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「オタマジャクシ現象」のナゾがついに解明!の嘘 サンケイさんが変な記事を書いている。 「オタマジャクシ現象」のナゾがついに解明! http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090627-00000560-san-soci どう見ても小ネタ事件だったのだが、ネット上で騒ぐ奴がいたので全国版になってしまった。 ≪静かな能登半島が一変 テレビクルーや新聞社がドッと押し寄せ…≫ とうことで、視聴率稼ぎに死にものぐるいのマスコミが大挙して能登半島に押し寄せた。 で、原因は何だったのか? 謎解きがないと、この事件は収まらない。というか、「このネタにはもう謎解き以外に価値がない」と見るべきか? 竜巻説、鳥説、イタズラ説が指摘されていた。 ところがサンケイさんは「鳥説で解明」とまで言い切っているのである。 本当だろうか? ≪「先生方も言っていますが、サギが吐いたのでしょう」と水上さん。「びっくりしたのは100匹もいたからです。田んぼの周りに、鳥が吐いたオタマジャクシや小魚が落ちていることは、昔からの光景ですよ」と、あっさり。 結局は「昔からよく起きていたこと」に過ぎないのか…。日本鳥類保護連盟の神崎高歩さんも、「それが正解だと思います」 神崎さんによると、サギ類やウミネコなどは、田んぼなどで小魚やオタマジャクシを摂取。ウミネコは海岸、サギ類は雑木林の中などに巣を作り、摂取したオタマジャクシを持ち帰る途中で吐き出してしまうこともあるという。 「サギ類を観察していて、小魚などが落ちていたという話はよく聞く。たまたまニュースになっただけで、めずらしいことではないと思う。むしろ、こんな騒ぎになったことの方が不思議です…」≫ 何のことはない。鳥説の主張を記事に載せているだけである。 同種の説をずらずら並べた挙げ句に、 ≪■原因を心理学的に分析 これだけの大騒動になった理由について、「面白くてよくわかる! 社会心理学」(アスペクト)などの著書がある立正大学の斉藤勇教授は、「これまでの経験では説明できない事態が起きたとき、人にはどうにかしてそれを解消しようという動機が生じるんです。好奇心が強い日本人は、特にその傾向が強い。今回の騒動は、それが原因でしょう」と分析する。 斉藤教授によれば、現代人には、環境破壊や地球温暖化など、漠然とした将来への不安を抱えている人が多い。そこで、何か大きな環境の変化が起こると、「やっぱり地球の環境が大きく変わっているんだ」と自分を納得させることができるため、自然界で起きる不思議な現象に飛びつきやすい状況なのだという。 そこにネット社会という環境も加わって、「空からオタマジャクシが降ってきた」という“怪奇現象”が、都会の人たちの心をつかんで広まった。 「そうすると、今度は『オレのところにも起こってるぞ!』と言いたい人が現れる。それをマスコミが面白おかしく取り上げるから、騒動はどんどん広まったんですよ」 そこで思いだされるのは、「ガードレールに金属片」騒動だ。 平成17年5月、ガードレールにはさまった鋭利な金属片にぶつかって、通行人が負傷。この事件が報道された当時、金属片がどうしてはさまっていたのか分からなかったため、“金属片探し”が全国に広まった。 その後、各地で同様の金属片が見つかったことから、ナゾがナゾを呼び、各テレビ局や新聞社がトップニュースで報道するなど大騒動に発展した。しかし、しばらくすると金属片は接触した車の側壁だったことが判明。騒ぎは一気に収束した。 斉藤教授は「普段、オタマジャクシをほとんど見ることのない都会の人にとっては、とても話題性があったのでしょう。ガードレールの話と同様に、こういう騒動は一気に収束方向に向かうんです」と解説。確かに、オタマジャクシ騒動もすでに収束の方向に向かっているようだ。 これらの現象に、心理学的な呼び方はあるのだろうか。 「特にありませんが…。『オタマ現象』なんてどうでしょう」と斉藤教授。しかし、オタマ現象が再び起きるころ、多くの人はオタマ現象を忘れてしまっているのではないか…。≫ やや長い引用で恐縮だが、あくどい手法なのであえて掲示させてもらった。 