メルマガ:クリスタルノベル〜百合族
タイトル:クリスタルノベル〜百合族〜 Vol. 044  2010.3.19  2010/03/20


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  ◆∞◇                    ◆∞◇
   ◇∞◆  クリスタルノベル〜百合族〜    ◇∞◆
    ◆∞◇      Vol. 044  2010.3.19       ◆∞◇


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                    ◇∞◇ タイトル ◇∞◇ 
            
             ♪ − 星の降る夜空の向こう



 梨香には今日も会えなかった。避けられているというわけではないのだろうけど、気分が
重くなる。
 今は誰とも話したくない。授業を終え、誰かに誘われる前に急いで身支度をし、一人で帰
宅しようと部屋を出た時、携帯が鳴った。礼子からだった。
「姉貴が予約していたんだけど、一緒に行くはずだった友達が急に行けなくなっちゃったん
だ。それで、私といくことになってたんだけど、姉貴が急に熱出しちゃって」
 明日、近場の温泉に行こうと礼子が誘ってきた。宿泊代はいらないという話だ。ちょうど
明日は何の予定もない。気晴らしに礼子に付き合ってみるのもいいと思った。

 駅に着いたのは昼過ぎだった。旅館のチェックインまで時間もあるので、このまま温泉街
を散策することにした。
「やっぱり温泉街って独特の雰囲気があるよね?」
 何時もはクールな礼子がやたらはしゃいでいる。
 古い旅館、料理屋、街灯。街を形作るパーツのひとつひとつに趣がある。
「あそこ源泉で温泉卵作れるみたいだよ」 
「食べたいの? 温泉卵」
 私は礼子の顔をじっと見る。
「だめ?」 
「はいはい、分かりました。温泉卵ね?」
 礼子が近くの店でネットに入った生卵を買って来た。二人で源泉のそばに行く。湯煙がも
うもうと上がっている。原泉は百度近い熱湯のようだ。礼子は源泉の傍においてある竹竿の
先に生卵の入ったネットをくくりつける。
「礼子、火傷しないように気をつけてね」
「大丈夫よ」
 礼子がゆっくり生卵を原泉の中に沈めていく。携帯の時計で時間を計りながら卵がゆで上
がるのを待つ。
「温泉卵、温泉たっまご」
 原泉の中のたまごを見ながら礼子が温泉卵の歌らしきものを歌い始めた。いつも同年代の
女子より醒めているクール礼子が、たかだか温泉卵ひとつでとても楽しそうにはしゃいでい
る。わくわくしながら卵が茹であがるのを待ってる礼子の姿を見ていると、こちらまで楽し
くなってくる。
 近くのベンチで腰を下ろし、二人で茹でたての卵をほおばる。
「でもさ、これってただのゆで卵だよね?」
「とにかく、温泉で茹でたらゆで卵でも半熟卵でも関係なしに、温泉卵っていうのよ」 
「へぇ、そうなんだ」
 卵を食べて再び温泉街の散策を開始する。小さな浅い川から湯気が上がってて、その川の
前にすのこが置いてある。ご自由にどうぞと書かれた看板があった。
「足湯だよ」 
「足湯って?」 
「足だけ入る温泉。温泉街には幾つかあったりするの」
「ふうん、そうなんだ」
 好きだけあって、礼子は詳しかった。
 履いていた靴とソックスを脱いでお湯の中に足を付ける。
「熱過ぎる事も無くて、ちょうどいい湯加減ね」 
「うん、これならいつまでも入ってられそうな感じ」 
お湯の中に足を付けて礼子と寄り添って座る。足が温まって来ると足の疲れが抜けていく感
じがする。これは結構いいかもしれない。
「ねぇ、足湯巡りしたい! ダメ?」礼子が私の顔を見て手を合わせる。
「別に構わないわよ、時間もあるしね」
 それから温泉街にある足湯を色々と廻った。円形になって座る物や深い物、足を入れる部
分に細工がしてあるものや、お湯の噴き出し口がししおどしの様になった物など、どの足湯
にも個性があって面白かった。
 足湯巡りは楽しかった。結構いい時間になったので、旅館に向かった。
 人気の老舗旅館だと礼子が言った。その旅館は温泉街から少し離れた山間に立つ旅館で、
周囲を緑豊かな山々に囲まれた静かな場所にあった。
入口に並んだ従業員達が礼をする。
 フロントでチェックインを済ませてから部屋に通された。純和風の室内は落ち着いた照明
と色合いの調度品で統一されていて、いいい感じの部屋だった。閉まっていた障子を開くと
大パノラマの景色が広がる
「わぁ〜、凄い。いい眺め〜」
 窓の前の椅子に腰を掛けて礼子が窓の外に広がる景色を眺める。私もその向いに腰を掛け
て同じように景色を眺めた
「来て良かったわ」
「うん、来て良かった!」
 二人顔を合せて笑った。



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  発行者      : 春野 水晶 

  * タイトル:『クリスタルノベル〜百合族〜』
  * 発行周期:不定期(週2回発行予定)

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