メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2010/09/18 美丘 (最終回)  2010/09/21


===================================================== 発行部数   30 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2010/09/18 (Sat) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.土曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 土曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル 美丘
局  名 日本テレビ系
放映日時 土曜21時
キャスト 峰岸美丘(吉高由里子)
 橋本太一(林 遣都)
 笠木邦彦(勝地 涼)
 五島麻理(水沢エレナ)
 北村洋次(夕輝壽太)
 佐々木直美(中村静香)
 峰岸 始(寺脇康文)
 高梨宏之(谷原章介)
 峰岸佳織(真矢みき)
原  作 石田衣良「美丘」(角川文庫刊)
脚  本 梅田みか
主題歌  福山雅治「蛍」(ユニバーサル J)

あらすじ 第10話「最期の時この命をありがとう」

 高梨(谷原章介)の説明によると、美丘(吉高由里子)は自律神経
障害による心肺機能の低下が起きたのだと言う。最悪の事態も覚悟し
ておいてほしいと高梨は厳しい表情で伝えた。

 処置が終わった後、太一(林遣都)は佳織(真矢みき)や始(寺脇
康文)とともに付きっきりで美丘を見守った。しばらくして美丘は目
をひらいた。しかし声をかけても反応がない。高梨の診断では脳の血
流障害が起きて意識が混濁した状態になっている、回復するかどうか
はまったくわからないという。

 太一は出口のない迷路に入り込んだような感覚だった。しかし毎日
通い、思いつくままに話しかけた。だが美丘はうつろな眼差しで天井
や窓の外を見ているだけだった。頑張って、笑顔で、太一は佳織や始
とともに懸命に美丘の看病に当たった。

 美丘は窓辺に置かれた家族旅行の写真をじっと眺めていることが多
かった。海をバックに撮った写真。耳を澄ますと潮騒が聞こえてくる
ようだった。まるで記憶を揺り動かすように……。

 それから少ししてからだった。無表情だった美丘の表情に笑顔に浮
かぶようになった。そして声を発した。
「太一、くん……」
「美丘?わかるのか?」
 驚いた太一は駆け寄ってまじまじと美丘の顔を見つめた。
「わかるよ」
 抑揚のない口調だったが、美丘ははっきりと言った。太一は高梨を
呼んだ。
「美丘さんは完全に意識を回復した。酸素マスクを外してかまわない」
 佳織も始も驚いて駆けつけてきた。美丘はか細い声だったが、嬉し
そうな顔をしていた。美丘の生命力の強さには驚かされると高梨は感
心したように言った。みんな美丘に強さを与えられているような気が
せずにはいられなかった。

 美丘は太一に屋上に行きたいと言った。
「空が見たい」
 太一は病院の屋上へ美丘を連れて行った。
 美丘は気持ち良さそうに風に当たっていた。
「風、風、感じる」
 美丘は目を閉じていた。
「生きているって、感じする……」
「俺も生きているって感じするよ」
「……太一くん」
 太一は膝を折り、美丘に目線を合わせた。
「キスがしたい」
 うんと太一はうなずいて美丘にそっとキスをした。
「太一くん、愛してる」
「俺も……」
 太一は美丘を抱きしめた。

 帰り際、美丘は太一にipodを渡した。
「持って帰って」
「うん、わかった」
 唐突なのでとっと戸惑ったが、太一は笑顔を見せてカバンに入れた。
美丘はホッとしたような顔をした。

 太一は歩きながら、ipodに吹き込まれた美丘のメッセージを聞
いた。それはいずれ自分の記憶が消える、その前に伝えたいことを美
丘が録音していたものだった。
 初めて会った日、本当は屋上から飛び降りて死のうと思っていたこ
と。だけど太一が引きとめてくれたから、それから太一がかけがえの
ない存在に思えたから、生きて行こうと思えたということ、そして太
一と本当の恋をして、みんなに支えれてすごく幸せを感じることがで
きたこと、自分の人生への感謝がこめられていた。

 太一は人目もはばからず泣いた。こらえようとしても抑えきれない。
けれどもう前のように無力感を覚えることはなかった。何か涙が苦し
いことをすべて洗い流してくるようなすがすがしささえ感じるような
不思議な思いでいっぱいだった。

 そのときだった。佳織から美丘が危篤状態に陥ったと連絡が入った。
太一は慌てて病院に戻ったが、間に合わず美丘は息を引き取った後だ
った。
「美丘は苦しまずに逝ったよ」
 始が静かに教えてくれた。美丘は穏やかな表情だった。
「美丘は、僕に言いました。生きろって。美丘、俺生きるよ、美丘の
分まで精いっぱい生きるから。ありがとう、美丘」」
 太一はもう泣きはしなかった。

 それから半年。美丘がこの世界からいなくなってから日々は流れ、
元通りの世界に戻っていくかのようだった。太一は本格的に就活に取
り掛かった。美丘ががんばっていたのだから、自分も止まっていられ
ない。ようやく新しい一歩を踏み出せた。

 太一はスーツに身を包み、家を出た。ポケットには美丘のipod
を入れている。
 くじけそうになった時、太一はそれを取り出して美丘の残してくれ
たメッセージを聞いた。美丘は言う。「ねえ、太一くん気づいている?
生きているってね、それだけで奇跡なんだよ」

 太一は勇気が湧くのを感じる。美丘に会う前の閉塞していた自分は
もういない。あの空のどこかで、美丘はきっと自分を見てくれている、
太一は晴れ渡った空を見上げていた。(完)



寸  評  キレイに終わらせたという感じがしました。美丘は安らかに死に、
残された者は死者の思いをくみ取って生きて行くという点はよく描け
てましたが、難病ものとしては公式通りで、このドラマ特有の何かも
なかったように思います。美丘のキャラクターも最初はインパクトが
あったのに、その後は普通の人になってしまったのも物語の盛り上が
りを欠いた一因かもしれません。せめて死を前にして美丘がそれでも
夢を諦めずに何かに取り組んでいるというような姿があったりしたら
と思いました。

執 筆 者 けん()

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 先週雨が降る日があって、それから徐々に涼しくなってきました。まだ半袖
でしのげますが、数日前半袖に毛布一枚で寝たら明け方寒くて風邪を引きそう
になってしまいました。(けん)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。