メルマガ:クリスタルノベル〜百合族
タイトル:クリスタルノベル〜百合族 Vol. 057  2010.8.22  2010/08/22


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   ◇∞◆  クリスタルノベル〜百合族〜    ◇∞◆
    ◆∞◇      Vol. 057  2010.8.22       ◆∞◇


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                    ◇∞◇ タイトル ◇∞◇ 
            
             ♪ − ビアン・スキャンダラス


 彼女に囲まれて身動きできないでいると、しばらくして一台の車が目の前に
停まった。
「乗れよ」
 あの不良少女に腕を掴まれて車内に押し込まれる。菜々美は極度の恐怖で声
も出すことができ巣、ぶるぶると震えていた。
 三十分ほど連れ回されて行き着いたのは、町外れの小さな廃工場だった。周
辺の建物も大半が廃墟同然で、まだ日が落ちる前だというのに、人を見掛ける
ことはほとんどない。レディース連中の溜まり場としては、打って付けの場所
だった。
 廃工場の中には、既に十人ほどのレディースがいた。みんな一様に髪をカラ
フルに染め、特攻服に身を包んでいる。彼女達は、自分らで持ち込んだのであ
ろう薄汚れたソファやベッドに、だらしなく寝そべっていた。いずれも、菜々
美と同じ高校生か、少し年上くらいに見える。
 菜々美達が入って来たのに気付くと、彼女達は一斉にこちらを見た。
「つれてきたぜ、美姫!」
 あの不良少女がかわいい声で柄の悪そうな言葉を発した。一番奥のソファに
いた、美姫と呼ばれた女が立ち上がってこちらにやってきた。
「可愛い子じゃない」
 澄んだ、それでいてどこか冷たい声だった。菜々美が顔を上げると美姫が菜々
美の顔を覗きこんできた。
 菜々美はその美しさにドキッとした。背中まで伸びた長い髪は自分と同じ黒
髪だった。透き通るような白い肌をしている。おでこをすっきりとだしていて、
切れ長の瞳がすごく冷たくて静かだった。
 他の不良少女たちとはぜんぜん違って、いかにも頭が良さそうな上品な顔を
している。
「晴代、そいつなの? 今日リンチに掛けるっていうのは」
 美姫の横にいた不良少女が、菜々美の腕を掴んでいる少女を見た。今自分の
手を掴んでいる女の名は晴代というらしい。
「そう、こいつ」
 晴代は菜々美の肩をポンポンと叩きながら答えた。
 リンチ。今、確かにリンチと言っていた。これから菜々美は、こんなに大勢
の人から殴る蹴るの暴行を受けるのだろうか……。想像するだけで足が竦んだ。
「あんまり生意気なんでお仕置きしなきゃ。人に鼻血噴出させちゃったくせに、
堂々としているような奴だからな」
 晴代の言葉を訊いて菜々美の脚ががたがた震えてきた。
「なにを情けない顔してんの?」
 晴代が意地の悪い笑みを浮かべて、菜々美の表情を窺っていた。恨みを晴ら
せるから、というだけでこんな顔は出来ないだろう。リンチ自体が楽しくてし
ょうがないという、そんな顔をしている。
 菜々美は心底この少女が恐ろしくなった。
「あ、あの、ごめんなさい。あの時は――」
 それ以上何も言えず、菜々美は黙り込んだ。
 人数が集まる? もっと? 一体、何人いるというの……。
 菜々美は救いを求めるような眼で美姫をみた。あんな美しい少女が酷いこと
をするはずはないと思った。それに、彼女は自分のことを可愛い子だといって
くれた。しかし、美姫は関心なさそうに不安と恐怖で硬くなっている菜々美を
一瞥すると、ソファに座った。
「やっちまおうぜ!」
そう叫んだ晴代が積み上げられているマットに菜々美を後ろ向きに引き倒した。
「きゃあ!」
 悲鳴を上げ菜々美の両腕を、仲間の少女たちに押さえつけられた。
「でかい声出すな!」
 晴代に頬をぶたれた。ホッペタがじんじんと痛む。それでも、どうにか逃れ
ようと菜々美は必死にマットの上で暴れた。上手くカールできた髪の毛がぐし
ゃぐしゃになってしまっていた。
 さらに晴代にホッペタ何度も叩かれて、数人がかりで怒鳴られて、それでも、
泣かないでぐっと我慢していると、着ていたブレザーの制服とシャツを脱がそ
うとした。
「や、やめてください!」
 菜々美が泣きそうな声で訴えると、また晴代に頬をぶたれた。
「静かにしないと服をびりびりにするよ」
晴代に睨まれ、菜々美は仕方なく抵抗をやめた。
少女たちにキャミソールまで無理やり脱がされた。制服のスカートも奪われ、
今、身につけているものはブラとショーツに靴下だけになった。
 信じられないよ、こんなの……。
晴代が菜々美のブラを外しにかかった。
子のシャツのボタンを巧みに外した。
「や、やめて!・・お願い・・ああっ!・・もう・・あうっ!・・許して・・」
菜々美は半泣きの顔で言った。しかし晴代は菜々美のブラのフックを外すと弾
け出るように大きな二つの乳房が顔を出した。



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  発行者      : 春野 水晶 

  * タイトル:『クリスタルノベル〜百合族〜』
  * 発行周期:不定期(週2回発行予定)

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