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===================================================== 発行部数 27 == ★★ 日刊ドラマ速報 ★★ ☆☆ 2010/07/10 (Sat) ☆☆ ====================================================================== == 目次 ============================================================== 1.土曜日の連続ドラマ 2.編集後記 ====================================================================== ---------------------------------------------------------------------- 1. 土曜日の連続ドラマ ---------------------------------------------------------------------- タイトル 美丘--君といた日々-- 局 名 日本テレビ系 放映日時 土曜21時 キャスト 峰岸美丘(吉高由里子) 橋本太一(林 遣都) 笠木邦彦(勝地 涼) 五島麻理(水沢エレナ) 北村洋次(夕輝壽太) 佐々木直美(中村静香) 峰岸 始(寺脇康文) 高梨宏之(谷原章介) 峰岸佳織(真矢みき) 原 作 石田衣良「美丘」(角川文庫刊) 脚 本 梅田みか 主題歌 福山雅治「蛍」(ユニバーサル J) あらすじ 第1話「私あとどれ位生きられますか?命と恋…そして家族」 僕(橋本太一(林 遣都))は今、彼女と初めて会った大学の屋上 に立っている。彼女と出会ってなかったら、僕は今誰かを心の底から 愛するということを知らずにいるのだろうと思う。彼女の名前は美丘 (吉高由里子)。1年前僕の前に現れて、あっという間にいなくなっ た。稲妻のような強烈なイメージだけを残して…… 当時僕は大学3年生だった。あの日僕は、悪友の邦彦(勝地涼)と 洋次(夕輝壽太)とキャンパスに寝転がって暇を潰していた。たるい ので午後の人間経済論の講義をこのままサボってしまおうなんて言っ ていた。 「空からいい女降って来ないかなぁ」 邦彦が冗談めかしたように言うのにつられて、僕は空を見上げた。 その瞬間僕はギョッとなった。目の前の講義棟の屋上に女子学生らし き姿が見えて、今にも飛び降りそうだった。 僕は慌てて屋上へと駆けのぼった。 「や、やめろ!こ、ここから落ちたら……」 彼女は虚ろな目でこっちを向いた。危ない!僕はとっさに手すりを 越えて、彼女に駆け寄って抱き寄せた。 「ダメだ。死んじゃだめだ!うわーっ」 10階から地上が目に入った。僕はガタガタと震えが止まらなくな った。すると彼女は可笑しそうに笑った。 「あたしは死なないよ。ただ手すりを越えただけで、見える景色が違 うから、それだけなの」 「……」 確かに彼女の言うとおりだった。見える世界が違う。それが僕にす がすがしく思えた。それから僕は彼女と名前を言いあった。峰岸美丘。 それが彼女の名前だった。彼女は微笑むとさっさと手すりを越えて屋 上を降りて行った。 その後、僕は邦彦、洋次と一緒に学食に行った。すると1人でお昼 を食べている彼女がいた。 「さっき飛び降りようとしてたのによくまあ平気な顔して食べられる よな……」 邦彦はあっけに取られていた。そこへ麻里(水沢エレナ)と直美 (中村静香)がやって来た。僕らが彼女のことを見ているのを知ると、 麻里はそっと耳打ちした。 「あの子、関わらない方がいいよ。なんかちょっとした有名人みたい だし」 そう言った矢先に女子学生が彼女のところに現れて、ものすごい勢 いで怒鳴りつけた。女子学生の1人の彼氏をとったと彼女は非難され ていた。けれど彼女は涼しい顔して、向こうが声をかけてきたと言っ てのけた。自分は盗る気ないしと、バカにするように笑っていた。カ ッとなった女子学生たちが彼女につっかかろうとしたので、僕はとっ さに食器を落として大きな音を立てた。それでみんなの注目がこっち に集まり、いざこざは止められた。 僕らは学食を出た。彼女のふざけた態度にみんな反発していたが、 僕はその中に加われなかった。あの屋上で見た彼女とはあまりにもイ メージが違う。すると向かいから彼女がやって来た。僕らは素通りし ようとしたが、彼女はすれ違いざまに「余計なお世話」と口走ったの で、僕は足をとめて聞いた。 「ねえ、さっき言われてたこと、本当なの?」 