室で話をしている。
         弓成は、安西なら、沖縄返還の裏側を知っているのではないか、と
        迫るが、安西は、自分にはわらないと答える。
         次の約束があるという安西に、控え室で待っています、と弓成。


         控え室に座っている弓成にお茶を出す外務省・事務官の三木昭子
        (真木よう子)。出張土産のカステラを召し上がりますか?と訊く。
        頼みます、と弓成。

         カステラを用意するために、部屋を出て行く昭子。ふと机の上を見
        た弓成は、書類の下に、『無期限 極秘』と判が押された書類がのぞ
        いているのに気づく。引っ張り出してみると、返還基地リストだった。

         弓成は、控え室を飛び出す。出会い頭にぶつかった昭子に、冷静を
        装って、省内を一回りしてくる、と言う。

         弓成は、コピー機でそのリストをコピーする。それから、何食わぬ
        顔で、その資料を元の場所に戻す。


         毎朝新聞社会部では、強盗殺人事件の犯人逮捕に沸いていた。犯人
        の顔写真を入手し、逃走経路を掲載しようとしている。

         社会部デスクの荒木繁(杉本哲太)は、政治部デスクの萩野孝和
        (梶原善)に対して、朝刊の一面、二面は社会部で貰う。事件につい
        ての記事をバーン!と載せるのだ、と言う。

         その線で話はまとまり、荒木は社会部の記者たちに、記事の書き直
        しを命じる。5分で仕上げろ、と。

         そこに、社会部デスクの司修一(松重豊)がやってきて、その話は
        ちょっと待ってくれ、と言う。うちの弓成が、何かをつかんだらしい
        から、と。

         弓成は飛び込んで来るなり、一面、二面は、オレが貰う、と言う。
         コピーしたリストを机上に並べ、アメリカに詳しい司なら、このリ
        ストの10話雨声はわかるだろうと示す。
         Aランク:すぐに返還される基地31。
         Bランク:半年後返還される基地8。
         Cランク:返還予定の無い基地85。

         そのリストを見た司は、一面に記事、二面のリストを載せろ、と指
        示する。強盗殺人の方は、やむなく社会面となる。

         弓成は、外信部に、一字一句間違えるなと、念を押してリストと、
        沖縄の地名の一覧を渡す。

         その夜、政治部の記者たちは、弓成のスクープを祝って、小料理屋
        で飲んだ。
         山部は、政治家や財界人に食い込んでスクープを取っている。それ
        に対して、弓成は、実力でスクープを取っていると、たたえられる。
         これで、毎朝新聞が部数一番になるぞ!と弓成。

         どうして、署名記事にしなかったんですか? それに、リストの写
        真も載せないし、と訊かれた弓成は、署名したら、今後の取材がやり
        にくくなる。それに、リストの写真を載せたら、ネタ元がわかってし
        まう。
         新聞記者にとって、一番大切なこことは、ソースを守ること。オレ
        は極端な話、それさえできれば、後は何をしてもいいとさえ思ってい
        る。新聞記者は、聞くだけじゃダメだ。もっと世間にどんどん物を言
        わなければ、と酔ったように言う弓成。


         弓成の妻・弓成由里子(松たか子)は、弓成の署名記事を切り抜き、
        スクラップ・ブックに貼っていた。
         そこに弓成が帰ってくる。
         ご機嫌ですね、と由里子。
         ああ、と弓成。

         お茶漬けを食べている弓成に、息子は先生に将来、何になりたいか
        と訊かれ、お父さんのような新聞記者になりたいと即答したと、誇ら
        しげに報告する由里子。それと、九州のお義父さんから、みかんを5
        箱送ると連絡があったと言う。
         弓成は、金だけ送ってくれればいい、と言う。
         由里子は、お義父さんからの送金があるから、うちはやっていける。
        弓成は、給料をすべて、後輩を食べさせたり、取材したりするのに使
        ってしまうから、と弓成をたしなめる。
        弓成は、おやじは息子に送金するのが、生き甲斐なんだ。だから自
        分は、孝行息子だ、と言う。

         由里子は、田淵角造(不破万作)議員から、越後最中の小包が届い
        ていると、持ってくる。
         弓成は、小包を開け、菓子の下に手を入れる。箱の底には、封筒が
        入っていて、数枚の1万円札が入っている。弓成は、田淵も指名争い
        で、随分追い詰められているな。こういうことをされるということは、
        オレも一流と認められたんだな。この金は返しておいてくれ、と由里
        子に言う。


