2010年4月2日第12号(通巻第211号)・FOR MAN・




【photo by Kazuhiro Matsumoto】

4/2(金)「アートフェア東京2010」(〜4/4) 
東京国際フォーラム

4/3(土)松江武者行列 島根県松江市天神町

4/4(日)「キムラ・グラフィック ルビ」(〜4/10) ヴァニラ画廊

4/5(月)裏千家家元献茶式 大阪府島本町水無瀬神宮

4/6(火)「マネとモダン・パリ展」(〜7/25) 
三菱一号館美術館

4/7(水)印鑰神社春季大祭「鮒取神事」 熊本県八代市

4/8(木)「日本のデザイン2010」展(〜5/9)
東京ミッドタウン

3/26(金)東京モーターサイクルショー 開催

3/27(土)六本木ヒルズは不夜城

3/28(日)お笑い電車で大笑い

3/29(月)スカイツリー、東京タワーを抜き日本一に

3/30(火)日米間に最大4.8Tbpsの新ルート、海底ケーブル「Unity」が稼働

3/31(水)野口聡一宇宙飛行士、宇宙滞在100日目

4/1(木)Yahoo! トップページが3Dに!Googleは“しりとり機能”を投入

【編集部からのお知らせ】

→「東京流行通訊」のTwitterが昨日(4月1日)開通しました。今後、編集部のメンバーはここでこまごまとした情報をつぶやいたり、ニュースを発表したり、読者のみなさんと交流したりしていきます。みなさんと一緒に、美しい春を楽しみたいと思います!

→最近、多くの日中交流を主体としたサイトが、本メルマガとリンクして、お互いにリソースを共有しています。主なサイトには以下のものがあります。
日本最大の旅行会社JTB傘下の「JAPANiCAN」(英、中、韓);
旅行情報が豊富なショッピングガイドのサイト「JAPAN−i」(英、中、韓);人気上昇中の日本語ファンのBBS「色色日語論壇」(中)などなど。これからも、さらに多くのサイトと交流していきたいと思っています。

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3Dで「明治の旅」

近頃、「アバター」を初めとして、多くの映像企業が先を争うように3D映像の映画やテレビ番組やゲームなどを売り出しているが、実は3Dはそれほど目新しいものではない。その歴史は、1840年のチャールズ・ホイートストン卿の時代にさかのぼる。18世紀から、3D映像製作の基本原理はほとんど変化していないのである。

人間の二つの目はそれぞれ、焦点を合わせたり、物の大きさや重量感や明晰度や移動速度などを把握したりする働きがあるが、大脳は、両方の目が物を識別した時の異なる情報や目の動きの情報などを総合的に用いて、空間的に物体を認識する。実際の立体を見るとき、二つの目の位置は異なるので、それぞれの目が異なる物体として見ている。大脳は二つの異なる画像によって立体を再構築するのである。つまり、平面的な画像であっても、二つの目による視覚の差があるために、大脳はそれを立体として認識できるというわけだ。

沖縄在住のアメリカ人、Rob Oechsle(ロブ・オーシュリ)さんが、写真共有サイトのFlickr(フリッカー)に保管した膨大な数の写真の中に、明治初期に江南信國が撮影した写真を集めた「OLD JAPAN in 3−D」がある。これらの写真を鑑賞する時は、まず目をちょっと休ませてから、遠くの方を眺めるような感じでぼんやりと視線を絵の間に合わせる。焦点が定まると、平面的な図案が立体化し、当時の風景画や人物画が立体的に目の前に再現される。

この方法で立体画像が見られない場合は、GIFを使って製作された立体画像を見てみよう。視覚の差を利用して作られた画像はたくさんあるが、中でも以下のサイトをオススメしたい。立体画像を擬似化したものだが、これを見ると写真の場面に実際にいるような感覚を味わえるに違いない。画像が見にくい場合は、それぞれの写真をクリックして一枚ずつ表示することもできる。さあ、パソコン画面を通して、明治時代の旅をしてみよう。(河上晃一郎提供)

flickr「OLD JAPAN in 3−D」 http://www.flickr.com/photos/24443965@N08/sets/72157604144707515/ (英)

痛車マニア大集合

「痛車(いたしゃ)」という言葉を知らない人にとって「痛」と「車」という文字の組み合わせの意味を推測することは難しいことだろう。「痛車」とは、漫画、アニメ、キャラクター、あるいはメーカーのロゴなどの大きなステッカーを貼り付けた車、もしくはそれらが直接スプレーで描かれるなどした車のことであり、別名「萌車」とも呼ばれる。オタクの聖地、秋葉原であっても、「痛車」に乗ってドライブしたら、きっと多くの人が振り返るであろう。おそらく最も「痛い」ことは、隠すことも全くせずに、世間に向かって自分がオタクであることを宣言するという行動であるかもしれない。

