美しい「京町家」をご紹介
「京町家」をご存知だろうか。日本にある古い民家をおおよそ“町家”と言うことがある。しかし、日本を代表する観光地・京都の市内で、16世紀から20世紀初頭にかけて建てられた民家は、特に「京町家」と言われる。この京町家は現代においても、飲食店や旅館、雑貨店などの店舗に再生され、地元の人々はもちろん、観光客にも人気があって賑わいを見せている。そんな数多くある京町家でも、特に京都商工会議所が設立した「京町家はんなり会」が認定する、本物の京町家ばかりを紹介した本「京都町家案内」が今月、発売された。このメールマガジンでも以前紹介した、はんなり会が毎年1回発行している「京町家はんなりマップ」が1冊の本になった形だ。
表紙にあるタイトルは「憧れの京町家へ。」―その通り、京都にある町家はかつて約1100年もの間、都が置かれ続けた歴史とともに、他の都市にない情緒がある。ページを開くとまず、京町家の歴史からたどっていく。住居として、店舗として、時代の移り変わりとともに発展して現在の町家再生に至るまで、当時の絵巻や屏風などとともに読むと、とてもわかりやすい。
さて、いよいよ店舗の紹介。いきなり「町家礼賛」とあるが、ここでは簡素で洗練された佇まいが現代まで受け継がれた京町家の建築美を、まさに堪能しながら味わう、和創作料理やフランス料理など15軒の町家が紹介されている。そして「店の間」「通り庭」といった京町家独特の間取りの特徴が特に生かされた店舗をピックアップ。また、どの京町家にも見られる「虫籠窓(むしこまど)」「格子」などの“町家用語”の解説もしっかり載っている。京町家の基礎知識はもちろん、建物や料理、庭など、美しい写真の数々には本当に圧倒される。ページをめくるたび、思わず足を運びたくなるだろう。
最後に、町家めぐりに最適なルートも掲載されている。この本を手に歩けば、初めて京都を訪れる人もリピーターも、そして京都に住んでいる人でも、掲っている100軒あまりの京町家から、また新たな京都の魅力を知るに違いない。定価1,300円(税別)。日本全国の書店などで発売中。(飾磨亜紀執筆)
|