「向こうが盗ったというならそうなんじゃない」 彼女は悪びれた風がない。 「あなたはそれでよくても、相手は傷ついているのよ。ずっと片思い してたって言ってたじゃない」 麻里が言った。 「そんなの時間の無駄なのに」 彼女は吐き捨てるように言った。 「太一が機転を利かせなかったら大変なことになってたんだぞ。お礼 ぐらい言えよ」 イラついた洋次が厳しい目つきで言い放った。 「ふぅーん、じゃあ」 たじろくこともなく彼女は受け流すと、僕に近寄った。そして僕の 頬にキスをしてみせた。 「じゃあね、太一くん」 彼女は飄々として去っていった。僕はただ唖然として見送るだけだ った。とにかく通常の思考がまったく通用しない。それが彼女だった。 でもその裏に深いわけがあることを僕はまだ知らなかった。 翌日僕が大学にやって来ると、邦彦や洋次、直美が僕に「今夜はち ゃんと決めろ」と言われた。今日は麻里の誕生日。僕は麻里とは映画 や食事に行く間柄だったけど、まだ正式に告白してなかった。邦彦た ちからするとじれったくてしかたないのだろう。麻里は控えめで品の いいお嬢様タイプ、邦彦は付き合わないなんてもったいない、もった いないと言う。僕もそうだと自覚している。でも大学3年になるのに 将来の目標もまだ決められてないような人間で、今日も麻里に告白す るのかどうか自信がなかった。 僕は麻里の誕生日プレゼントを買いにブランド品が並ぶ店を見て回 った。するとそこへ彼女がボーイフレンドと一緒に現れた。僕が麻里 の誕生日プレゼントを買おうとしているのを聞き出すと、彼女は興味 津々な顔をした。 「じゃ、あたし用ができたから」 連れてきたボーイフレンドにそう言うと、彼女は僕の手を引いて歩 きだした。 彼女は気味の悪いホラーじみたアクセサリーショップに僕を引っ張 り込んだ。 ああいうお嬢様には高価なものよりこういう方が珍しくていいよと 彼女は言って、その辺のアクセサリーを1つ手に取った。店員が「彼 女さん、それお似合いですよ」と言うと、彼女は僕の腕に抱きついて 「これほしい!」と甘えた声を出した。僕は焦って店を飛び出した。 彼女はいたずらっぽく笑いながら「なんかデートみたいで楽しい!」 と言った。さっきの男とは?と聞くと「あれは暇つぶし」と言った。 そして不意に深刻な顔をして「あたしは、誰とも本気で付き合わない んだよね」と付け加えた。いったい何なんだと僕は思った。 次に入った店で彼女はオープンハートのネックレスを取り「これい いでしょ」と自分の首元に当てて見せた。僕は思わず息を飲んだ。無 邪気に僕を見ている彼女にそれはとてもよく似合っていた。「そ、そ れ買う。決めた」僕は思わず口走った。 買い物が済んだ後、彼女は帰ると言ってさっさと行こうとした。僕 は慌てて「ありがとう。1人だったらこういうの買えなかった」とお 礼を言った。「だろうね」と彼女はからかうように笑った。 「太一くん」 不意に麻里の声がした。僕はしどろもどろになってしまったが、彼 女が「今そこで偶然会った」とフォローしてくれた。彼女は言い終わ るとさっさと行ってしまった。僕は引っかかるものをどこか残しなが ら、麻里と一緒に歩き出した。 プレゼントを麻里はすごく喜んでくれた。 「こんな感じの持ってなかったの。似あうかな」 と首元に当てて見せてくれた。「よく似あうよ」と僕は言った。僕は その勢いで「麻里、俺と……」と一気に行こうとした。その瞬間突然 彼女の顔が浮かんだ。 それで一気にトーンダウンしてしまった。このまま麻里と付き合っ ていいのだろうかという思いが僕の中を走ったのだ。 結局告白できずに麻里とは別れた。後味の悪さを引きずりながら 1人夜道を歩いていると、大学の前まで出た。門を誰かがよじ登って いた。彼女だ。僕は反射的に追いかけて、初めてであったあの屋上に 行った。 「どこに行ったんだろう」 僕がキョロキョロしていると、不意に彼女が僕の目の前に現れた。 星を見に来たのだと言う。今見える星は1000年とか2000年前 の光。自分自身が消えても長い間光り続けていられる、それがいいん だと言う。 「人間なんて死んだら終わりだもんね」 彼女は投げやりっぽく言った。 「そんなことないだろ」 と僕はとっさに否定した。だって死んだとしても誰かが覚えていれば、 そのままずっと生き続けていられるのだから。彼女は黙っていた。 大学3年生を対象に就職説明会が開かれて、僕らは大講堂に行った。 退屈な説明を聞きながら、僕は知らず知らず辺りを見回していて、麻 里に「どうしたの?」と聞かれてしまった。邦彦が「美丘ちゃんいな いなあ。同じ3年生なのに」なんて言うから僕は内心ビクッとしてし まった。 説明会後、邦彦の提案で麻里の1日遅れの誕生日パーティをやるこ とになった。 ふと見ると彼女が小学生たちとストリートバスケをしているのが見 えた。お調子者の邦彦が一緒にどう?と声をかけると、意外にも参加 すると言ってきた。 彼女は、予想はできたけど、豪快な飲みっぷりだった。麻里は21 歳になった。20歳過ぎたら誕生日も憂鬱と恥ずかしそうに言った。 直美はしわくちゃのおばあちゃんなんかになるより若くてキレイなう ちに死んじゃいたいなあと言うと、みんなが笑った。けれど僕は彼女 が笑ってないので、ちょっと気になった。 麻里が直美の彼氏が奥のテーブルにいるのを見つけた。直美はちょ っと声掛けてくると席を立とうとした。すると彼氏が「いやぁ直美は 単なる遊び。本命はマユミさ」としゃべっているのが聞こえてきた。 「あたし、カッコ悪……もう死んじゃいたいよ」 直美は泣きだしてへたり込んでしまった。麻里は抱き寄せて一生懸 命慰めた。 「バッカみたい。そんなことくらいで。そんなに死にたきゃ死ねばい いじゃん」 僕らはみんな凍りついた。だがそんな空気を彼女はものともしなか った。 「あんた、さっき若くてキレイなうちに死にたいって言ったよね?し わくちゃになって、ボロボロになるまで生きるの、何が悪いの?かっ こいいじゃん!」 そう言い捨てると、彼女は店を飛び出して行った。僕は驚いて後を 追って出た。 見ると、彼女は直美を弄んだ彼氏に向かって飛びかかっていた。 「あんたみたいなの見ていると、むかつくんだよ!」 彼女はそばにあった工事用のコーンやポールを投げつけた。相手は 怒って彼女につかみかかり仕返しをしようとしたので僕はその間に入 って彼女をかばい、顔面にもろにパンチをくらってしまった。騒ぎを 聞き付けて警察がやって来た。まずい、美丘が捕まるかもしれない、 僕はそう思った。 「美丘、逃げるぞ!」 僕は美丘の手をつかみその場から逃げだした。 僕と美丘は噴水の傍まで来て止まった。 「あーっ、すっきりしたぁ!」 美丘はお腹の底から響くような大声を出した。 「太一くん、さっき初めて美丘って呼んだね!」 えっ、そうだっけと僕は思った。でも彼女は嬉しそうだった。そし ていきなりブーツを脱ぎ棄てて、噴水に飛び込んだ。何やってんだ? 僕は呆気にとられた。 「太一くんも来たら!」 彼女はコロコロと笑っている。僕がためらっていると彼女は僕の手 を強引に引っ張った。それで僕もなんだか可笑しくなってバシャバシ ャと噴水の中をはしゃぎまわった。そう、こんなふうにして僕らは次 第に惹かれあうようになったんだ。 寸 評 「ティファニーで朝食を」という小説を思わせるような設定だと 思いました。 奔放なヒロインに振り回される語り手の私。とはいえ、ヒロインに 「ティファニー」のような当時の抑圧された女性を解放するような強 力なシンボルがあるわけでないと思います。たぶん青春小説の範疇に はいるのでしょうけれど、一歩間違うと「セカチュー」を水で薄めた ような軽いドラマになりそうな気がします。 初回の印象では、美丘はもっと強烈なインパクトが欲しいなあと思 いました。 太一はオドオドしたタイプでいいと思いますが、麻里は登場しない 方がいいような気がしました。性格がいい子なので、太一が悪者に見 えてしまいます。なにはともあれ、破天荒なことをやるのであれば、 思い切り派手にやってもらって、うだる夏の暑さを吹き飛ばすくらい の爽快さを出してくれることを期待したいと思います。 執 筆 者 けん() ---------------------------------------------------------------------- 2. 編集後記 ---------------------------------------------------------------------- 夏風邪を引いてしまいました。熱は出なかった分、大丈夫だろうと思って普 通にしていたところ、のどが痛みだし、さらには咳に見舞われてしまいました。 この時期はアトピー性皮膚炎のかゆみが悪化するのにも当たり、ここ数日はち ょっとした地獄でした。(けん) ====================================================================== 発行元:ドラマ研究会 e-mail:info@j-drama.tv url :http://www.j-drama.tv/ ID :MM3E195F16414CD このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。 (http://www.mailux.com/) ====================================================================== |