日本のオタク人口について正確な統計を取る方法はないが、愛車を「痛車」に改造する程、勇気のある人は非常に少ないと思われる。彼らは普段、仲間以外には白い目で見られ、大きな賞賛を受けることは想像しがたい。ところが3月21日に開催された「萌博2010」では、「痛車族」たちが集結し、何と300台もの「痛車」の参加があった。自動車以外にも、自転車の「痛チャリ」、バイクの「痛単車(いたんしゃ)」などが、この栄えある舞台に登場した。

「痛車」マニアたちの投票により選ばれた最高の「痛車」は、アニメ「プリキュア」のついたワゴンRであった。一般人から見ると、どの「痛車」もかなりすごいのだが、マニアの目から見ると大きな差があるらしい。「このステッカーは貼り方がすごい」とか「このデザインは素晴らしい」など、一般人では気がつかないようなところに優劣の差があるようなのだ。「“痛い”文化はとどまるところを知りません。自転車やバイクも、何でも痛車にすれば当たるんじゃないか、という傾向があります。アキバ文化だけは、不景気の影響を受けないで進化し続けているのかもしれません。」と、このイベントを主催したOUTLIVEの代表取締役 成尾浩さんは語った。

アニメキャラクターの色彩が強い改装車の通称が「痛車」だが、車の中に完璧なオーディオ設備を取り付けたり、エンジンを改造して馬力を強くしたりするなど、持ち主の好みによって「痛車」の種類も様々である。ステッカーを貼るだけで、小型車では制作費が5万〜10万円、ワンボックスカーなら20万円近くかかる。「痛車」に入れ込んでいる彼らにとって、この金額が「痛い」かどうかは、本人たちにしかわからない。(緋梨執筆)

「萌博2010」 http://www.moehaku.com/

楽しい「せいかつの図鑑」

時代が進歩するのにつれて生活形態も変化し、子どもたちを取り巻く社会問題もますます増えている。少子化問題より深刻なのは、「劣子化」問題である。学習能力の減退、生活能力の低下、道徳意識の崩壊など、日本社会の未来を支える重責を担う子どもたちの間には、社会と家庭と学校が共に考えて解決すべき問題が確かに存在する。「なぜ現代の小学生は、最も基本的な生活常識さえないのだろう?」と、年配者は、みな子どもたちの現状を案じているようだ。

十文字学園女子大学の児童幼児教育学科教授で、元御茶ノ水女子大学附属小学校副校長の流田直先生が執筆し、小学館から出版された「楽しく遊ぶ学ぶ/せいかつの図鑑」は、まさに現代の子どもたちに欠けている生活の基本常識に焦点を当て、絵と写真で具体的に教える図鑑である。蝶結びの結び方、卵の割り方、掃除のやり方など、家庭や学校の日常生活で触れる機会があるはずのことを、現代の子どもたちはなかなかうまくできない。この図鑑は、衣食住に関することにテーマを絞り、子どもたちが興味を持って体験して、うまくいった時に楽しさを感じられるように構成されている。

本書で述べられているのは、部屋を片付けたり、服をたたんだり、食事を作ったりといった生活常識であり、目的は、生活能力を養うことによって子どもたちの計画能力を高め、最終的には学習能力を高めることにある。日常の家事によって家族や友達、先生との交流を深め、幼い頃から一生の間に必要な生活能力を養おうということなのだ。そのことは、1.着る(洗濯物をたたむ、ちょう結びなど)2.食べる(食卓での礼儀、季節の食べ物など)3.生活する(掃除、節約など)といった目次を見れば、一目瞭然である。

「楽しく遊ぶ学ぶ/せいかつの図鑑」は、小学館児童図鑑プレNEOシリーズの一冊である。このシリーズの「楽しく遊ぶ学ぶ/かず・かたちの図鑑」「楽しく遊ぶ学ぶ/こくごの図鑑」と合わせて、小学校の3大教科である国語、算数、生活に対応して編集されている。簡単に見えることであっても、親であっても全てを完璧に出来るわけではない。子どもたちにどのように教えるべきか迷うこともあるだろう。このような生活図鑑があれば、子を持つ親として改めて様々なことを学び直すことができるであろう。(南風執筆)

小学館の児童書 http://www.shogakukan.co.jp/forkids/

初音ミクのコンサート

高さ2メートル、幅6メートルの大型透明スクリーンに出現したのは、CGで製作された美少女「初音ミク」である。暗闇の中でミクの髪と同じ色のペンライトが、歌声に合わせて左右に揺れ、2500名のファンたちが熱狂的に興奮し、会場の雰囲気は最高潮に達する。3月9日の「ミクの日感謝祭 39’s Giving Day」で、初音ミクのコンサートがZEPP TOKYOで開催された。コンサートは昼と夜の二回で、演奏された曲はすべて、アマチュア作曲家たちがSEGAのボーカロイド「初音ミク」を使って創作したものである。ミクのモーションモデルを務める小倉唯などのアイドルもこの盛大なイベントに参加した。

