冬の中の暖かい春
私の母国では人類の歴史でも最大規模と思われる、国を挙げた周期的大移動、「春運」(春節前後の人の移動)の時期を迎えようとしている。そして私の第二の故郷である日本では、前代未聞のとある旅が開始されようとしている。約40日間の「春運」には、のべ20億人以上の人口が移動し、これは世界の人口の3分の1となる。日本における前代未聞の旅の主人公は大学1年生の土井雪江さんという1人の美しい名前を持つ女性である。
デジタルハリウッド大学で学ぶ土井さんは、1月31日から3月31日まで、学校の春休みの間に、ヒッチハイクをし、無料で泊めてもらいながら、お金を使わずに日本の都道府県全てを訪れるという計画をしている。全行程の間、常にiPhoneとノートパソコンでTwitterに感想を書き込むほか、毎日オンラインテレビ「Ustream」で実況中継をしたり、日本各地で「有名人突撃インタビュー」をしたりするそうだ。
土井さんは自身のブログで、「日本一周をすることが小さい時からの夢だった」と書いている。今回それを行動に移すことにしたのは、自分の力で夢を実現したいということもあるが、旅の途中でたくさんの人々と交流し、様々な人々の協力や助けを借りて、みんなと一緒に壮大な夢を実現したかったからである。また、「ネットワークの無限の可能性と巨大な力」を確かめることについても大きな期待を抱いており、旅行という行動自体はすでに目的ではなくなっているようだ。
お金も何も持たない若い女性が、自分の夢と「私を泊めてくれる人は悪いことはしない」という信頼のみで壮大な旅に出るという考え方と方法は、すでに多くの人の心をつかんでいる。メディアによる注目を集め、ネット上でもたくさんの人が応援し、防犯ベルや催涙スプレーを提供してくれる人まで現れた。かつて訪れた東南アジアの人々の優しさが土井さんの今回の冒険のきっかけであったとすれば、彼女の今回の冒険も、多くの人々の人生を変えることになるかもしれない。
まだ19歳の土井さんは、あと数日で東京を出発し、沖縄から北海道へと向かい、彼女が持つ30個の夢のうちの一つと言う「日本一周の旅」を現実のものとする。冬の寒い時期に出発して、帰ってくるときには万物が目覚める春になっているはずだ。笑顔で終点に着いたとき、すなわち起点に戻ったとき、春は旅の間ずっと彼女を離れることがなかったということに気がつくだろう。春とは彼女の人々への信頼であり、春は彼女自身の中にあり続け、彼女を心配し、支持し、援助した人々の中に、その優しい心の中にあり続けたのだということを。(姚遠執筆)
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