生活を導くグッドデザイン
今週水曜日の午後2時、東京ミッドタウンの広々とした展示会場で、グッドデザイン賞の審査委員長であるデザイナーの深澤直人氏がおごそかに発表した。「審査委員、受賞者および『GOOD DESIGN EXHIBITION 2011』の来場者による投票の結果、2011年度グッドデザイン大賞が誕生しました。」それと同時に、他の5つの特別賞(6つの賞でのべ45点)も受賞者が決定した。
本田技研工業株式会社の「カーナビゲーションシステムによる情報提供サービス」は、2920票を獲得してトップとなった。デザインの完成度に加えて、時代性や未来に向けての提言などがいずれも大賞にふさわしいものだった。東日本大震災の翌日の午前中、本田技研は「インターナビ」会員の車両から収集した各種情報を公開し、それによってGoogleの「自動車通行実績情報マップ」と「Yahoo!マップ」を作成した。さらにそれに続く渋滞実績情報は、救援物資を運ぶ車両やボランティア団体や被災者たちにとってたいへん役に立ったのである。
今年のグッドデザイン大賞の候補商品は、他に5つあった。フィラメントに近い光源を実現したLED電球「Panasonic LDAHV4L27CG」、山陽・九州直行の新型車両「N700系7000/8000番代新幹線電車」、世界が注目するがん治療の「新治療施設および重粒子線治療システム」、サムソン電子のLEDテレビ「3D SMART LED TV」、そして日本マイクロソフトの体感型ゲームシステム「Kinect」である。いずれも人々の未来の衣食住と密接な関連を持っている。
グッドデザイン賞は、アジアで最も権威のあるデザイン賞である。製品の造型を重視するだけでなく、消費者の使用感や製品の利便性における革新や画期性を強調しており、「G」マークを獲得した製品は、デザインと質の両面で保証を得る。今までは審査員の投票によって選ばれることが多かったが、今年からは前年に大賞や金賞を獲得したデザイナーや開発者を招いて、共に「グッドデザイン金賞」を決定した。また、会場への来場者もその場で一票を投じることができたのは、「民意」の反映と言えるだろう。
深澤氏は語る。「現在すばらしいと思うデザインが、将来もそうであるかどうかを考えながら審査を行っている。生活における様々な要素との調和や、社会にとってすばらしいものかどうかなど……」45年の歴史を持つグッドデザインが、ユーザーの声にさらに寄り添って、我々の生活を導いてくれることを、心から期待している。(姚遠執筆)
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