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===================================================== 発行部数 26 == ★★ 日刊ドラマ速報 ★★ ☆☆ 2009/07/08 (Wed) ☆☆ ====================================================================== == 目次 ============================================================== 1.水曜日の連続ドラマ 2.編集後記 ====================================================================== ---------------------------------------------------------------------- 1. 水曜日の連続ドラマ ---------------------------------------------------------------------- タイトル 赤鼻のせんせい 局 名 日本テレビ系 放映日時 土曜22時00分 キャスト 院内学級中学校教師 石原参太郎(大泉洋) 小児科医 七瀬遥華(香椎由宇) 難治性喘息患者・中学三年 八重樫守(神木隆之介) 骨髄性急性白血病患者・中学二年 和田雅樹(須賀健太) 慢性腎炎患者・中学二年 田中香(高良光莉) 横山一(尾美としのり) 小児科医 権田俊郎(光石研) 院内学級責任者・小学校教師 太川絹(小林聡美) 桜山総合病院医院長 桜山真(上川隆也) 脚 本 土田英生 ほか 主題歌 『夢をアリガトウ』原由子 あらすじ 第一幕「病は気から」 ……昨今の科学医療では多角的な研究が進んでいる。抱きしめたり 握手をすると分泌される「愛情ホルモン」と呼ばれている物がヒトの 自然治癒力を高める、という研究もされている。この物語は、そうい った「愛情で病を治す」というストーリーである。 石原参太郎(大泉洋)は、テング電気の売り場で実演販売をしてい る。ピエロのようなもじゃもじゃの頭に赤い鼻をつけたスタイル。軽 快な口調と、テンポのいいジョークが客に受けているが商品は売れな い。 商品が売れないし、受けねらいのトークばかりできちんとした説明 もしないため、クビを言い渡されてしまう。 行く当てもなくさまよっていた参太郎は、恩師の元教授(神山繁) に出会う。強引な人物で、なぜか参太郎に目をつけていた様子。教授 は強引に、桜山総合病院への紹介状を参太郎に押しつけた。 事態がよくわからない参太郎だが、行く当てもないので、案内状に ある桜山総合病院の小児科病棟へ向かう。病院につくと、ロビーで泣 いている子供がいた。 笑わせるのが大好きで、おせっかいな参太郎は、困り果てた母親の ところへしゃしゃり出ていく。実演販売の時に使っていた赤い鼻をつ けて「石原参太郎でぇございますぅ」と笑わせようとするが、逆に子 供は激しく泣き出してしまう。 そこへ通りすがりの太川絹(小林聡美)が、参太郎の赤鼻を借りて 子供を簡単にあやしてしまう。呆然とする参太郎。何者だ、と太川に 話しかけようとしたとたん、院内に「東京音頭」が大音響で流れ出す。 放送室をジャックして病院じゅうに「東京音頭」を流した犯人は、 小児科病棟に入院中の患者、八重樫守(神木隆之介)、和田雅樹(須 賀健太)、田中香(高良光莉)の三人の子供。 実は、入院していた年も近い仲間だった、山中誠也が数日前に亡く なっていた。誠也とは夏休みになったらお祭りに行こう、という約束 をしていたのに……。 だから、せめて盆踊りの「東京音頭」を流してやろうという、子供 たちなりの、誠也に対する弔意だった。 しかし、病院中にかかっていて騒音はあちこちで大迷惑に。太川は ブレーカーを強制的に落として止めるのだった。 医院長室に呼び出された参太郎は、医院長の桜山真(上川隆也)、 太川と一緒にこの病院に来てもらった理由を聞く。先代の医院長の桜 山耕造は、参太郎の恩師だった元教授と親しく、その縁で参太郎を桜 山総合病院に送り込んだのだ。 