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タイトル:憂国通信  2009/06/26


3万5000年前の世界最古の笛発見 



記事のタイトルは「世界最古の楽器」と表記しているものがあったが、これは誇大表記だろう。

楽器の中でも打楽器は構造が単純なのでもっと古いものもあるのは間違いない。

特に工作しなくても、叩いて音が出れば楽器になってしまうのである。
したがって、楽器として使用されていた遺物があっても、明らかに楽器として使用していたと証明するのは困難である。

笛は打楽器ほどではないが、単純な構造をしている。これまた記事のタイトルで「フルート」と書いてあるが、フルートというと金属製の機械的なイメージが強いが、元は管に穴が開いているだけの単純なものだった。縦笛でも横笛でもよかったようだ。

3万5000年前のフルート見つかる=発見された世界最古の楽器−ドイツ南部
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090625-00000087-jij-ent

≪ドイツ南部の洞窟で、約3万5000年前のものとみられる「フルート」がほぼ完全な形で発見され、石器時代の人間が既に豊かな音楽文化を楽しんでいたらしいことが分かった。25日発売の英科学誌ネイチャーで紹介される。≫

この笛は5つの穴が開いており、長さ約22センチ、直径約2・2センチのサイズである。材質はシロエリハゲワシの翼の骨で、石器で精巧に削って仕上げられている。

3万5千年前の笛発見=ワシ骨やマンモス牙製、独の洞穴で−音楽のある社会築く
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009062500103&rel=y&g=ent

≪骨の笛の発見場所からわずか70センチ離れた所からは、マンモスの牙で作られた世界最古級の女性像が見つかり、5月に発表されたばかり。笛と関連がある可能性がある。像は高さ約6センチ、重さ約33グラム。胸が大きく、首に当たる部分にひもを通す穴があり、多産や安産のお守りだったらしい。≫

この時代はネアンデルタール人とも共存していた時代である。楽器は現生人類の社会ネットワーク維持と勢力拡大に貢献した可能性があるとの指摘もある。

原始時代の笛としては石笛とか岩笛が知られている。穴の開いた石を楽器として使用したもので、加工されていないものが多いので、果たして本当に楽器として使用されたのかは判断が難しい。

それに比べて、貝笛や角笛は加工の後が残るので、笛であったことが確認されやすい。

今回発見されたのは骨笛である。

骨笛
http://abc0120.net/words/abc2007070801.html

このサイトで紹介されているのは鶴の骨製である。鳥類の骨は内部が空洞なので管材としては優れている。

Wiki: 古代の音楽
http://wapedia.mobi/ja/%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD

このサイトでは古代楽器について詳しい。

加工しやすいこともあって、骨笛はかなり昔から楽器として高い完成度を持っていたようである。
近くに多産を示す女性像が発見されたことから、宗教的用途で笛が使われたものと思われる。広い音域をカバーできる構造なので、演奏された曲も複雑なものであった可能性が考えられる。

今回は確認できなかったようだが、他の種類の楽器も使用していたかもしれない。

3万5000年前の文化水準が、それほど原始的でもなかったことを物語る発見である。



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