         毎朝新聞の朝刊を見た佐橋総理は、これを書いたのは、誰だ? や
        はり弓成だろうか、と側近に言う。


         自由党小平派会長の小平正良(柄本明)の屋敷の門前で、記者たち
        が朝駆けしている。
         毎朝新聞政治部記者の仲村明も、小平邸の訪問者に質問をするが、
        無視される。

         そこにハイヤーで乗り付ける弓成。さっさと小平邸に入っていく。
        仲村は、さすが弓成さんは、小物とは違うね、とため息をつく。

         小平邸では、朝食会が開かれていた。弓成も列席する。

         朝食後、着替え中の小平と話をする弓成。
         小平は、あのスクープは、失敗だったな、と言う。リストの写真を
        載せていないので、信憑性を疑われる、と。
         弓成は、写真を載せると、取材ソースがわかってしまう、と言う。


         昭子は、熱心に新聞を読んでいる。
         昭子の夫・三木琢也(原田泰造)は、役所勤めをしていると、自分
        までエリートになった気になるらしい、と嫌みを言う。
         昭子は、好きで勤めているわけではない。誰かさんのせいで、勤め
        ているだけだ、と言い返す。


         仕事場で昭子は、同僚の外務省・事務官の山本勇(小松和重)に、
        弓成は、安西と随分親しいですね、と言う。
         山本は、弓成と安西は、同じ北九州の出身で、かつては政策論を戦
        わせた仲だと言う。

         そこに、何人かの記者が入ってくる。
         山本は、昭子が来てから、ここを訪れる人が増えた。昭子が美人だ
        からだろう、と言う。
         そこにいた弓成は、自分もその一人だと言う。
         山本は、残念ながら、昭子は既婚者だという。

         山本は、廃棄書類を処分してくると言って、部屋を出て行く。
         ほかの記者たちもいなくなり、部屋には、弓成と昭子だけが残され
        る。
         弓成は、昭子の手元をのぞき込み、こんな書類を任されるなんて、
        信用されているんだね。すごいよ、と言う。
         昭子は、自分は単なる文書係。それりも弓成の顔が近すぎる、とた
        しなめる。
         顔を離しながら、何かを掴んだような表情をする弓成。


         外務省記者クラブは、弓成のスクープの話でもちきり。

         毎朝新聞の新入り記者が先輩に、『軍用地復元補償費』って、何で
        すか?と訊く。
         先輩は、もともと基地の土地は、沖縄の農地。返還するに当たり、
        その先祖伝来の大切な土地を、元の農地に戻す費用を負担するという
        こと。もっとも1961年以降払われていないが、と説明する。


         廊下で、弓成と山部は、軍用地復元補償費を出さない米軍に代わり、
        こっそり日本政府が肩代わりしようとしているのではないか、という
        話をしている。
         別れ際、山部は、弓成のスクープに触れ、あれでは丸腰で戦車隊に
        挑むようなもの。踏みつぶされるぞ、と忠告する。


         弓成は、事務次官室に入れてくれるよう頼むが、秘書は、次官は約
        束があるので、と断る。

         山部がやってきて、その事務次官室に招き入れられる。


         由里子は、姪のピアノの練習をみている。
         由里子の妹の青山芙佐子(柴本幸)が、娘を連れてきているのだ。
         芙佐子は、今日のトップ記事は、弓成が書いたのではないか。あん
        な記事を書いていては、そのうち恨みを買って、ひどいことになるん
        じゃないか、と心配する。
         由美子は、弓成は、自分の言うことを聞くような人ではない、とあ
        きらめ顔。


         恵比寿史朗(でんでん)毎朝新聞販売部長が政治部長のところへ来
        て、カタイ記事ばかりでは、部数が伸びない、と文句を言っている。
         そこに居合わせた弓成に対して、記事が高級すぎると、文句を言う。
         弓成は、そんなに部数が欲しければ、スクープの毎朝を売り込めば
        いいと言い返す。


         司は、弓成を連れて喫煙室に入る。
         お説教なら、もう十分ですよと、先手を打つ弓成。
         司は、自分も60年安保の時、政府を叩いた。そうしたら、公安は
        司だけではなく、司の家族まで調べ回っていた、と言う。
         弓成は、司は政府を叩いたが、自分は沖縄返還は実現して欲しいと
        思っている。それを正しい形で行われるようにしたいだけなのだ、と
        言う。
         司は、そう言っても、佐橋は、60年安保の時のオヒラマサヨシの
        弟なのだ。十分注意するように言う。