「桜山総合病院で学校の先生をやらせてやって欲しい」 というのが、その案内状に書かれていた内容。 桜山総合病院では、長期入院で学校に通えない子供達のために「医 院内学級」を設定していた。その中学校の担任をしてもらいたい、と いうのだ。 教員免許は持っているものの、実際には教員の経験はない。それに、 興味もないという参太郎。しかし、金もない。そのうえに、「周りに 笑いを与えられる素晴らしい人材だそうですね」という桜山のおだて に乗せられて、参太郎はまんまと引き受けてしまう。 しゃべりと笑いに自信のある参太郎は、医院内の自己紹介でも快調 にギャグをとばすがコケまくる。 院内学級の責任者で小学生クラス「サクラ学級」の担当である太川 は冷たく、音楽担当の西森と美術担当の権田は興味なさげに参太郎の 挨拶を聞き流した。 ……小児科は35のベッド、ほとんどが通院の子供だが、長期入院 している子供たちのために院内学級が設置されている。一般の学校と 同じく、朝、院内の学校に登校し、同じカリキュラムをこなすのだ。 しかし、そこは病院なので治療が最優先となる。 紹介と説明を受けた参太郎は、早速、受け持ちの中学校クラス「ひ まわり学級」の授業をする。そこでも、いつもの調子で赤鼻をつけた り、勝手にあだ名をつけたりとギャグ全開だが、浮きまくり。八重樫 と和田はあきれて病室に戻っていってしまう。 初日だからしかたない、とめげない参太郎だったが、「八重樫に何 を言ったんだ」と太川に注意される。笑わせたいという参太郎だが、 そんなものは必要ないと反論される。 八重樫は、難治性の喘息、和田は急性骨髄性白血病、田中は慢性腎 炎を煩っていて、それぞれ厳しい闘病生活を送っている。現に、彼ら の仲間だった山中誠也が、参太郎がやってくる直前に死んだ。 さらに、三年の八重樫は、受験しようとしていた高校から、病気を 理由に入学を拒否されていた。太川が高校に説得に行ったのだが、 「たったひとりの病気の生徒のために、学校側の体制を整えるのは大 変だ」とにべもなく断られていたのだ。 八重樫の絶望は深かった。 そんな中学生の三人に「笑え」というのは、あまりに酷……。 太川は、参太郎に切々と説明したのだが、その話を聞いても、逆に 「なおさら楽しませないと」と参太郎は懲りない。 次の日の中学校のクラスでも、参太郎はむやみにギャグをとばすが、 やはり反応はない。 「おいどうした? お前ら、暗いぞ」 「あのさ……俺たち病気なんだからさ」 「待てよ、だからこそ、笑わなきゃダメなんだよ!」 参太郎は熱く言うが「うるさいよ。普通に授業やってくんない?」 と八重樫に釘を刺されてしまう。むっとした参太郎。だが、昨日、太 川から聞いた八重樫の境遇を思い出し、励ますつもりで言う。 「志望校に行けないことくらいで落ち込むな。人生って長いんだよ。 その人生の中から考えると、高校なんて大した問題じゃない……」 しかし、くどくどと説教臭いことを話す参太郎を突き飛ばし、八重 樫はクラスを出て行ってしまう。 「無神経にもほどがあるよ!」 怒りの声を参太郎にぶつけて、和田も八重樫を追って出て行ってし まった。八重樫は病室へ走って戻る途中で喘息の発作を起こして倒れ てしまう。 参太郎は小児科に呼び出されて、七瀬、太川に責められる。患者を 興奮させた上に、発作を誘発させるとはどういうことなのか、と。参 太郎も反論する。 「病は気からっていうでしょう? だから笑わせて……」 しかし、そんな理屈は通用しない。反省のそぶりも見せない参太郎 を、太川は誰もいない教室に連れて行った。 ホワイトボードに「弱」という字を書いた太川。参太郎に向き直る とおもむろに訊いた。 「中学のとき、アンタ何をしてた?」 バレーボール部に入って山の中を走り回っていた……。初恋の人に 告白して振られた……。バンドやっていてボーカルだったのに「黙っ てろ」と言われた……。 「楽しかった?」 「ええ、楽しかったですねぇ。いつも笑ってました」 「……だからあの子たちにも笑えって?」 「……いやでも、それが普通の中学生活で……」 「あの子たちには、普通がないの! 部活もなければ怖い先輩もいな い。苦い初恋もなければ、バンドだってない。なーんもできない」 参太郎は黙りこくる。 「十年後二十年後、誰かに聞かれたとする、『中学の時、何してた?』 って。なんて答えるんだろう? 『病院にいた』? あの子たちには なんにもない。