仮説に過ぎない説をさも定説であるかのような前提にして心理分析をするのはいかがなものだろうか? 騙されやすい人は、「ああやっぱり鳥だったのか」と思ってしまうだろう。仮説を定説にすり替えた心理分析を鵜呑みにすると、「オタマジャクシが空から降ってくるのは鳥が吐いたからに決まっているのに、不思議がる馬鹿も結構いるんだな」などと記事を流し読みして優越感に浸ってしまいそうな馬鹿も出てきそうである。 立正大学の斉藤勇教授自身は「鳥説」のことなど一言も述べていない。記事中の教授の説明が飛び飛びに配置されているのは、この記事を書いた記者の編集のせいである。 教授の名誉のために言っておけば、教授は単に記者からの質問に答えただけに過ぎず、記者が強引に「鳥説」でまとめるための小道具に使われてしまったのである。 サンケイさんは同じ記者の手によるものと思われるが、同様の記事をしつこく書いている。 “空からオタマジャクシ”鳥が吐いた? 「昔からある」指摘続々 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090628-00000082-san-soci これも同じ記者が書いたものだろうが、これは鳥の仕業と考えて間違いなさそうだ。 奇妙…今度はナマズが空から降ってきた!? http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/270754/ こちらの方の記者は「判明」とまでずうずうしいことは言っていない。 「オタマジャクシ」騒動 原因は「つむじ風」が有力 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090617-00000001-jct-soci 鳥か、突風か…意見分かれる 石川、謎のオタマジャクシ落下 http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20090609401.htm ≪七尾市中島町では4日夕にオタマジャクシ約100匹が空から降る様子が目撃され、8日午前8時ごろにも同市議垣内武司さん方で玄関付近にオタマジャクシ5匹が落ちているのが見つかった。 時国氏によると、サギやウミネコなどは水田でオタマジャクシを好んで食べ、何かに驚いて吐き出すことがある。同氏は「サギなどがオタマジャクシを食べた直後、カラスに襲われた可能性などが考えられる」としている。 アオサギなら一度に50匹程度を食べることもあり、4日夕に約100匹が空から降ったケースも、時国氏は「アオサギ数羽やカラスの群れが吐き出したとみれば不自然ではない」としている。≫ オタマジャクシ50匹までなら鳥説はきわめて有力であり、時国氏も鳥説を否定していない。しかし、時国氏は積極的に鳥説を支持しているわけではない。 100匹以上のオタマジャクシが降ってくると、鳥説は説得力を急速に失うのである。アオサギの集団が一斉に吐き出さないと説明できないからだ。アオサギがカラスに襲撃された可能性も考えられるが、ちなみにアオサギはサギの中でも最大種で、体長は90cm前後、翼開長1.8m前後もあり、カラスの5倍も大きい鳥である。カラスが単独で襲うことはあり得ない。アオサギとカラスの集団が大空で空中戦をやっていればさぞやかましいだろうが、当日鳥の気配を見た者はいない。 オタマジャクシを飲み込んだのは別にアオサギでなくてもいいのだが、それならば更に複数の鳥が同時に同じ場所に吐き出さなくてはならないことになり、矛盾が広がる。 鳥説を主張するならば「カラスが悪戯目的で徒党を組んでオタマジャクシを吐き出した」と考えた方がまだ確率は高そうである。 サンケイさんはそのような反例を意図的にスルーしている。オタマジャクシに消化された形跡が見られないのも以上にマズイ。 その後に発生したオタマジャクシ事件に関しては、馬鹿による悪戯が含まれている可能性は高い。 ************************************************************ 記事が面白いと思ったら下のリンクをクリックしてくだされ!! <(_ _)> http://blog.with2.net/link.php?312621 http://blogranking.fc2.com/in.php?id=104777 |