         安西は山本と昭子に、今後重要文書は、より厳格に管理することに
        なった、と言う。
         新聞記者も大変ですね、と昭子。

         弓成がやってくる。先日、安西と約束したうまい店の予約が取れた
        ので、今晩、誘いに来た、と言う。
         安西は、悪いが約束がある、と断る。
         昭子は、弓成に、いつもふられてばかりですね、と声を掛ける。
         弓成は、君たちもどうだ?と言う。
         山本は、あと30分ぐらいで仕事が終わると思いますので、その後、
        と言う。
         弓成は昭子に、我々は先に始めてますか、と誘う。


         高級レストランで、食事をしている弓成と昭子。
         昭子は、弓成がこういうとこで、どうやって安西の口を軽くさせる
        のか、見てみたいと言う。
         弓成は、安西なら、屋台の方がいいかもしれない、と言う。

         昭子は、自分たちは、みんなから、ただの事務員としか見られてい
        ない。主人は、家計簿や帰宅時間までうるさい、と言う。
         ご主人は?と弓成。
         胸を患って、退官しました。その代わりに、わたしが勤めているん
        です。だから、主人は気位が高くて、と昭子。
         意外だな。みんな昭子がいてくれて、職場が明るくなったと言って
        いるのに、と弓成。そして、昭子の愚痴なら、いくらでも聞くよ、と
        付け足す。
         昭子は、弓成がそんなことを言うなんて、意外だという。
         弓成は、自分は者でも変わり者。自分のスクープで、世の中を変え
        られると思っているような、不遜な人間だ、と言う。

         ボーイが、山本は、子供が熱を出したので来られなくなった、とつ
        げに来る。
         弓成は、今夜は昭子と飲むぞ。それで口が軽くなったら.....と言
        う。
         え?と訊き返す昭子。
         なんでもない、と弓成。


         電話を掛けている三木。だが、全然相手は出ない。

         その頃、弓成と昭子はタクシーに乗っていた。外は雨が降っていて、
        おまけにストの影響もあり、いっこうに進まなかった。

         弓成は昭子にお札を渡すと、自分はここで降りる、と言う。社が近
        いので、歩いて行く。雨が降っているので、昭子はこのまま乗ってい
        って、と言う。

         歩き出した弓成は、後ろから呼ばれる。昭子だった。もう少し、一
        緒に呑みたい、と。


         弓成が帰宅すると、待っていた。少し寝てしまったけど、と由里子。
         遅くなった時は、寝ててくれていいのに、と弓成。
         由里子は、明日のゴルフ、朝早いけれども、行かれるんですか?と
        訊く。
         明日のゴルフは『オヒラマサヨシ杯』。全部の新聞記者が招かれて
        いるのだから、行かないはずが無いだろう、と弓成。
         由里子は、祖父の13回忌に遅れないようにしてくださいね。父も
        体調が悪いので、これが最後になるかもしれないと言っていたから、
        と。
         2時にずらしただろう、と弓成。


         ゴルフコンペ。
         自由党の鈴森善市政調会長は、快調に飛ばしている。
       小平から様子を聞かれた弓成は、鋭意努力中と答える。小平は、早く
        しないと、返還に間に合わない、と言う。
         田淵からの付け届けについて問われた弓成は、丁重にお返ししたと
        答える。
         山部は弓成に、オレは足らないからもっとよこせと言った。そうし
       たら、おもしろい奴だと言われた。スクープの借りは、しっかりと返
        させて貰う、と言う。


         弓成からの突然の電話を受ける司。弓成は、今から会議を開催した
        いと言う。6月9日にパリ会談があり、その後、調印がされる予定。
        これをがっちりと取材したい、と。


         結局、弓成は法事に来なかった。

         その後の精進落としで、由里子の従兄妹の鯉沼玲(長谷川博己)は、
        人気者。アメリカの博物館の建築で評価され、今、注目の若手建築家
        となったからだ。
         それに対して、弓成の評価は低い。スクープを取って、天狗になっ
        ているのだろう、と言われる。
         由里子の母親の八雲加世(高林由紀子)は、露骨に、弓成と結婚し
        た由里子に文句を言う。
         由里子は、弓成には信念がある、と弓成を擁護する。

         近くの海岸を歩く、由里子の父親の八雲泰造(山本圭)と由里子。
         八雲は、お母さんは本当は、由里子と玲とを結婚させたがっていた
        のだ、と謝る。
         由里子は、気にしていない、と言う。