「初音ミク」は、自分の作った曲を声優の藤田咲の声を使って歌わせることができる、アマチュア音楽製作ファンの間で人気のソフトである。イラストレータのKEIが描いた「初音ミク」自身も人気が出て、動画投稿サイトにも多くの「初音ミク」動画が投稿されている。漫画として登場してから、「初音ミク」の名声はさらに高まっている。

後続作品としては、双子の姉妹「鏡音リン・レン」が一緒に歌ったり、日英バイリンガルの「巡音ルカ」が登場するなど、「ボーカロイド・初音ミク」は世界の大舞台へと足を踏み出している。「初音ミク」はコンサートで、ソフトを使って作られた曲にアクセスが殺到して正式発売となった「World is Mind」(supercell作曲)や、初期の人気作品「恋愛VOC@LOID」(OSTER project作曲)など30曲を歌い上げた。立体映像の「初音ミク」が音楽に合わせて水着やドレスなどに着替えて軽快に踊り、「鏡音リン・レン」と「巡音ルカ」が登場すると、コンサートの気分は最高潮に達した。

「初音ミク」ブームは音楽ファンだけのものではない。今年の国内最大のオートレース「SUPER GT(GT3000クラス)」では、「初音ミク」をペイントした白いポルシェが参戦した。白とオレンジの明るい色の服をまとったマスコット「RACINGミク」の登場に、初音ミクファンたちは大いに熱狂したことだろう。7月29日には二代目の「初音ミク−Project DIVA−2nd」(仮名)が発売予定で、第一世代のソフトと比べて一段と優れた機能を備えているそうだ。大いに期待しよう。(ff執筆)

ミクの日感謝祭〜39's Giving Day〜 http://miku.sega.jp/39/

規則と文化の違い

一年に一度の桜の季節になり、東京にも楽しく明るい雰囲気が溢れている。しかし、私の周りで起きた二つの出来事が私を深く悩ませている・・・。

北京から来た年上の友人は、二年前に美しく聡明な日本人女性と結婚し、周囲の人々を羨ましがらせた。今年の花見の席で彼は一人で酒を飲み、表情も明るくない。かつて幸福の絶頂だった二人は、現在「離婚協議中」なのである。事の発端は「通勤定期」という小さなものだった。彼が週末に外出する時に、奥さんの通勤定期を借りようとした。すると普段は温和な奥さんが突然顔色を変え、「これは私が通勤するためのものよ。あなたが休みの日に使っちゃだめじゃない!」と言ったのだ。これに彼は腹を立て、「日本人はどうしてそう頑固なんだ。週末は君は使わないんだから、バッグに入れておいても無駄だろう。二人の家計のために節約しようと思っているのに、そんなふうな考えではこれからやっていけないよ!」と返したのだという。

もう一つはこんな話だ。上海から来た友人の王くんの義理の母親が、花見も兼ねて日本に遊びに来た際、一家でファストフード店に行った。「飲み放題」サービスの注文の時、お義母さんは「いらない」と言った。食事が終わり、王くんが自分の「飲み放題」のお茶の最後の一杯をお義母さんにあげようとした時、小学校三年生の娘が突然口を開いた。「おばあちゃんは『飲み放題』を頼んでいないのだから、飲んじゃだめ。そんなことをしたら店が損をする。」王くんは笑いながら言った。「お父さんが『飲み放題』を頼んだのだから、お父さんが100杯飲んでも構わないだろう?」娘は頷いた。「だから、お父さんが3杯飲んで、残りの97杯からおばあちゃんがちょっと飲むぐらい構わないだろう?」だが、娘は頑なに譲らない。最後には泣き出してしまい、食事の楽しさが台無しになってしまった。王くんは憤懣やる方ないという様子で言った。「子どもに日本の教育を受けさせたことを後悔しているよ。こんなに頑固では、将来結婚できないかも。」

日常生活で人間の決めた規則にどう対応するかで、中国人と日本人に明らかな違いがあることは、在日中国人なら切実に理解しているだろう。中国人はどちらかというと「人の気持ちを重視」し、自分の価値観で自分の行動を「合理的」に解釈する。日本人はどちらかというと「規則を守る」ことを重視し、公共的な規則を自ら厳しく守ろうとすることによって、調和の取れた社会をみんなで作ろうとする。

もちろん、その場の人間の考え方に合わせることは非常に重要だが、各自の価値観によって自分のやり方を押し通そうとすれば、たくさんの「不合理」が生まれてしまう。社会の規則も守り、人の気持ちも大切にしようとするのは、実に難しいことである。桜の季節に聞いたこの二つの物語は、異国で暮らす私の二十年以上に渡る様々な困惑と迷いを映した、二つの「生活の水滴」のようだった。来年の桜の季節には、深い悩みから抜け出し、澄み切った青空を笑顔で迎えたいと願っている。(姚遠執筆)

Photo by Yao Yuan

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