坂井直樹先生の著書が中国語に
10月20日、デザインコンセプターの坂井直樹先生の著書「デザインのたくらみ」の中国語版が台湾で発売された。中国語の書名は「設計的図謀:改変世界的80個日常創意陰謀」(デザインのたくらみ:世界を変える80の日常的創意の企て)である。ここには坂井先生が雑誌「PEN」に四年間連載したコラムの内容のすべてが収められている。先生のデザインに対する考えや思想をつづった一つ一つの文章から、読者は「デザインの本質」を言葉によって感じ取り、「デザインの魅力」を解読し、デザインというものの神秘のベールを取り去ることができる。
本書は段階を追ってわかりやすく書かれ、内容は多岐にわたっている。デザインの分類や芸術の意味と目的、成功を収めた会社とその個々のデザイン作品の分析、顧客の価値観の変化に関する研究、消費者が購買によってどのように自分の美的素養と個性を体現するかなど、様々な角度と立場からデザインの見方を叙述し、デザイナーとデザイン愛好者に、デザインに対して改めて考える機会を与え、これまでデザインを「表面的な工夫」と考えていた一般の読者も、「デザインのたくらみ」によって啓発され、多くの収穫が得られるに違いない。
中国語版「デザインのたくらみ」は、本編集部と台湾の雑誌社「LaVie」の共同企画によるもので、坂井先生が自ら中国語圏の読者のためにあとがきを執筆した。あとがきの中で坂井先生は、アジア、特に中国の80年代以降のデザイン製品の新しい感性や、デザインの発展の趨勢について自身の考えや観点を述べている。「最近のアジアのデザイン力は、新しい世代を迎えて、ずいぶん進化しているようです。中国ではカーデザインの学校もあるくらいデザインに力を入れています。我々が日常的に使っているアップル製品なども台湾製を多く見受けます。また韓国のサムソンは、とてもデザインに力を入れていてデザイン学校の経営も行っているくらいです。こうして日本を取り巻くアジアの国全体のデザイン力は、十年前に比べて格段にレベルアップしています。理由は様々ありますが、EUや日本のデザイナーとの交流が多くなったことや、中国が世界の工場といわれるようになって、デザイン先進国のプロダクトの生産を多く受注生産して『製造法のみではなく、結果としてデザインも学んだこと』も大きな理由だと推測します。」
坂井先生は、自分の本を中国語圏の読者に読んでもらえることをたいへん喜ぶと同時に、この本を通じて中国のデザインの発展を後押しできることを願っている。(zhuoling執筆)
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