病院の壁といっしょ、真っ白」 壁に向かって手を広げる太川。 「八重樫にとって、高校受験は普通の事じゃなかった。八重樫にとっ て高校受験は、たったひとつの希望だったんです……わかりますか?」 八重樫たちに謝りに行こうと立ち上がる参太郎を止めて、太川はホ ワイトボードに描かれた「弱」の前に「病」、後に「児」の文字を書 き加える。 「高校では、あの子たちなんてよばれているかわかります? …… 『病弱児』です。あの子たち、動物だったら食べられちゃうんです。 動物だったら……」 黙ったまま動けない参太郎を置いて、太川は出て行く。 参太郎は八重樫を捜して屋上へ上る。八重樫は屋上のベンチでひと り、遠くを眺めていた。八重樫はもう、参太郎の授業は受けないと言 い張る。参太郎は何度も頭を下げた。 八重樫は怒っていた。参太郎に対してだけではなく、病気の自分、 高校や世間に対しても……。 「俺は何のために生きているんだろう……。なあ、教えてくれよ。俺 は何のために生きているんだ?」 八重樫は泣きながら参太郎に問う。 「笑うため……なんじゃないかな? ひとは笑うために生きているん じゃないのかな?」 「じゃあ、俺いらないじゃん。明日死ぬかもしれないって状況で、ど うやって笑えるんだよ」 「笑えるよ! お前、知らないだけだ。人間どんな状況でも笑えるん だよ! 無理だっていうなら、俺が……俺が笑わせてやる、覚悟して おけよ!!」 参太郎は八重樫の肩を力強く揺すると、何か決意をした顔で走り去 った。 夕暮れの教室で、ひとり教材をチェックしてる太川の所に、参太郎 が駆け込んできて、息せき切って宣言した。 「弱いからって、食べられちゃうとは限らないでしょ」 「はあ?」 「ここ学校でしょう? 楽しい想い出をつくるところでしょう? 俺 が八重樫、元気にしてやりますから」 参太郎は八重樫のカルテや、喘息について徹底的に調べ始める。 そこで、八重樫が描いたという、ごちゃごちゃに書き殴った絵に注 目する。色とりどりのクレヨンの乱雑な線が放射状に伸びていて、そ の上からかき消すように黒いクレヨンが塗られている……。 参太郎はその絵を見て、ハッと気がつく。 これは、花火を描いたものなんじゃないのか、と。 喘息には花火は厳禁。煙を吸いこむと咳き込んでしまうし、花火大 会の人混みは喘息の敵だ。そうだ、八重樫は見たことのない花火にあ こがれて、この絵を描いたんだと参太郎は合点する。 参太郎は花火屋に行って打ち上げ花火を買おうとする。 しかし、大がかりな設備や扱う資格、大金がかかる打ち上げ花火を 素人が買い取るのは不可能。そう断言されて、参太郎は悩む。 しかし、何か準備をした参太郎はひそかに、八重樫のベッドに「今 夜八時、中庭を見ろ」と置き手紙をする。 夜八時、中庭では参太郎がひとりで花火の準備をしていた。 打ち上げ花火は無理だったが、参太郎は市販の花火を大量に焚いて アピールする。そこへ、フラフラと外に出てきた八重樫。 煙を吸いこむと危ない! 参太郎は必死で八重樫を止めようとするが、モロに花火の煙を吸い こんで激しい発作を起こしてしまう。 倒れた八重樫は緊急処置室に運ばれ、どうにか一命を取り留めた。 が、病院内でこんな事故を起こした参太郎は、院内学級の教師を辞め ろ、と言われてしまう。 参太郎は、悄然とひとりで病院を去っていく。 目を覚ました八重樫の様子を見舞った太川は、八重樫から真相を聞 く。 花火に近づいていったのは八重樫自身。もう、どうにでもなれ、と いう気持ちで近づいていったのだ。しかし、途中から近くで花火を見 たい、と本気で思うようになっていったという。見たことが無かった、 花火を……。 ぐちゃぐちゃに描かれた絵を見せる太川。本当に花火が見たかった んだね、と訊く。しかし、その絵は別に花火を描いた物ではなく、や けくそになって描いただけのものだと、八重樫は苦笑する。参太郎は 勝手に解釈して、花火を持ち出したのだ。 あきれる太川だったが、八重樫は首を振る。 「ホント、変なヤツだよね、あの赤鼻。ひとは……笑うために生きて いるんだって」 そういって、八重樫は笑った。 太川はひとりぽつんと帰っていく参太郎を追いかける。 参太郎に追いついて、八重樫が打ち上げ花火を見たがっていたこと を告げる。しかし、素人には無理だから、と参太郎はうなだれる。あ きらめるしかない、と。 