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13分! ハングルプレス増刊号】 Vol. 5 (通巻36号)

女神様には会わなかったけれど...「韓国トイレ事情4 ウンチ小僧1」 2011_10_1≪風俗≫   

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今日のおはなし


もう5年も前の話になるが、ある大手玩具会社の社長から、昼食の招待を受けた。

先方の社長室に通されると、社長の隣に、30代半ばのあまりぱっとしない感じの会社員が立っていた。

「今日は、紹介したい人がいてね。私の古くからの友人に印刷会社の社長がいるんだけど、彼がそこの息子さんなんです。」

印刷会社は、社員が300人くらいいるまあまあ立派な会社のようだ。

予約されてあった韓定食屋に一同席を移し、そこでいろいろな話を聞いた。

何でも彼は、LED(発光ダイオード)のエンジニアで、このたび会社から独立して、自分がこの会社で開発したLEDを売ることになったという、一度聴いただけではよくわけの判らない話だった。

デザイナーやミュージシャンも同じだが、エンジニアの世界では30代半ばになると、新技術を開発しつづけることが出来る一つまみの人間が技術分野で生き延び、管理能力のある人、営業力のある人がさらにそのほかの分野へと進出していくが、先端技術に追いつけない、技術しかない人は企業の中でもやがて淘汰されてゆく。

彼もそんな技術者の一人で、よく言えば会社側からLEDの販売権を与えられるかわりに、ポンポンと追い出されたのだろう。

ビジネス上の付き合いは無かったが、個人的に懇意にさせていただいた社長の頼みなので、彼のLEDを当時在籍していた会社のどこかの部門で採用できないか、サンプルと価格表を取り寄せて、口を利いてあげる事にした。

彼は大いに喜んで、おいしい刺身屋があるので数日後にぜひ一緒に行きたい、と誘ってくれた。

これが通常のビジネスなら、契約締結までは酒食の席には同席しないのだが、玩具会社の社長から、「個人的にも彼と仲良くしてほしい」と頼まれていたので、後日その刺身屋で一杯飲みながら今後の打ち合わせなどをした。

店自体は、順番待ちの人が列をなすほどの人気店で、毎日産地から白身魚を空輸して、いろいろと食べさせてくれる、割と庶民的だがおいしい店だった。

この店は、自分の父親(=おもちゃ会社の社長の友人)とよく来る店で、とても気に入っているのだ、という話を一生懸命していた。
このときから既に、ちょっとちゃうなぁ、という気がしていたのだが...。ビジネスマンなのに、話題が世の中に向かっていないのだ。

今後自分で営業をしてLEDを売り込んでいかなければならないのだから、オープニングからクロージングにいたるセールストークの組み立て方だとか、技術畑出身の営業マンだからこそいえる製品の特徴だとか、今後の市場性だとか、損益の話だとか、こちらが興味を持ちそうな話題を提供していかなければならないのだが、彼は違った。

当時中国で、大使館への投石など、日本の教科書に対する反日デモが真っ盛りの頃、彼は日本人の私に向かって、「日本は中国では嫌われてるなぁ。」「なぜ教科書に中国人の気に入らない内容を書くのかなぁ」という話をするのだった。


一昨日サッカーのクラブ対抗の国際試合で、全北のサポーターが「日本の大地震をお祝います」という、ネイティブチェックをかけていない日本語の横断幕を掲げてひと悶着起こしたが、これくらいのKYはザラだ。


こちらが「日本人である」といわなかったり、日本人と正体を明かしていても「韓国語が分かる」とあえて言わなければ、到底日本社会での常識ではありえない陰口をたたくのは序の口で、「韓国語の分かる日本人」だと分かろうものなら、生まれてから今まで刷り込まれてきた日本に対する不満や根拠のない優越感を全部ぶつけなければ気がすまない人間はいくらでもいる。


そのなかには、今回のサポーターのように悪意を持って嫌がらせを行うものもあれば、まったく何の悪意もなく、ごく自然な振る舞いとして行うものもいる。

いや、もしかしたら全北のサポーターだって悪意がなかったのかもしれない。

「みんながそう言ってるからそうなんだろう。」、「いや、そのはずだ。」、「世界中がそう思っているに違いない。」....


温度差こそあれその程度の意識で、言ってるほうにはまったく悪意がないのだ。

で、そういう輩に「その考えは間違っている。」といったところで、青筋立てて怒り出すのが関の山で、こちらの顔が相手のつばだらけにされるのがオチだ。


彼の場合も何らいやみでもなんでもなく、この朴訥な男は、時事性のある日本についての話題や知識が、これくらいしかなかったのである。
それで一生懸命知ってる知識を出して、私との話題の共通点を探しているようだった。


「おいおい、この調子で、今後セールスやっていくんかいな...」、おせっかいかもしれないが、そのときは親切に営業のトークとはどういうものか教えてあげた。



編集後記


今回から始まるお話は、全3話と長編です。


韓国ではさまざまな経験をしましたが、そのなかでも特筆モノの体験談です。


もちろんトイレにまつわるお話です。


エンディングまでに韓国にまつわるさまざまなエピソードが挿入されてますので、それも参考にしてください。




(C) 2011 copyrights.Miz_OIKADA

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Miz_OIKADA/大筏瑞彦


朝鮮語専攻

上場企業の韓国現地法人で10年以上代表理事を務める。

韓国にて多くの新規事業を立ち上げ、契約交渉、知財権訴訟に携わる。

跆拳道2



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