エンタテインメントがデザインになる時
応募対象から「素晴らしいデザイン」が選ばれて表彰を受ける「グッドデザイン賞」は、毎年人々を期待させ、大いに興奮させる。今年はその上に、意外なことが起こった。ホンダのハイブリッド車「CR−Z」やソニーのハイビジョン液晶テレビ「BRAVIA」と共に2010年度の大賞候補として「グッドデザイン賞ベスト15」に選ばれたのは、何と今日本中で大人気のアイドルグループ「AKB48」だったのだ!アイドルがデザイン賞を受ける?!ニュースを読んだ時にこのような驚きに襲われたのは、私一人ではないだろう。
「グッドデザイン賞」が製品を評価する重点はこれまで、斬新さや外観、安全性の他、デザインによって人々の生活の質を改善するということが強調されてきた。近年はさらに、文化や流行における時代の気分を反映しているかどうかという基準が加わった。本年度の審査委員長を務める、中国の読者のみなさんもよくご存じの深澤直人氏は、今後この賞は、性質や色による個性の競争ではなく、事物の必然性を正確に捉えた企業や製作者に対して、彼らの努力する姿への最高の評価として与えられると述べた。
「グッドデザイン賞」はAKB48を、「近年のエンターテインメントプロジェクトデザインとしての抜群の予見性と完成度で、社会に大きなインパクトを与え」、「ジャパニーズポップカルチャーがグローバルなエンターテインメントビジネスとして成立する可能性を感じさせる」プロジェクトデザインであると評価している。デザイン界からこのように高い評価を受けて、「AKB48の父」である秋元康だけでなく、AKB48のファンたちもとても喜んでいることだろう。
注目されているのはAKB48だけではない。何と韓国の超人気アイドルグループ「少女時代」が先日、謹厳なことで有名な雑誌「日経ビジネス」の表紙を飾った!記事では、彼女たちの成功について鋭い分析を行っている。「少女時代」は3年前に初めて登場したときから、世界市場をターゲットとして「デザイン」が行われ、意図的に日本語、英語、中国語などの外国語が得意なメンバーを加えている。「サムスン電子」や「現代自動車」の世界に誇る「現地化」、「技術向上」、「徹底的な経営管理」は、「少女時代」の成功戦略の中にもその影を見つけることができる。
AKB48と「少女時代」の成功は、どこの国でも、どの世代でも、世界市場をターゲットとしてビジネス化の綿密な「デザイン」を行えば、予想もできないほどの成果が上がる可能性があることを証明した。この意味で、我々はエンタテインメントがデザインされることを期待している。だが一方では、なぜだか分からないが、大好きだったZARD(坂井泉水)の早すぎた死に対して、私の心に何かわだかまるものが残っている。ZARDの神秘性を高めるため、芸能事務所が巧みに「戦略の都合で」デザインをしたと言われている。正直に言えば、こうした「デザイン」のあり方のために、私の心には重い雲が覆いかぶさり、それをなかなか拭い去ることができないのである。 (姚遠執筆)
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