缶バッジがハイチを救う、「SAVE HAITI Project」
カリブ海に浮かぶ国、ハイチで1月に大地震が起こり、犠牲者が20万人を超えたことは記憶に新しい。被害が最も深刻だった首都のポルトープランスは、すべての機能が滞り、仕事や家を失った人でいまだにあふれかえっているという。元々ハイチという国は、中南米でもっとも貧しい国のひとつで、首都がダメージを受けたことによって、国家は麻痺状態になっている。その影響で、地震の被害を直接に受けなかった他の地方都市や貧しい農村までがダメージを受けているという。いつの時代もどこの国でも、災害が起こったときに最も影響を受けやすいのは、生活に余力のない貧しい人々なのである。
そんな事態を憂慮した日本人たちが立ち上がり、とあるプロジェクトを興した。その名も「SAVE HAITI Project」。このプロジェクトは、直接義援金を募る方法ではなく、自分たちがデザインした缶バッジを販売し、その収益を義援金とすることで、それぞれの中にある「遊び心」と「思いやりの気持ち」を、私たちと気持ちを同じくする人々の手によって街へ発信していきたい、という願いから発足された。
缶バッジは、1セット10個入り3,000円(5つのデザインが各2個ずつ入っている)からの販売で、3セット以上購入すると希望によりHPの「Project参加メンバー」欄に、団体名(店名・会社名・サークル名など)、住所、電話番号、URLをアップすることができる。最終的に、缶バッジ1個の代金300円のうち経費を差し引いた約200円を寄付することになる。
このプロジェクトの基本ルールは以下のとおりである。
1. 私たちの支援は被災者と被災者のために現地で活動している人々へ届ける。
2. 義援金は缶バッジの販売によって集める。
3. 缶バッジは1個300円で販売する。
4. 目標金額は100万円。期間は2010年12月31日までとする。
5. 私たち支援する側のエゴを被支援者に押し付けることはしない。
6. 缶バッジはProject参加メンバーを通じて流通させる。
7. ひとりでも多くの人が楽しく参加できるようにする。
8. 経理はすべて公開する。
このプロジェクトは、平凡な日々を送っていた横浜の小さな町の美容室「AVASH」が思い立ったほんのちょっとした企画から始まった。それでも、そこから何かが生まれ、何か社会に対し行動することができる、ということを伝えたい、という気持ちは十分伝わってくる。缶バッジというアートと地震救済プロジェクトという全く異次元のものでも、人間は何かについて親身に考えたとき、予想もつかない新たな発想が生まれるのだと感じた。(亜遊民執筆)
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