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タイトル:609studio No.471◆現代時評「安全神話の崩壊」  2011/04/18


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【609 Studio 】メール・マガジン 2011/4/19  No.471
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◆現代時評「安全神話の崩壊」:片山通夫

◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2011年4月15日号

◆ロシアの話題・事件

◆編集長から
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◆現代時評「安全神話の崩壊」:片山通夫
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 原子力発電は安全、かつ温暖化対策に有効という神話があった。いや
現在もなおそのように考えている方々がいる。
 朝日新聞が16、17日に実施した全国定例世論調査では「減らす方
がよい」と「やめるべきだ」が計41%だったという。また「増やす方
がよい」が5%、「現状程度にとどめる」が51%と、現状維持を望む
人たちが多かった。
 また今、地方選が行われているが、原発立地の地方では、原発の是非
が選挙の争点にはなっていないような報道が散見される。
 それでは、なお原発は安全なのかと言うと、ほとんどの人が不安に感
じていることも事実のようだ。

 ここにおかしな現象がみられる。「安全神話は確実に崩壊」した。し
かし現在の「享楽的な生活は失いたくない」ということだろう。原発立
地の地方では「湯水のように注ぎこまれた協力金」が地方の財政を支え
て来たという事実がある。政府が「白紙に戻って検討したい」と言った
とたん、青森県六ヶ所村では「村の存続にかかわる」と言う不安が出た。
 筆者には米軍基地の存在と地域経済の問題であえぐ沖縄のような印象
を受けた。

 東京電力や関西電力は「自分の管内には原発を作っていない」という
事実がある。大消費地がリスクを負うことがないシステムである。

 もし東京や大阪に原発を作るとするとどのような反対が起こるか見て
みたい気がするのだ。福島県や福井県、新潟県などに注ぎこんだ金額の
数倍、いや数十倍以上の金額を国や電力会社は必要とする。そうすると
電気料金は跳ね上がるということになるのは必至だ。つまり大消費地は
「リスクを他に押し付けて安い電力で深夜まで享楽生活を送っている」
と言うことにもなる。無論工場など生産部門ででも大量に使われてるは
ずだが。

 今行われている地方選を見るかぎり、選挙の争点にはなっていないこ
とは先に述べた。しかしながら、果たして「甘んじて大都市のためにリ
スクを負う」と言うことなのか、この機会にはっきりとしなければなら
ないとは思うのだが。

 東京電力の福島原発を見る限り、事態はそう甘くはないと筆者などは
考えてしまう。

 「原発の安全神話」は確実に崩壊したことは確かだ。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2011年4月15日号
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2011年教員の年

 さる11日、ユジノサハリンスク市サヒンセンターで「2011年、
第22次サハリン州教員コンクール」の決勝戦があった。参加教員数は
22人で結果は4月20日に発表される。ア・ホロシャヴィン州知事は
同コンクール参加者らとの懇談の際、新学期から教師らの給料が30%
引上げられると伝えた。

職業技術教育発展策

 さる11日、職業技術教育機関代表者らが集った中でサハリン州政府
会議が開かれた。議題はサハリン州における技術教育発展策をめぐる課
題。現在サハリン州には38の教育機関があり、在学生数は2.8万人
。州政府は技術分野専門家養成プログラムを立て8年間に渡って支援を
行う方針だ。

農業発展展望

 さる11日、サハリン州会議によると、今年州政府農業部門予算は4
億1200万ルーブルで、特に畜産業への予算支援を積極的に行う方針
である。しかし、州議員らは地方の農業発展のためにはより予算を増や
すべきだと判断し、州政府に予算増額を要請することにした。

孤児院で奉仕活動

 ユジノサハリンスク市ダルニェエ村の第19号学校は今年1月から「
温かい冬」と名づけた社会奉仕プログラムの一環として、孤児院を助け
る活動を行って来た。学生達の手作りの編み物をプレゼントし、掃除を
手伝う他、必要な日常用品を一般市民から集める活動をも行っている。
又、4〜5月間は孤児院の庭に木を植える作業をしている。

極東・住宅価格下落

 不動産関連サイトによると、福島原発事故の影響でロシア極東地域の
住宅価格が下がっている。ハバロフスクでは4.6%、ウラジオストク
1.2%が下がった。極東地域で最も価格が安い地域はウスリスク市(
1平米当り3.7万ルーブル)、最も高い地域はユジノサハリンスク市
(1平米当り7万ルーブル)。

アルメニアの学校にロシア語文学教科書寄贈

 4月23日〜5月10日までサハリン州青年団体が一般市民を対象に
、ロシア語やロシア文学教科書を集めるキャンペーンを行う。同団体が
先月アルメニアを訪問した際、アルメニア大統領が学校でロシア語関連
教科書が不足していると伝え、直接支援を要請したとのこと。

港に保安システム設置

 最近、コルサコフ港に鉄やガス、放射能などをチェックする保安シス
テムが設置された。又、待合室や室外にCCTVも設置される予定。ホ
ルムスク港も既に設備を購入し設置工事中。

写真展示会「黄金亀」

 4月6〜24日までユジノサハリンスク市ロシア画家同盟展覧室で「
黄金亀」写真展示会が行われる。世界27カ国2千人以上のカメラマン
たちが参加した国際写真コンコール「黄金亀」で入賞した作品を紹介す
る。植物・動物・人間と自然をテーマとした素晴らしい写真をみること
ができる。
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◆ロシアの話題・事件>>>引用元:ロシアの声 http://japanese.ruvr.ru
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 ロシアでもこの度の東北大震災に「深い連帯と救援の意思、募金など
のニュースが満載されています。また刻々と情報は更新されています。

すべてを網羅できませんので、以下のページからご覧ください。
http://japanese.ruvr.ru/

◆東京では気にされない福島での状況
日本での大地震のあとの福島第一原子力発電所の状況について、世界の
専門家らは状況の悪化が進んでいると見ている。結局、冷却システムの
復旧はできないままとなっており、解決できていない問題は山積みとな
っている。
http://japanese.ruvr.ru/2011/04/03/48388514.html

◆プーチン首相 フクシマの被害状況評価のための視察団を派遣
ロシアのウラジーミル・プーチン首相はモスクワで、ロシア地理学会の
理事会会合に出席したなかで、日本の福島第一原子力発電所の被害状況
を評価するための視察団を派遣することを明らかにした。
http://japanese.ruvr.ru/2011/04/15/48992594.html

◆ロシア 災害防止のための国際メカニズム創設を提案
http://japanese.ruvr.ru/2011/04/14/48931627.html

◆日本:原子力安全・保安院、女川原発の状況調査を指示
http://japanese.ruvr.ru/2011/04/14/48919391.html

◆日本 汚染水の処理にロシアの装置導入を検討
日本経済新聞が伝えたところによれば、ロシア国営原子力企業「ロスア
トム」は、福島原子力発電所からの汚染水処理のため、ロシア製装置の
提供を日本側に提案したとのこと。
http://japanese.ruvr.ru/2011/04/17/49048354.html
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◆[編集長から]              片山通夫
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  17日に東京電力が「工程表」を発表した。その翌日、原子炉建屋内
で高い放射線量「作業厳しい」と保安院と共同通信が伝えた。
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041801000142.html

 一体何を信じればいいのか、原発周辺の人たちは戸惑うばかりだ。

 そんな中、18日国会で菅首相は「幾重かの安全体制を組んでいると
の認識で肯定してきたが、従来の先入観を一度全て白紙に戻し、徹底的
に検証する必要がある」と言明した。
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041801000300.html

 我々人間はチェルノブイリやスリーマイルの事故を見てもわかるよう
に、「原子力を安全に制御する」なんてことは出来ないという認識から
はじめる必要がある。

 前にも書いたように「電力の大消費地は今のままでいいのか」再検討
する必要がある。東京一極集中も改めなければならない。そんな基本的
なデッサンを今書くことが「安全な生活」に繋がるのではないか。
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発行     2011年4月19日   No.471
編集・発行  609studio Michio Katayama
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