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★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第六巻拾回 小説「Cの惑い」 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。 ○●○ Cの惑い XQO ここ数年来雨の頃になると如何遣って鬱陶し さを遣り過ごそうかと愉しみを練っている。理 由は実に簡単で二人暮しをしているからだ。一 人身なら空調の除湿機能と扇風機で遣り過ごす という決定で済むのだが、同居人が空調と余り 相性の良くない体質である為、じゃあ何か回避 手段をと言う事になっている。 同居人は同居人で放置して置くと如何言う強 硬手段を執るか判らない男だから。今でも忘れ る事が出来ないのは彼の実家を初めて訪れた時 のそのインパクトだ。何しろ玄関から各人の部 屋に至るまであらゆる場所に竹炭と備長炭が手 を変え品を変え活けてあったのだから。確かに 炭には脱臭吸湿効果があるけれども、家全体が 炭の薫りに染まるまで活けると言うのは一寸遣 り過ぎじゃないかと言う気もする。男所帯だか らと言う事で極端に走ったのかも知れないけど、 その割にウィンドベル仕立てや枯山水風に活け てあったりと言う凝り様はなんなんだろう。趣 味人の家庭だったが故のお遊びだったのだろう けど。御丁寧にシーツまで備長炭加工だったし な…いや、実際これはとても重宝した。同居後 に真っ先に採用したし。 それなりの年の男が二人居る訳だから、それ なりの臭気は発生する訳で。若者のそれの様に 心を掻き立てるものではなくても、あればあっ たで何某かは作用するから。 確かにね、有り難くはある。こっちはこっち で生活の細部に気を遣っている心算だけど、独 り暮らしと言う過程を経て来なかったので矢張 り何処か間が抜けてしまう。これまでの生活の 中で家事に積極的に参加したと言い切る自信は 空っきし無い。実家暮らしの段階から家事に積 極的に参加していた彼奴とは雲泥の差だ。男な らそれが普通と言う意見はこの際採用しない。 普通と言う状態の論議で話の矛先を行方不明に させる気なぞ無いから。それを言い出したら今 の二人の関係は何なんだと言う所から崩壊して くるし。 閑話休題。 そう言う気配りの権化に采配を全て任せてい たらこの家だって炭素に埋め尽くされるのは時 間の問題になってしまう。炭素の力を全て否定 する訳じゃないが、たまには黒以外の色彩だっ て欲しくなる。 そう言う訳で湿気払いの算段を練るのはここ 数年こっちと言う事で頭を捻っている。まあ、 先に同居人が一歩譲ってくれたと言うのがある んだけどね。どうもなんか上手く転がされた様 な気がしないでも無いが。 で、とりあえずと言う事で色々試みてはみる んだけどどうもどれも一長一短な気がしてなら ない。黒のインパクトを長い時間味わった所為 かそれ以上に納得出来るものが今一つ見出せな いのだ。 今年も最終的に炭の力を借りると言う事に落 ち着いてしまうんだろうか。いやいや、とりあ えずまだ足掻く余裕はある筈だ。自分なりの工 夫を出来るだけやった後に諦めてみよう。今年 はどういう訳だか厭な賭けがおまけの様にくっ ついて来たし。抱かれ続ける事に抵抗は無いに しても、そう言う役割固定と言うのは些か不健 全な様に感じるし。 問答無用に駄目出しをしたくなる自分を抑え るというのは結構な苦行だったんだな、と人事 の様に思いながら今年も繰り返される相方の悪 戦苦闘する様を眺めている。 相方が可哀想だから今の今まで打ち明けずに 来ているんだけど、まさか炭の匂いでこの手の 快楽を掻き立てられるんであれだけの炭を活け てましたなんてねぇ…今更言えないでしょ。そ れもうち一人じゃなくて家人全員そうだったん だもの。野郎ばかりだったからそうなったんじ ゃなくてね。 でもあのままあれが常識だなんて思い込んじ ゃってたら相方ともこうしていない訳で…。そ の点では本当に感謝してる。この人、異論を唱 えつつ驚く程律儀にどっぷりこっちの流儀に付 き合ってくれてるからね。 相方に会うまでは心に一切潤いの無い生活を してたなとふとしみじみ思った。とりあえず空 白が満たされればそれで良いと言う繰り返し。 需要と供給のバランスさえ取れていれば良いと 本気で思っていた。 そんな自分が今こうやって惚れた男をからか って遊んでるんだもの。冷やかされても文句は 言えないと思う。むしろ良いだろうと魅せつけ てやる心算。 「一寸ヘンルーダが多過ぎない?」 「そっか?」 「猫じゃないから平気だけどさ」 一寸待て。何でそこで耳まで赤くして恥らう ?今の返しに他意なんて欠片もないぞ?お望み なら罰ゲームにネコミミもつけるけど?お望み ならね。 【了】 ○●○ さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。 では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。 ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第六巻拾回 2009.5.25発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 おしらせメールサービス http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297 Yahoo!メルマガ http://merumaga.yahoo.co.jp/Detail/17353 まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000270330.html E-Magazine http://www.emaga.com/info/adabana.html のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ |