少年の日の夢
子供の頃見た百科事典の挿絵に、大きな木とその下の地面の断面図があって、根が絡み合いながら地中深く伸びていく細かい描写に、あれこれと想像をかきたてられたものだ。先日、記憶の底に沈んでいたその映像がよみがえってきた。ある店で偶然「NEKKO」に出会った夜、少年の日の夢が再現されたような嬉しさを感じた。
「NEKKO」は珍しい造型の一輪挿しである。デザイナーは大胆に日常生活のある断面を切り取って、植えられた花の根を「見通せる」ようにし、花瓶から空へと伸びる一輪の花を慈しんでいる。左右に伸びるおしゃれな「ひげ根」は、まるで花瓶に挿した花から伸びたもののようで、ユーモア感覚に満ちている。縦横12cm、奥行きわずか4cmなので、非常にコンパクトで、台所や洗面台などの狭い場所にも、デスクの上や寝室の出窓などの狭い空間にも置くことができる。
季節の花を生けるのに、「NEKKO」があれば魅力も倍増する。道端の名もない雑草を摘んできても、「NEKKO」に挿せば元気いっぱいになる。ホワイト、テラコッタ、グリーン、ラベンダー、ダークブラウンの5種類があり、バラ、ユリ、水仙、チューリップ、ひまわりなど様々な色と形にぴったりである。複数の「NEKKO」を組み合わせれば、インテリアとしても美しいし、気持ちも明るくなるに違いない。一日中忙しくて花とは疎遠な私たちにとって、これは花と出会う一つの機会になるかもしれない。
「NEKKO」はPBT樹脂で作られた安定感のあるフレームである。割れる心配もないので、小さな子供がいる家庭でも安心して使える。実際に花を挿したときのバランスや水の量も計算して、幅や厚さや花を挿す穴の深さなどが決定されており、可愛らしいだけでなく実用的でもある。汚れも簡単に洗い流すことができる。
ネットワークの普及によって我々は失ったものも多いが、一方では多くのすばらしいものも創り出している。パソコンのキーボードなどを作るのと同じ素材を使って、独特な創意と丁寧な処理によってこのようなすばらしい製品が誕生した。日本の職人たちは、伝統的な琉球ガラスや水晶や竹細工などで一輪挿しを作り、国内外で高い評価を受けているが、「NEKKO」もまた、新たな一輪挿しの傑作と言えるだろう。「グラフィックのような根っこを自然の花と対比させ、毎日見慣れた風景の中にちょっと不思議な空間を作り出すと、楽しい気分になる」――これがデザイナーのコンセプトである。大人になった私は「NEKKO」に対して、さらに子供の頃の思い出という新しい注釈を加えたのであった。(姚遠執筆)
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