すっかりやる気をなくしてしまった様子の参太郎に見切りをつけた 太川。参太郎が落としていった赤鼻の飾りを返すと、もう明日から来 なくていい、と告げる。 「結局、あなたでは一度も笑えませんでした」 そう言い置いてきびすを返す。 ところが、参太郎は、その一言に反応する。 参太郎は、また花火師のところに行って、平身低頭して頼み込んだ。 なぜだか、今回は簡単に承諾がもらえた。 その晩、太川の誘導で真っ暗な窓際に立った八重樫たちの前に、大 きな大きな打ち上げ花火が上がる。 その打ち上げ現場では花火師と一緒にはしゃぐ参太郎の姿があった。 「きれいだったよな……」 寝静まった病室で、和田が八重樫に話しかける。 八重樫は黙ったまま、あの絵を見ながら静かに微笑むのだった。 翌日の教室には、八重樫を始め三人がそろっていた。 喜びはしゃぐ参太郎の授業は、以前に増してギャグだらけだが、三 人の表情は軟らかい。 授業が終わってから、太川の元に顔を出す参太郎。 「太川先生……病院の壁は、色を塗るために白いんです。僕は、白い 壁にいっぱい色を塗ります」 言い置いて帰って行く。 寸 評 大泉洋のドラマを観るのは、「暴れん坊ママ」「ロスタイム・ラ イフ」と今回のもので三本目。キャラクターが立っているので、素の ままでもドラマになる人ですよね。底抜けに明るいんだけど、どこか 哀愁を帯びた表情をするところが、個人的には好きなタレントさんで す。 病院内の学校という舞台。ヒューマンドラマでこてこてのお涙もの になりそうなところを、大泉洋と小林聡美の二人で「温かい笑い」に しているところに好感を持ちました。 こういうドラマって、「ギャグの質」がすごく難しいところなんで すよね。劇中で笑いが起きていても、画面のこっち側で「はあ?」っ てなっちゃうと、どうしても上滑りというか、入り込めないドラマに なっちゃうものです。その点、大泉洋のスベリっぷりが逆に笑えたり で、芸達者だなー、などと感心しながら見てしまいました。 しかし、能天気な主人公の参太郎も、過去になにか抱えていそうで す。今後の展開も楽しみです。 執 筆 者 畑中ヒロ(hero_hatanaka@yahoo.co.jp) ---------------------------------------------------------------------- 2. 編集後記 ---------------------------------------------------------------------- 今回、「赤鼻のセンセイ」の要約を担当いたします。よろしくお願いいたし ます。 ドラマでもなんでも、初回の印象ってすごく大切ですよね。最初の設定が 「……?」だったせいで、すぐに観なくなってしまい、あとから「後半、すっ げぇ盛り上がったよ」なんて聞かされてがっかりすることも……。 逆に、初回に盛り上がって「これは永久保存版!」なんて、ついついビデオ の「毎週録画」を設定してしまい、あとで撮りためたものを見て「……(涙)」 になることもあります。そこの見極めはなかなか難しいんですけど、皆さんは どうしていますか? 個人的には、局のカラーと脚本家、あとは主役ではなくて脇役、準主役のキ ャストで判断することが多いです。主役って「顔」ですから注目されますけど、 準主役級にいい人がいないと話が盛り上がらないんですよね。どっちかってい うと、主人公よりも脇役に感情移入しやすいもので……。 そういう意味で「赤鼻のセンセイ」は、いろいろ楽しみでもありますが。さ あ、どうなることでしょうか……。(畑中ヒロ) ====================================================================== 発行元:ドラマ研究会 e-mail:info@j-drama.tv url :http://www.j-drama.tv/ ID :MM3E195F16414CD このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。 (http://www.mailux.com/) ====================================================================== |