最高の賛辞を贈る
2011年10月5日、前日のiPhone4Sの発表会であの見慣れた姿が見られなかったことで憶測が飛ぶ中、アップル社は、元CEOのスティーブ・ジョブズ氏が世を去ったことを公表した。享年56歳だった。公式サイトには、「アップルは明確なビジョンを持ち、創造力に溢れる天才を失った。そして世界は素晴らしい1人の人間を失った。」という悲しみに満ちた一文が載った。ライバルとされているGoogleでは、検索ウインドウの下に「Steve Jobs, 1955-2011」という言葉を入れると共に、アップルへのリンクを加えた。これは今までに例のないことである。
金のリンゴが去ったことで起きた大きな波紋は、世界の予想を超えるものだった。ニューイングランド複雑系研究所では、ジョブズ氏がこの世を去ってから12時間内のTwitterを追跡した。そして、200万件のSteve Jobsという名前を含むツイートを言語によって色分けし、一つのドットで1000件を表して、15種以上の言語で構成されたカラフルなリンゴの図案を作り上げた。
「自分の心と直感に従うことだけが、自分の本当の気持ちを知る方法だ。その他のことは重要ではない。」とジョブズ氏は言った。21歳で起業、25歳で巨万の富を築き、30歳で会社を追われ、41歳で再び復帰した。他の場所で事業を行っていた11年間には、アニメーション映画の世界ですばらしい仕事をした。アップルに戻ってからは、困難の中にあった会社の起死回生を実現し、時空を超え、東西を貫く、アップルだけが持つ革命的な体験を作り上げたのだった。 この世での時間がわずかしかないと知った時、最後の1年間も昼夜兼行で仕事を続けた。また彼は、今後4年間のアップル製品のコンセプトと計画を残している。それには、iPad、iPod、iPhone、ノートパソコンのMacBookの新製品の設計図も含まれている。一生は花のように華やかで、去るときは秋の葉のように静かで美しかった!ジョブズ氏は笑って言った。「生きるのは世界を変えるためだ。他に何の理由があるだろうか?」
以前は、新しいソフトの発売日に夜通し店の前に並ぶ人々を見ると、何でわざわざそんなことをするのかと密かに笑っていた。だが今回ソフトバンクがiPhone4Sの予約を受け付け始めたとき、私は長い長い行列に加わった。わずか一日で、全世界の予約数は百万台を超え、これまでのiPhoneの予約の中で最高だったという。私は、この百万人の人々の考えは同じだろうと思った。iPhone4Sはジョブズ氏の遺作なのだから、このアメリカの発想の天才に対して贈る最高の賛辞は、彼の残したこの魂を所有することなのである。(姚遠執筆)
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