人気漫画の映画化
人気漫画の映画化という手法は、近年すっかり定着し、製作本数も年々増加している。2012年の映画界はこの傾向がさらに強まり、若者の人気を集める多くの漫画を元にした映画の撮影がすでに完了し、公開を待つばかりとなっている。春から夏にかけて上映される注目作品は5本あるが、これらの作品の共通点は簡単に見出すことができる。それは、いずれの作品もビジュアル効果を重視しているという点だ。生身の俳優が漫画の人物を忠実に再現する場合、どうしても限界があるが、映画監督たちは原作の雰囲気を壊さないために、原作の精神を尊重し、制作過程で原作の世界観を正確に再現することに力を入れている。さて、これらの5作品でどんな物語が描かれているのか、見てみよう。
●「宇宙兄弟」兄弟二人で一緒に宇宙飛行士になるというのは、南波六太(ムッタ)と日々人(ヒビト)の小さい頃からの約束であった。映画では、この二人の夢を巡って、彼らの壮大な成長物語を描く。小栗旬のモジャモジャ髪と岡田将生のとんがりヘアは、原作の人物を忠実に再現している。5月5日から公開。
●「テルマエ・ロマエ」イタリア人の夫を持つヤマザキマリ原作の異色ファンタジー。古代ローマと現代を、時空を越えて行き来できる設計技師ルシウスとヒロインとの笑える交流が最大のポイントだ。主演は阿部寛と上戸彩。4月28日から公開。
●「アフロ田中」松田翔太が主演する全身脱力系の大作が、ついに上映される。ふとしたノリで高校を中退し、何となく上京した田中広と彼の友人の、どうということのない日常生活を描く。松田はタイトルの通り、巨大なアフロヘアで登場し、佐々木希の演じるヒロインは映画のオリジナルキャラクターである。2月18日から公開。
●「るろうに剣心」幕末に「人斬り」をしていたことを悔いている緋村剣心が、仲間たちと一緒に剣の力で人を助けようとする浪漫譚。原作のビジュアル効果をどのように再現するかというファンの不安は、佐藤健のりりしい姿で払拭された。8月25日から公開。
●「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」大企業の御曹司リクが、荒川河川敷に住んでいる個性豊かな人々と触れ合う中で、自分の力で生きて行くことを決心し、独り立ちするという成長物語。主演は林遣都と桐谷美玲。2月4日から公開。(緋梨執筆)
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