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タイトル:作家&出版人育成マガジン『パウパウ』第136号  2011/07/20


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      作家&出版人育成マガジン『パウパウ』第136号
   2011年7月19日発行(不定期発行)(2000年3月7日創刊)
      編集・発行人 上ノ山明彦
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[お詫び]
 今回は「作家と被災地支援」特集です。
○被災地支援情報ページのご案内
http://www.shuppanjin.com/aid/aid.html
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●巻頭言 ●   上ノ山明彦 
         東日本大震災復興支援で自分にできることは何か
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 東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、
被災地や避難地域で復興に向けて生活されておられる方々が、一刻も早く
平常の生活に戻れますように願っております。
 東日本大震災が発生してから4ヵ月とちょっとが過ぎました。私もこの
期間に、いったい自分は何をすればよいのだろう、いったい何ができるの
だろうと考え、とりあえずできることから着手してきました。
 今回の大震災で被害の規模や深刻さを目の前にして、自分の非力さを痛
感させられ、脱力感に襲われることもありました。それは他の方々も同じ
ではないかと思います。
 結論は「小さなことでもいいから、自分にできることを着実にやってい
く」というもので、これも皆さんと同じではないでしょうか。
 現在検討しているのは、被災地および日本全体の復興に向け、
「復興」「復活」をテーマにした文芸作品の募集です。2011/3/11を境に、
多くの日本人が人生観を変えたことでしょう。地震・津波に限定せず、広
い意味での復興・復活をテーマにした作品を募集したらどうかと考えてい
ます。優秀作はまず電子書籍で発行し、読者に高く評価された作品は紙の
出版へと進めていくのがよいのではないでしょうか。日本の電子書籍の発
達は遅いです。端末は普及していますが、配信・販売環境は、まだまだ不
十分です。どこまでやれるか、そこで悩んでいます。
 大震災から4ヵ月が過ぎ、冷静に物事を考えられるようになった分、そ
の大変さも実感としてわかり、苦しさが何倍にも増してしまう不安があり
ます。政治・行政が頼りにならなければ、国民が「助け合う」というごく
当たり前のことを実行していく。それに尽きるようです。引き続き取り組
んでいきます。
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●東日本大震災に作家がどう関わっているか
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 この4ヶ月間の作家の行動を集めてみました。ここに掲載していない作
家の活動がたくさんあると思います。継続して情報収集していきます。
○カタルーニャ国際賞を受賞した村上春樹さんは、われわれ日本人が、
原発にノーと叫び続けるべきだったというスピーチを行いました。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110610/erp11061008060003-n1.htm
○子どもたちを勇気付けているアンパンマンの作者やなせたかしさんは、
ここで応援メッセージを語っています。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110322/ent11032207370001-n1.htm
○作家の藤本義一さんは神戸在住。阪神淡路大震災の被災経験があります。
次のURLで近況を語っています。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110401/trd11040107440007-n2.htm
○伊集院静さんは仙台で被災しましたが無事で、今も住んでいます。
メディアを通じて意見を発信しています。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110328/dst11032821450069-
○俵万智さんも仙台市在住で被災しましたが無事でした。その様子は自ら
ツイッターで発信しています。 
https://twitter.com/tawara_machi
○岩手県在住の高橋克彦さんら岩手在住の作家12人が、短編集「12の贈
り物」の出版を準備。7月末の刊行予定で、全国の書店で販売。印税は義
援金として寄付するそうです。
http://t.co/uogSlXa
○瀬名英明さんも仙台在住ですが、無事であること以外は不明。震災エッ
セイについて100枚書いたという話が本人のサイトに掲載されているので
雑誌で発表するのでしょう。注目しましょう。 
http://www.senahideaki.com/
○7/2(土)、チャリティ講演会「作家が語る被災地と<あしたの本>」があ
り、応援に行ってきました。講師の皆さんから、いいお話が聞けました。
里中満智子さんは漫画家として活動できることは何か、ということでグル
ープで支援活動に取り組んでいます。その一つとして、漫画の原画を販売し、
義援金にあてています。里中さんもそれなりの年齢ですが、「年寄りでも
やれることをやらなければなりません」と語っていました。
○童話作家の柏葉幸子さんも、短編集「12の贈り物」に参加しています。
柏葉さんは講演会で被災地の学校の先生たちを取材した話をしました。先
生たちの心も傷ついています。精神的肉体的にたいへんな状態です。先生
たちのケアも必要です。具体的な内容については御本人から出されると思
います。