         由里子は、昔を思い出す。
         この海岸に、弓成から大事な用があると呼び出された。
         弓成が14歳の時、日本は戦争に負けた。それまで新聞の書いてい
        ることを信じて、多くの人が亡くなった。新聞の書いていることが、
        全部真実ではないと知った時、オレは本当のことを書いていこうと思
        った、と言う。
         由里子は、弓成は、きっといい記者になると思う。大事な用って、
        それだけ?と訊く。
         弓成は、自分が記者としてやっていくのに、由里子にそばにいて欲
        しい、と言う。
         頷く由里子を、抱きしめる弓成。


         ゴルフ場から戻り、背広に着替えた弓成は、政治部の記者たちを前
        に、沖縄返還については、毎朝が常にリードしてきた。6月9日のパ
        リでの交渉の内容を、一歩でも早く入手できるように、とハッパを掛
        けている。


         それから、毎朝新聞政治部の記者たちは、各方面に取材攻勢を掛け
        た。

         外務省・北米課課長の川崎一郎にも訊くが、はぐらかされる。

         弓成は、安西に訊きに行くが、安西も何も教えてくれない。

         昭子が弓成を呼び止め、先日ごちそうになったお礼です、と紙袋を
        渡す。中を一瞥した弓成は、礼を言う。

        外務省の建物のテラスに出ると弓成は、昭子から受け取った紙袋に
        隠されていた書類を見る。そこには、『復元補償費 400万米ドル』
        についての記載がある。


       帰宅するなり、書斎にこもって弓成は、昭子から貰った書類を分析し
        ている。
         弓成が脱いだ背広をハンガーに掛けた由里子は、弓成に声を掛ける。
         弓成は、今日の法事にも出席できなかったとわびる。
         由里子は、今、やっと思い出したんでしょ、と言う。
         両親から、責められただろう、と弓成。
         大丈夫でした、と由里子。
         弓成は、たまには二人で外でメシを食おう、と言う。
         頷く由里子。


         1971年6月9日 パリ。

         パリにいる記者と電話で話す弓成。



         佐橋総理のところに林が来て、復元補償費は日本が肩代わりして払
        うのだが、表向きはアメリカが自発的に払うように装う。アメリカは、
        本当に日本が払ってくれるという保証が欲しいので、一筆書いて欲し
        いと言ってきている。
         だが、もし、このことが外に漏れたら、密室外交とそしられる、と
        言う。
         佐橋は、すぐに原稿を作って、送るように指示する。
         本当にいいのか確かめる林に、いいんだ、と佐橋。


         弓成は、どうにかして、調印の全文を知りたいと願う。

         安西のところへ行くと、イギリス大使館に行っている、と言われる。

         小平は、後援会長が亡くなったので、地元の香川に帰っている。

         福出赳雄(笹野高史)のところへ行くと、原稿を見せられたが、異
        論がなければと、すぐに回収された。写しなど持っていないと言われ
        る。

         社に戻ると、山部の姿が、一日見かけられない、と言われる。

         復元補償費400米ドルの件をスクープとするためには、調印の全
        文が必要。
         焦った弓成は、イギリス大使館を出て、ハイヤーに乗り込もうとし
        た安西を呼び止め、真相を訊く。
         場所をわきまえろ、と安西。
         弓成は、自分の原稿を読んで、違う部分があれば、指摘して欲しい
        と頼む。
         安西は、毎朝の記事なのだから、そのまま載せればいいんじゃない
        か、と言う。

         外務省・北米第一課会議室で課長に会っても、情報はもらえない。

         党三役が何も知らないというのはおかしい。


         愛川輝一(大和田伸也)外相は、記者会見で本当に復元補償費をア
        メリカが払うのか? どうやってアメリカを説得したのか?と質問さ
        れ、それは日本の立場を主張して受け入れられたのだ、と答える。


         翌朝、毎朝新聞政治部は、衝撃に見舞われる。読日新聞トップに、
        調印の全文が載っていたのだ。


         その夜、呑みながら、弓成は同僚に、読日は、あれだけのスクープ
        をものにしながら、解説が甘い。政府よりの見解を載せているだけ、
        と批判する。

         その頃、山部は、自由党・田淵角造幹事長と呑んでいた。

         弓成は、近くの料亭から、田淵が出てきて、ハイヤーに乗り込むと
        ころを見る。続けて山部も出てくる。


         その夜、帰宅した弓成は、不機嫌だった。
         由里子は、一晩寝れば、すっきりすると慰めるが、弓成は、聞く耳
        を持たない。


         朝、新聞を取り込む昭子。
         毎朝新聞の一面には、復元補償費400米ドルの件が、読日の一面
        には、パリ調印の全文が載っている。
         三木は、そんな深部が書いているようなこと、当てにならん。だい
        たい、外務省に入って、生意気になった。5月29日の夜に遅くなっ
        たのは、なぜなのだ。そもそも、外務省に入れたのは、誰のおかげだ
        と思っているのだ、と文句を言う。


         司は、弓成の400万米ドルの記事があったので、上からのおとが
        めがなかった、と言う。
         弓成は、またスクープを取る、と言う。

         弓成のところに、外務省から電話がかかってくる。昭子だった。弓
        成の役に立てる物を渡したい、と言う。
         弓成は、大同ビルの前で落ち合うことを提案する。

         その頃由里子は、毎朝新聞に向かっていた。途中、昭子とすれ違う
        が、お互い気づかない。

         由里子は、毎朝新聞の社屋の前で、弓成と会う。朝も軽くして、お
        腹をすかせてきました、と言う。
         弓成は、行けなくなったという。
         急な取材ですか?と言う由里子に、弓成は頷くと、足早に去ってい
        く。

         弓成と昭子は、春日経済研究所に入る。ここは昔の記者仲間の春日
        の事務所。好きに使っていいと言われていて、時々使わせて貰ってい
        るのだ、と説明する弓成。

         昭子は、抱えてきた書類を、弓成に渡す。その書類には、『極秘』、
        『大至急』と判が押されている。内容は、『公表書簡』について。

         弓成は、これを貰っても大丈夫なのかと、昭子に訊く。
         昭子は、弓成に負けて欲しくないのだ、と言う。
         弓成は、昭子のことは、絶対に守る、と言う。
         昭子は、お願いしますと言うと、弓成の手で書いて欲しい、と頼む。

         外は激しい雷雨となっていた。

         由里子は、傘を持っていなくて、濡れながら歩いていたが、ガード
        下を見つけて、駆け込む。


         ----そして、6月17日、沖縄返還協定の調印式が開催された。

         やはり、アメリカ大統領は、来なかった。佐橋総理はメンツを潰さ
        れたようなものだった。

         弓成と司は、戦勝国と配線事の違いだな、と嘆く。

         基地問題もうやむやなまま。


         ワシントンD.C.からの中継をサカナに、呑んでいる小平と山部。
         小平は、佐橋もなかなかの役者だな、と言う。
         山部は、佐橋もこれでお役ご免。次は.....と言う。そして、弓成
        もだけど、自分もなかなか役立つ男でしょ、と売り込む。
         君は、何が狙いだ?と小平。
         日本を、アメリカと肩を並べるような強い国にすることですよ、と
        山部。


         テレビを見ながら、毎朝新聞社会部の記者たちは、映像の力は侮れ
        ない。この返還も、佐橋のように安定した政権があったからこそ、粘
        り強く交渉をして、なしえたのだろう、と口々に言う。

         弓成は、涙を流す佐橋の映像を見て、その涙の裏にあるものを、暴
        き出してやる、と言う。
         そして、オレはすごい物を持っている。復元補償費についての密約
        を掴んだ、と言って、司に、昭子から貰った資料を見せる。
         資料を見て、驚く司。

         ----この秘密電信文が、やがて、それぞれの運命を狂わせていくこ
        とになる。



寸  評 スクープを売り文句にしているところ、毎朝新聞は、毎日新聞に見
        えますね。
         読日は、部数が一番と言われていますから、読売でしょうか?
         田淵、田中角栄によく似てますね。角栄にすり寄っているってこと
        は、山部のモデルって、先日某球団人事で、未だに手にしている権力
        を見せつけた、あのお方でしょうか?
         朝日新聞が登場することは、キャスト一覧からなさそうなのですが。

執 筆 者 鈴木(drama_sumire@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 弓成たちは、両親の世代よりも、ほんの少し上の世代。

 わたしにとってのこの時代は、空白地帯です。
 まだ生まれていなくて、いわば、近いけれども、すでに歴史。
 でも、学校では、いつも時間不足になってしまって、戦後の歴史は習わずじ
まい。両親にとっては、リアルに経験してきたことのため、歴史のように整理
して語ってくれない。
 オリンピック、ベトナム戦争、大学紛争、沖縄返還って、そんな感じの時代
に思えます。

 そういえば、今はもう退職してしまいましたが、職場の先輩で、修学旅行に
本州に来るのに、パスポートが必要だったと言っていた人がいました。
 日本に本館されて戸籍を編纂する時に、名前の読み仮名が、訓読みから音読
みに変わってしまって、ちょっとお坊さんのような名前になっていました。
 沖縄返還に関しては、いろいろと思い出すこともある人たちも多いでしょう。
(鈴木)

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