○推理作家の斉藤純さんも岩手在住。「セーブイワテ」でも活動していま
す。http://t.co/zLcZ6EV 
漁師の皆さんは、毎日漁に出るとき、「無事に帰ってこれるとは限らない」
という決意で出かけていた。その覚悟と強さが内陸部で暮らしている人間
とは違う。そんな話が印象に残りました。
○角野栄子さんは講演会で「もう年取ったから、あとは若い者にお任せす
るわ、というのではいけませんよ。私たちもやることがたくさんあります」
と言っていました。各世代の役割があります。
○俳優でもあり作家でもある中村敦夫さんは、ペンクラブ環境委員会委員
長として原発問題に熱心に取り組んでいます。元国会議員としての経験か
ら、原発行政について話しました。政府・東電はまだまだ隠している事実
がたくさんある。それを明らかにした上で対策を取る必要がある、という
お話でした。
○童話作家の森絵都さんも、支援活動に熱心です。自分にできることを模
索する中、現在ペット救出をしているNPOと一緒に活動をしています。
現地ではペットが野放しにされたり、餓死状態に追い込まれてしまいまし
た。現地でやせ細っている犬たちを見て、1匹でも多く助けたいと話して
いました。
 以上ですが、引き続き情報を集めご紹介していきます。
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●あなたに伝えたい本● 津波関係書籍
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 津波の実態や被災後生きていく意味を考えるために、ぜひ読んでいただ
きたい本をご紹介します。
●『三陸沖大津波』、 吉村昭著 
 1984年に発行された本です。政府や東電から「今回の津波の規模は想定外
の規模だった」という説明がなされています。本書を読めば、それがまっ
たくのウソであることがよくわかります。三陸沖は明治時代から数えても、
大地震と大津波に3度襲われています。その時の記録がしっかり残ってい
ます。昭和8年(1933)の大津波の記録を見ても、津波が厚さ2.5メートル
の防潮堤を破壊し押し寄せてきました。岩手県気仙郡綾里村では、津波が
30メートルの高さまでそ上していたことがわかっています。
 また岩手県の下閉伊郡田老村(現・宮古市の一部)では、今回と同じよ
うに、津波で集落がすべて流され、何も残っていない状態になりました。
今回の地震と津波の大きさを「800年に一度の大災害」と言うのは、政府と
東電の責任を回避するための詭弁です。マグニチュード9.0という数字も、
やたら想定外を強調するための欺瞞です。甚大な被害をもたらす津波が、
実際はもっと短い周期で発生しています。津波の被害は十分想定できたは
ずです。
『三陸沖大津波』では被災者の証言も多く掲載されています。教訓をい
かに後世に伝えていくか、むずかしい問題も提起しています。日本人全員
に読んでほしい本です。
●『つなみ - The Big Wave』、パール・バック、径書房
 英語版と日本語版が出ています。
ノーベル賞作家パール・バックが長崎・雲仙を舞台に大自然と共に生き
る人々の生と死、愛を描いた小説です。「ある日突然村を襲った大津波に
よって、家も、家族も奪われ、独りぼっちになってしまった少年ジヤ。し
かし彼は、周囲の人々の暖かい愛情に包まれて成長し、やがて再び海に立
ち向かってゆく」(BOOK DBより)。日米合作で映画も作られたそうですが、
フィルムがどうなっているのか不明。アメリカには残っているようです。
●『つなみ 被災地の子ども80人の作文集』 文藝春秋
今回の津波で被災した子どもたちの作文集です。子どもたちは書くことで
自分の心を見つめ傷を癒してくれる可能性があります。そして彼らは津波
の怖さを広く伝えたいと思っています。我々大人は彼らを支援し、長く見
守っていく義務があります。これもぜひ読んでいただきたい本です。
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 文学・芸術関係イベントのご案内
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●早乙女貢記念鎌倉文化サロン定期講演会のお知らせ
 日時 2011年7月23日(土) 13:00-14:30
 場所 鎌倉市長谷 早乙女邸
 講師 西木正明氏
 緻密な取材に基づく展開と文体で高い評価を得ている西木氏の講演です。
 お申し込みは、「士魂の会」ホームページからどうぞ。
http://shikonkai.jp/
●本誌も応援している「森の聞き書き甲子園」が、映画化されました。 
「夢幻流もの書き道場」でご紹介しています。
http://www.shuppanjin.com/mugen/mugenryu121.html
「森聞き」の映画紹介 http://www.asia-documentary.com/morikiki/
 高い評価を得ています。ぜひご鑑賞ください。
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 編集後記
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 女子サッカーワールドカップで、なでしこジャパンが優勝した。久々
にうれしいニュースで心底喜んだ。昔の日本から考えれば、夢のまた夢
が実現してしまったくらいの驚きだ。彼女たちの戦いぶりは、間違いな
く日本人の心に熱いものをもたらした。どんなに苦しい状況でも「あき
らめるなよ」という声が、チームメートの中で飛び交っていたという。
それは日本人に向けたメッセージでもある。それを身を持って示してく
れた。涙が出た。今度はぜひ男子サッカー代表チームにもワールドカッ
プで優勝してほしいと思う。それは私が生きている間には実現しない遠
い夢だと思っていた。この数年の若手選手たちの台頭と成長ぶりはすご
い。これなら優勝も夢ではないと思うようになった。次のブラジル大会
でベスト4に残る。次の次で優勝する。その頃、東日本も復興を成し遂
げ、共にお祝いできる。というのが私の願いである。(上)
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